第十一話 装備を整えよう
「やれやれ、シバ殿に関しては言うこと無しだな。シバ殿なら冒険者でも上手くやっていけるだろう」
「何でお前がおんねん……」
「どうせソフィーとタマキもここに来るのだ、食後の紅茶はここで飲むとしよう♪」
「話を聞け…………」
クラウディアによる訓練が終了した転移者一行は王城の治癒師の治療を受けた後、入浴と昼食を済ませ、各自部屋に戻っていた。しかし、優之介と斬波の部屋にクラウディアが訪問したので、お昼寝をしようとした野郎二人はお昼寝ができないでいた。
「クラウディアさんはどうして俺達の所に来たんですか?」
「あぁ、いや、大した事では無いのだがな……いくら勇者殿と言えど―」
―コンコンコン
クラウディアが何か言おうとしたタイミングで扉がノックされた。優之介は「はぁい」とだけ返事をすると、扉を開けてソフィーリアと荷物を二つ載せた台車を押しながらタマキが部屋に入ってきた。
「ご機嫌よう、ユウノスケ様、シバ様。私の方でご用意できる物は全て用意させていただきましたわ♪」
ソフィーリアはタマキに目配せをすると、タマキは優之介と斬波の前に荷物を一つずつ置いた。
「最初からあまり高価な装備を身につけていると変に目立ってしまうのでこのくらいが良いかと」
「中身を確認してみても良いですか?」
「どうぞ」
優之介は荷物の中身を確認した。革に鉄板を縫い付けた防具、手頃な長さのショートソード等、持ち物がスマホだけだった優之介にとって有難い代物だった。
そして、渡された荷物の中に小さな鞄があるのが目に入ったので「この鞄は?」と優之介は不思議そうに見つめると【鑑定】スキルが無意識に発動し、鞄の鑑定結果を教えてくれた。
【魔法鞄 小】
マジックバッグとも言う、鞄の中は空間魔法によって広げられている為、鞄よりも大きな物を収納して持ち運びする事が可能。
収納サイズは五メートル四方。
「魔法鞄、すごいな……」
「物理の法則を無視してやがる……、流石は魔法と言ったところか…………」
優之介と斬波は魔法鞄にただ感動していた。野郎二人が魔法鞄にテンションを上げていると、ソフィーリアが少しおどおどした様子で質問してきた。
「あの、お二人は【鑑定】スキルが使えるのですか?」
「え、あ…はい」
「あ、あぁ……」
ソフィーリアの質問に対し、優之介と斬波はきょとんとした様子で肯定した。
「まぁ! お二人共こちらの世界に来られてまだ二日目なのに、もうスキルを取得なさっているのですね。素晴らしいです!」
「【鑑定】スキルは私も使えますが、取得するのに時間がかかりました。お二人が少し妬ましいです」
「【鑑定】が使えるならこの世界でも上手くやっていけそうだな」
野郎二人が【鑑定】スキルを取得していることに対し、三者三様の反応を示すソフィーリアとタマキとクラウディアは、次にどのような経緯でスキルを取得したのか野郎二人を質問攻めにした。
優之介は斬波から教わったので詳しいことは何も言えなかったので、斬波が淡々と答えていった。
「そのへんにある物をよぉく見てたら、脳内に誰かの声がしてな……」
「シバ様、それは世界の声でございます。詳しい事は私達にも存じませぬが、ステータスに変化が生じた際、本人の脳内に直接響くのです」
「へぇ、それもファンタジーだねぇ……」(あの脳内に流れるアナウンスは世界の声と言う形で認知されているのか……)
世界の声の仕組みを知りたいと思ってしまった斬波だが、現地の人も詳しい事がわからないので、世界の声の事は頭の片隅に置いておいた。
この後、優之介と斬波は、防具を試着して着心地を確認したら一旦元の服装に戻し、この日はソフィーリア、タマキ、クラウディアの三人と雑談を交わし、この世界の事を教えてもらいながらアフタヌーンティーを楽しんだ。
この時にクラウディアが野郎二人のもとを訪ねた理由を改めて聞くと、クラウディア曰く「いくら勇者殿と言えど魔法を覚える早さが我々の常識を逸脱している」らしく、何かコツがあれば教えて欲しかったそうだ。
(この世界の人達に元素とか分子とか言っても理解できないだろうなぁ……)
(魔法が便利なこの世界で現地の人に科学を教えても理解できないだろうなぁ……)
優之介と斬波は魔法が無い世界に住んでいた分、魔法に対する憧れが強かったんだと適当にごまかしておいた、決して嘘はついていない。
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