第二話 いざ……模擬戦?
―わいわい、がやがや……。
「ではこれより、アースカイ王国近衛騎士団団長、ディムル・フォン・ドルトン伯爵とBランク冒険者、シバ・カナイの試合を行う!!」
「「わぁあああああああああ!!」」
野郎二人とレミリアがウェドモンドと謁見を行った次の日の午前中、ロウランの宣言と共に王城内の練兵場は盛り上がっていた。なぜなら、今から斬波とディムルが戦うからである。練兵場の中心で斬波とディムルはお互い、にらみ合っていた。
「クラウディアが認めた貴様の実力、見せてもらうとしよう」
「そんじゃ、俺もこの国最強レベルってやつを見せてもらおうじゃねぇか」
「お二方、熱くなるのは結構だがここでルールを確認するぞ」
ロウランから出された試合のルールは次のようなものだった。
・対戦前に防護結界魔法を双方に付与する事
・使用する武器に関して制限は無し
・魔法の使用は認めるが、禁忌魔法は使用は禁止とする
・どちらか片方の防護結界が破壊された時点で試合終了、結界が破壊された方の敗北となる
防護結界魔法とは対象に付与することで、物理攻撃や魔法攻撃を受けた際に発生するダメージを軽減させる事ができる魔法だ。【魔力纏】のスキルや【身体装甲】の魔法と重複して発動すればかなりの防御力が期待できそうだ。
斬波はロウランから提示されたルールを理解はしたが、初めて聞いた単語を耳にしたのでその場でロウランに質問した。
「なぁ、ルールは理解したけが【禁忌魔法】ってなんだ?」
「【禁忌魔法】とは、自らの知力と魔力を駆使し開発した魔法が、世界の均衡を崩しかねない危険なモノだった場合、魔法神ジュノン様によってその魔法は【禁忌魔法】と定められるのだ」
「まぁ【禁忌魔法】など使える者はあまりおらん、気にするな」
「……あぁ、そうかい」(「俺、使えます!」とは言えねぇなぁ……)
「他に質問はあるかね?」
「いや、ない」
「うむ、では両者位置に付いて構えよ」
ロウランの指示で斬波とディムルは開始位置に付き、それぞれ武器を構えた。ディムルが構えた武器は刀身が綺麗で丈夫そうな長剣だった。対する斬波は……。
(ん? 俺の【山崩】の形が変わってねぇか……?)
「な、なんだあの武器は……?」
「大斧か? 槍か?」
「ハルバードってやつだろ……?」
「ほう、バルデッシュか……。しかもただの武器じゃない、ドロップ品だな?」
「なに……?」
斬波は魔法鞄から【山崩】を取り出して構えたが、形状が今まで使用してきたものと異なっている事に戸惑った。斬波の【山崩】を知っている優之介達も驚いている。
ディムルが「魔物化してるな?」と言うので、斬波は戸惑いながらも【山崩】を【鑑定】スキルで鑑定してみた。鑑定結果は次のように出た。
【無銘のバルデッシュ】
【山崩】から変化したバルデッシュ型のポールウェポン、魔物化が進行している。
今はただのバルデッシュだが、今後この武器がどのように魔物化し、成長するかは誰も知らない。
どうやら斬波の魔法鞄の中で【山崩】が魔物化していたようだ。鑑定の説明文を読んだ限りだと変化前の【山崩】の方が強そうに思えたが、そのことに関してはスルーしよう。
「どこで手に入れたんだ?」
「ティユールのダンジョンに潜って、オーガスケルトンを倒した時のドロップ品だが……」
「ふぅむ、あそこのダンジョンのオーガスケルトンがドロップするのはハルバードだった気がするが、まぁいいだろう。かかってこい!」
「あぁ……、遠慮なく行かせてもらうぜ!」
「始めッ!!」
「「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」
―ガキィィーン!!
「「わあああああああああ!!」」
斬波の武器が変化する珍事が発生したが、ロウランの開始の合図で斬波とディムルの試合が始まると、観戦している騎士達から歓声が上がり、会場となっている練兵場は盛り上がっている。
剣とバルデッシュが激しくぶつかり合う斬波とディムルの攻防は凄まじく、音と衝撃が肌に直接伝わることで緊張感が増してくる。更に【身体強化】で自身を強化した斬波とディムルの動きは常人の域を超えていて、見る者に興奮を与えた。
「ふ、二人共凄ぇ!」
「模擬戦とは言え、これが近衛騎士団の団長の戦い……。Aランク冒険者より強くないですか?」
「近衛騎士団の戦闘能力は個人差があるものの、皆Bランク冒険者よりは強いぞ。でなければ近衛騎士として役目を果たせない。加えて団長には強さだけではなく指揮官としての統率力も求められる、故にディムル団長は王国最強と言われているのだが……」
「あれ? クラウ様も王国最強って言われてませんでしたっけ?」
「まぁ、言う人もいるにはいるが王国最強と言われてもな、私と団長は五分五分だし、それにシバと会ってからは微塵も思わなくなってしまった」
―ドゴォッ!
「ごはぁっ!?本当にB級冒険者か!?」
「流石王国最強の近衛騎士団の団長、強いな……!」
優之介、レミリア、クラウディアが話し込んでいる間に斬波がディムルに一発攻撃を叩き込んだようだ。体内の酸素を強制的に排出させられたディムルは辛そうだ。
「お前もな……。重戦士かと思えばモンクだったか、油断した…………」
「重戦士? モンク? そんなもんになった覚えはねぇ」
ディムルが斬波に「重戦士、モンク」等、RPGに出てきそうな戦闘ジョブの名称を言ってくるが斬波は眉にシワを寄せてこれを否定した。斬波自身のステータスには表示されていないので名乗りようがないので当然だが、ディムルが少ししつこい。
「身体の一部が黒く変色しているのは【身体装甲】魔法だろう? その魔法を習得していると言う事はモンクではないのか?」
「……知らんわそんなもん!」
戦いの最中なのに、答えられない事を聞かれてイライラした斬波は「知らん」の一言でディムルの質問を一蹴してしまった。
「「………………」」
「模擬戦だから油断してるのか? 痛い目見んぞ!!」
斬波とディムルの会話にその場にいた人達はぽか~んと口を開けたまま固まっていた。
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