第一話 斬波、値踏みされる
「丁寧な挨拶、痛み入ります」
クラウディアの父にして貴族の中でも最高位に値する公爵のハロルドの登場で、一瞬ビクッとなった斬波だったが直ぐに平静を保って礼を返した。
「陛下の前でも態度を変えなかったのに、私に対しては少し緊張気味だね」
「まぁ、公爵とか以前にクラウの父親だと思ったらな……」
斬波がそう言うとハロルドは「はっはっは」と陽気に笑い、温かい目で斬波を見つめながら「そう強張ることはない」と優しく呟いた。
「君の事は既にクラウディアから聞いているよ、私としては是非、娘を嫁に貰ってやって欲しい」
「父上……!!」
「お、お待ちくださいハロルド公爵! よろしいのですか!?どこの馬の骨ともわからんやつに……!!」
ハロルドの言った事に対し、ディムルが声を荒らげて異を唱えた。しかし、ハロルドは顔色一つ変えずに話を続けた。
「と、言いたいところだが……、私も君と言う人物を見極めたい。我がローゼン家の在り方をを体現してくれているクラウディアが選んだ人生のパートナーだから、期待していると同時に私も興味があってね」
「……そりゃどうも。具体的にはどう見極めるんだ?」
まぁ、身分関係なしに父親なら娘の結婚相手となる男性がどのような人物かを見ておきたいものだ。そしてハロルドは次のような事を斬波に対して要求してきた。
「私が見たいのは君の知力、武力、そして人となりが知りたいのだが……」
「なら、武力はディムルと模擬戦をすればよかろう」
ここでウェドモンドが斬波とディムルで模擬戦を行うことを提案する。どことなしか、彼の表情が楽しそうである。国王は娯楽に飢えているのか?
「まぁ、俺は構わねぇけど騎士団長様は良いのかよ?」
「ディムルでいい、私は一向に構わないぞ。元より貴様とは一度戦ってみたかったのだ、これは実に好都合と言う物よ」
「……知らねぇ間に有名人になったなぁおい。男にモテるのはご勘弁願いたいものだ」
「ふん、生意気な……」
ハロルドが斬波の「知力」「武力」「人となり」が知りたいと言い出し、「武力」では斬波とディムルが明日、模擬戦を行うことで話がついた。斬波も日々の鍛錬や組手だけでは物足りないのか、ちょっと楽しみにしている。
「してハロルドよ、シバの知力はどう見るのだ? このベアリングでも十分に思えるが?」
「そうですね……今すぐ無理矢理見せてくれと言うわけでもないので、今後彼がどんな人物かを見極める際の判断基準の一つとして見ようかと思います」
「俺の日常生活に監視がつくのかよ」
「そこまではしないさ、君は君の思うがまま君らしく居てくれれば良い。さっきも言ったと思うけど、クラウディアの夫となる可能性がある君がどんな人物なのかを見極めたいのさ」
「……本音は?」
ハロルドは斬波の人となりを見たいが為と言っているが、何か裏があると思った斬波は低い声で、ハロルドに本音を尋ねた。ハロルドは終始穏やかな表情でいるが、彼は貴族の中でも最高位の公爵だ。油断ならない。
「本音も何も、さっき言った通りさ。ただ……」
「ただ……、なんだ?」
「いいや、何でもない。私としたことが陛下の謁見のなのに、娘が遂に相手を連れて来た事で我を忘れてしまった」
「はっはっは、良い。さて、謁見はここまでとするか。規格に関する法律は後日、貴族達を招いてベアリングを体験してもらった後、正式に発表するとしよう」
ウェドモンドが謁見を終了することを宣言すると、その場は一旦解散し、各自各々の部屋に戻っていった。優之介、斬波、レミリアの三人は王城から出て宿に泊まろうとしたが、ソフィーリアから「王城に滞在して欲しい」と言われたので王城の一室にお邪魔する事にした。
――――――――――――――――――――
「おい葵、クラウ、俺らの関係飛んでねぇか?」
「い、いやすまぬ……。父上と陛下にそう言ってしまったのでな…………」
「謝ることないわ、むしろ外堀を埋めることができてラッキーよ」
ウェドモンドとの謁見後、日本人組+レミリアとクラウディアが一室に集まって話をしている。今現在、斬波が葵とクラウディアにお互いの関係が一気に飛躍してしまった経緯について、問いただしているところだった。
葵とクラウディア曰く「王都で別れた後王城に向かったのだが、クラウの手紙を読んだハロルド公爵が待ち構えていて、いきなり斬波との関係を尋ねられたクラウディアがテンパって『斬波は自分の婚約者だ』」と言ってしまった事が原因らしい。
「まぁ、さっき国王に向かって『勇者と公爵令嬢は俺の婚約者だ』って面向かって言ったからな。訂正はできねぇだろうしする気もねぇ。まぁ、そのなんだ。独身からいきなり婚約者持ちなるのは心が落ち着かねぇな……」
「斬波……///」「シバ……///」
しかし、斬波はクラウディアの出まかせを受け入れ、これからは婚約者として二人と付き合っていく事を告げると、葵とクラウディアは頬を赤らめ、ササッと斬波の両脇に寄り添おうとするが……。
「はぁ~いイチャイチャしなぁ~い♪」
「なっ……!?」「ちょっと!?」
理音に邪魔をされてしまった。葵とクラウディアは頬を膨らませて不満を募らせているが、クールビューティな葵とクラウディアがそれをやると破壊力がヤバい。
「そ~ゆ~のは二人っきり……いや、三人になった時にギシギシアンアンヤりなさい」
「「~~っ……///」」
「理音ちゃん、もうちょっと表現をオブラートに……」
「こんくらいがちょうど良き! それより斬波君、ディムルさんとの模擬戦、覚悟した方がいいかもだね」
「覚悟? 模擬戦だろ? いるのか?」
ぶんむくれる葵とクラウディアをよそに、理音は話を切り出した。内容は斬波とディムルとの模擬戦のことだが、何やら不穏な予感がする言い方するので、この場にいる一同に緊張が走った。
「私の予想が正しければ、明日の模擬戦は死闘になるよ」
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