1047.「オブライエン」
中天を過ぎ、やや傾いた陽射しが周囲を温めている。
この場にはわたしたちとオブライエン以外にいない。
地上のオブライエンが拘束されてから、何時間経ったろう。太陽の位置を鑑みるに、七、八時間といったところか。
煙宿の兵士もベアトリス軍も、とっくにこの場を離れていた。前者は煙宿へ帰還し、後者は竜人の助けを借りてマグオートへ。いずれもヨハンの指図だ。お役御免といったところ。旅立った竜人のなかには、目覚めなかったスピネルも含まれる。竜人たちにとって、彼の勇気は庇護に値するというわけだ。少数の竜人で霊山に直行し、然るべき手当てをおこなうとのこと。残っているのは悄然としたナルシス、瞑想しているアリス、彼女の指導をしているヘルメス。そして不貞腐れたマヤ。
マヤが膝を抱えて押し黙っている理由は、今のわたしでも察しがつく。仇敵である夜会卿を殴ったのは確かだが、その後の展開を見れば、わざと殴られてやったと解釈するのが正しい。縫合伯爵の次女が公爵である夜会卿を戦場で暴行した事実は、首都ラガニアとアスターに映写魔術で映し出された。所詮は夜会卿の言葉なので真偽不明だが、おそらくただの脅し文句ではないだろう。それくらいは造作もなく実現出来る魔術師なのは、戦闘のなかで充分に裏付けされていた。
グレキランスのどこかに住めばいい。
何時間か前に、アリスがそう進言した。
妥当だ。ラガニア領で逃げ回るのは無理だろう。毒色原野に接するラガニア領への玄関口がアスターであり、その街の人々は悪しざまに切り取られたマヤの行為を目にしている。縫合伯爵ルドラの軍がどうなるかは不明だが、マヤに関してはアスターに足を踏み入れた時点で捕縛されるはず。
それゆえ帰らないという選択がベストなのだが、マヤはうんともすんとも言わなかった。いじけているのかと思って、暇に任せて『マヤ。拗ねてないで喋ってごらん。怖くないよ』と言ってみたところ、睨まれたのは記憶に新しい。またしてもわたしの冗談は通用しなかったようだ。ヨハンがすかさず『お嬢さんは親切ですなぁ』とニヤニヤしながら口を挟んだのは嫌味だろう。
「アリスくん。集中したまえ」
「してるさ、ヘルメス先生。でもアタシだって疲れてるんだよ」
「素晴らしく陳腐な言い訳だな。疲労が魔力に綻びを生むのは当然だが、それは一般人に限った話だ。今後魔術師と名乗りたければ、いかなる状況においても魔力の操作だけは怠るべきではない。そうか、キミは魔術師になりたくないのか。結構。見込みもないし、魔術を忘れて畑を耕す健全な日々を送りたまえ。卒業おめでとう」
アリスは傍目から見ると、じっとしているだけである。だが、魔力の視えるわたしにはひどく忙しない訓練をしていると分かった。魔術未満の魔力の触手を操り、ヘルメスの放つ種々雑多な形状および軌道の魔力を弾いている。魔術を使えないわたしには関係のないことだが、王都の魔術訓練校では魔力の操作云々について、さしたる比重を置いていないと聞いたことがある。魔術を顕現させる土台として、魔力を集中させる技法を学ぶだけだと。
今アリスとヘルメスがやっているのは、土台を拡張し、かつ強靭にするための修行だろう。どれほど意味があるかは定かではない。マヤとの戦闘についても、ハイメとの一騎打ちについても、彼女はほとんど語らなかったからだ。暇に任せて聞いたのに、返ってきたのは『内緒。だってお嬢ちゃんはアタシと決闘するんだからねぇ。情報を渡すわけがないじゃないか』である。まだ決闘にこだわっているとも取れるし、面倒だからそれらしい言葉であしらったとも取れた。まあ、どちらでもかまわない。なんの関心もないのだから。
「おや」とヨハンが声を上げる。
視線の先を見ると、王都の上空になにかが浮いていた。
ヨハンが手をかざし、拡大鏡を展開する。
拡大された王都上空に、映像が浮かんでいた。ひとつは玉座で戦闘するシルクハットのオブライエン。もうひとつは、地下を駆ける他種族たちの映像。後者はどうも早回しに映し出されているようだった。つまりはリアルタイムの映像ではなく、すでに過ぎ去った記録であるのを示している。
「いい仕事をしますね」
ヨハンの呟きに、確かにと思う。あれは紛れもなく地下の映像だ。誰が展開したものか不明だが、さすがにヨハンではないだろう。
夜会卿と対面して真っ先にヨハンが問いかけた内容を思い出す。
夜会卿はオブライエンに並々ならぬ執着を抱いていた。自分の獲物だと声高に叫んだも同然に。それを他種族たちが討とうとするさまを見て、心穏やかではいられないはず。動揺させる目的ならば充分に達成出来るだろう。だが、その先の狙いが読めない。
風が吹く。
白銀色の髪が拡大鏡の外側で揺れた。
いまだに拘束され、死んだように身動きしなかったオブライエンが口を開き、息を吸う。
「メフィスト。君たちの勝ちだ。数秒前に僕の本体は実質的に死んだ。殺されたと言うほうが適切かな」
そっか、と思う。別に嬉しくも悲しくもない。魔女の忠実な執事が仕事をやり遂げただけ。
思えば、ウィンストンは暗殺者として育てられたも同然だ。日夜魔女を襲撃し、失敗し続けた日々が糧になったのだろう。
「吉報ですな」
ヨハンが吐息とともに呟いた。異を唱えたのはオブライエンだ。
「どうかな。盤上遊戯はまだ続いてる。プレイヤーの片方が死んでもゲームは終わらない。誰かが引き継いで次の手を打つ必要がある。喫緊の問題に置き換えると、君たちは地上の血族をどうにかしなきゃならない」
チェスのルールは知らないが、普通は打ち手が消えれば残った者の勝利だろう。もちろん、オブライエンの言葉が喩えだとは分かっている。
つまり、勝敗は決していない。
「ええ、理解していますよ。夜会卿が折れてくれればいいのですが……」
「なんでもいいさ、メフィスト。僕は死んだ。ラガニア人の支配下に置かれなければそれでいい。グレキランスが在り続ければ僕は満足だ」
爽やかに言ってのけるオブライエンを、ヘルメスがじっと見下ろしている。やがて彼はオブライエンのそばに座り込んだ。
「なんだい、ヘルメス。最後に殴っておきたいなら、そうするといいよ。二重歩行者で良ければ」
「資料はあるか?」
「アルテゴの?」
「それも含めて、キミの為した魔術に関して資料を残しているか?」
ヘルメスの顔は憂鬱そのものだけど、今にはじまったことじゃない。しかしながらこのときの彼は、一層沈んでいるように見えた。
「残念ながら、ないよ。全部僕の頭のなかにしかない。自分が知っていればそれで済むからね。不死者は後世のことなんて考えないよ」
「……アルテゴのワクチンはあるのか?」
「一人分だけ残ってるよ」
「アルテゴ同様、気化するのか?」
「しない。させる必要がなかった。僕とジュリアだけアルテゴを無効化出来ればいいからね。でも、なんでジュリアはワクチンを飲まなかったんだろう。不思議だ」
ヘルメスが躍起になって問いただす理由は不明だ。彼に限らず、誰しも当人にしか分からない事情や背景がある。ジュリアがワクチンを飲まなかったのも、きっと彼女にしか知り得ない事柄だ。
「僕からも質問いいかな? アルテゴについて聞かれるのは理解出来るけど、なんで魔術について聞いたんだい? 僕の魔術なんてどうでもいいじゃないか」
「どうでもよくない。偉大な先人がなにも残さず消えるなんて――」
「訂正したほうがいいよ。君が僕を偉大だなんて言うのはおかしい」
オブライエンはヘルメスの失言をくすくすと笑う。
当のヘルメスはというと、大真面目に返した。
「魔術においてキミは偉大だ。偉大な魔術師であり偉大な研究者だ。どんな悪行をしたにせよ、その点だけは評価出来る。誰にも否定はさせない」
オブライエンは目を丸くして、それから空を仰いだ。
「……君たちは本当によく分からないな。勝ち名乗りを上げればいいのに。消えゆく敗者に怨嗟をぶつければいいのに。なんなら足蹴にすればいいのに。偉大だの、忘れないだの……本当に……呆れてなにも言えないや」
オブライエンの身体が霧散したのは、言葉の直後だった。
史上最大の悪党。
倫理なき魔術師。
世界の在り方を変えた男。
オブライエン。
彼はうっとりと空を眺めたまま、ふっ、と消えた。
発言や単語が不明な部分は以下の項目をご参照下さい。
・『オブライエン』→身体の大部分を魔力の籠った機械で補助する男。王都内の魔具および魔術関連の統括機関『魔具制御局』の局長。自分の身体を作り出した職人を探しているが、真意は不明。茶目っ気のある紳士。騎士団ナンバー1、紫電のザムザを使って『毒食の魔女』を死に至らしめたとされる。全身が液体魔具『シルバームーン』で構築された不死者。かつてのグラキランス領主の息子であり、ラガニアの人々を魔物・他種族・血族に変異させ、実質的に滅亡させた張本人。外界で活動しているのは彼の分身『二重歩行者』であり、本体は一切の魔術的干渉を受けない檻に閉じ込められている。詳しくは『345.「機械仕掛けの紳士」』『360.「彼だけの目的地」』『間章「亡国懺悔録」』にて
・『ジュリア』→魔具制御局のメンバー。オブライエンの部下。オブライエンの実験による最初の不死者。彼を心の底から愛している。全身が液体魔具『シルバームーン』で構築されている。詳しくは『第二章 第八話「騒乱の都」』『間章「亡国懺悔録」』にて
・『メフィスト』→ニコルと魔王に協力していた存在。ヨハンの本名。現在はクロエと契約し、魔王討伐に協力している。初出は『幕間.「魔王の城~尖塔~」』
・『アリス』→魔銃を使う魔術師。ハルキゲニアの元領主ドレンテの娘。実は防御魔術のエキスパート。王都の歓楽街取締役のルカーニアと永続的な雇用関係を結んだ。ラガニア随一の魔術師ヘルメスに弟子入りし、影の魔術を会得。戦争において縫合伯爵ルドラの次女マヤやハイメ子爵と親交を深めた。詳しくは『33.「狂弾のアリス」』『Side Alice.「ならず者と負け戦」』『第四章 第三話「永遠の夜ー②隠れ家と館ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑤霧海の繋ぎ手ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑥宵闇の狩人達ー」』にて
・『毒食の魔女』→窪地の町イフェイオンの守護をする魔術師。『黒の血族』と人間のハーフ。未来を視る力を持つ。本名はカトレア。オブライエンの策謀により逝去。詳しくは『第八話「毒食の魔女」』『Side Winston.「ハナニラの白」』にて
・『ウィンストン』→『毒食の魔女』の邸の執事をしている魔術師。丁寧な口調の壮年男性。ジェニーとは犬猿の仲。昔から魔女の命を狙って暗殺を繰り返している。魔女を殺害したオブライエンへ、並々ならぬ復讐心を持っている。詳しくは『第八話「毒食の魔女」』『279.「物好きな主人」』にて
・『ナルシス』→王都の騎士団に所属している交信魔術師。自信家で演技口調。しかし交信魔術の腕前は送受信ともに優秀。また、元真偽師。観察眼と魔力察知にも長けている。詳しくは『第四章 第三話「永遠の夜ー①前線基地ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー②隠れ家と館ー」』にて
・『ヘルメス』→かつてのラガニアでトップクラスに優秀だった魔術師。ねちっこい性格で、人付き合いの苦手な男。もともと魔術学校で講師をしていたがクビになり、一時期ガーミール公爵に雇用されていたが、彼が零落したことでドラクル公爵に鞍替えした。オブライエンの犯罪的魔術を看破し、彼の右腕と左足を木端微塵にした過去を持つ。血族化して以降は夜会卿に仕えていたが、ニコルによる襲撃以降、四代目となるガーミールに鞍替えした。死を契機に、事前に契約を交わした相手に成り変わることで不老不死を実現する異能を持つ。対象者はヘルメスの記憶と肉体と魔力をコピーした、ヘルメスそのものとなる。その際、相手の持つ魔力も上乗せされる。夜会卿の支配地であるアスターに訪れたルイーザの精神を叩き折って泣かせた過去を持つ。ヨハンの提案により、オブライエン討伐ならびに戦争での人間側の勝利後には、四代目ガーミールの部下とともにグレキランスに残り、アルテゴのワクチン研究をすることに合意。オブライエン討伐を見届けるべく、アリスの片目を介してウィンストンと視覚共有をしている。詳しくは『間章「亡国懺悔録」』『第四章 第三話「永遠の夜ー②隠れ家と館ー」』にて
・『ベアトリス』→ラガニアの地下都市ヘイズの長であり、バーンズの子孫。黒の血族で、ラガニアの男爵。誠実な男。祖先の恨みを晴らすべく、夜会卿への宣戦布告を目論んでいる。鎧をかたどった貴品『虚喰』により、無形の靄を自在に操ることが可能。ただし、力を使えば使うほど鎧の内部は空洞化する。戦争にて竜人と組んで人間側につくことを誓った。同じく戦争に参加したイアゼル侯爵の異父兄弟。夜会卿との戦闘において肉体のほぼすべてが空洞化した。詳しくは『第四章 第一話「祈りの系譜」』『第四章 第三話「永遠の夜ー④銀嶺膝下マグオートー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑥宵闇の狩人達ー」』にて
・『縫合伯爵ルドラ』→黒の血族で、ラガニアの伯爵。領地に金鉱を有する老翁。夜会卿主催のオークションの常連であり、彼とは表向き親密な関係。貴品『万世一糸』を体内に埋め込んでいる。煙宿を一度は制圧したが逆襲され、捕虜の身に。戦争の趨勢に関し、ヨハンと賭け(契約)をした。詳しくは『第四章 第三話「永遠の夜ー③赫灼の赤き竜ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー④銀嶺膝下マグオートー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑤霧海の繋ぎ手ー」』にて
・『マヤ』→縫合伯爵ルドラの次女。雷の魔術師。ルドラの指示で夜会卿に捧げられたが、兄であるアビシェクのみが殺害され、彼女は生かされた。夜会卿への復讐のため人間側に寝返った。北門襲撃の際に夜会卿へ挑みかかるも相手にもされず、苦杯を飲んだ。詳しくは『第四章 第三話「永遠の夜ー④銀嶺膝下マグオートー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑤霧海の繋ぎ手ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑥宵闇の狩人達ー」』にて
・『ハイメ子爵』→黒の血族で、ラガニアの子爵。鋏型の貴品『緑青流鋏』を所持。ファレノの治安維持部隊である、男性のみで構成される白鳥近衛隊の長。実は女性だが、男として育てられ、常に男装している。アリスとの対話により自身の性別を白鳥近衛隊の面々に打ち明け、受容された。白鳥近衛隊あらため、『夜明けの翼団』を結成。詳しくは『第四章 第三話「永遠の夜ー⑤霧海の繋ぎ手ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑥宵闇の狩人達ー」』にて
・『スピネル』→二度目の『霊山』来訪で出会った、薄黄色の鱗の竜人。臆病で、長いものに巻かれる性格。クロエが無理やり『霊山』に押し入ったことにより、門番をしていた彼も裁きを受ける手はずになっていた。クロエが竜人の族長となったことで無罪放免となり、それから彼女を「至高の星」と呼んで心酔し、自ら下僕関係を望んだ。「至高の星」とは、竜人を含めた世界全部を良くする存在なんだとか。詳しくは『第四章 第二話「幻の森」』にて
・『夜会卿ヴラド』→黒の血族の公爵。王都の書物でも語られるほど名が知られている。魔王の分家の当主。キュラスの先にある平地『毒色原野』を越えた先に彼の直轄地アスターが存在する。極端な純血主義であり、自分に価値を提供出来ない混血や他種族は家畜同様に見なしているらしい。律儀で、礼儀を重んじる性格。不死の力を持ち、血液を資源とした魔術を扱う。肉体の大部分を蝙蝠の魔物に提供しており、攻撃を受ければ自動的に蝙蝠が反撃する。ヨハンと契約を結んでおり、アスターの人々は彼を殺すことが出来ない。詳しくは『幕間.「魔王の城~ダンスフロア~」』『90.「黒の血族」』『幕間.「魔王の城~尖塔~」』『565.「愛の狂妄」』『927.「死に嫌われている」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑥宵闇の狩人達ー」』にて
・『黒の血族』→魔物の祖と言われる一族。人間と比較して長命。もともとは王都の敵国であったラガニアの人々のごく一部が、オブライエンの生み出した『気化アルテゴ』によって変異した姿。詳しくは『90.「黒の血族」』『間章「亡国懺悔録」』にて
・『竜人』→全身を鱗に覆われた種族。蛇に似た目と、鋭い爪を持つ。王都の遥か西にある山脈に生息している。弱者には決して従わない。鱗の色で階級が二分されており、『純鱗』は気高く、『半鱗』は賤しい存在とされている。詳しくは『626.「血族と獣人」』『幕間.「青年魔術師の日記」』にて
・『映写魔術』→映像を空中に投影する魔術。詳しくは『間章「亡国懺悔録」』にて
・『拡大鏡』→空間の一部に魔力のレンズを展開し、遠方を見通す魔術。詳しくは『306.「拡大鏡」』にて
・『二重歩行者』→ヨハンの得意とする分身の魔術。影に入り込んで移動することが可能。詳しくは『12.「二重歩行者」』にて
・『アルテゴ』→オブライエンの発明した兵器。『固形アルテゴ』『液化アルテゴ』『気化アルテゴ』がある。詳しくは『間章「亡国懺悔録」 幕間37.「アルテゴ」』にて
・『固形アルテゴ』→オブライエンの発明した兵器。固形。詳しくは『間章「亡国懺悔録」 幕間37.「アルテゴ」』にて
・『液化アルテゴ』→オブライエンの発明した兵器。液状で、外気に触れると『気化アルテゴ』となる。詳しくは『間章「亡国懺悔録」 幕間37.「アルテゴ」』にて
・『気化アルテゴ』→オブライエンの発明した兵器。『液化アルテゴ』が気化したもの。膨張を繰り返し、急速に広がる。吸引した人間は多くが魔物となり、一部が他種族に、ごくごく一部が『黒の血族』へと変異する。オブライエンは双子の兄であるスタインの体内に『液化アルテゴ』を設置し、生命活動の停止に伴って外気に触れるよう仕組んだ。スタインが処刑されたことにより、ラガニアは滅亡することとなった。詳しくは『間章「亡国懺悔録」 幕間37.「アルテゴ」』にて
・『王都』→グレキランスのこと。周囲を壁に囲まれた都。詳しくは『第九話「王都グレキランス」』にて
・『グレキランス』→通称『王都』。周囲を壁に囲まれた都。また、グレキランス一帯の地方を指して用いられる。詳しくは『第九話「王都グレキランス」』にて
・『魔術訓練校』→王都グレキランスで、魔術的な才能のある子供を養成する学校。魔具訓練校とは違い、卒業後の進路は様々
・『煙宿』→王都の北に広がる湿原の一角に存在する宿場町。ならず者の理想郷とされ、出自を問わず暮らすことが出来る。ゆえに人探しはご法度。要人や富裕層の住む『不夜城』と、一般的なならず者の住む『ほろ酔い桟橋』に区分されている。詳しくは『第二章 第四話「煙宿~①ほろ酔い桟橋~」「煙宿~②不夜城~」』にて
・『マグオート』→文化的、経済的に成熟した街。王都から流れてきた富豪が多く住む。トムとマーチの故郷。別名『銀嶺膝下』。ラガニアの辺境である地下都市ヘイズと、転送の魔道具によって接続されている。詳しくは『第四章 第一話「祈りの系譜」』にて
・『霊山』→竜人の住処。王都の遥か西方にある雪深い山脈の一角に存在する。詳しくは『第四話「西方霊山~①竜の審判~」』にて
・『ラガニア』→かつてはグレキランス同様に栄えていた地域、と思われている。実際はグレキランスを領地として治めていた一大国家。オブライエンの仕業により、今は血族の土地と化している。魔王の城は元々ラガニアの王城だった。初出は『幕間.「魔王の城~書斎~」』。詳しくは『間章「亡国懺悔録」』より
・『アスター』→夜会卿ヴラドの統べる街。グレキランスよりも広く、発展している。金貨に代わる貨幣制度として、ドラクル紙幣などが使用されている。詳しくは『第四章 第三話「永遠の夜ー②隠れ家と館ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー④銀嶺膝下マグオートー」』にて
・『毒色原野』→人も血族も住まない荒廃した土地。グレキランスの人間は『中立地帯』と呼んでいる。夜会卿の統べる都市とキュラスとの中間に広がった荒野を指す。常に濃い靄に覆われており、毒霧が発生しているとの噂がある。霧は一定周期で晴れる。詳しくは『616.「高貴なる姫君」』にて




