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花嫁騎士 ~勇者を寝取られたわたしは魔王の城を目指す~  作者: クラン
第四章 第三話「永遠の夜ー⑦千年の都ー」
1761/1783

1046.「託された遺産」

 拘束され、無抵抗に見えるオブライエン。


 彼を一顧(いっこ)だにせずアリスへの説教を再開するヘルメス。


 事実として、わたしたちはヘルメスに救われたと言っていい。ただ、勝利と呼ぶには程遠いのもまた事実。ここにいるオブライエンに勝ったところでさしたる意味がないことを理解してしまっている。もちろん目前の脅威であったのは確かだが、横たわる美青年は本体の一割未満の魔力しか(ゆう)さない分身なのだ。しかもグレキランスは依然(いぜん)として地下にあり、玉座ではノックスが危機に(おちい)っている。


 今のわたしはそうした状況を変える力を持っていない。


「ヘルメス」


 アリスに遠慮なく(つば)叱咤(しった)を飛ばす男に呼びかける。彼はどろりとした視線をこちらに送った。


「なんだ。用件は手短に言いたまえ」


「わたしをグレキランスの地下に転移させて」


 直接地下に乗り込んで、玉座を制圧しているオブライエンをどうにかする。現実味のない話だ。勝てるはずもない。なのに声だけ先走っているのは、冷静さの隙間から以前のわたしが強引に声帯を制しているからだろう。


 彼女の考えは分かる。『強制転移紙片(トレック・トランス)』とやらを借り、ノックスを救い出して地上に帰還する魂胆か。


 玉座のオブライエンとの戦闘を最小限に留める、可能ならば戦いに発展する前にノックスだけを回収する。それならばいくらか実現の見込みはあるかもしれない。


 といっても、こうして思考している今のわたしは彼女に否定的だ。魔力一割未満のオブライエンにさえ手も足も出なかったのを(かんが)みれば、玉座にたどり着くことさえ難事とみるのが妥当。


 ヘルメスはわたしの愚かな提案を切って捨てた。


「断る。そこに転がっている二重歩行者(ドッペルゲンガー)の本体が地下にいる自覚があるのか? ああ、返事は結構。今のキミがオブライエンの居城に乗り込むのは自殺行為だ。出会う前に殺される。やるなら自分でやりたまえ。ボクは自殺幇助(ほうじょ)をしない」


 歯噛みするわたしの肉体はさておき、断ってくれてよかったと思う。今のわたしが勝ち目のない戦いに合意することがあるなら、それはニコルと魔王に対してだけだ。そこそこの猛者(もさ)と刃を()わす程度なら成長の観点で有意義だが、相手がオブライエンとなると話は別。


 背後でのそのそと動く気配がする。振り返ると、ヨハンが起き上がって胡座(あぐら)をかいた。喜ばしいが、喜びは感じない。


 死体同然の不健康な顔が周囲を見渡し、ヘルメスに向かってぺこりと頭を下げた。


「まさか貴方が助けに来てくれるとは思いませんでした。感謝します」


「ボクは不出来な生徒がオブライエンの手で殺されるのを看過(かんか)出来なかっただけだ。キミを助けたつもりはない。だから感謝される(いわ)れもない」


 これは一度聞いた台詞だ。オブライエンが拘束されたのち、この場のめいめいがヘルメスに感謝を述べたのである。竜人たちまでも。当のヘルメスは顔を()らして、今と同じようなことを口にしたのだ。そしてアリスがわたしに『照れてるんだよ、先生は。天邪鬼(あまのじゃく)だから』なんて耳打ちをしたので、彼女への説教が滔々(とうとう)と展開される運びとなったのである。


「まさかここにオブライエンが来るとは想定していませんでした。貴方がいなければ皆殺しにされていたでしょうな」


 頭を()いて渋面(じゅうめん)を作るヨハンに対し、ヘルメスはすげなく返す。


「そうなる可能性も頭にあったのだろう? ほんのわずかでも。キミは煙宿でアリスくんから随分と細かい情報を聞き出していたな? 特に『強制転移紙片(トレック・トランス)』についてはしつこいほど確認していた」


「……ヘルメスさんはアリスさんと視覚共有しているだけだったかと記憶してますが、聴覚も共有なさったので?」


「ただの読唇術(どくしんじゅつ)だ。話を逸らすな。キミはこうなる可能性も読んで、アリスくんを手元に置いておいた。ボクの心ひとつだったとはいえ、仇敵(きゅうてき)オブライエンを前にして講師が生徒を見捨てはしないと計算したのだろう? 正解だ。キミは(じつ)に腹立たしい人格をしている。金輪際(こんりんざい)ボクの生徒をダシにするな」


 ヨハンは首を横に振って「買い被りすぎですよ」と呟いた。


 ヘルメスの影に隠れて顔を出したアリスがニヤニヤと笑みを浮かべている。ヨハンがやり込められるのを期待しているのかもしれないし、ヘルメスの庇護欲(ひごよく)を密かに喜んでいるのかもしれない。


「それはそうと、共益紙(きょうえきし)はお持ちですか? すぐにでも連絡しなければならないことがありまして――」


「持っていないし、必要もない。知恵ある仲間に恵まれたな」


 なにを言っているのだろう。


 確かヘルメスは半馬人の隠れ家に居て、そこで共益紙を所持しているのはハックだけのはず。半馬人を中心とした組織『灰銀の太陽』のリーダーだった、オッドアイの少年だ。


 不意に、わたしの片目が妙な映像に塗り潰された。古びた紙片を掴む小さな手。子供の手だ。おそらくこれはハックの視界だろう。彼の見ているのは共益紙で、そこには四文字の言葉が記されている。


 作戦決行。


 記名はない。煙宿のザッヘルほどではないが、達筆な字だ。


 直後、視界に文字が浮かび上がる。


『ここにいるオブライエンに盗聴されぬよう、キミたちの目に(しる)す。これを書いたのはハック少年ではない。アリスくん経由で視覚を共有している壮年の男でもない。彼と同居していた白髪(はくはつ)の男だ』


 文字はそれきり途絶えた。視界も正常な景色に戻っている。おそらくヨハンも同じ内容の情報を得ただろう。どちらかというとわたしはオマケか。


 ヨハンを見やると、得心がいったらしくいつもの不敵な笑みを浮かべている。


 白髪の男。


 少し考えて、ようやく理解した。


『鏡の森』の支配者であり、此度(こたび)の戦争で人間に加担しているグレガーだ。彼がどこでなにをしているのか謎だったし興味もなかったが、まさか『毒食(どくじき)の魔女』の執事――ウィンストンと同居していたとは。


 ヨハンの指示だろうか。


 なんにせよ、あの用心深い男なら王都が丸ごと地下に格納されたことも、地上で門が破られたことも見抜いたとして不思議ではない。二度目の『鏡の森』訪問で、一時的にではあるがグレガーはヨハンの計略を上回ったのだ。鈍感とは程遠い人間だと断言出来る。


 すると、今頃は地下で他種族連合が躍動(やくどう)しているに違いない。転移先が地下の上空なのが問題だ。ユランや『半鱗(はんりん)』――樹海に移住した竜人がどれほどの数のメンバーを救えるだろうか。


 考えても詮無(せんな)いが、今は考えることしか出来ない。


 ノックスは――。


 わたしの首が横たわるオブライエンへと向く。意識とは無関係に。口が開いたのも声を発したのも、今のわたしではない。


「オブライエン。ノックスは無事なの?」


 我ながら愚かな問いだ。無抵抗を()いられているオブライエンがまともな返事を寄越(よこ)すわけないのに。


「今は生きてるよ。でもいずれ死ぬ。そもそも君たちは選択を間違った」


 (いまし)めなどないかのように、オブライエンは凛とした優雅な声で続けた。


「万が一にもありえないが、仮に君たちが僕の本体を討てたとしよう。その後、どうやって地下王都を地上に戻すんだい? その問題もクリア出来たとして、ヴラド君たちを制圧するだけの余力は君たちにはない。メフィストはもっと賢明な男だと思ったんだけど、行き当たりばったりだね。僕が地上に放った勢力はヴラド君たちを足止め出来ても、いずれ突破される。僕が王都を地下に移したと話した時点で君たちは気付くべきだった。言葉の底意(そこい)くらい読み取ってくれないと困るよ。僕は王都に住まう全員を人質に取っているんだ。僕を殺せばヴラド君に負けてグレキランスは彼の庭になる。僕と手を組めばみんなが助かる。簡単な話なのに、どうして理解してくれないんだろう」


 素朴な声色だった。あえて取り(つくろ)っているのかもしれないが、彼の心情はともかくとして内容は頷ける。オブライエンを倒したあと、ヴラドをどうにかしなければならないのは明白だ。


 ヨハンの答えを待ったが、彼は沈黙している。


「そもそも」とオブライエンは続けた。「君たちが僕の本体にたどり着くことはない。地下王都から僕の居場所までの道は閉鎖されているからね。どんなに頑張っても――」


 オブライエンの目が丸くなり、やがて嬉しそうなカーブを(えが)いた。


 そして、とても愉快そうに笑う。爽やかで、なんの(にご)りもない笑い声。


 ひとしきり笑ったのち、オブライエンは(ひた)るように目を(つむ)った。


「君たちはレイブンの遺産を手に入れたのか。ちっとも知らなかったな」


 レイブン。


 運河を渡るための変幻自在の地下道を作った男だ。オブライエンと共同で王都の地下空間を作成した天才。血族となったバーンズ男爵とともに地下都市ヘイズを作ったのも彼だ。


 遥か昔に亡くなったそのひとは、オブライエン討伐を未来の誰かに託したのである。オブライエンの居城に介入出来る唯一の手段――運河の鍵を遺産として残して。いっときはわたしが所有者だったが、今は持つべき者の手に渡っている。


 暗殺者ウィンストンに。

発言や単語が不明な部分は以下の項目をご参照下さい。



・『オブライエン』→身体の大部分を魔力の籠った機械で補助する男。王都内の魔具および魔術関連の統括機関『魔具制御局』の局長。自分の身体を作り出した職人を探しているが、真意は不明。茶目っ気のある紳士。騎士団ナンバー1、紫電のザムザを使って『毒食の魔女』を死に至らしめたとされる。全身が液体魔具『シルバームーン』で構築された不死者。かつてのグラキランス領主の息子であり、ラガニアの人々を魔物・他種族・血族に変異させ、実質的に滅亡させた張本人。外界で活動しているのは彼の分身『二重歩行者』であり、本体は一切の魔術的干渉を受けない檻に閉じ込められている。詳しくは『345.「機械仕掛けの紳士」』『360.「彼だけの目的地」』『間章「亡国懺悔録」』にて


・『ヘルメス』→かつてのラガニアでトップクラスに優秀だった魔術師。ねちっこい性格で、人付き合いの苦手な男。もともと魔術学校で講師をしていたがクビになり、一時期ガーミール公爵に雇用されていたが、彼が零落したことでドラクル公爵に鞍替えした。オブライエンの犯罪的魔術を看破し、彼の右腕と左足を木端微塵にした過去を持つ。血族化して以降は夜会卿に仕えていたが、ニコルによる襲撃以降、四代目となるガーミールに鞍替えした。死を契機に、事前に契約を交わした相手に成り変わることで不老不死を実現する異能を持つ。対象者はヘルメスの記憶と肉体と魔力をコピーした、ヘルメスそのものとなる。その際、相手の持つ魔力も上乗せされる。夜会卿の支配地であるアスターに訪れたルイーザの精神を叩き折って泣かせた過去を持つ。ヨハンの提案により、オブライエン討伐ならびに戦争での人間側の勝利後には、四代目ガーミールの部下とともにグレキランスに残り、アルテゴのワクチン研究をすることに合意。オブライエン討伐を見届けるべく、アリスの片目を介してウィンストンと視覚共有をしている。詳しくは『間章「亡国懺悔録」』『第四章 第三話「永遠の夜ー②隠れ家と館ー」』にて


・『アリス』→魔銃を使う魔術師。ハルキゲニアの元領主ドレンテの娘。実は防御魔術のエキスパート。王都の歓楽街取締役のルカーニアと永続的な雇用関係を結んだ。ラガニア随一の魔術師ヘルメスに弟子入りし、影の魔術を会得。戦争において縫合伯爵ルドラの次女マヤやハイメ子爵と親交を深めた。詳しくは『33.「狂弾のアリス」』『Side Alice.「ならず者と負け戦」』『第四章 第三話「永遠の夜ー②隠れ家と館ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑤霧海の繋ぎ手ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑥宵闇の狩人達ー」』にて


・『王都』→グレキランスのこと。周囲を壁に囲まれた都。詳しくは『第九話「王都グレキランス」』にて


・『グレキランス』→通称『王都』。周囲を壁に囲まれた都。また、グレキランス一帯の地方を指して用いられる。詳しくは『第九話「王都グレキランス」』にて


・『ノックス』→クロエとともに『最果て』を旅した少年。魔術師を目指している。星で方位を把握出来る。『毒食(どくじき)の魔女』いわく、先天的に魔術を吸収してしまう体質であり、溜め込んだ魔術を抜かなければいずれ命を落とす。王都襲撃ののち、王位を継いだ


・『強制転移紙片(トレック・トランス)』→ふたつでひとつの魔道具。片方の紙片を持つ者を強制的に自分のもとへ転移させるという代物。より魔力の強い者のほうに転移される。詳しくは『第四章 第三話「永遠の夜ー②隠れ家と館ー」』にて


・『二重歩行者(ドッペルゲンガー)』→ヨハンの得意とする分身の魔術。影に入り込んで移動することが可能。詳しくは『12.「二重歩行者」』にて


・『ニコル』→クロエの幼馴染。魔王を討伐したとされる勇者だが、実は魔王と手を組んでいる。黒の血族だけの世界を作り上げることが目的。クロエの最終目標はニコルと魔王の討伐。詳しくは『875.「勇者の描く世界」』にて


・『竜人』→全身を鱗に覆われた種族。蛇に似た目と、鋭い爪を持つ。王都の遥か西にある山脈に生息している。弱者には決して従わない。鱗の色で階級が二分されており、『純鱗』は気高く、『半鱗』は賤しい存在とされている。詳しくは『626.「血族と獣人」』『幕間.「青年魔術師の日記」』にて


・『煙宿(けむりやど)』→王都の北に広がる湿原の一角に存在する宿場町。ならず者の理想郷とされ、出自を問わず暮らすことが出来る。ゆえに人探しはご法度。要人や富裕層の住む『不夜城』と、一般的なならず者の住む『ほろ酔い桟橋』に区分されている。詳しくは『第二章 第四話「煙宿~①ほろ酔い桟橋~」「煙宿~②不夜城~」』にて


・『視覚共有』→その名の通り、視覚を共有する魔術。詳しくは『9.「視覚共有」』にて


・『共益紙(きょうえきし)』→書かれた内容を共有する紙片。水に浸すと文字が消える。詳しくは『625.「灰銀の黎明」』にて


・『半馬人』→上半身が人、下半身が馬の種族。山々を転々として暮らしている。ほかの種族同様、人間を忌避しているが『命知らずのトム』だけは例外で、『半馬人の友』とまで呼ばれている。察知能力に長け、人間に出会う前に逃げることがほとんど。生まれ変わりを信仰しており、気高き死は清い肉体へ転生するとされている。逆に生への執着は魂を穢す行いとして忌避される。詳しくは『436.「邸の半馬人」』『620.「半馬人の友」』にて


・『ハック』→マダムに捕らわれていた少年。他種族混合の組織『灰銀の太陽』のリーダー。中性的な顔立ちで、紅と蒼のオッドアイを持つ。現在は『灰銀の太陽』のリーダーの役目を終え、半馬人の集落で暮らしている。詳しくは『438.「『A』の喧騒」』『453.「去る者、残る者」』『623.「わたしは檻を開けただけ」』にて


・『灰銀の太陽』→半馬人を中心にして形成された、他種族混合の組織。『緋色の月』に対抗すべく結成された。詳しくは『第三章 第一話「灰銀の太陽」』にて


・『ザッヘル』→『針姐』の旦那。身体能力を強化する墨を身体に彫り込んでいる。被虐嗜好。喋ることが出来ないので、筆談でコミュニケーションを取る。戦争においてカシミールと共闘し、四腕の血族ハリッシュを撃破。詳しくは『第二章 第四話「煙宿~①ほろ酔い桟橋~」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑤霧海の繋ぎ手ー」』にて


・『鏡の森』→ハルキゲニアの北に位置する海峡を渡った先の森。初出は『104.「ハルキゲニア今昔物語」』


・『幻術のグレガー』→かつて騎士団のナンバー2だったとされる男。不死魔術の研究により、王都から追放された。『鏡の森』でバンシーを従え、不死魔術を維持していた。洗脳などの非戦闘向けの魔術に精通している。勇者一行であるゾラとの面識あり。ゾラの記憶する限り、グレガーはかつて騎士団の頂点に座していた。詳しくは『205.「目覚めと不死」』『868.「若年獣人の長き旅⑥ ~奪取~」』にて


・『毒食(どくじき)の魔女』→窪地の町イフェイオンの守護をする魔術師。『黒の血族』と人間のハーフ。未来を視る力を持つ。本名はカトレア。オブライエンの策謀により逝去。詳しくは『第八話「毒食の魔女」』『Side Winston.「ハナニラの白」』にて


・『ウィンストン』→『毒食(どくじき)の魔女』の邸で執事をしている魔術師。丁寧な口調の壮年男性。ジェニーとは犬猿の仲。昔から魔女の命を狙って暗殺を繰り返している。魔女を殺害したオブライエンに並々ならぬ復讐心を持っている。詳しくは『第八話「毒食の魔女」』『279.「物好きな主人」』にて


・『赤竜卿(せきりゅうきょう)ユラン』→黒の血族で、ラガニアの公爵。自称、ウルトラ・ドラゴン卿。情熱的で正義感の強い青年だがセンスは壊滅的。代々ドラゴンを使役するとされているが実際に目にしたものはおらず、虚言卿や嘘つき公爵と囁かれているが本人は意に介していない。実態は使役というより、ドラゴンと一体化している。肌はドラゴンのそれと同等の堅固さを持つ。身体状況により形状が変化する貴品(ギフト)貴人の礼装(ミランドラ)』を所持。グレキランスがラガニアの領地であると認めさせるために単身で戦争に参加した。王城にてヨハンに説得され、オブライエン討伐部隊に加わることに。ゾラやニコルとは友人関係にある。詳しくは『幕間「ウルトラ・ドラゴン卿」』『第四章 第三話「永遠の夜ー③赫灼の赤き竜ー」』にて


・『半鱗』→竜人たちの被差別階級。賤しい存在とされている。基本的には生まれた時点で鱗の色により『純鱗』か『半鱗』かに選別される。『純鱗』の権力者によって、一方的に『半鱗』と決めつけられて転落するケースもある。詳しくは『683.「純鱗と半鱗」』にて


・『夜会卿ヴラド』→黒の血族の公爵。王都の書物でも語られるほど名が知られている。魔王の分家の当主。キュラスの先にある平地『毒色原野』を越えた先に彼の直轄地アスターが存在する。極端な純血主義であり、自分に価値を提供出来ない混血や他種族は家畜同様に見なしているらしい。律儀で、礼儀を重んじる性格。不死の力を持ち、血液を資源とした魔術を扱う。肉体の大部分を蝙蝠の魔物に提供しており、攻撃を受ければ自動的に蝙蝠が反撃する。ヨハンと契約を結んでおり、アスターの人々は彼を殺すことが出来ない。詳しくは『幕間.「魔王の城~ダンスフロア~」』『90.「黒の血族」』『幕間.「魔王の城~尖塔~」』『565.「愛の狂妄」』『927.「死に嫌われている」』『第四章 第三話「永遠の夜ー⑥宵闇の狩人達ー」』にて


・『メフィスト』→ニコルと魔王に協力していた存在。ヨハンの本名。現在はクロエと契約し、魔王討伐に協力している。初出は『幕間.「魔王の城~尖塔~」』


・『レイブン』→大昔の人物。マグオートの出身者であり、グレキランスからラガニアへの亡命者。流刑に遭ったバーンズと出会い、ヘイズを築いた。ラガニア崩壊以前、オブライエンに手を貸していた人物。オブライエンの根城である地下空間の製造に携わった。地下空間の製造以後は、王都の西方にある運河で初代の渡し守をしていた。詳しくは『922.「技術の源」』にて


・『黒の血族』→魔物の祖と言われる一族。人間と比較して長命。もともとは王都の敵国であったラガニアの人々のごく一部が、オブライエンの生み出した『気化アルテゴ』によって変異した姿。詳しくは『90.「黒の血族」』『間章「亡国懺悔録」』にて


・『バーンズ』→かつてラガニアに属していた町であるグレキランスの領主。強欲で自尊心が高い。オブライエンの策謀によってグレキランスの所有権を失い、失脚した。詳しくは『間章「亡国懺悔録」』にて


・『ヘイズ』→ラガニアの辺境に存在する地下都市。夜会卿の町を追放されたバーンズが先頭に立って開拓した、流刑者たちの町。地下を貫く巨樹から恵みを得ている。夜間防衛のために『守護隊』と呼ばれる自警団がある。詳しくは『第四章 第一話「祈りの系譜」』にて

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