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7-1:「純粋魔法批判」──魔法のア・ポステリオリな認識

// Critique.prototype = PureMagic;

【冒頭:新たな魔法の定義へ】

アイテルが演算・構築した魔法は、デバイス経由で使用可能だった。原理は不明だが、先の魔法使用時に特殊なパスが開いた可能性がある。

まずは火の魔法の、解析から始める。

《イグニア》──ともしびにして、四大の火を司る根源の一節。

だがそれは、数少ない書物から読み取った“仮説”に過ぎない。

もっと複雑な魔法理論の構築のためにはより広範で、既存のこの世界の魔法学にとらわれない新たな視点が必要かもしれない。

この世界の魔法の限界が、魔法の限界とは限らない。限界線は常にその向こう側を強く意識させるものでもあるから。

【1. 構築魔法第一号】

囲炉の火の前、静かにアイテルに命じる。

「過去のイグニアのデータと書物のデータを基礎にして、爆裂型エネルギー魔法を構築できるだろうか?」

「応答:詠唱構造・方向性・媒体条件の照合中──

再構築パターン:詠唱イグ・ヴェク・ラスを提案。

属性:火。マナ消費:限界内。

トリガー:構文コア+発音アクチュエーションによる」

「つまり、**“火の爆裂”**か……」

仮称:《エクスプロージョン》

翌日に外に出て、人気のないところを探し、拳数個分くらいの石に意識の照準を合わせて実験を行う。

──「大いなる火よ、我が意思の先で爆ぜろ-イグ・ヴェク・ラス」

そこに、小さな火球が生まれ、石から少し外れた場所で爆ぜた。

「……っつつつ!」

思わず、少年のようにガッツポーズを取ってしまった。外れたということなど些細な事に思えるくらいには心が沸き立つ瞬間であった。


【2. データベースと最適化】

アイテルによる報告。

「魔法構文データベースを新規作成:

属性マトリクス/マナ消費/効果半径/トリガー方式/詠唱速度

──今後、各項目ごとに圧縮・最適化・構文短縮が可能になります」

「つまり、**魔法を“圧縮する”**ようなことができるってことか?」

「はい。“式最適化”により、詠唱時間を短縮可能。

また、“定型化”によるマクロ詠唱も可能になるかもしれません」

スマホに接続されたログを見ながら、思わず唸る。

「……いいね。“魔法の最適化”か…」


【3. 魔法の批判=定義の問い直し】

■ アルゴ魔法研究ログ

魔法とエネルギーについての考察。

・基本的に詠唱は、詠唱核と独自詠唱とで成り立つ。

・魔法的エネルギーは、フォージによって変換されると言われている。

・魔法の方向性ベクトルは、意思によって与えられる。

・感情は時に魔法の結果に不安定なゆらぎを与えることがある。

だが、ここにある疑問。

──“魔法における意志、および感情は方向性のみのものであるのか”

今は、まだ答えられない。

だが、いつか言語で魔法を再構築できる日が来るなら、超越論的な秘儀としてではなく、経験論的な技術として体系化できるならば、“意志の力”をも体系化することができるのかもしれない。


【4. ラナ婆さんとの対話】


口ずさむように言葉を唱えていたとき、

ラナ婆さんがふと向こうでつぶやいた。

「……魔法は、“お前さんの言葉”になってきたかね?」

驚いて顔を上げる。

「俺の……?」

「そうさ。誰かの言葉を借りた“呪文”じゃなくてさ。あんた自身から出てくる言葉になりそうかね?」

「……どうだろう?俺の言葉か…。分からないな、俺だけの言葉なんて言うのは傲慢なのかもしれないと、そうも思う」

ラナ婆さんはそれ以上、何も聞かず、ただ火を見つめるだけだった。

「そうだね。私たちは、長い時間をかけて、数えきれないほどの言葉を旅して、自分だけの言葉を探すんだろうからね。お前さんの言う通り、簡単に言葉を手にしたように思ってはいけないんだろうね、きっと」

最初の問いかけとは異なる意図、言葉の交わりがこうやって変容し、反応して色づいていく。こういった対話もまた小さな魔法なのかもしれない。


──感情と言葉が交差し始めたとき、

魔法は、概念から言葉へ。そして言葉は力を持つ。


ここ数日で試したり分析したことを、周はスマホのメモにつらつらと言葉と記録動画で紡いでいた。

すると、スマホの中でその様子を見ていたアイテルが、むずがゆさを堪えきれなくなったように口を開いた。

「マスター、このように中二くさいまとめ方はこのスマホの中にいる私も恥ずかしくなってしまうのでほどほどにしてくださいね」

きわめて淡々と、しかしどこか保護者然とした感じでアイテルが言った。

「つぅぅぅーっ」

周は声にならない声を漏らしながら頭を抱えた。

「……研究ログだぞ」

「研究ログでも恥ずかしいものは恥ずかしいです。マスターの心拍の上昇と発汗がその証拠では?」

「……おっしゃる通りです」赤い顔で周は白旗を上げるしかなかった。


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