ラボの中へ
フジリナです。
第三章の要です。次と次の次で最終回です。
僕は、ラボの中へ入った。そこは、無機質な培養ポットと、量子コンピューター、そして駆動音が聞こえてるところだった。
「こんなところに、ラボがあるなんて」と僕。
「…オッペンハイマー氏の気配はしませんね」とハロルド。
「あの死をもたらす兵器開発をした割には、だいぶこんなところにノコノコと隠れていたわね」
レディ・クラリスは、呆れていた。
「せんせいー!」
と子どもたちの声がした。
「おまえたち!今すぐ助けに行くぞ!」
子どもたちは、なんとあのヒューストンの宇宙食を呑気に食べていた。
「え?」僕は拍子抜けした。
「だってさ、あのひとが、お菓子パーティーしようって誘ってて」とニック。
ニックのそばにいたのは、なんと、お掃除ロボットだった!?
「君は誰だい??」
「あ、はじめまして。ロバート・オッペンハイマー改め、ロビンです。あの…長崎と広島の方から猛抗議を受けて、この姿なら、許されるかと」
「許されるわけ無いだろ!?倫理を大いに外れたお前が言うな!?」と僕。あまりの加害者意識の無さに、拍子抜けしてしまった。
「これ、リ■■・ボ■■から作られた鉄でして」
「ヤバいだろ!伏字にしろ!抗議が来るだろ!」と僕。
「あまりの反省のなさですね。彼は確か、日本を訪れてましたが、非常に反省しているみたいです。」とハロルド。
「…おまえは、やはりアメリカのアドルフ・アイヒマンだ!」と僕は、唯一の被爆国にルーツがある身として、思わず叫んでしまった。
「お気持はわかります」とロビン。
「だったら…だ…」僕は口ごもった。
「一緒に、日本へ来ないか?それで、原爆ドームも一緒に行こう。」
◇
僕は、日本へ来て、ロビンとともに広島へ向かった。広島の原爆資料館と、「原爆の子の像」、そして原爆ドームへと向かった。
原爆資料館では、焼け焦げた三輪車や、階段にある焼けた影の展示品があり、ケロイドでやけどした被爆者の写真があった…。
「―――うっ、うっ、うっ…」
僕は涙がこぼれてしまった。生きたかった人の無念を思うと、やはり、戦争は人を狂わせるのかと思った…。
「なんてことをしたんだ、私は…これが、正しい方法だと思った…の…に」
すると、老いた男性が僕のもとへ。
「お兄ちゃん。私は弟を被爆で亡くした。おまえは人のために泣けるんだ。私はもう命が短いんだ。だから、その分生きなさい」
「ロビン、正しい方法であっても、倫理に反するようなことはしてはダメだ。戦争はやはり、人間を狂わせるんだ。今までは正統な手段だったはずだが、大量破壊兵器によって、ああいう人道に対する犯罪が増えてしまったんだ。その責任を、負うんだ」と僕。僕は原爆ドームをロビンに見せた。
「これが、おまえの過ちの象徴だ。」
「―――私は、なんてことをしたんだ」
「いまさら遅いけど、やはりお互いに責任があるんだ。未来のために、一生向き合っていくしかない」
僕は、ロビンを撫でた。
「次は、長崎へ向かうぞ」
夕方になると、太田川に灯籠流しが行われたのか、灯籠が川に流れていた。
「ロビン、見なさい。これが日本ならではの、慰霊の仕方なんだ」
「―――前向きに、進んでいるんですね。本当に」
僕とロビンは、次の目的地である、長崎へ向かうことになった…。
またお会いしましょう。




