旅に出る
フジリナです。ついに今回の陰謀を巡る旅が集結しました。
次回、最終回です。
長崎で、僕はロビンを連れて、あの惨禍の爪痕を見学した。
長崎市内にある、平和祈念像。
「この作者は、神様をかたどっているつもりなんだろうね。」と僕は、力強く、上を向いた腕と右を向いた腕を指す、神様をかたどったかもしれない、男性の像を見つめていた。
「…そうかもしれませんね」とロビン。
なにせ、長崎は隠れキリシタンの弾圧に負けなかった、鎖国下でも国際交流とキリスト教の信仰を守ることを続けた、都市でもある。確かに、オランダとの関係で、出島という過ちはあるかもしれない。また、被害に遭った国でもあり、都市でもある。というか、どこの国や地域でも、加害、被害はお互い様かもしれないが、それは植民地政策時代以降だと、通用しないのかもしれない。
「―――このような、悲劇を繰り返さないために、この像はあるんだよ」と僕は言う。
ロビンはだまったままだった。
「ねえ、神様をかたどっている説について、どう思う?」
「あまり、僕にはなかった視点ですね…」
「日本だと、恵比寿さまや、大黒様の像だとかを崇拝する、文化があるんだよ。」
「そうですね…」
◇
僕は浦上天主堂へと来た。荘厳な建物の中に、原爆で焼かれてまだ残っているマリア像があると、知った。重い空気が流れる、天主堂の中で、僕は静かに歩いていた。
そこにあったのは、顔が焼けても残っているマリア像だ。このマリア像は、当時の被爆者の、ケロイド状になっていた顔そのものを表しているようで、非常に痛々しかった。
「…かわいそうに」と僕はそう言わざるを得なかった。「…そんなに深く傷ついたまま、マリア様が、こんなことに。生き残った被爆者の方の、まさに心の傷でもあるから」
僕は涙を流していた…。悲しみで両手を覆って泣き出してしまうほどの気持ちになったが、ロビンを抱っこしているため、できない。
「…これが、私が犯した罪…」とロビンは、電子ディスプレイの目に涙のような模様を出させた…。
「ロビン、君が犯した罪は、人道に対する犯罪なんだ。けど、その罰は死んでもなお続く。その覚悟はできている?」
「はい」
「…なら、君は僕の実家で、お掃除してもらえるかな」
「…それでいいんですか?」
「うん」
◇
その後、ロビンはサンフランシスコの実家で、お掃除ロボットとして働くことになった。もちろん、レディ・クラリスが開発した、ロビン用の充電器も込みだ。
「お前がいると助かるよ、ロビン」と老いた祖父。
「いやあ、いちいち床掃除しなくても済むわね」と母。母は、掃除を掃除機だとかでしていたものの、年齢的に疲れやすいのもあって、面倒くさくなっているのだ。
「これからも働いてもらおうか」と父。
「パパ、ママ。ロビンにちゃんと、おやすみも取らせてね」と僕は釘を差したのだった。
またお会いしましょう。




