図書室で調べる
フジリナです。
サンフランシスコ第一エレメンタリースクールにまつわる、陰謀が明らかになります。
サンフランシスコ第一エレメンタリースクールの図書室。日中は多くの子どもたちが、子どもたちのために書かれた本を読んで、優しい世界になっているのだが、赤く染まった夕暮れの時間と、子どもたちが下校すると、図書室は虚無の空間になる。
最近の子どもたちのための本は、「推し活」や「友情」、「博物館でのサバイバルゲーム」、そして「柔らかいミステリー」という、とても表面的すぎる内容だった。僕はそこには向かわずに、図書室の資料室、主に閉架書庫へと向かった。
分厚い革製の本があった。
「サンフランシスコ第一エレメンタリースクールの歴史」
と。
その記述がこちら。
「サンフランシスコ第一エレメンタリースクールは、19世紀末に西部開拓時代が始まってすぐに、小さな校舎として開校した。」
「第二次世界大戦の際に、アメリカが参戦するやいなや、この学校は全く別の用途で使われる。」
「山本五十六が指揮した、ミッドウェー海戦以降、アメリカは勝利を重ねるようになる。そこから、■兵器の開発のために、ロバート・オッペンハイマー博士の研究施設となる。地下室はその用途で使われることに。」
「終戦間際に、広島や長崎の災禍がもたらされると、その地下室は封印され、オッペンハイマー博士は小学校を戦時利用した、戦争犯罪という倫理に反する行為をしたとして、多くの日系人やその学校に通う児童の保護者から抗議を受け、泣く泣くそのラボを手放すことに。」
「しかし、博士の没後にもかかわらず、多くの児童から、地下室に関する噂話や、怪奇現象が発生したとして訴えられるが、日系人児童への配慮から、広島や長崎の原爆投下に関わる講習をさせることにした。」
「―――やはり、使われていたんだ。」と僕。「本当だよ…広島や長崎の人たちに対しての、配慮は必要だと思う―――」
僕はあまりに辛くなって、本を閉じた。
「過去の亡霊そのものだ。あまりにつらいものだ。…小学校が軍事利用されていたなんて」
そのまま、閉架書庫を去った。
夕暮れの小学校の図書室。極彩色の漫画調のイラストの児童書が、色褪せて見える。そう、沙羅双樹の花の色というのは、まさにそれだ。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す…
という、平家物語の冒頭部分そのものだ。
僕は、そのまま図書室を去り、西に沈む夕日と橙色の海を見ながら、帰路へついた…。
また、お会いしましょう。




