サンフランシスコの街を歩いて
フジリナです。
今回のお話は、ふとフラフラしたロバートが考えたことです。
夏のサンセットが美しい街、サンフランシスコ。
あの懐かしい、サンフランシスコのケーブルカーに立ち乗りしている観光客の姿が。一回の運賃が7ドルなんて、どう見ても観光客向けの値段だ。(7ドルは、掲載時現在、日本円で約1200円だ)
「ケーブルカーよりも、歩いたりすれば楽。配車アプリで手配してもらえば。」と僕。
いよいよ、僕の母校の小学校での教員補助としての仕事が始まろうとしていたが、早速不穏な雰囲気が漂う。確かに最近の状況は芳しくないが、それよりも、ある噂が。
今日の昼下がりに話していた、祖父の話が頭をよぎる。
「なあ、聞いたか。あのマイケル上院議員の孫が卒業生の、第一サンフランシスコエレメンタリースクールで、夜な夜な怪しげな科学者が出入りしているのと、魔術師が出入りしてるとか、してないとか。」
「お前、あの掲示板の見過ぎだよ。…本当にピザゲートみたいな荒唐無稽な話が好きだな、お前ってやつは」
「そうだよな。そんな話ありえないって」
僕はそんな噂が広まっているのか、SNSを見ることにしていた。
「サンフランシスコの小学校の地下施設にやばいのがいるって」
「本当か!?オレはそこの卒業生なんだが、聴いたこともないし、見たこともない」
「先生たちは頑なに口を閉ざしている。卒業生もね。」
「でも、当時の同級生と、バス運転手は怪しい人影を見たが、『ペンタゴンの関係者だから口を閉ざせ』と言ってきたんだよ。」
「怖すぎる。あれはUFOが隠匿されているエリア51みたいだ。」
エリア51。聞いたことがあるが、祖父から「そのことは一切話すな。」と厳しく言われて育ったため、どんな施設かは聞いていない。けれど、何かある怪しげな雰囲気がある。
「本当に、距離的にも近いしさ(※大陸感覚で言っているので、ものすごく遠いことを、お伝えします。)」
…何があるんだ。僕の小学校の地下に。
僕はそのまま、スマホを閉じて、あのおなじみのコーヒースタンドへと向かった。
コーヒースタンドで、ジュースを飲んでいると、
「里帰りはどうかな、ロバート」とあの美しい声が聞こえた。盟主さまだ。すっかり夏なのか、白の装いに着替えている。僕たちと同じように、半袖の軽装じゃない。
「まさか」
「ロバート、今までいなくてさみしかったよ。サンフランシスコで、巨大な陰謀が張り巡らされているにも知らずに。その巨大蜘蛛の正体を知れば、真理へと近づくのだよ。…アメリカ史上、世界史上、最大の汚点となる、科学者の存在がね」
「え―――」
「お前と同じ名を持つ、悪魔の兵器を作った男さ。ソドムとゴモラの神の炎を再現したのだが、それが災禍をもたらすとは」
知りたくもない。僕のルーツは、なにせあの「汚点」の傘を被って、最大の被害を被った国なのだから…。あの男は一体誰なんだよ。ソドムとゴモラの神の炎を再現しようだなんて。そんなことを考えたのは…。
「盟主さま、なんでそんな怖いことを言うの?」
「真実を突きつけようと思ってね」
「―――わかったよ。自分の手で掴み取るから。」
僕は一気飲みして、盟主さまが微笑まれる中、ゆっくりと帰っていった。
「だけど、あの噂と、おばあちゃん(レディ・クラリス)が頑なに、僕のお父さんの名前を、ヘンリーにしたがらなかったのは、無関係っぽいけれど。けれど…。ただ単におばあちゃんがお父さんが嫌いで、ヘンリーにしたがらなかったのは、なんでだろう。まさか…『あの計画』に、先生が関わっているんじゃ」と口走る僕。
記憶の断片を、思い起こしてみる。僕は初めて、自分自身の記憶に干渉する魔法をかけた。
「…盟主さまから、教わった魔法だけど。」
また、お会いしましょう。




