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第82話 「王様」とのデート

やっちまった・・

分解しないと取り出せない・・

「で、どこに行こうとしてたの?」

「素材を売りに鍛冶師ギルドと冒険者ギルド行こうと」

「それって今日じゃなきゃダメ?」

「いや」


 素材は倉庫(収納)の肥やしにさせておくなら金に換えてしまおうという程度。


「なら行きたい場所があるからちょっとの間、付き合ってくれる?」


 何処か余所余所しさを感じる笑顔。


「……いいよ」

「ありがと」


 返事をすると肩の力が抜けたように見えた。

 つい先日も使い道の無い金が増えたばかりだし金品は増える一方。……そうだ、エルにも何か一点物を贈ろう思うがどんなものが喜ばれるだろうか? と思ったところで俺を呼ぶ声が。


「師匠?」


 馬を止め、こちらを見ていた。


「どうした?」

「お金持ってるか?」

「ああ、それなりに」


 サリーに追いついたところで止まる。


「使い方は知ってるよね?」

「子供じゃあるまいし」

「師匠が使ってるところをアタイは見たことない。だから聞いただけ。で陛下(お嬢さん)」


 街道には多くの人が行き交っている。

 平民を装っているエルアノームに合わせ、敢えて砕けた口調でお嬢さんと呼び注目が集まらないように注意しているが、それでも周囲の者はすれ違いざまにチラチラと俺達に視線を向けている。

 これらの眼差しはエルアノームの正体に気付いたから、ではなく俺とサリーに対して向けられている。


 ただでさえ目立つ黒髪と東洋の容姿。数週間前に紙面に載ったが未だに覚えている者は多い。

 でサリーは騎士団員が平時に着る団員着で馬に乗って俺を先導している。

 なのでアレは噂の「英雄」なのだと注目が集まってしまう。

 すると俺の前、腕の中で座っている少女にも注目が集まる。

 身バレwp防ぐためにも出来れば止まらずに話をしたいのだが。


「なーにー?」

「一応確認しとくがお姉さんには言ってあるんだよね?」

「も・ち・ろ・ん」

「戻りは?」

「う──ん、明日の昼頃になるかな?」

「分かった。師匠がいるなら問題ないだろう」


 なんだか知らないが頷いておく。でいったい何の話?


「着替えは?」

「一応「アイテムボックス」を持ってきてるよ」

「分かった。では用があれば例の合図で」

「大丈夫。コレがあるから」


 と左手の指輪を見せる。


「そうだったな」

「貴方は貴方で忙しいでしょ? 私達の事は気にしないで予定を進めて」

「それは非常に助かる。では師匠」


 ?


「城に帰り『ただいま』を言うまでがデートだぞ。最後まで師匠が責任をもって守ること。良いな?」

「え? ああ」


 とサリーまで行ってしまった。


「では西門に向かってレッツゴー!」

「はいよ」


 パカパカと長閑に進む。

 途中、エルアノームの要望で花屋に寄り白色系の「花束」を購入。


「しまっておいて」


【収納】に入れておく。


「ちょっと早いけど何処かでお昼を食べない?」


 王都を囲む西門に近い場所で「繋ぎ場」があるレストランにて昼食タイム。

 そこそこの規模のレストランで俺の恰好を見て貴族と判断した店員が衝立で区切られた席を用意してくれた。

 そこで多めにチップを払い、紅蓮のケアも依頼する。


 そこで小一時間程、昼食休憩。

 紅蓮の鞍を二人用に交換してから西門へ向かう。


「北門と比べたら一回り小さい?」

「そうね」


 西門を見た第一印象。

 北門は他国との玄関口。交易だけでなく国内貴族の「大半」は王都から北側に存在している。

 なので大型の荷馬車の四台程度が悠々とすれ違い出来るほどの広さがあるがこちらは三台分程度。


「西と東にも貴族はいるわよ」


 だが「習慣」としてきた門から出入りしているらし。

 なので西と東の門の利用は「穀物を積んだ荷馬車」が大半を占めているそうだ。


「で南門は最も狭い造りにしてある」


 エステリーナと出会い、その後二人(と一馬)で王都に入る際に通ったのが南門。

 あちらは小型の荷馬車がすれ違い出来るギリギリの狭さだった。


「差がある理由は?」

「南方は今は人が住んでいないのよ」


 王都から南側は国王直轄の広大な穀倉地帯。それは俺も見てきたので知っている。

 そういえば王都に入る手前の穀倉地帯には人が住んでいるような気配は見つけられなかった。


「では誰が穀物の面倒を?」


 農作業に従事している者は何処で暮らしている?


「ここよ」


 住まいは王都にあり定期的に通っているとのこと。


「面倒じゃない?」

「仕方ないでしょ」


 主な理由は二つ。

 一つは南東にある【帰らずのパラダイス】がある森から極々稀にだが魔獣が迷い出てくることがあるらしく、かなりの昔に何度か村を壊滅させる程の被害が出たらしい。

 なので昔から定住はさせずに王都から騎士団または冒険者ギルドに依頼をし護衛と送迎付きで通わせているそうだ。


「でも今後はその心配もなくなるのよね?」


 前を向いたまま俺に問う。


「そのつもりだ。魔獣に関しては心配いらない」

「ん? 関しては?」

「んーまたの機会に」


 今……でなくてもいいか。だが噴火が近い件はエルアノームだけには早めに話しておいた方が良い気がする。エステリーナも同様だが、こういう面ではエルアノームの方が適している気がする。

 立場を利用して専門家や識者を探してもらうのも一つの手だ。


「それよりももう一つの理由は?」

「南大陸の事は知ってる?」

「ああ、時期が近いと」


「そう。だから念には念をね」


 エルフ(シーラ)を見れば分かるだろうが、彼らは数は多くないとはいえ、何かしらの秀でた能力を有しており、それを「極めれば」数が少なくても脅威となる。


 当時はエルフ族以外は団結もせず、先を見越した準備もしていなかったので、結果的に追い詰められ「あると言われている南大陸」に落ち延びるという賭けに出るしかなかった。


 あれから約百年の歳月が過ぎた。

 海を無事に渡れたのかどうかは分からない。

 向かった先である南大陸は住めるような場所だったのか? そして定住できたのか? 

 そもそも戻ってくる気があるのか?

 それは彼らがこちらに戻るまで誰にも分からない。


 そして寿命の短い人族は「当時の様子」を知る者はもういない。海を渡った者達のことなど気にする者はいないし戻ってくるとは思わないだろう。


 だが彼らの味方をしたアラナート国とパルミラル国はそうは思わない。彼らは間違いなく戻ってくると考えている。


 何故そう思えるのか?

 それは種族によって「時間の流れ」が違うことを身をもって知っているから。


 どんな種族でもいつかは死ぬが、死が訪れるまでの時間にはかなりの差がある。

 たかが5〜60年で亡くなる短命な人族とは根本的に時間異なるのだ。


 それらを踏まえアラナート国王の歴代の王(祖父か曾祖父)は常に最(・)悪(・)の(・)状(・)況(・)に(・)備(・)え(・)て(・)お(・)く(・)のが義務であり責務との考えが引き継がれた。


 そしてもうすぐ海の魔獣が暫く現れなくなる「凪」が起こるらしい。


「心配するな。いざとなったら俺が守る」

「ありがと。でもね」


 ここだけの話として、そ(・)の(・)時(・)の(・)状(・)況(・)を(・)知(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)の(・)者(・)から『その可能性は低いのではないか』と聞かされている。


「確かな筋の?」

「うん」


 自らこの国に残る選択をしそれ以降、陰で王家を支え続けてくれた一人だと。

 そういえば数人この国に残ったと聞いた記憶が。そのうちの一人なのかも。


「それよりも問題なのは」


 とエルアノームが言いかけたところで西門に到着。

 開かれた門の両脇には槍を持った門兵が通ろうとする人や馬車を止め検問を行っていた。

 そこに騎乗したまま近付くと門兵の一人に声を掛けられる。


「ふむ、言って良し」


 目が合ったところでいきなり言われた。

 どうやら検問を受けた後にはこの言葉を言われるらしい。同じ言葉が左右から聞こえてくる。


「んじゃ遠慮なく」

「(お気をつけて)」


 すれ違いざまに小声で言われる。

 その言葉から事前に『黒髪の男が来たら通せ』と話が通っていたのだろう。

 ならば遠慮なくと自然体で抜けると南門付近と同じく一面に麦畑? が広がっておりその中を整備された石畳の一本道が西へと伸びていた。

 そのかなり先、二十kmくらい先は山脈の麓。そして巨大な壁のように左右に伸びる山脈が見えた。


「でここからは?」

「道なりに進むと三十分位で小川が見えてくる。そこに掛かった橋の手前を左に曲がって」


 紅蓮の首を撫でながら言う。


「了解」


 一応周囲の索敵を行う。


 街道には疎ら程度の人の往来と、農作業を行う人々。こちら西側は南側とは異なり、周囲に人の気配がする。

 更に範囲を広げ先を調べると、数十人単位の村落と思しき気配と、数十キロ先の向かっている正面の西の山の麓には数千人規模の大きな町があった。

 またかなり遠いが北東方面には数千から数万人単位の町が複数点在している。


 それ以外も調べたが、小動物程度と人に害をなす獣も居らずで異常な点は見付けられず。

 なので長閑に進んでゆく。


「で、それよりも問題とは?」


 先程中断した話の続き。


「問題……実は先日ね、帝国が我が国に極秘に接触してきたのよ」

「ほう。で?」

「取引を持ち掛けられたの。だけど内容が内容だったから一(・)旦(・)追い返した」

「追い返した?」

「うん、流石にキレた。『吞めるわけねえだろ! 出直してこい!』ってね」

「使者にそう言ったの?」

「一字一句違えずそのままね」

「…………」

「でもそれであちらが何を目的として南下政策を続けてきたのかが判明した」

「その心は?」


「第一目標であり最優先目標なのは【異世界の勇者】の身柄確保」

「みかん?」

「そう。彼女? を帝国に連れて行きたいんだって」

「理由は?」

「もう一人の勇者を目(・)覚(・)め(・)さ(・)せ(・)る(・)には「みかん」の力が必要なんだとさ」

「もう一人? どこに?」

「そう思うよね。それだけ異世界の勇者は偉大であり強大な力の持ち主。生きているなら誰だって居場所くらいは把握しておきたいと思うよね。でもそれは最後まで言わなかった」

「パイモンに調べさせようか?」

「今は忙しいって理(・)由(・)で(・)断られた」


 あ、ごめんそれおれのせい。


「まあ【帰らずのパラダイス】を攻略したいならさせていもいいんだけど、帝国に勇者二人を抱えられると流石にバランスが崩れちゃうでしょ」

「帝国の軍事力はどの程度?」

「低く見積もってもウチの五十倍くらい?」


 ヤバいじゃん。


「ここの戦力は? 例えばリナと比べて」

「お姉様と比べてって……。同数ならウチの騎士団の方が遥かに強い」

「物量の差か」

「そう。それとも時期が良くないのよね」

「時期とは?」

「凪と時期が重なったら海から回り込まれる」

「防ぎきれないか」

「そう。だから本心を言えば使えない勇者はお持ち帰りしてもらっても構わない、と思っているんだけど」

「けど?」

「他にも要求しているモノがあったのよ」

「それは?」

「そちらは明確に拒否をした。だけど引き下がろうとしなかったので『続けるなら「穀物の輸出を完全に止めるが」と脅したら渋々ながらも引いた」


 輸出を止める決意をさせるほどの要求?


「帝国と事を構えるとした場合、残り時間は?」

「約二年」

「それだけ時間があるなら何とかなる」

「どうするの?」

「俺達で「みかん」を救出しちまう」

「そうか、それなら……うん」


 口実が一つ減る。

 救出後は本人と帝国で直接話せばいい。勇者は規格外らしいので一人でも大丈夫だろう。なんなら俺が仲介してもいい。但し国外でだが。


 よし侯爵領と俺の領地が形になったらダンジョン攻略を優先するか。


「この話はお姉様には内緒ね」

「ああ。しかし「勇者みかん」は何でダンジョンに潜ったんだろう?」

「さあ?」

「二十階にいるって言ってたが」


 あれ以降、何の音沙汰もなし。


「……え? お姉様でも二階までなのに? 一人で? どんだけ規格外なのよ」


 みかんは俺一人では来るなと言っていたが、それは物理攻撃が効かない魔獣がいるからだろう。

 なら魔法のエキスパートであるシーラを同行させれば良いかとも思うが、みかんのジョブを考えれば僧侶系の術、つまり「神力」が使える者がいないと辿り着けない気がする。


「……なら通過を許可すれば勝手に自滅?」


 ブツブツと呟き声が。

 性格というより職業病だなこれは。





 二時間強進んだところで大型の馬車が1台通れる程度の小さな橋が見えた。


「そう、そこまでが直轄領。で渡らずに左へ」


「左ね……って畦道?」


 ここまで農作業用の畦道はありそこそこ整備されていた。だがここは荷馬車も通れないような畦道。ただ誰かが行き来に使っているのは間違いない。


「川沿いに進んで。目的地はもう直ぐ」


 直ぐ? 先を見る、すると1km程先にこじんまりとした森があった。


 何故あそこだけ?


 周りは畑。所々に木はあるがそれでも1,2本程度。


 ……なんだが雰囲気が【社叢】ぽいんだが。


 日本での似た風景を思い出す。

 田園が広がる中にポツンと残された極小の森。それは神社や土地の守り神を祭っている【社叢】がある森に似ている。

 ただしそういう場所はそれなりの雰囲気があるのだが、シルヴィアのような神力も感じない、人の気配もしないとどこかチグハグに感じる。

 そこに道は続いていた。


 そこに五分も掛からず辿り着く。


「ここからは歩くわよ」

「はいよ」


 先ず俺が下りて、エルアノームの下馬を手伝う。


「直ぐに戻るからアナタは少しの間、ここで休んでて」


 フン!


 一階嘶くと脇の小川に行き水を飲みだした。


「付いてきて」

「…………」


 森へ続く道にエルアノームは迷うことなく入り込む。

 入ると分かる手入れが行き届いた木々達。

 パルミラル王国の森は「自然との調和」に目を惹かれたが、ここは明らかにの手によって整備されているように感じる。


「ここに木は魔法で成長させたんだ」

「へ──」


 確かに間引いた形跡もない。

 木材として育てるため……ではないだろう。


 数分歩くと家一軒分程度の開けた空間に出た。直上からの日差しが地面の花畑を照らしている。

 その円形の空間の丁度中心には大きな岩が一つだけ。

 そこに向けエルアノームが歩み寄る。


「花……出してくれる?」


 岩の手前で止まると俺を見ずに言う。


 花? 

【収納】から町で購入した花束を取り出す。


「どうぞ」

「ありがとう」


 その花束を受け取とると膝をついて岩の前に花束を置く。

 そして両手を胸の前で交差させ目を瞑る。


「(……遅くなりました。お父様、お母様)」


 呟きが聞こえてくる。


 ……墓? にしては質素な気がする。


<貴方様、今はエルアノーム様と同じくのご両親へのご冥福の御祈りを>

<……冥福か、分かった>


 両手の手のひらを胸の前で合わせて目を瞑る。


 1分ほどだろうか、エルアノームが立ち上がる気配を感じたので目を開けると俺と視線が合った。


「それはお祈り?」

「ああ。前にいた世界での風習でね。故人へ祈りを捧げる作法のようなものだ」

「そうなんだ。ならこの場所のことはお姉様から?」

「いや、何も聞いていない」


 エルアノームの呟きから想像をしたと説明。


「そう……祈ってくれてありがとう」

「いや、俺も式の前にご両親に挨拶が出来てよかった」

「あはは」


 やっと肩の力が抜けたようで笑顔に戻る。


「なら今後の為に……知っておいてくれる?」


 頷く。すると穏やかな雰囲気で俺から岩へと向き直ると、この場所についての説明を始めた。


「この岩の下はね、お父様とお母様が亡くなった場所なの」


「何故ここに? ここは墓なのか?」


 この世界にも「墓」は存在する。とはいっても日本のような土に埋めて墓標を置くのではなく、壺や箱に【魔魂石】を入れて仏壇のような棚で保管するだけ。

 王や貴族クラスなら立派な墓を作りそうだが。


「ううん。正式な王墓はあるし二人の【魔魂石】もそちらに置いてある。ここはね、お父様をお母様が私とお姉様に生きた証を残してくれた最後の場所なの」


 つまり、


「ここで亡くなった?」


「そう。行事からの帰りの途中に襲われたんだ」


 この先の山脈の麓に「王家の墓」があるらしく、王の義務として毎年訪れる決まりがあるらしい。その復路で不幸に見舞われたらしい。


「誰に襲われたんだ?」

「魔獣」

「ここに?」

「そう」


 現在で(・)も(・)そうだが王都から西側は魔獣がいない安全地帯、なのだが今とは違い治安面での不安があるので1(騎士)団だけを伴って移動していた。でその帰りに突然1体の魔獣が現れた。


「でも騎士団がいたなら」


 王と王妃を逃すくらいは出来ただろうに。


「今の騎士団ならね。けどね」


 先々代の時代では騎士団の数は二つしかなく(忠誠心は高いが)実力はそこまで高くはなかったらしい。

 さらに決定的に異なるのは連絡手段。今でこそ魔道具での通信で瞬時に連絡が取れるが当時は早馬を頼るしかなかった。なので残留していた騎士団の到着に「かなりの時間」を要したと。


 その応援が到着するまでの間、王らを守りながら王都に戻ろうとした。だが今の騎士団とは異なり魔法が使える者も少なく、使えても高位の術を行使できる者も少なかった。

 だが忠誠心だけはどの国の騎士団よりも高かったので最後の一人になるまで王と妃の盾として逃げずに戦った。

 それは遭遇したであろう場所から騎士団員の亡骸が今いるこの場所まで一人、また一人と道標のように続いていたことからも一目瞭然であった。


「ここが最後の場所。ここでお父様とお母様は……」


 残留騎士団の到着は一歩だけ間に合わなかった。だがそのまま半壊状態になりながらもなんとか討伐に成功したそうだ。


「その後、一時的に国内は大混乱状態に陥った。けどお姉様が立て直してくれた」


 否応なしに王位を継いだエステリーナが国だけでなく騎士団までもを再建した。より強く、より効率的に。


「その後は毎年、命日にお姉様と来ていたんだけど今年はね、来れていなかったんだ」


 エステリーナが王の時に両親が息を引き取ったこの場所を現在の形にした。

 そして命日の日に二人で訪れていた。

 その命日は半年前。半年経ってやっと来れたと。


「そういう理由だったのか」


 納得いったが疑問も残る。


 魔獣は何処から来たのか?

 誰にも気付かれずに魔獣がここまでどうやって来たのか?

 仮に出現場所が一番近い【帰らずのパラダイス】だったとしても王都を素通りし、たまたま通りかかった王らと遭遇するのは確率的にあり得るのか?



 ……多分だがこれは暗殺。仕組んだのは雷明(ヤツ)しかいない。



 転移魔法が使えたし、王の側近に予定を把握している者もいた。


 ……ただ消滅した今では調べようも無いか。


 同時にもどかしく感じる。

 ただ数時間前のシルヴィアとのやり取りを思い出し持ち直す。


 ……【因果応報】とはよく言ったもんだ。もっと前向きに、そして迷惑を掛けた者達のために生きよう。


「来年からは三人で来ような」


「……うん」


 エルアノームも幸せにしないとな。


*忙しいって理由で・・エルアノームは忙しいのを「口実にしている」のに、何となくだが気付いている。


*かなりの時間・・王都まで全力疾走させたら馬が持たない。なので速度を抑えて走らせる。その後、連絡を受けて準備に時間が掛かり、さらに向かうにしても同じように速度を抑えて向かうので時間が掛かる。身体強化魔法(スキル)を使えば速く走れるが、あのカイエンでさえ長くは持たない。

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