第68話 勝利の報酬
内緒話。
前話ですがあの形に落ち着くまで、実は丸々二話分(5千字くらい)作り直しています。
それと今話で第二章は終了しますが(何度も言いますが)山水君目線で話を進めている都合上、彼でも「?」と感じる部分がいくつか残されたままです。それに関して「本文」できちんと説明する機会は(多分)無いと思われるので、今回だけは「後書き」の一番最後に(何があったのかのくらいは)注釈を入れておきます。
*天界=神界(同じ意味です・いずれはどちらかに統一します)
……山水様
シルヴィアの声で目を開く。
すると何度見ても心が安らぐ青空と見慣れた花畑が見えてきた。
「ん?」
頭の下に枕? でも置かれているのか、いつもと視点が違うことに気付く。
「やっと起きられましたか」
……後頭部に弾力のある温もり? これってもしかして膝枕?
まさかと思い視線を「上」に向ける。すると同じタイミングで覗き込んだシルヴィアと目が合う。直後、長くて見事な銀髪が垂れ下がり俺達を周囲から隔絶した。
「……長きに渡り……お疲れさまでした」
頬を触れる確かな温もりと慈しむような手の動きと夢にまで見た笑顔。
「シルヴィア」
「はい」
「感情が戻ったんだな?」
「……はい」
若干恥じらいの表情を見せながら頷く。
「そうか……そうか」
頬を撫でる手に自分の手を添え目を閉じる。すると自然と涙が溢れてきた。
「やっと……終わった。……長かった、いや違う、随分と待たせてしまったな」
「……はい。いっぱい……待ちました」
今までの苦労の数々の思いをその言葉に乗せながら呟くと、シルヴィアも同じ気持ちだったようで、俺の顔に涙を零す。
……これがシルヴィアの本来の姿か。頑張った甲斐があったな。
「だがこれでやっと言える。お前は俺の女だと」
「……はい」
「これからはずっと一緒だ。二人で……」
二人で過ごすにはまだ先だが、と言いかけたところで寸前の出来事を思い出す。
急ぎ体を起こし正座にてシルヴィアと向き合う。
「シルヴィア!」
「は、はい?」
「【願い】を教えてくれないか?」
「え?」
「実は」
パイモンから聞いた「昔話」を言って聞かせる。
「…………詮無きこと」
話の途中で笑顔が消え悲し気は表情に。話を終えると一言だけ呟いてから俯いてしまう。
詮無き事とは叶えられない望み。パイモンが語っていたのは事実だったらしい。
では策略家っぽいパイモンが無理としりながら無駄なことをするのか?
「シルヴィア」
「……はい」
「今だから言うが俺は何度か挫けそうになったことがあったんだ」
「…………」
雷明はシルヴィアの頭から爪の先までの「全ての」を盗んでいった。なので初めた頃のシルヴィアは幻影のような姿で存在していた。
それを一つずつ取り返し元に戻すには膨大な時間と回数を掛けなければならない。
当初は気合と勢いで乗り切れると思ったが、様々な制約のお陰で何度も「死に目」に会うと弱気になったことも。
「けどな、ここに戻りお前を見ると不思議とやる気が湧いてくる。「まだ俺は負けるわけにはいかない、この女の笑顔を見るまでは諦めてなるものか」とな」
どんな状況でも諦めなければ希望は希望であり続けるし、足掻き続ければいつかは夢が叶う。それをシルヴィアが気付かせてくれたんだ。
何を望んだのかも知らないし、その望みを叶えるのには今まで以上に時間がかかるかもしれない。
だが俺はこれまでと同じく諦めない。その願いを叶えるまでそばで寄り添い続ける。
「だから諦めるな。望みを持ち続けてくれ」
「山水、いえ貴方様の信念はご立派だと思いますし、とても有り難く感じております。ですがこればかりは私一人では」
一人? 一人ではとは?
「それに貴方様はご納得されないでしょう」
「俺が納得しない? 何に対して?」
「…………」
口を閉ざしてしまった。
……主神では叶えられない望み? 俺なら兎も角、創造主である主神に出来ないことなんてあるのか?
いや一つだけあった。
主神は下界には干渉しない。つまり下界に関すること。
だから天使に相談した。
パイモンならその望みが叶えられるから頼んだ。
下界。
天使。
……もしかして。
「行きたい、いや下界で過ごしたいのか?」
「……はい」
俺としたことが、自分のことばかり気にしていた。なんて情けない。
「では遠慮せず一緒に」
「出来ません」
「……何故?」
「(下界に)降りるには身体が要ります」
「それって依り代のこと?」
「はい」
天使らと条件は同じなのか。
「ならどこかで」
「それも無理なのです」
「どうして? パイモンらは」
普通に存在しているが?
「彼らは己が力が制限されるのを承知の上で、現地で調達した【依り代】を使って顕現しています」
「ならシルヴィアも」
「私にはそれが出来ません」
「出来ないの?」
「元々の格が違うのと、私は力をセーブする術を持ち合わせておりません。仮に同じ条件で顕現しようとした場合、依り代が私の神力に耐え切れず、瞬時に崩壊を起こすでしょう」
「マジか」
神により創造された者達。当然【神力】が備わっているだろう。
そして天使の最上位であるルシファーとシルヴィアは同格だとパイモンは言っていた。
俺は「好いた腫れた」のせいで分からないが、一般には仰天するレベルの神力の持ち主なのだろう。
「はい。神力に耐えられる肉体の持ち主は滅多におりません」
「あの世界にも」
「はい。一人も」
「……因みに聞くが俺、なら?」
「今の貴方様なら問題なく」
まあ俺は論外だが、シルヴィアが言うのだから本当に居ないのだろう。仮に居たとしても「シルヴィアの為に死んでくれ」とは口が裂けても言えない。
「ではここで新たに肉体を構築し下界に持ち込むってのは? 俺みたいに」
「生命の創造は主神にのみ許された力であり、私に生み出す力はありません。そして貴方様は元々は下界に存在してた「人」であり、ここでは細胞の修復や改変を行っただけで生命の源には手を加えておりません」
「だから平然としてられる?」
「はい。それに」
「それに?」
「顕現すれば「私」になるとはいえ、知らぬ者の身体を使うのは……色々と……抵抗がありますし貴方様も」
「確かに」
確かに嫌だろう。天使らが特殊なだけで、そう簡単に割り切れるものでもない。
俺も……何となく嫌だな。
「本当に手が無いのか?」
ここまでの話はパイモンなら初めから分かりきっていたこと。それでも計画を推し進めてきたところを見るに他に手段があるのだろう。
「…………そういえばあの時」
「?」
「何を知ったんだ?」
「何……を?」
「いやあの夜、風呂でシーラに襲われた時に「止めなさいと」言っていたが」
「…………」
呼吸まで止まる勢いで固まる。
「……シルヴィア? どうしたんだ?」
「…………実は」
「どうした、改まって」
「一つだけ」
「いや、そこはワシから説明しよう」
全周囲から届く声。
そして今の俺でも身構える程の気配。
「!」
「これはお久しぶりでございます」
「よいよい、堅苦しい挨拶は抜きにしよう」
突然の主神の登場に俺は言葉が出ず。シルヴィアは慣れたもので恭しく一礼をした。
これで主神と会うのは二度目。前回会った時は2m程の身長で筋骨隆々のマッチョな青年だったが、今回は大きな杖を支えにしている弱々しい仙人風の井出達で登場。多分日本風に合わせてくれたのだろう。
「説明の前に、巫女の身体を取り戻してくれたことに感謝を」
「いえ、これは俺とシルヴィアの為にしたこと。礼には及びません」
その設定で行くんだ。そう思い返事を合わせる。
「ほっほっほ、空気の読める奴じゃの。ならばこちらも空気を読んで手短に済ませよう。巫女の願いじゃが、今なら叶えられるぞい」
「ほ、本当か?」
「神は嘘はつかんて」
「ならお願い」「ただしのう、叶うかどうかはお主次第なんじゃ」
「俺?」
「そう。取り敢えずこれを見よ」
と腰に添えていた方の手を前にかざす。すると草花が咲き乱れる地面に消えた時と同じ状態の裸のエステリーナが現れる。
それを見たシルヴィアは悲痛そうな表情で目を背けた。
「り、リナ!」
近寄ると、
「待つのじゃ」
注意された途端、体が動かなくなる。
「この娘ならどうじゃ、知らぬ仲でもあるまい」
「ど、どうだって……まさか依り代にと?」
「そうじゃ。既にこの娘から承諾は得ておる」
「え?」
「後は其方が首を縦に振れば全ては丸く収まる」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
頭が混乱してきた。
「リナは……死んだのか?」
「其方も見ておったじゃろ? 心の臓を一突きされる瞬間を。あれで死なぬ者はおらんて」
「では……もう」
二度と会えないのか?
「そう悔やむなて。この娘の死は避けられぬ定めじゃった」
「定めだ? そんな不条理がまかり」「通る、というかどの世界でもそうじゃが、世界の命運にかかわる者の人生は予め決められておるんじゃよ」
「人生が決まっている?」
「そうじゃ。そういう者が居らんと世界は簡単に歪んでしまうのでな」
「ではリナも?」
「ふむ」
「だからって……酷過ぎるだろ」
苦労の末にやっと掴んだ幸せ。その幸福を味わう前に死んだらあまりにも惨めすぎる。
「その気持ちはよう分かる。この神界とて例外ではないからな。でな、今回は大サービスで救済案を用意させた」
「救済?」
「其方が「うん」と首を縦に振れば直ぐにでも生き返れる案じゃよ」
「ちょっと待ってくれ!」
エステリーナの身体ではシルヴィアを受け入れられないのでは?
「この娘がここに来た時点で条件は整った。なので心配せんでよい」
「シルヴィアを顕現させるんだよな?」
「顕現というより【融合】じゃな」
今後は一つの身体に二つの魂が同居している状態となる。片方が「表」に出ている時はもう片方は「中で」大人しくする。つまり一つの身体を二人で使い分けると端的に教えてくれた。
「そのことをリナは?」
「条件付きで快諾してくれたぞ」
条件?
「其方さえ認めればそこの娘と我が巫女の望みは叶う。それは其方とあの世界にとっても損はない」
エステリーナとシルヴィアの願い?
「し、シルヴィア」
そもそもシルヴィアは納得してるの?
先程の表情からはそうは見えなかったが。
なので意思を確かめるつもりでシルヴィアを見たが、
「ズルはいかん。今は其方に聞いておる」
怒られた。
全くシーラのせいて内緒話すら出来ない!
いや主神の前では無意味か?
ダメだ、考えが纏まらない!
だが二人の願いが叶うのなら……
「仮にも神が言ってるんだ、信じよう」
選択肢はない、いや拒否したら全てを失う気がする。
「ただし」
「?」
「リナを生き返らせてくれ」
「……ほう。聞いていた印象とはだいぶ違うようじゃが。まあ合格じゃ」
合格?
「其方には幾つか選択肢があった。その中でもワシと同じ答えを選んだ」
試したのか?
「一つだけ教えてくれ」
「ほいほい、なんじゃ?」
「身体だけでなく、二人の魂に害はないのか?」
「その心配はもっとも。だからこそここに来て貰った」
「その心は?」
「質問は一つだけなんじゃろ? 教えてあーげなーい」
「むむむ!」
「で答えは?」
「分かった。二人の意思を尊重し受け入れる」
「よ、よろしいので?」
シルヴィアに念を押される。
「俺の女の望みが叶うなら異存はない」
「よくぞ言った! その言葉、忘れるでないぞ」
「お? おう」
「文句を言ったら神罰を下すからの。それも忘れずに」
「……げ」
「では言質は取ったし張り切るかの!」
と杖をエステリーナに向け翳すと、残っていた鍵がパリンと音を立てて砕け散る。するとエステリーナの胸が動き出し呼吸をし始めた。それから数秒後、エステリーナとシルヴィアの身体が光に包まれてゆく。
「それとこれを」
杖を翳したまま空いている手を俺に向ける。すると俺の前に黄金色が四つと銀色が四つ、合計八個の指輪が現れる。
「それはワシからの贐じゃよ。使い方はシルヴィアに聞くのじゃ」
いかにも「the 神器」と思しき神々しい指輪を受け取るが、今は使わずに【収納】にしまう。
「其方には感謝している」
「?」
「シルヴィアを頼むぞ」
「おう」
「勿論他の妻らを蔑ろにしてはならぬ」
言われるまでもない。
「シルヴィアや」
「はい」
「これで神の眷族としての生は終わる。今後は人として生きるのじゃ」
「はい!」
「其方に幾千幾万の幸があらんことを」
「私めの願いを聞き入れて貰ったこと、一生忘れません。主神もお元気で」
「お? 神であるワシにそれを言うのか? フォフォフォ」
孫と爺さんのやり取りにしか見えんな。
しかし神様にお元気でって。心配するだけ無駄だろうに。
もしかしてシルヴィアって天然系?
まあ俺の妻の中では一番のお嬢様、いや箱入り娘だからしょうがないか。
そのシルヴィアの身体が徐々に薄れていく。
「おお、一つ言い忘れるところじゃった。アレには先を見据えて休暇を与えておいた」
「アレ?」
だれ? 休暇? どこかで誰かが言ってた気が……ってパイモンか?
「好きに使って構わんが賢過ぎるせいか、やり過ぎな面が目立つ。そこは上手に調整してくれ」
「承知した」
「よしよし。丁度融合も終わったようじゃ」
既にシルヴィアの姿はどこにも無い。
その代わりにエステリーナから二人の気を感じる。
「これで約束を果たせたかの」
「約束?」
「ああ。子をいくらでも作れるぞ」
「…………」
「男女の産み分けもできるようにサービスしておいたぞ」
気にするなと言ったのに。
「ま、頑張れ」
「……何を?」
「(シルヴィアを含めて七人か)」
何か不吉な呟きが聞こえる。
「…………」
「…………」
「…………ま、頑張れ」
「大きなお世話だ!」
「ほっほっ、ではお別れじゃ」
エステリーナの身体が浮き上がり俺に迫ってきたのでお姫様抱っこをする。
「もう会うこともなかろう。念を押すがくれぐれも巫女を頼むぞ」
薄れていく景色の中で老人が俺に対して頭を下げていた。
そして……
「さ、さ、山水様!」
暗闇からシーラの声が近付いてくる。
「どうやら上手くいったようね」
シーラに遅れてパイモンも現れた。
「ああ、二人には世話になったな」
「「…………」」
素直に礼を言うと揃って微妙な顔をされた。
「取り敢えずは服を着せてあげたら?」
「そうだな」
エステリーナの予備の服を【収納】から取り出し直接着せる。
「「「山水様!」」」
着せ終えたタイミングで騎士団員四人と護衛のエルフ達が到着。
「お前達、よくここまで来れたな?」
レベルが上がり強くなったとはいえ「上の園」から降りてくる魔獣にはまだ及ばない。
「それが」
戦っていたリビングデッドである敵兵が突然背を向け、遠巻きに眺めていた魔獣を襲い始めたらしい。
「であっという間に蹴散らしたあとは」
「消えた」
「相手もいなくなったので、殿下のとこへ来ました〜」
「成程」
とパイモンを見るとニヤリと笑みを見せるだけで何も言わない。
「強い魔獣とは出会わなかったのか?」
「そこは私が説明いたします」
シーラが一歩前に出る。
「今は結界が復活しているので魔獣の移動は制限されています」
「では新しい精霊が?」
「はい。まだ幼く未熟なのでシルヴィア様の神力をお借りしていますが」
「成程。それより傷は?」
「え? わ、私の心配を?」
「お前も俺の女なんだ、当たり前だろ」
「だだだだ大丈夫です! 今は回復魔法が使えるので!」
「そう、なのか?」
「はい!」
「良かったな、使えるようになって」
「ひゃ、ひゃい!」
ひゃい?
不信感からシーラにも辛く当たってしまった。その反省から今後は優しく接してあげないと、と思い笑顔で返したと真っ赤になりながら奇声を発する。
「ならコレも治してあげて」
とパイモンが片手を翳す。
すると空間に闇が広がり、そこから瀕死の状態のヤームと、同じ状態でさらに片腕を無くしたルーシアが落下してくる。
「お、お父様! ルーシア!」
「コレもあったほうが良いかな?」
続けて無くなっていた腕も落ちてくる。
「勿論!」
パイモンに対して憤慨しながらも目を閉じて詠唱を開始。
「そ、そうだ! ついでにコレも」
と【収納】から取り出しルーシアの隣に寝かせる。
「……神の願いを叶えようと身を粉にした者に癒しを! セイクリッド ヒール!」
二人の傷とザームの血色がみるみると、いや二人だけでなくここにいる全ての者の傷が癒えてゆく。
「ん? ここは……シーラ?」
「お、お父様!」
感動の再会?
「全く役に立たないんだから!」
「ご、ごめんよ」
叱られていた。
二人の隣で横たわるルーシアは……幸せそうな寝顔。
さらに隣にいるザームには……護衛のエルフらですら気付かない。
……なんだかパルミラル家の力関係がよく分かる構図だな。
「それでサリーは?」
「アソコで寝てるわ」
俺の呟きにパイモンが答える。
見ればパイモンが座っていた大岩の下で寄りかかりながら寝かされていた。
「(記憶は改竄しておいた。奥様にも「話を合わせるように」と伝えておいて)」
「(分かった)」
小声での内緒話。
「あとコレも渡しとく。【収納】を開いて」
「開く?」
「袋を開けるイメージをして」
「こうか?」
と思った途端に何かが放り込まれた。
「……コレは」
「あった方がいいでしょ?」
「確かに」
確かにあった方が見栄えは良い。見栄えが良ければ印象も変わる。
「それに関しては謝らないわよ」
「分かってる」
あの時点で俺は事情を知らなかった。
知らなかったからこそ勝負に勝てた。
「ただな」
関係者にどう説明すればよいのか。
「英雄に祀りあげたら?」
「英雄?」
「それなら浮かばれるでしょ?」
「…………」
「ダメ?」
「いや、ダメとかじゃなくて」
「彼、強かったわよ。あのセーレを追い詰めたんだから」
「そうなのか?」
「うん。セーレの上半身「彼の」だったよね?」
「ああ」
「アイツはイカれた趣味の持ち主でね。自分より優れたモノを取り込み己の力にするのよ」
「…………」
「あ! 魂は主が解放してくれた。そこは安心して」
「分かった」
これを伝えるのは他の誰でも無い、俺の役目。
「ん? あるじ?」
もしかして俺のこと?
「新しいご主人は優しいわよね。アイツとは雲泥の差よ」
「そうか?」
「惚れてもいい?」
「やめてくれ」
「はははは」
そういえば……
すっかり忘れてた。
見回すがどこにも見当たらない。
「セシリアは?」
シーラに尋ねる。すると、
「あ、役に立たなかったので起こさずに送り返しました!」
と怒り気味に返された。
え──と、セシリアさんなんだか可哀想。あとで俺から詫びておこう。
「さあ用は済んだ。皆、帰るぞ」
胸元で安らかに寝ている【二人】を見てから皆に声を掛ける。
「「「はい」」」
……エルも気が気でないだろうから早く教えてあげないとな。
「では私が」
シーラの転移魔法を使い全員揃ってパルミラル城へ移動した。
これにて第二章は終了です。
次回以降は「伏線回収」をしつつスローライフに入ります(ここまでは真面目な路線できましたが以降はかなり緩くなると思います)
順序としては
「戦後処理(敵国と周辺国、それと友好国も含めて)→目途がついたら領地の整備と開発(食材入手と育成)→結婚式を経て正式に独立まで」・・新領地編(仮)
「三組織(山水ファミリー&冒険者ギルド&その他)によるダンジョン共同探索→勇者救出→科学技術(魔法技術も)の大革新(進化)」・・勇者編(仮)
そして満を持して大陸北方諸国(主に帝国)との衝突の最中に南の海から使者が・・
になるかと。
また三章からは作品タイトル通り、今後は三人(四人)の妻や「妾ら」が前面に出て各々自己主張をし始めます。それに山水君が振り回されるといった展開になるかと思います。
その三章ですが「書き溜め」を行いたいので開始まで少しお時間を頂きます。予めご承知ください。
それと(最近お願いするをの忘れていましたが)感想や評価は随時受け付けております。また気に入った回(話)があれば「リアクション」を付けてもらえれば参考にもなります。作者のレベルアップやモチベーションにも繋がるので宜しければ、というか「ポチっと」してください。
・・・ここからは全体の補足となります・・・
昔々、神と崇められるルーナは「現地神の立場」でこの世界の監視を行っていた。
だがある日見た「予言」により「神の立場を降りる時がくる」ことを悟る。
そのような重大な予言は神界にいる「調整役」に相談するべきところだが、今回はその「調整役」が絡む話故、下界を専門に巡回している自分よりも高位な存在である天使に相談した。(パイモンではない)
それが周りに回り主神に伝わり最終的にパイモンに対処を任せた。
で、合理主義がモットーのパイモンはルーナと会い念密に調査を行った結果、一気に解決する手段を編み出した。
①現地監視者は「時」が来たら大半の力を剥奪の上で後継者(精霊)を生み出し降板、後継者にその地位を譲る
②夢見る乙女の調整役(巫女)も新たに「後継者」を想像してもらい、それに任せて引退(但し主神の意向により巫女の望みを強制的に叶えさせてから)
③最後に「その後の長い任期」に備え「自分が」退屈せずに過ごせる環境を構築しておく
これが大まかな流れ。
雷明ですが最終戦前には既にボロボロで戦う力は「強奪のスキル」以外に残されていなかった(これはパイモンの仕業)
そこで作中にも載っていた展開となりパイモンの口車に乗せられ「仕方なく」契約を結んだ(以降は開き直る)
①雷明は当初は(山水同様)パルミラル王国のダンジョンには入れなかったのでパイモンからボロボロの身体と引き換えに能力の一部(所謂憑依系の呪術)を授かる
②ダンジョンに入れるようになったところでルーナに接近、能力を掠め取った。
③「ルーナの力」をある程度制御できるようになったところでパルミラル王国の王族が揃って毎年行う「ルーナとの対話」の儀式を利用し、パイモンから借りている呪術を行使。全員を制御下に置いた。
(雷明が行使した魔法の全てはルーナと繋がっているシーラから無断で得た知識を使っていた)
パイモンだが、名がある人物でなくなったのはエンリケくらいだが一般の兵を含めれば数万人が亡くなっている。
ここまで犠牲が出たのはパイモンの性格もそうだが「対価なくては」という方針があったから。その決まりは候補に選ばれた二人(山水・雷明)や、巫女であるシルヴィアも例外では無い。
最後にエステリーナだが雷明の企みにより初婚時に「子を成せない身体」にされていた。
その呪いは既に完遂されており回復魔法では治せないレベルとなっている。
唯一、治す手段は「主神」に新たに創造してもらうくらいだが、そのためには「神界」に連れてこなければならない。だが(言い方は悪いが)主神はその程度の事では動いてくれない、というか下界には干渉しない決まりがある。しかも主神の許可が無ければ「巫女がいるあの場」には何人たりとも入れない。
パイモンはそれを逆手に取ることにした。
何とかしてあげたかったルーナはパイモンが訪れた際にエステリーナも救えないかと相談。ならばとシルヴィアの「密かな望み」をもルーナから引き出したパイモンが主神や天使を巻き込んだ「案」を考え、堂々と天界に連れてこれるように仕向けた(当たり前だが主神には全容を話し、了承を得た上で実行している)
そのほかの細かい部分はご想像にお任せします。




