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第58話 それぞれのパートナー

川⚪︎様アーサー久しぶりに見た!

 

「さあ始めっか! 最後の戦い(ラストバトル)を!」


 嬉々とした言葉を口にするのと同時に奴が全身から赤黒い光を発する。その地獄を彷彿させる光の増殖に比例し、全てを押しつぶそうとする「圧」も増してゆく。


 その時一瞬だけ奴の姿が見えた。

 そこにいたのはヤームに似たエルフの男。だが僅かな間にあの雷明へと姿を変えると、内なる力を一気に解放させた。


 ……ヤバい!


 不気味な光の壁が迫る。俺は直感に従い一旦天幕の外へとバックステップにて退避。

 そのまま外に出ると本格的に「逃げの態勢」に移るため向きを変えようとしたが、不気味な光は天幕を消滅させたところで圧と同じく消失してしまう。


 ……ヤバかった!


 あの光は魔法の類ではなく純粋な魔力の放出。なので浴びても直接的な害はなかったかもしれない。だが天幕だけでなく、床に転がっていた躯も跡形もなく消滅したところを見るに、その考えは間違っていたのかもしれない。


 ……ただこれほどの威力だ。連発は出来まい。


 ルーシアが言ったのは真実だった。奴自身がそれを証明した。


 ……ルーナの力、だよな。


 ……となると解せない。


 ルーナの力を奪った。それは結果を見れば明らか。だからこそ「大きな矛盾」を感じる。


 ……ルーナの性格?


 シルヴィアはルーナが何をしようとしてるのか、予想がついていた?

 いやそれよりも「あの女」とは誰のことだ?


 シルヴィア? 

 それはない。断言できる。

 なら誰?


 ん? シルヴィア?

 そういえば……ウッカリしていた。

 シルヴィアが俺に付いているように、奴にもシルヴィアのような存在がいてもおかしくない。


「また考え事か」


 暗闇で光る二つの目。その声で思考が中断。


「何を考えていた? また女か? そういやあの三人にも呪いを掛けたんだったか。確か全員お前の嫁だよな。なら()()呪術の餌食にされてたのは知ってるよな?」

「…………」

「で()()()()()はどうなった?」

「…………」

「解呪の方法、知りたいか? 教えてやってもいいぞ?」


「信用できるか」


 この時点で信用には値しない。

 何せエステリーナに掛けられた呪いは()()()()()()()()()()。治す手段が存在しないのだ。


「お気に入りの金髪の姉ちゃんの身体か?」

「…………」

「手が無い、わけでは無い、らしい」


「……らしい? いい加減なことを口にするな!」


 森でエステリーナを介護した時にシルヴィアが教えてくれた。「これは治癒魔法では治せない。時を戻すような魔法を開発しないと元には戻せない」と。さらにこの世界にはそんな魔法は存在しないとも。

 なのに方法があるかのような物言いをされて余計に腹が立ってくる。


「まあ、あの悪魔が言ったことだし根拠もない。信じるか信じないかはお前次第だが少なくともエルフの娘は救えるよな」


 悪魔? 

 ダンジョンにいる第二階位の悪魔か?


「で、方法だが至って単純。この俺の命。俺を殺せばお前の願いも叶う。つまり()()()()()()()()()()()()()って寸法だ。簡単だろう?」


 何だ? まるで「さっさと殺せ」といっているかのようなこの物言いは?


「だがその身体は」


 ザームの身体。


「はっ! そのくらい自分で考えろ! てかあの女がいないと何もできないのか、お前は!」


 くそ! 言いたい放題言いやがって!


「ん? ……うるせーな……はいはい忘れちゃいねーよ。契約は履行する」


「け、契約?」


 突然俺から気を逸らし独り言を始めると体を浮かせて上空へ。30m程の高さに達したところで上昇を止め詠唱を開始。続けて右手の人差し指を俺に向けた。


「お喋りはお終いだ。『全てを焼き尽くす紅蓮の炎よ、俺の行手を阻んだ男を骨まで滅せよ。獄炎の飛沫(へルスプラッシュ)』」


 指先から林檎程度の大きさの青白い炎の塊が俺に向け放たれる。それを刀で切り裂くと四方八方へと飛び散った。

 かなりの量と勢いで広範囲に散った炎。その炎のせいで周囲が地獄絵図へと変わった。


「あ、あちい!」

「う、腕が?」

「身体が燃える!」

「誰か助けてくれ!」


 炎は何かに触れると更に細かくなり周囲に飛び散る。そして()()()()()()()()()()()に燃え移り燃やしてゆく。

 そして命が尽きる寸前に身体が消え失せる。


「あーあ、お前のせいだ。可哀想に」


「心にも無いことを言うな!」


「良く分かってらっしゃる! 付き合いが長いだけのことはある!」


 皮肉を込めた笑みを浮かべると再度片手を上げた。


「ほれほれ、どんどん行くぞ!」


 再び放たれる炎を斬らずに交わす。

 すると俺の後方にいた兵に命中。今度は周囲を巻き込む大爆発を起こした。


「あーまたお前のせいだ。一体何人殺せば気が済むんだ?」


 クソ! 手が出せないのをよいことに、やりたい放題しやがって!

 これじゃ埒が明かない、一旦引くか?


「おっと、逃げたらそこの女がどうなっても知らんぞ」


 顎である方向を示す。


 ……ルーシア。


「たく、お前は余計なことを考え過ぎなんだよ!」


 今度は滅多矢鱈と周囲に炎を放つ。

 すると周囲数百mの範囲から阿鼻驚嘆の呻き声が沸き起こる。


「ひい、ふう、みい。大体五百ってところか。思ってたより少ねえな」


「何故俺を狙わない!」


 単に殺戮を楽しんでいるようにしかみえない。


「何故? 何故ってそりゃお前、復讐のためだ」


「さっき言ってたやつか?」


「それ以外にもいくつかあるな」


「何……だと?」


「ほれ、お前らもボーとしとらんで奴を討てって」


 命令とばかりに周囲の兵が切りかかってきた。なのでなし崩し的に刀を振るう。


「身体が言う事きかね!」

「も、もう嫌だ! 止めてくれ!」


 状況は理解できているようで泣き喚きながら抵抗の意思を示すが身体が言うことを聞かないらしく動きを止められない。


「くそ!」


 すまないと思いつつ刀を振るい、脅威を排除していく。

 だが今度の波は収まらなかった。斬れども斬れども終らない。


「よしよしその調子。で目的だが一つは俺の鬱憤(うっぷん)を晴らすため。これは絶対に外せねえ。二つ目はあの女との契約。三つ目はお前の今後の為だな」

「俺の為?」

「感謝しろよ、いや後々泣くほど感謝するようになるか!」

「一体何を言っているんだ⁈」


「そうだよな、()()()()()()()()()()()()()()()()()よな!」


「……それを誰から聞いた?」


「あ? 誰だって? バカかお前は。そりゃ一人しかいねーだろ」


 シルヴィアと会話が出来ないのを知っているのは二人。

 エステリーナでなければ残るは一人。



 まさか……雷明と繋がっている?

 いやそんなことは……



「なんだ知らなかったのか? ()()()()()()

「…………」

「ショックだよな『日本人』なら」

「…………」


 日本人は先ずは相手を信じる。所謂性善説だ。

 但しそれを悪用する者も一定数はいる。


「で、どうする? 日本人らしく仁義に反した奴を成敗するか? お前の嫁を」


 俺はここに来る際、肉体や精神を再設定せずに来た。なので未だに日本人的な思想を多分に引きずっている。


「な、なにか深い訳が」

「知りたいか?」


「知ってるのか?」


 思わず出た言葉を聞き、奴の表情が崩れた。


「さっき言っただろう。俺達は「騙された」と」


「ああ」


「これは全てあの野郎の企みだ」


「主神が?」


「そうだ。そしてあの野郎と関係のある奴は全員悪巧みに加担している」


「なっ、根拠は⁈」


「さっき言ったよな? 『何故』って」


「…………」


「今回あの女、いや性悪悪魔は俺に断りもなくこの世界を選んだ。それを問い詰めたらな、諸々白状しやがった」


「……何と?」


「知りてえか?」


「……言え」


「あの野郎はな、褒美なんざ(はな)から出す気はねえそうだ」


 褒美とは【報酬】のことか?



「なにを……言っている」



「まだ分かんねえのか! 要は俺もお前もここで消される運命なんだよ!」



次回は「幕間」です。殆ど出来上がっているので数日中に投稿します。

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