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「円」(『晩歌 -BANKA-』) ゲームシナリオ⑤

(場面遷移。背景「図書館」。SE「行き交う車」)


・それから2日間、咲姉ちゃんから連絡はありませんでした。

・私は迷った末、双魚球の一件について話さねば

 ならないことがある、と言って彼女と会うことにしました。(2行同時表示)

・私の推測では、双魚球を来るべき時、あるべき場所に

 返すことがそれに関わった者たちの義務で、(2行同時表示)

・父は義務を果たせなかったから、

 果たせるまで苦しみ続けることとなった──。(2行同時表示)

・その一方で、父から双魚球を奪った羽立氏が

 既に亡くなっている、ということも気がかりでした。(2行同時表示)

・私は、1999年に誰かが双魚球を彼から

 取り戻したのだろうと思います。(2行同時表示)

・ただ、その誰かは最後の最後で判断を

 誤ったのではないでしょうか。(2行同時表示)

・………………………………

・私たちは、図書館で会うことにしていました。

・私が行った時には既に咲姉ちゃんは来ていましたが、

 その傍らに作業着姿の老人が立っていました。(2行同時表示)


 萵苣「あれ、鹿嶋さん?」

 鹿嶋「おお、萵苣ちゃんか。久しぶりだねえ」

 咲子「師匠、ちーちゃんから何か話があるって言ったら、

    自分も是非聴きたいって」

 咲子「ちーちゃんがある程度まで核心に踏み込んでいるなら、

    私にも双魚球と花火大会のことを教えて下さるって」

 鹿嶋「…………萵苣ちゃん」

 鹿嶋「これは、君には耐えがたいことかもしれない」

 鹿嶋「覚悟はできているかい?」

 萵苣「(心を決めて)……分かっています」

 萵苣「このままでは、私も咲姉ちゃんも勢威さんも、」

 萵苣「みんな父と同じ運命を背負うことになることも」


(SE「扇風機」)

・鹿嶋氏は「よろしい」と言い、みんなで

 図書館に入りました。(2行同時表示)

・私は父から聞いた話を、自分の推測も

 含めて2人に語りました。(2行同時表示)

・鹿嶋氏は話が終わるまで一切口を挟まず、

 私が語り終えてから開口しました。(2行同時表示)


 鹿嶋「双魚球は、花火玉なんだ」

 鹿嶋「サイズで言えば、直径21cm、7号玉くらいだろう」

 咲子「でも、素材は水晶じゃないんですか?」

 鹿嶋「人の世の素材なら、それに近いのだろう」

 鹿嶋「八重君も知っての通り、花火には『星』を詰める」

 鹿嶋「この配合に微調整が利かなければ、失敗作になる」

 鹿嶋「透明で、向こう側の景色が見えるような玉なんて

    存在するはずがない」

 咲子「つまり、この世のものではないと?」

 鹿嶋「卵、といってもいい」

 鹿嶋「花火は鎮魂と平和の象徴、」

 鹿嶋「それを打ち上げるための炎で温めることにより、

    卵は孵り、あるべき存在が小暮に戻る」


・私は、しばし黙り込んだ末に意を決して言いました。


 萵苣「連帯責任、なんですかね?」

 萵苣「最初に双魚球を手放したのは、父でした」

 萵苣「だから、罰を受けていたのは父だけだった」

 萵苣「だけど、今年の花火大会で打ち上げが成功しなければ

    私たちみんなが囚われることになる」

 鹿嶋「萵苣ちゃん、君のお父さんは間違いなく、

    一度は呪縛から解放されたはずだ」

 鹿嶋「羽立という男は、踏み込んではならない領域に

    踏み込み、自ら身を滅ぼしたのだから」

 鹿嶋「しかし、誰か四阿さんの苦しみを知っていた者がいた」

 鹿嶋「その人はきっと、彼を救いたいと心から願っただろう」

 鹿嶋「一方で、羽立と同等の存在が他にもいると

    確信してもいた」

 鹿嶋「来るべき時が訪れる前に眠堂に双魚球を戻せば、

    四阿さんはまた苦しめられ、過ちを繰り返すだろうと」

 萵苣「その人は…………」

 萵苣「取り戻した双魚球を、

    どこにやってしまったんでしょう?」

 萵苣「その人って、一体…………?」

 鹿嶋「萵苣ちゃんたちのおかげで、私には何となく分かった」

 鹿嶋「推測ではあるが、その人は──」


・それを聞いた時、私は涙が止まらなくなりました。


(場面遷移。背景「河川敷」。SE「河川敷」)


・3日間、私は双魚球の在処について、

 今ある情報を基に考えを巡らせました。(2行同時表示)

・咲姉ちゃんから教えられた花火の打ち上げ場所まで行き、

 羽立氏はここで命を落としたのか、と考えました。(2行同時表示)

・鹿嶋氏の推測が、最早その域を出た「真実」である

 ことは確信していました。(2行同時表示)

・私は、かつてここで起こったことを脳裏で再現し、(改行)

・「その人」の姿を克明に写し取ろうとしました。

・………………………………

・熟考の末、私はその在処を確信しました。


(ボタン2つ表示。《選択肢B―A》…加苅神社/《選択肢B―B》…祖父母宅)

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