↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/50

「円」(『晩歌 -BANKA-』) ゲームシナリオ②

(場面遷移。背景「道路と畑」。SE「行き交う車」)


・結論からいうと、私も自宅から双魚球と

 思しきものを見つけ出すことはできませんでした。(2行同時表示)

・考えてみれば、私と同じ作業を

 父は勢威さんの立ち会いの下で行い、(2行同時表示)

・結果、双魚球は発見されなかったのです。

・やっぱり、うちにはないのかもしれません。

・……と、いう旨を告げると、

 咲姉ちゃんは途方に暮れたようでした。(2行同時表示)


 萵苣「花火大会まで、あと1週間あるじゃない」

 萵苣「私も、咲姉ちゃんに協力するわ」

 咲子「…………ほんと?」

 咲子「ごめんね、付き合わせちゃって」

 萵苣「気にしないで、咲姉ちゃん」

 萵苣「咲姉ちゃんがもやもやしたまま当日になったら、

    私もすっきりした気分で楽しめないと思うから」


(SE「ページをめくる」)

・私は、電話帳で四阿家と勢威家の共通の

 知人を探すことにしました。(2行同時表示)

・咲姉ちゃんは鹿嶋氏から勢威さんの主立った

 関係者については教えてもらっており、(2行同時表示)

(SE「指を止める」)

・それと照会する形で調べると、浮かび上がったのは

 安里真悠子(アサト・マユコ)という人物でした。(2行同時表示)

・彼女については、私も名前を知っていました。

・それは10年近く前、

 上京していた彼女が結婚と共に小暮にUターンし、(2行同時表示)

・町内に挨拶回りをしていた時のことでした。


(SE「頭を下げる」)

 安里「父がご迷惑をおかけしました!」


・かつて眠堂を訪れた彼女は、

 開口一番にそう叫んで頭を下げました。(2行同時表示)

・当時の私には知る由もないことでしたが、(改行)

・安里さんはバブル以前、

 眠堂がまだ卸売のみを行っていた頃、(2行同時表示)

・取引先だった今はない小売店を経営していた

 店主の娘で、当時は小学生だったそうです。(2行同時表示)

・その小売店はバブル崩壊から間もなく倒産し、(改行)

・それが直前に眠堂から卸していた大量の品の代金を

 支払う前だったため四阿も苦境に立たされたといいます。(2行同時表示)

・安里一家は破産と共に小暮から姿を消したため

 近所では物騒な噂も立ちましたが、(2行同時表示)

・公的支援も受けながら生活を立て直した彼らは

 それまでの間、仙台で暮らしていたそうです。(2行同時表示)

・東京の企業に就職していた安里さんは小暮の支店に

 派遣され、そこで現在のご主人と出会い、(2行同時表示)

・Uターンしたということでした。

・………………………………

・このことはうろ覚えですが、安里さん曰く、(改行)

・当時の小売店の倒産には羽立(ウリュウ)という

 個人間融資の男が関わっていたそうです。(2行同時表示)

・彼はバブル期に引き際を過たなかったことで

 莫大な資産を築き、(2行同時表示)

・株価が暴落する以前に小売店に大量の

 注文を入れ、やがて失踪しました。(2行同時表示)

・注文の入っていた品を売ることもできず、(改行)

・株価の暴落後に火の車となった彼らは眠堂から

 それに代わる品を卸さなければなりませんでしたが、(2行同時表示)

・やがて限界が来てしまった……ということが

 当時のできごとだったそうです。(2行同時表示)

(SE「行き交う車」)

・………………………………

・安里さんについて説明すると、(改行)

・咲姉ちゃんは彼女に会って

 勢威さんに関する話を聴きたいと言いました。(2行同時表示)

・ここにも何かしらの繋がりがあるとすれば、私の父が

 彼女に双魚球を預けたということも考えられる、と。(2行同時表示)


 咲子「ごめんね、ちーちゃんのお父さんを疑いたい訳じゃないの」

 咲子「だけど、『訳があって隠しているのかも』なんて言うから」

 萵苣「いいのよ、一応会ってみよう」

 萵苣「咲姉ちゃんからも、安里さんに説明お願いね」


(場面遷移。背景「座敷」。SE「夏の昼間」)


・翌日、私たちは安里さんの家を訪問しました。

・彼女は、それぞれ高校生と大学生となった私たちを

 見て驚いていましたが、快く迎え入れてくれました。(2行同時表示)


 安里「勢威さんかあ……」

 安里「私も旦那と一緒になる前から加苅神社の氏子で、

    彼とは小さい頃に氏子会で顔を合わせたことがあったわね」

 安里「でも、仙台に出てからはほとんど絶縁状態だったわ」

 咲子「双魚球については?」

 安里「何となく…………だけど」

 安里「昔、勢威家のお墓にあった水晶はもっと大きかったんだよ、

    みたいなことを聞かされた気がする」

 萵苣「つかぬことをお聞きしますが、」

 萵苣「うちの父との交渉は、現在どの程度でしょうか?」

 安里「そうねえ……」

 安里「父が店をやっていた頃はお世話になっていたけど、」

 安里「私も大人になって会ったのは結婚した後だから」

 安里「最近、ちょっと電話があったくらい」

 萵苣「電話?」

 安里「それがね…………」

 安里「……いえ、その前に、店が潰れた原因について、

    萵苣ちゃんはお父さんから聞いたかしら?」

 萵苣「はい、安里さんが挨拶に来られた時のことなら」

 安里「その原因になったのが羽立って男なんだけど、

    彼について聞かれたの」

 安里「彼の店への接触について、詳しく聴かせてって」


・話しながら自分でも怪訝そうな顔になる安里さんを見、

 不意に私の脳裏に突拍子もない考えが浮かびました。(2行同時表示)

・羽立氏は富豪で、個人間融資を行っていたといいます。

・当時経営難に陥った父が、

 彼から借金をしていた可能性は十分にある。(2行同時表示)

・父は、その負債を解消するために

 双魚球を手放したのではないでしょうか。(2行同時表示)

・最近になって父が羽立氏のことを調べ始めたのは、

 勢威さんの行動が活発になり始めたからではないのか。(2行同時表示)

・父は、羽立氏が双魚球を持っていると知っているから。

・そう考えると、かつて羽立氏が眠堂の命綱でもあった

 小売店を意図的に潰すようなことをしたのは、(2行同時表示)

・父に負債を負わせ、

 双魚球を奪うためだったのではないか──。(2行同時表示)

・そう思うのは、私の考えすぎでしょうか?


 萵苣「…………安里さんは、」

 萵苣「父に、どんなことをお話ししたのですか?」

 安里「羽立の連絡先や、当時の住所」

 安里「だけど、意味はないと思うの」

 安里「実際羽立と連絡は取れなくなった訳だし、

    その住所を訪ねても家はもう売りに出されていたし」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。