↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
したたかな羊飼いは、黄泉比良坂を突き抜ける  作者: 九重七六八
1章 その羊飼いはオオカミの森を突き抜ける
30/52

狼王ピピン②

 ジャギはここで本隊のピピンと反対方向へ向かったデオウへ連絡を優先するべきであったが、わざと遅らせた。運良く自分のところにターゲットはやってきたのだ。自分の手で羊と人間を狩り取りたかった。

 だが、このジャギの判断が人間どもを包囲の外へ逃がすことになる。ジャギの第1軍団の包囲網の中とはいえ、5頭からなるオオカミの集団の移動力はまちまちで、包囲網は均一的に縮めることはできなかった。

 右から近づいた5頭の小隊は、進撃してきた武装した人間の攻撃を受けて全滅。さらに進んでくるだろうと思われた地点には人間たちは現れず、急ぎ、攻撃された仲間たちの元へ向かうとタイムラグをついてもう一隊が通常ルートを進んで突破した。つまり、右へ誘われて本命の突破を許したことになる。

 右の小隊を葬った一団は当然、すぐに移動しており、向かったオオカミたちは仲間の死体を見つけただけであった。

 さらには左に迂回した一団もあることがジャギに伝えられた。左に位置していた仲間が遠吠えで知らせてきたのだ。目視したその集団は、まるまると太った羊の大群であることも知った。

 ジャギは包囲網を突破されたことで、この失態を隠すことができないと判断した。ピピンは有能な王だ。部下のしくじりを見逃す王ではない。

 すぐに状況をピピンに知らせるために、配下のオオカミを伝令に出す。伝令のオオカミたちは遠吠えをしながら、ピピンの本隊へと向かった。

 ピピンは伝令から状況を聞き、この人間たちの行動を瞬時に把握した。羊を運ぶ行商人とそれを守る護衛たちが森を突破しようと試みているのだ。

 羊や人間の臭いが感じられず、また音も正確に聞き取れないのは、人間たちが稀に使う不思議な力ということも歴戦のオオカミであるピピンは理解していた。

 おそらくは左から突破していった一隊が主力なのであろう。そこにはごちそうの羊の大群がいるはずだ。


(やるな、人間。まさか羊の方を迂回させるとは……おかげでまんまと逃げられそうだ)

 

 そして人間どもが向かう先も理解した。岩場である。そこに逃げ込めば自然の要塞となるからだ。ピピンは第2軍団と自分の親衛隊に岩場へ向かうよう指示した。

 ジャギには突破した敵を追うよう指示する。特に左から迂回している本命に対して残ったオオカミを集中させるよう命じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。