陽動作戦③
ブクマありがとうございました。感謝です。
この話は短いので、すぐに次の話を投下します。
(主人様、あいつらに楽をさせるのは納得できないワオン。いっそのこと、奴らを囮にこちらは楽をして逃げるワオン)
(楽とは限らないワン。主人様の言うとおりにしなかったら、あいつら確実に死ぬワン。それに森から脱出するには奴らの力が必要なのは間違いがないワン)
(そうですね。まだ彼らの力は必要です。あと、この程度で彼らは死なないでしょう。自分の命を守るための戦いはできる人たちですから……それよりも……私たちの方がギリギリ。急ぎましょう。狼王の本体も動き始めたようですから)
羊たちの先頭にアリエスと俺。その後ろを羊たちが2列で進む。天丸と地丸は羊たちの列を行き来して、勝手な行動をとらないように羊たちを誘導する。俺はアリエスと並びながら尋ねた。
「アリエスさん、待機組が一番安全だと言いましたが、一番危険なのは、やってくるオオカミと戦うルードたちですか?」
俺はそう確認してみた。しかし、アリエスは首を横に振った。
(え?)と俺の背中に冷たい汗が流れた。
「どういうことですか?」
「最も危険なのは私たちです。そうでしょう。私たちは戦う術がありませんから。オオカミたちが現れれば、殺されるしかありません。そしてオオカミたちが目標とするのも羊たちを連れた私たちです」
「そりゃそうですが……。では、なぜ戦闘力のある傭兵たちと分かれたのですか?」
「分かれることでオオカミたちの包囲網を崩すのです。オオカミたちの動きが計算されたものであるならば、イレギュラーな動きが効果的なはずです。まさか一番のターゲットである羊の群れが、わざわざ遠回りしてオオカミの群れの間をすり抜けるなんて思わないでしょう。予定どおり行けば、夕方までには岩場の宿泊予定地へ逃げ込めます。急ぎましょう」
アリエスは精霊犬を見る。
(天丸、地丸、ここからが今日のメインイベントよ。防御力の高い黒の羊を外側に。パルフェ産の羊を内側へ。オオカミたちの攻撃をかわします)
(わかったで、ワオン)
(承知したで、ワン)
アリエスは杖を振って2頭の精霊犬に命令を下す。犬たちは吠え立て、羊たちを追い立てる。隊列が整うと羊の集団は一丸となって足を速め、迂回しながら岩場を目指す。




