零
スイスの精神科医・心理療法家のガール・グスタフ・ユングは、心は意識と無意識から成ると言った。また、その両方は記憶によって強い影響を受ける。そして、その記憶は上書き出来るのなら…さ、
上書きされるの、僕の心は?
変わってしまうの、僕の心は?
★☆★☆★☆
「またお前か、もうあきれて声も出ないよ」
「それはそれで声がでている様に見えるのだけれど…?」
彼は首をかしげながらそう言った。
肌は白っぽくて髪は金色で、目は青、身長は150cm後半ぐらいだろうか?歳は10代前半くらいに見える。名前は聞いても教えてくれないからわからない。
名前だけじゃない、年齢も、国籍も、個人的な情報は何もかも教えてくれない。
そんな謎だらけな彼だけど、決まって現れるんだ、僕の頭の中に。
と、言うのも、ここは僕の夢の中。
彼は突然僕の夢に現れたんだ、二ヶ月くらい前から、ほぼ毎日。
初めて夢に出てきたときはとても不思議だった。だって見知らぬ金髪ショタッ子が夢に出てきたんだぜ?
そんで僕は今もこうして、そんなショタッ子と仲良くお話中なのである。
「僕って自覚していないだけで、性癖とかいっぱいあるのかもな」
「そうだよ隼斗、人間の心、魂の96%は無意識、つまり潜在意識ってやつなんだ!だから君が知ってる性癖は実際の4%に過ぎない。因みに隼斗は自分が何個ぐらい性癖あるの?」
「えっと、両手で足りないくらい…かな?」
「うわ、4%で10個なら約250個くらいあるんだね…」
「まってまってどんな計算したのかわかんないけどそんな蔑んだ目で見ないで!」
なぜ僕は夢の中で自分の潜在意識が生み出したであろうショタッ子に冷ややかな目で見られるのだろうか…。
「それじゃあ、私はそろそろ消えるよ、もう90分たちそうだから」
そう、こいつは決まって90分たったと言って消える。
しかし、俺にとってその90分は長かったり短かったり様々だ。
二日くらい話したんじゃないかと思う夢もあれば、さっき現れたはずなのにと思う夢もある。
まあ、所詮俺の夢だからそこら辺は曖昧なのだろう。
「もうそんな時間か、じゃあまた」
「また、か。多分もう私は、この夢に出てくる事はないと思うよ。」
「辺な事言うんだな、そんなのわかんないだろ?」
「いや、断言できるよ」
彼は一度、何かを考えて、また言葉を並べだした。
「今の日本人は、自分の想い人、つまり好きな人が夢に出てくるって考えるんだってね。でも、昔の日本人、平安時代とやらだったかな?その時は、こう考えていたそうだよ。自分の事を想ってくれている人が夢に出てくる、とね。隼斗、君はどっちが正しいと思う?」
「そりゃ現代人のが正しいんじゃないか?」
「ふふ、どうだろうね」
彼はどこか小悪魔的なほほえみを浮かべていた。
「最後に名前だけ教えよう。私はアダム
それじゃ、隼斗。またね」




