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汚職掃除

◆西暦2000年5月13日(土)◆


 いつもの朝の日課を終えて、軽くシャワーを浴び、全員で朝食を囲む。

「えっと、今日は2人共予定通り私と一緒でいいのよね?」

「「うん」」

「お友達と遊ぶ約束してもいいからね。無理はしないでね」

「「分かった」」


「お姉ちゃん、スナちゃん、元気にしてるかな?」

「最初のお友達だものね。気になるよね。ちょっと見てみようか」

 そう言うとパネルにビーコンの映像を映す。


【時差情報:-6時間】日本:8時 ヴァン:2時

『お姉ちゃん…すぅすぅ』


「あら…あ、そっか。こちらが朝8時でも向こうは夜中の2時だ。起きてるわけないよね。あはは、失敗失敗」

「「あはは」」

「でも元気そうで良かったー」

「そうだね。しかしこのお姉ちゃんって、私とファティマちゃんどっちだろうね」

「きっと私だよ。お友達だもん」

「そうかな~?」

「そうだよー」

「分かった。分かったから悲しい顔しないで。ごめんね」

「うん」

「「ふふ」」

 

 食事を終えると勉強の時間だ。

 2人仲良く1年生の残りと日本語の勉強をしながら楽しく進めている。あずさちゃんは宿題中だ。休みの間はちょっと多いみたい。

「この教科書って1年かけてやるのよね?もう終わりそうなんですが、いいのでしょうか。あずささん」

「まぁ、ほとんど読んで書いて、ドリルやってぐらいだから。学校では本当はもっと色々あるんじゃない?」

「そっかー。でも自宅でやるならこれぐらいでいいよね?」

「うん、いいと思う。1年生のだし」

「そっかー、それじゃこれ終わったら、2年生の勉強に入るぞー」

「「おー」」


     *     *


(さて、あいつらどうしてるかなぁー)

 親玉の様子を見てみると、

「あれ?何でこいつらお酒なんて飲んでるの?警察は何してくれちゃってるの?」

「お姉ちゃん?」

「あ、ごめんね。昨日ファティマちゃんを(さら)おうとしたやつらが何故か外でお酒飲んでてさ。何でだと思う?理解できないんだが…」

「「うそっ」」

「もう許してもらえたの?」

「ファティマちゃん、誘拐は重罪だよ。それはありえないよ。これは警察の中に仲間がいるね」

「どうするの?お姉ちゃん」

「アメリカは警察も腐ってるのね。うーん、ネットの噂は本当だったかー。

 あ、みんなは勉強してて。すぐ戻って来るから。ちょっと天罰落としてくるよ」

「「「う、うん」」」


【時差情報:-13時間】日本:9時10分 デトロイト:前日の20時10分


「やっほー。みんな何でここにいるの?教えてくれる?」

 親玉が飲んでいる酒場にやってきた。仲間もほぼみんないる。

「なっ、てめぇは!?」

『『『なっ』』』

「”停止(ステイ)”!」

『『『か、身体が動かねぇ』』』

「くそっ、てめぇは一体何なんだよっ」

「あれ?昨日言ったでしょ?私は神様の代理人よ。

 それよりも誰が出してくれたの?」


「おい、嬢ちゃん、暴れるなら外でやりな」

「煩い!今取り込み中だから外野は黙ってろ!」

「何だとー、このガキゃー」

『おい、止めとけ』

「うるせぇ」

 巨漢がズカズカやってくる。見た目はちょっと怖い。

「嬢ちゃん、悪い子にはお仕置きが必要みたいだなぁ」

 そう言って襟首を掴んで来る。

「あぁ、もうウザい」

 手首を掴んで壁に叩きつける。

「あ、ちょっと力入れすぎちゃったかな。死んでないか誰か確認してみて。

 ま、どうでもいいけど、とにかくあんたらは邪魔すんなよ」


 酒場がシーンと静まり返る。

「宜しい。で、誰が出したの?」

「だ、誰が言うか!」

「あ、そう。”催眠誘導(ヒプノシス)”!…さぁ、誰なの?」


「うぅ、麻薬捜査課のA巡査だ」

「誘拐犯を解放出来る権限なんて、たかが巡査にあるわけないでしょ?その上は誰?」

「・・・ノリス副本部長だ」

「あっそう。他の汚職警官たちいたら教えて」

「うぅ、警備部のBと…」

 他のやつらから聞いてもほぼ同じ汚職警官だったので、聞き取りは終了とし、ここにいないチンピラたちを転移で掻き集めてくる。

 縄で全員縛って、今度は警察内にいきなり出現する。

 

「こんばんわー、来たよー」

「き、君は昨日の…」

「私言ったよね。適当に解放するなって…この市では一晩で開放出来る程誘拐って罪じゃないの?」

「い、いや、それは…」

「それは、何よ!

 ま、いいわ。取り敢えずこいつらから勝手に解放したやつとか関わっている汚職警官たちの名前を聞き出したからここに連れてきて。こいつらと一緒に天罰してあげるわ。

 えっと、ノリス副本部長、麻薬捜査課のA、警備部のBと…」

 名前を上げていく。誰かが階段を登って行った。

「おいおい、嬢ちゃんに何の権限があってそんな事言ってるんだ。ここはお遊びするとこじゃねぇぞ。そいつら置いてとっととうせな」

「あ、B発見」

 カウンター越しに近づいて来たBに”縮地(クイックステップ)”で近づくとその襟首を掴んで戻ると地面に叩きつけた。その間約数秒。

「ぐふっ」

「そこで寝転がってろ。起きたら殺すぞ。お前らみたいなのがいるから一般市民が悲しい思いするんだよ、クソがっ」

 一回蹴ってやる。

「ぐっ」


『『『『なっ、何を』』』』

 その場にいた警察感が全員拳銃を抜いたのを見て、その銃を一括で収納すると、軽い”静電気(スタティックエレクトロ)”を放出する。

『『『『ぎゃっ』』』』


「神の代理人たる私に銃を向けようとするなんて、何という神への冒涜。何をしようとしたのか分かってるんでしょうね」

「一体何の騒ぎだ…なっ」

 本命がやってきた。

「あんたは?ノリスってやつ?…うん、間違いなさそうね。本部長が来ないって事は不在なのかなぁ?ま、いいけど」

「ここがどこだか分かってるのか?」

「知ってるよ。汚職警官の溜まり場でしょ?」

「なっ、ここはデトロイト市警察本部だぞっ」

「だから?クズ警官を放置してりゃ存在する意味ないでしょ?残りの警官はいないのかしら?」

「必要無い。警官への暴行により逮捕する。おい、誰か、このガキを捕まえろ!」

「ふーん」

 Bと同様、”縮地(クイックステップ)”で近づくとその襟首を掴んで戻ると地面に叩きつける。

「ぐはっ、な、何を。わしは副本部長だぞっ」

「あんたらの役職なんてどうでもいいし、神にそんな紙っ切れ通じるとでも?」

 こいつも蹴っておく。

「ぐっ」


 暫く待ってみたが他のクズはやってくる気配がない。

(えっちゃん、他の汚職警官の居場所分かる?)

《YESマスター。何人かは一緒に飲んでいるようです》

(オッケー。それじゃ案内して)


 この場にいる全員が呆けているうちに次々回収して連れてきては地面に転がしを繰り返す。

「おまたせー。こいつらから聞いた汚職警官は以上だね、うん。

 さて、知ってるかしら?神様はこいつらみたいなのが溢れ返っている現状に呆れて、この星を捨てて行ったのよ。代わりに私が引き継ぐ事になったけどね。

 ま、信じる信じないはお任せするわ。

 と言う事で神の代理人たる私の裁量でこれから天罰を下します。今後もうこんな事をしようと思わないようにね。

 ついでに今回だけ特別に罪状を記載した紙を置いておくわ。まずはこのチンピラの親玉っぽいやつから。

 強盗、傷害、殺人、強姦…あぁ、殺人や強姦があるだけでギルティだね。では天罰を下します」

 空中から出した紙を読み上げながらテーブルにそれを放り投げる。

「★$#△…(”致死宣言(デスカウントダウン)”!)」

 背中に天使の翼を出現させ、光を纏い、親玉を空に浮かせ、異世界語でそれらしい呪文を詠唱する。

「ぐ、ぐわぁああああああ」

 見る見る間に見た目が老けていき、やがてミイラ状となり落下して動かなくなる。


『ひっ、な、何だよそれー』

『本当に天罰なのか、やめてくれー』

『す、すみませんでした。どうか許して下さいー』

「な、おい、お前たち何をしている。早く逮捕せぬかっ」

『お、おい、みんな!?これはどういう事なんだ?いきなり連れて来られたと思ったら…一体何なんだよー!!』

「今更気づいても遅いよ。あんたたちのやってきた事は無くなるわけないんだからね。

 あんたたちも仲間になりたかったら襲ってきてもいいわよー」

 そう言うと全員が顔を青くしてフルフルと顔を横に振った。


 それからは粛々と天罰を下していく。

「お、お前、副本部長のわしにこんな事して許されると思っているのかぁ」

「すみませんでした。真面目に働くのでどうか命だけは…」

 Bは観念したのか、必死に弁明してきた。

「あ、それからついでに言っとくわ。今回の事からこの市だけじゃなくて全国、いや全世界規模で粛清する事にしたから大統領とかにでも連絡して貰っていいわよ。大統領でも罪状によっては対象に成り得るって言っといてね。どこまでクズが蔓延しているのか分かったものじゃないもの。これから徹底的に行くわよ。もちろんこいつら犯罪者もよ」

 今度は頭を縦に振り始めた。寝違えるぞー。

 やがて一部を残して動くものはいなくなった。


「さて、残ったあなたたちは罪状を見る限り許せる物ではないけども、殺人など天罰に値する程の物は無かったので今回は許してあげる。でも次は無いわよ。

 それから署員のみなさん、こちらから見る限り、何名か同じく見逃した者がいるけど、あんたらはすぐ警官を辞めてまっとうな職に付きなさい。あんたらに警官をやる資格はないわ。名前を言ってほしいなら言うけど?

 今言ったメンバーはちょくちょく空から様子を見るから甘くみないでね。

 残ったメンバーでうちの子さらったやつはきちんと誘拐で裁判するのよ。いいわね。それじゃ行くね」

 どこからも文句も何も無かったので、みんなの見ている前で中空に浮かんで自宅に転移した。死体はもちろん残したままだ。


《レベルが21に上がりました》

(な、何ですとー!?人でも上がるの?と言うか魔物より上がるペース早くね?こいつら経験値的に美味しいのか?

 あ、そうか。こいつら地球での魔物扱いなんだな、きっと。うん、そう言う事にしとこう)


     *     *


 それから市警本部内では、本部長が緊急で呼び出され、惨状の説明を聞くと直様(すぐさま)市長に電話。翌日には州とホワイトハウスまで情報が届けられた。少女の置いていった罪状と共に。

 そして水面下でその少女の行方を追って州警察やCIA、FBIが動き出す事となる。


     *     *


「ただいまー」

「「「おかえりー」」」

「そろそろ10時ね。マンハッタンのおばあちゃんのとこに行かないとね」

「お姉ちゃん、思ったんだけど、それってあちらの朝10時だよね」

「あ」

「えっと、日本はマンハッタンより13時間進んでいるんだから…日本時間では今夜11時じゃない?」

「えぇー、まじでー?私眠る時間ないの?おのれ時差めー」

「私たちも手伝うよ」

「駄目よ。子供は夜9時には寝なくちゃ、大きくなれないのよ」

「でも…」

「大丈夫。ちゃちゃっと終わらせてくるから」

「分かった。それじゃ明日の朝食は私が作るね」

「本当?あずさちゃんありがとー」

 思わずぎゅーっと抱き締める。

 

「と言うかさー、アメリカの日中ってもしかしてこちらの深夜じゃないの?」

「そだねー。あ、夕方18時ならこちらの朝7時だから、今度からその辺りでお願いしたら?」

「流石算術チート様。うん、それ採用。そうじゃないと私の身体が持たないよ」


     *     *


「それじゃ午前はみんなでレベルアップに行こう。

 ファティマちゃんが隠密系の能力をたくさん取ったからみんなも取れるかやって欲しいんだ。

 お昼はラクワちゃんとこ様子見に行ってみんなでバーベキューにしよう」

「「「おー」」」


 途中スーパーで食材や飲み物を購入して、異世界の森の中へ転移する。

「みんなこれからは出来るだけ音を立てないように、そして周囲に魔物がいないか目や耳全てを使って気配を察知するように動いてみて」

「「「うん」」」

 私も最初だけ”空間探査(サーチ)”で魔物の位置を確認した後は、サーチを切って同じ能力が取れないか試してみる。


 十数分ほど歩くとゴブリンの群れを見つける事が出来た。

 

《気配察知Lv1を習得しました》《気配遮断Lv1を習得しました》《警戒Lv1を習得しました》《消音行動Lv1を習得しました》

(おぅふ、神様の加護ってば、仕事早すぎだよっ)

 

 みんなをそちらへ誘導していく。

”お姉ちゃん、何かいるよ”

”偉いぞー、ファティマちゃん”

 最初に気づいたのはファティマちゃんだ。能力取得しているから当たり前だけどね。

 後の2人もそちらに意識を集中して魔物の存在を探っているようだ。

 

 ようやく全員が視認した所で弓を構え、互いに獲物を振り分け矢を放った。

 一応私は念の為、”遅延(スロウ)”で動きを遅くする。今回からみんなへの”迅速(クイック)”は無しだ。


『『『グギャギャギャー』』』


 声が近づいて来ると弓を捨て、短剣を手に襲い掛かっていった。


「うん、もうゴブリンぐらいじゃ物足りないわね」

「「「うん」」」


 それからもう少し強そうなやつを探しながら狩りを続ける。

 コボルトやウルフ、オーク、たまにオーガ、ワイルドボアなどが現れたがオーガ以外は何とか倒す事が出来た。

 オーガはあまりにも硬すぎて無理そうだったので”催眠誘導(ヒプノシス)”で眠らせて倒してから、みんなで首や口の中に少しづつ傷をつけながら最終的には倒す事が出来た。

「ふぅー、相変わらず(かった)いわね、こいつ」

「「「うん、めちゃ硬かった」」」

 お昼近くになってきたので、ギルドの近くに転移し、討伐部位の精算と解体のお願いをしてきた。ワイルドボアだけはいつもより多めに捌いてもらいギルドを後にした。

 ファティマちゃんを見て、カレンさんが何か言いたそうだったがスルーした。

 ついでに購買部門へと移動し、ファティマちゃん用の短剣と弓などを購入した。


     *     *


 みんなに”清浄(クリーン)”をかけようと思ったが、シャワーを浴びたいと言うので、自宅に戻った。

 綺麗になったところで、ソファーでホットココアを飲みながらみんなのステータスを確認する。みんなにもメモに書いて渡す。

 

 名前:春日あずさ(わか)

 年齢:10歳

 レベル:8

 HP:126/126 MP:227/227

 STR:27 VIT:35 INT:39 MND:46

 AGI:28 DEX:39 LUK:59

 能力:算術Lv3 状態異常耐性Lv2 弓術Lv3 短剣術Lv3

    格闘術Lv2 料理Lv1 気配察知Lv1 気配遮断Lv1

    警戒Lv1 消音行動Lv1

 祝福(ギフト):ひなたの寵愛

 称号:救われし者

 

 名前:春日フラン(テト)

 年齢:9歳

 レベル:8

 HP:137/137 MP:218/218

 STR:33 VIT:48 INT:31 MND:33

 AGI:39 DEX:53 LUK:63

 能力:集中Lv2 警戒Lv2 掃除Lv2 洗濯Lv1 弓術Lv3

   短剣術Lv3 格闘術Lv2 料理Lv1 気配察知Lv1

   気配遮断Lv1 消音行動Lv1

 祝福(ギフト):ひなたの寵愛

 称号:救われし者


 名前:春日ファティマ(サラ)

 年齢:8歳

 レベル:8

 HP:129/129 MP:224/224

 STR:30 VIT:41 INT:37 MND:43

 AGI:39 DEX:57 LUK:66

 能力:料理Lv2 掃除Lv2 洗濯Lv2 弓術Lv3 短剣術Lv3

    格闘術Lv2 気配察知Lv2 気配遮断Lv2 警戒Lv2

    消音行動Lv2

 祝福(ギフト):ひなたの寵愛

 称号:救われし者


「おぅふ、さすが、my天使たち。みんな隠密能力ゲットしてるよー。やるなー」

「「「えへへー」」」

「あ、そう言えば私も上がってたな、”ステータスオープン”!」


 名前:春日ひなた(ソル)

 年齢:14歳

 レベル:21

 HP:9,630/9,630 MP:17,514/17,514

 STR:2,068 VIT:2,860 INT:3,073

 MND:3,487 AGI:2,372 DEX:3,073

 LUK:5,224

 能力:言語把握 叡智 鑑定 能力創造 錬金術EX

    除染(ディカンタマネーション) 物理攻撃無効 魔法攻撃無効 状態異常無効

    身体強化Lv8 集中Lv4 気配察知Lv1 気配遮断Lv1

    警戒Lv1 消音行動Lv1 棒術Lv1 短剣術Lv4 剣術Lv8

    弓術Lv5 格闘術Lv7 槍術Lv4 盾術Lv4

    生活魔法LvMax 空間魔法LvMax 時魔法LvMax

    火魔法Lv8 水魔法Lv7 氷魔法Lv8 聖魔法Lv5

    土魔法Lv6 風魔法Lv6 回復魔法Lv8 雷魔法Lv4

    闇魔法Lv5 付与魔法 料理Lv5 掃除Lv7 洗濯Lv4

 祝福(ギフト):創造主の加護

 称号:未来人 不老不死 叡智管理者


(あはははは、何だこれ?あははは)

 そっと画面を閉じようとしたら、

「お姉ちゃん、凄ーい」

「「うわぁー」」

「えっ、いつの間に…」

 気がつくと私の側にくっついてパネルを見ている。いきなりの隠密発動である。やるなお主ら。

「私のはあまり気にしないでいいよー。何せ神様の加護のお陰で数字がおかしくなってるからねー」

「お姉ちゃん、神様にも愛されてるのね」

「え、あのじいちゃんに?いやいやそれは無い」

「そう言えば会った事あるんだっけ?」

「あるよー。100年後にまた会う約束してるんだけどねー」

「100年後って私たち生きてないよ」

「私の可愛い妹たちをたった100年で死なせるわけないでしょ?」

「えー、そこまで出来るの?」

「た、たぶんね。でも絶対死なせないよー」

「「「う、うん」」」


     *     *


「よし、それじゃ、ウガンダの愛しのラクワちゃんに会いにいくぞー」

「やっぱり、それが目当てか…」

「「お姉ちゃん…」」

「あ」

「ちなみにお姉ちゃん、ウガンダの時差計算してるよね?」

「あ」

「もうすぐ1時だから、今から行ったらウガンダは朝の7時ね。ぎりぎり朝食の時間かな」

「ほ、ほら、オッケーじゃないの」

「さっき、”あ”って言ってたよ?」

「あ」

「「ふふ」」


【時差情報:-6時間】日本:13時 ウガンダ:7時


 とりあえず気を取り直してウガンダへ飛んだ。

「ぐっもーにーんっ、ラクワちゃん会いに来たぞー」

「これはこれはソル様、こんなに朝早くからようこそおいで下さいました」

(あんたは呼んでない。つうか、今のは何?嫌味?)

「お姉ちゃーん」

(キタキター!バッチ来ーい!)

 飛んできたラクワちゃんを腰を低くして抱きしめる。

「ラクワちゃん、元気にしてたかなー」

「うんっ」

「村長さん、ごめんなさいね。私の居たところはもうお昼過ぎてて、一緒にご飯でもと思って来たんだよ。

 それからこの子達は私の妹たちです」

「そうなんですか。わざわざ遠いところから恐縮ですな」

(何か嫌味に聞こえるのは気の所為(せい)かな?)

「それじゃお肉とかお野菜いっぱい持ってきたから村人みんなで食べましょう」

 そう言うとアイテムボックスから大きめのバーベキューセットやテーブル、椅子、食材などをどんどん出していく。

 予め作って置いたおにぎりやパンも出す。

 ちょっとテーブルが手狭になってきたので、土魔法で土を盛り上げテーブルを作り、そこにシーツをかぶせて簡易テーブルにした。そちらへおにぎりやパン、飲み物、紙コップなどを置いていく。

 バーベキューの台の下に薪を設置し火をつけ、薪に火が行き渡る間、うちの子みんなで肉や野菜を切り分けて串に刺していく。串に刺すのはラクワちゃんも手伝ってくれたよ。

 村人たちも現地の野菜を持ってきてくれたのでそれも刺していく。

 焼き上がる先からみんなに配っていく。

 途中から村人も焼くのを手伝ってくれたので遠慮無くお任せして食事をする。

(うーん、流石ワイルドボア。美味しいー)

 日本から持って来た市販タレを勧めているのでみんなも満足そうだ。

「お姉ちゃん、お肉美味しいねー。お野菜も美味しいのー」

「そうかー。ラクワちゃんが喜んでくれてお姉ちゃん嬉しいよー。

 それからラクワちゃん、こっちが私の妹たちだよ。みんなとも仲良くしてねー」

「うん、私、ラクワ・オピって言うの」

「そう、私は春日あずさよ。あずさお姉ちゃんって呼んでくれると嬉しいなー」

「うん、あずさお姉ちゃん」

「私は春日フランよ」

「春日ファティマって言うの」

「うん、フランお姉ちゃん、ファティマお姉ちゃん。みんなお友達ね」

「「「うん」」」

 3人にラクワちゃんを奪われてしまった。私もー…。

 と思ったらラクワちゃんが駆け寄って来た。

「お姉ちゃんも一緒ー」

「ありがとー」


「あずさちゃん、お持ち帰り…」

「駄目に決まってるでしょ!」

「ガクリ…」

「お持ち帰り?」

「ラクワちゃんは気にしなくていいからねー。一緒に遊びましょうねー」

「うんっ」


 ご飯が終わると、ラクワちゃんの案内で、チンパンジーやゴリラを見に行ったり、キリンに餌を上げたり、ライオンに追いかけられたりして遊んだ。楽しかった。

 フランちゃんがライオンに乗るって言って突進した時は焦ったけどね。

 一応、後から普通の子供はライオンに襲われるからあまり近づかないように言ったけど、

「私、動物ぐらいなら平気だから」

 とか言って真に受けてくれなかた。

(うん、確かに返り討ちにしそうだけどね)

 実際、ハイエナが襲って来た時はファティマちゃんが華麗な回し蹴りや踵落としをお見舞いしてたよ。うん。どこに向かうんだろう、この子たち。

(おぅ、やっちまったかな、私。何かやる事なす事ナナメってる気がするんだけど、私の教育の仕方間違ってないよね?)

《マスター、自信をお持ち下さい》

 お陰でラクワちゃんの視線がファティマちゃんに釘付けになったけどさ。別にいいんだけどさ。ぐすん。

 

「やっぱ、ここはお持ち帰「駄目っ!」」

 鰾膠(にべ)も無く拒否られました。

 

 食事が終わりお(いとま)する事になり挨拶する事になった。

「突然の訪問失礼しました。ラクワちゃんに逢いた…ゲフンゲフン、その後の様子が気になったものですから食事を一緒にしたく来ましたが、みなさんもその後、何事も無いようで安心しました。これからも時々妹共々お邪魔するかもしれませんが宜しくお願いします」

 村人からは高評価を貰ったようで歓待の挨拶を受けた。


     *     *


 そこでふと村の一角にゴミ山を見つけた。

 近づくと生ゴミが入っているせいか異臭がする。結構な匂いだ。

(うわぁ、こんなところで食事してたのかぁ。離れていたとはいえ気分良いとはいえないなぁ)

 でもよく見ると、可食部は家畜の餌にしているのか見当たらず、殆どがメイズ(白いとうもろこし)の芯や葉っぱ、キャッサバやジャガイモ、サトウキビの皮などだ。

(ふむ、これはこの間ネットで見たあの方法が試せるんじゃないかなぁ)


「村長さん、皆さんはゴミはどうされています?あちらのゴミ山に捨てているの?」

 村長に近づき少し大きな声で質問してみた。これは見過ごして帰れる問題じゃない。

「そうですなー。あちらもそうですが、穴を掘って埋めたり、燃やしたり、その辺に捨てたり、適当ですな」

 村人が集まってきたのを確認し口を開く。

 

「私、神の代理人って先日話したと思うのですが、ラクワちゃんみたいに病気を治すのが本来の仕事ではなく、この星を綺麗にする事が私に任された任務なのですよ。

 それで神様は人間があまりにもこの星を汚しすぎる事にうんざりして出ていってしまったんです。つまりはこの星は捨てられたのです。

 100年後に神様は一度様子を見に戻ってきます。その時に今のままだと恐らく人類は滅亡します。最悪この星ごと消滅されます。

 そのためにも一人ひとりがこの星を綺麗に保つ努力をするべきなのです。ポイ捨てなんて言語道断です。

 一番の問題はプラスチック、ペットボトルやこちらで言うプラスチックバッグのカベーラなどがそうです。

 これらを放置すると、そこに雨水が溜まってマラリアを媒介する蚊の発生源になったり、家畜が誤飲して死んでしまったり良い事は何もありません」

(みんな驚いた顔をしている。どこで驚いたのかな?星が消滅する事?マラリアの事?

 でも少しづつ認識を持って貰わないと私一人じゃ無理だからね)

「それで私たちはどうすればいいのですかな?」

 村長が聞いてきた。

「プラスチックなどは燃やすと身体に有害な物質が発生するので、それら燃えないものと燃えるものに分けましょう。

 燃えないものには使わなくなった衣類とかの布製品、壊れた鍋などの金属類が含まれます。衣類は分解して再利用するので燃やさないで下さい。

 そして燃える物のうち食べ物から出たゴミや、木くず、葉っぱなどは村の資源になるようにブリケットと呼ばれる石炭にしましょう。

 ここまでは大丈夫ですか?」

「えぇ、分かりました。しかし、食べ物のゴミから石炭が出来るのですかな?」

「可能です。これから時間あるようでしたらお教えしますがどうですか?」

「はい、村の収入になるのでしたら是非お願いします」


 それから数人の村人を連れてゴミ山に行く。

「それじゃ一旦このゴミ山は収納しておきます。村長、分別用のゴミ捨て場を作りたいのですが、燃やして煙が出ても良い場所ってあります?」

 そう言って目の前でゴミ山を消した。ニオイ成分などは元素単位で分解しておいた。

『『『おぉー』』』

「そうですな、それなら丁度良い空き地があります」

 村長の後についていき、途中のポイ捨てされたゴミも拾いながら村の一角にある空き地に辿り着く。

「それじゃいくつかの枠を作りますね」

 そう言ってまずは1mほどの高さの四方を囲まれたエリアを土魔法でコンクリート並みの硬さで作成する。

「ここは先程言ったプラスチックなど燃えないゴミ専用です」

 先程ゴミ山から回収してきたプラスチックや金属類、布類など燃えないゴミを入れる。実際に目で見て覚えさせるのだ。

「ここには食べ物などの燃えるゴミは絶対入れないで下さい」

 その隣に燃えるゴミ用のエリアを作成し、燃えるゴミをいれる。

「この2つはきっちり分けて下さいね」


「それではこれからが本題です」

 さらに隣にレンガ1個分の高さのエリアを設ける。範囲を認識させるだけなので高さは必要無い。線で囲むだけでも良いぐらいだ。

「ここに先程の燃えるゴミの山からメイズの芯、キャッサバやジャガイモ、サトウキビの皮、木くずや葉っぱなどを敷いて完全に乾燥するまで天日干しします。メイズの芯は出来れば輪切りなどにすると早く乾くと思います」

 燃えるゴミ捨て場から、今作成したエリアに輪切りにしたメイズの芯を取り出しばらまくと、他の材料も合わせて均等になるように敷き詰める。みんなにも覚えて貰う為実際にやってもらう。

「時間が無いので今回だけ私が乾燥させますね、”乾燥(ドライ)”!」

 完全に乾燥したのを確認し、

「余っているドラム缶などありますか?」

「いや、そのような物は特にないですぞ」

「了解。それじゃちょっと待ってて買ってくる」

 

 近くのちょっと大きめの街に行って急いで購入し戻ってくる。

 すぐに錬金術で蓋のところに四角い穴をあける。取り除いた四角い枠の鉄板は取っ手を付け、鉄を追加して開けた穴よりも少し大きくなるように加工する。これで蓋の出来上がりだ。

 次にドラム缶の底に10㎝大の穴を8ヶ所空ける。ドラム缶の横っ腹にも持ちてを2ヶ所作る。

 ドラム缶の下にある程度の隙間が出来るようにレンガを3ヶ所ほど配置して、その上にドラム缶を乗せる。

 

「はい、まずはこのドラム缶の中にメイズの葉を敷きます。ゴミが穴から落ちないようにする為です。

 次に手のひら大の太い木を真ん中に立て、周りに乾燥させたゴミを入れて行きます」

 アイテムボックスから適当な大きさの木材の棒を真ん中に立て、どんどんゴミを投入する。村人も一緒にだ。

「ゴミを入れ終わったら、もうこの棒は抜いても構いません。中まで空気が循環する為です。

 次にドラム缶の下に枯れ草や薪を入れ火を付けます」

 薪などを入れ、火魔法で着火する。これで暫く様子見だ。

「今日は時間が無い為時間を進めますが、実際は2時間ほど燃やし続けると、このように蓋から火が上がります」

 ”時間操作(タイムコントロール)”でドラム缶の時間を進めると火の勢いが強くなり燃え上がった。

『『『おぉー』』』

「下のレンガをどけて、ドラム缶を直接地面に下ろします。下から空気が入らないようにです。熱いのでやけどしないように気をつけて下さいね」

 余った木の棒で横の取ってを持ち上げ、レンガを払い除けて貰い、地面に下ろした。

「最後に蓋をして上からも空気が入らないようにします。蓋が外れないようその上から土などを被せてもいいでしょう。空気が入らなければいいのでやり方はお任せします」

 蓋をして上から土を盛っていく。

「これで鎮火するので後は覚めるまで待ちます。2日ぐらいでしょうか」

 試しに1日時間進めてもまだ少し熱かったので更に1日置くと完全に固まった。次にドラム缶の側に土でコーティングした高さの無い作業台を作り、そこにドラム缶の中身を取り出した。

「この作業台に炭を広げたらこれを細かく砕いて、メイズかキャッサバの粉を溶いたものをつなぎとしてこれに混ぜよく捏ねます。つなぎの粉は炭の1/10ぐらいでいいでしょう。溶く時水を入れすぎないようにして下さい」

 手を汚したく無かったので、こちらは村人にやって貰った。その間に私は鉄で炭を丸く成形する蓋の空いた缶詰みたいなのを作った。そして上から炭を圧縮する蓋とそれに鉄の棒を繋げて上から押さえつけられるようにした。同じのを3つほど作っておく。

「出来上がった炭はこの鉄の容器に入れ上から圧縮して固めます。それを取り出して完全に乾燥するまで天日干しにしたら完成です。この炭は上流や中流家庭で売れると思いますので頑張って作って下さいね。名前はブリケットです」

 丸く圧縮した炭を台に並べていく。あとは待つだけだね。これは他の村でも有効な資金調達手段になると思うから、マニュアルみたいなのを作って後で渡すか。

「以上です。理解出来ましたか?後で簡単に纏めた説明書みたいなのを持ってきます」

「えぇ、よく分かりましたが、一度では流石に。説明書があると助かります。ありがとうございます」


「そして最後に、プラスチックなどの燃えないゴミは国が対応してくれるまでは私が来た時にでも回収しましょう。頑張ってたくさん集めた場合はキロ当たり2,000シリングで買い取ります。所詮ゴミなのであまり期待されると困りますけどね」

「はい、それは助かります」

『『『おぉー』』』

「それでは帰りますね」

「はい、またいつでもお越し下さい」

『『『ありがとうございました』』』


     *     *


 それから帰るべく、村人たちに改めて挨拶をする。

 最後にラクワちゃんにお別れをするべく話し掛けると、

「やだやだやだ、みんな行っちゃやだー」

 ラクワちゃんが駄々を捏ねて泣き始めてしまい、右往左往してしまう4姉妹。

「あぅ、あずさちゃん、どうしようー」

「気持ちは分かるけど、お持ち帰りは駄目ですよ」

「ラクワちゃーん、うわーん」

「私もお別れしたくないよー」

 ちびっ子たちは撃沈したようだ。うん、分かるよ。この破壊力は半端無いもの。


「ラクワちゃん、お姉ちゃんたちを困らせないで。また会いに来るからね。

 そうだ。今度はラクワちゃんを私の家に招待してあげるよ。お父さんとお母さんが許すならね」

「ほんと?私、行きたい!お父さん、良い?」

「うーん、そうだね。ラクワが行きたいなら行きなさい」

「そうね。せっかく助けてもらったのだからソル様がいいのなら良いわよ」

「やったー」

「分かりました。それならせっかくなんで、これから1週間ほどお預かりしてもいいでしょうか?」

「「えぇ、宜しくお願いします」」

「「「わーい」」」

(よっしゃー。期せずしてお持ち帰りだぜー。もちろん返すけどね。このまましらばっくれて永久お持ち帰りって言う手も…)

 何だかあずさちゃんが怖い目をしてたので考えるのを止めた。

(うぅ、どっちがお姉さんか分からなくなってきた。というか、本当にエスパーの能力取得してないよね?)

 鑑定でステータスを見てみたが特にそれらしいものは無かった。

すみません、思ってたより長くなりそうなので2つに分けます。

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