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ロビー活動本格開始

◆西暦2000年5月9日(火)◆


 朝起きると、何故かあずさちゃんの胸に抱きかかえられていた。

 戸惑ってたらあずさちゃんが教えてくれた。

「お姉ちゃん、昨日寝ながら泣いてたんだよ?

 お姉ちゃんばかり辛い思いさせてごめんね。私に出来る事なら何でも言ってね」

「うわぁ、やっちまったーーーっ。何やってんのよ、私ってばーっ」

 暫くのたうち回るのだった。おかげでフランちゃんとファティマちゃんを起こしてしまったが。

「ぜぇぜぇ、はぁはぁ…あずさちゃん、ごめん。ありがとね」

「ううん、こっちこそいつもありがとう。お姉ちゃん、大好きだよ」

「「私も好きー」」

「ぐはっ…バタリ…もう死んでもいいや」

「死んじゃやだー」

 フランちゃんが抱きついてくる。

「あ、ごめ。あまりにも嬉しすぎてって意味だから、死なないから、泣かないでー」

「本当?」

「うん、約束するよ」

「うん、分かった」

 不老不死だから死ねないけどね。それは言わないでおく。

「あれ?何かうまい具合にうやむやにされてなくね?これ」

「考えちゃ駄目だよー、気にしないでー(棒読み)」

「う、うん、分かった」


 うやむやのうちに朝食の準備に取り掛かり、みんなにご飯を食べさせると、あずさちゃんとフランちゃんを学校へ送っていく。

「うぅ、やっちまったな私。あずさちゃんの胸で泣くとは…お姉ちゃんとしての尊厳が形無しだ。でも嬉しかったなぁ」

 ファティマちゃんとの帰り道つい零してしまった。

「私の胸でも泣いていいよ?」

「わーい、ありがとー」

 ファティマちゃんを抱きしめてあげる。


 自宅に帰ると洗濯をして、久しぶりに布団を干したりした後、紅茶を飲んで休憩する。

「しかし、ファティマちゃんが朝の訓練に参加してきた時は驚いたなー。もう少し落ち着いてからと思ったんだけど、一人だけ除け者みたいで嫌だったの?」

「私もお姉ちゃんのお手伝いしたいの」

「ありがとー」

 でも自主的にやる気になってくれたのなら何も言う事はないよね。抱きしめながらそう思った。

「さて、今日はアポがいくつかあるし、ほんじゃ精力的に動きますかね。世界各地へ向けて、ロビー活動も本格稼働といきますか」

「おー」


     *     *


【時差情報:-13時間】日本:9時14分 マンハッタン:前日の20時14分


 まず向かったのはアメリカニューヨーク州マンハッタンのど真ん中にある最も有名な公園、セントラルパーク。

(うわぁ、めちゃ広い…って、あれ?朝じゃないの?

 …あ、そうか。ニューヨークはもう夜なんだ!?時差13時間ぱねぇ)

 散歩してるフリしてお婆さんの座っているベンチに近づく。こんな時間に一人で大丈夫なのかな?

「こんばんわー。おばあちゃん、お一人です?もう暗くなってますが大丈夫ですか?」

 そう言いながら隣に座る。

「はいはい、こんばんわ。あら、可愛らしい子ね。私は朝晩の2回ここに座ってこの景色を見るのが好きなのですよ。

 もう歳だし、誰も襲いやしないわよ。それに襲われる時は昼間でも襲われるわ」

 可愛い?私?ファティマちゃんどっち?と思ったら視線はファティマちゃんだった。

「物騒なんですね…あ、こちらは私の妹なんですよ」

「おばあちゃん、こんばんわ」

「はいはい、こんばんわ」


 かばんから取り出す風をしてスポーツドリンクを飲む。もちろんファティマちゃんの分もあるよ。

「これ良かったどうぞ。日本で一番人気のお茶なんですよ。冷たいですが」

 日本茶のペットボトルを取り出して差し出す。

「まぁまぁ、これはご親切に。ありがとうねぇ」

 蓋が固くて四苦八苦してたので開けてあげる。いい流れだったのに、日本のメーカーどうしてくれる!

「すまないねぇ。おや、本当にこれは美味しいねぇ」

「喜んで貰えて嬉しいです」


 差し障りのない話を暫くした後、本題に入る。

「ところでお疲れのようですが、大丈夫ですか?」

「おやまぁ、顔に現れてましたか」

「よく見ないと分からないほどですけどね」

「そうなのね。困ったものね、うふふ。

 ちょっと最近持病の糖尿が悪くなったのか、目が霞むし、身体も何だか疲れやすくなっちゃってねぇ。

 年だから仕方無いのかねぇ」

「ふむふむ、それは大変ですねぇ…(鑑定!)」

(あ、確かに糖尿病が悪化してるね。それに、関節痛もあるじゃない。目も視力低下か。糖尿病の副作用だね)


「おばあさん、股関節や膝関節も痛めてるようですね」

「おや、そんな事まで分かるのかい?」

「内緒ですよ。私は神様の御使いなの」

「おやまぁ、おほほほ。愉快な子だねぇ」

「それじゃ、特別に私が治してあげますよ」

「おや、そうかい。ありがとねー」

 孫のおまじないを受けるかのような優しげな顔で応えてくれる。

「それでは、ちちんぷいぷい…じゃなくて、”絶対回復(エクストラヒール)”!」

 老婆からしたらそれは奇跡だった。光溢れる自分の身体。身体の中を流れる温かい温もり。やがて光が収まると自分の身に起きた事を否応なく実感せざるを得なかった。

「あ、あぁ、これは…」

「はい、終わりましたよ。顔色も良くなりました」


「貴方様は女神様なのですか?」

「いいえ、でも神様からこの力を授かった者ですよ。

 始めまして、私は神様の代理としてこの星を任されているソルと申します」

「ソル様。こんな老いぼれの為にありがとうございます」

「老いぼれだなんて。元気になったんですからこれからも人生を謳歌しなくちゃね」

「そうねぇ、まだまだ頑張れそうだわ。うふふ」

「お嬢ちゃんもありがとうね」

「うんっ」

 何故かファティマちゃんも褒められた。


「実は私はこの力を使って全世界を回っているところなんです。でもまだまだ始めたばかりだからなのか、認知度が低いものですから、こうやって少しづつ私の存在を知って貰っているのですよ」

「そうですか。勿体無いお話ですね」

「そこでおばあさんにお願いがあります。

 どこかお友達などが集まる場所に招いてもらって、今回のような活動をさせて貰えないかと思ってるんです。

 ご家族や娘、お孫さんもお呼びいただいてかまいません。出来るだけ多くの人に来て貰いたいのです。

 ただ、世界中を旅する事から費用が掛かってしまうので、申し訳ありませんが一人10ドルほどご負担頂ければと思っております」

「まぁまぁ、そんなに安くていいのですか?1回の通院費と思えば安いものですよ」

「そうなんですね。それではこちらのチラシをお渡しします。私の活動内容とホームページ、連絡先のアドレスなど書いてあります。

 場所と日時を決めて頂いて連絡してくれればお伺いしますので、1人でも多くの人を救えるようにご協力をお願いします」

「えぇ、分かりましたわ。素敵な出会いに神に感謝致します」

「それではどうかお元気で。お待ちしております」

 信憑性を増す為、敢えて天使の羽を出現させ、”空歩(スペースウォーク)”で中空に飛び上がり、目の前で消えて見せた。散りゆく光を残しながら。

 ファティマちゃんを抱っこしながらなのであまり締まらなかったけどね。


「うん、良い感じじゃない?この調子で頑張ろう!」

「うん。でも向こうが夜だったからびっくりしちゃった」

「そうだよねー、私もー。

 あ、富裕層とか犯罪者とか言うの忘れたけどチラシ見て判断してくれるよね、きっと。まぁ、なんくるないさー」

「なんくるないさー?」

「可愛いなぁーもー。ぎゅー」

 ファティマ成分を補充して、意気揚々と次の目的地へと向かった。

(しかし、アメリカの活動はちょっと大変だな。時差が厄介だ)

 それからお昼を挟んで、アポ先を回ったり、不法投棄を片したり、ロビーテロ活動を精力的に行っていった。


     *     *


「うぅ、ちょっと張り切りすぎた。ファティマちゃん、大丈夫?疲れてない?」

「平気だよー」

 自宅に帰ってきてぐったりとテーブルに突っ伏した。ファティマちゃん意外と体力あるのね。

「あ、そうだ。フランちゃん、迎えに行かなきゃ…」


 学校の門で出迎えた後自宅へ。

「フランちゃん、ちょっと元気分けてー」

 ソファに座りながらフランちゃんとファティマちゃんを抱き寄せる。

「お姉ちゃん、疲れてるの?」

「ちょっとね。でも大丈夫よ。今、2人から元気貰っているから」

「いつでも元気分けてあげるよー」

「私もー」

「ありがとー」


 それからあずさちゃんも迎えに行って、同じく元気を注入して貰った。

「お姉ちゃん、お疲れね」

「はぁー、みんながいてくれてほんと助かるよー」

 1人の時と比べると、今はこの家が安らぎの場所となっていた。

 

「あ、そうだ。ファティマちゃん、とりあえずもう村には葬式まで帰らなくていいのよね?」

「うん、そうだよー」

「学校の事なんだけど…ファティマちゃんはお父さんのお葬式が終わってからがいいと思ったけど、まだ2週間も後みたいだから、どうする?もう学校行けそう?」

「いいの?」

「もちろんいいよ。ファティマちゃんが落ち着くの待ってたんだよ?」

「うん。それならいつでもいいです」

「了解。それじゃ明日教育委員会に行って手続きと相談してくるね。むむ、ちょっと忙しいぞぉ」

「「がんばれー」」


「さて、今日の夕食は何食べたい?」

「お姉ちゃん、あまり無理しないで。お迎えの方も、家近いし、誰かに絡まれても返り討ちに出来るから一人でも大丈夫だよ?」

「私もファティマちゃんと一緒だから平気だよー。迷子にもなったりしないよー。ねぇ、ファティマちゃん」

「うんっ」

「うぅ、でも心配だよ。悪い人に連れて行かれたらどうしよう」

「「無問題(もーまんたい)」」

「お姉ちゃんの事だから私たちにビーコン付けてるんでしょ?なら大丈夫じゃない?」

「あ、そうだった。忘れてた。それじゃ、お迎えはもうしなくても良さそうね。

 夕食もお言葉に甘えさせて貰って、沖縄の観光地にもなっているステーキハウスに行こうか」

「「うんっ」」

「でも何かあったら必ず電話するのよ。って、そうなると、フランちゃんとファティマちゃんにもスマホ必要じゃないの」

「うーん、フランちゃんたちはまだ早いような…」

「うぅ、1歳しか違わないのに…」

「確かに。言われてみればそうね。ごめんね、フランちゃん」

「うん」

 フランちゃんを抱きしめるあずさちゃん。私も混ざりたい。代わりにファティマちゃんを抱きしめる。

「?」

 何で抱きしめられているのか分からない顔のファティマちゃん。

 

「分かった。夕食まで時間あるから今から買いに行こう。あと私買いたいのがあるから付き合って」

「やったー」

「うん」

「あ、宿題ってあるんだっけ?」

「あるけど今日は少ないから大丈夫」

「私も書き取りだけだからすぐ終わるよー」

「分かった」


     *     *


 みんなで仲良く携帯ショップに行き、フランちゃんに好きな物を選ばせ、ファティマちゃんには色違いを購入した。

 その後、例の裏稼業用、所謂(いわゆる)アサシンスーツみたいなのを求めて洋服店を回った。

 アサシンスーツと行っても指先が自由になった革の手袋と革ブーツ、ズボンも革のスラックス。(いず)れも色は黒。上着は黒のTシャツにフード付きの濃緑のゆったりパーカー。もちろん口元は黒のスポーツマスク。息苦しくないやつだ。

 見るからにヤバそうな風貌である。パーカーだけ色違いにしたのは、全身真っ黒だと、あまりにも中二病すぎると判断したからだ。

「お姉ちゃん、何を目指してるの?」

「忍者?スパイ?暗殺者?」

「かっこいー」

「な、何を言ってるのかなぁ…あはは」

 フランちゃんのあまりにも的確なツッコミにたじろぐひなた。

「一人分しか買わなかったって事は私たちには知られたくない事なの?」

「なっ、え、えーっと…禁則事項です!」

「お姉ちゃん…」

「「・・・」」

「ごめんね。これは私1人でやらなくちゃいけないんだよ。だから気にしないで」

「「…うん、分かった」」

「?」

 寂しそうな顔をする2人。1人はよく分かってないらしい。

(いやいや、流石にこれだけは駄目だ)


「そういえば、葬式の服装って黒でもいいのかな?」

「どうなんだろう?お姉ちゃん、ネットで調べてみたら?」

「うん、そうしよう」

 早速ネットでググると、

「おぅ、黒じゃなかった。あぶなっ。基本的に白なのか。何々女性は白色のサリーが一般的か。

 あ、ファティマちゃん、白いサリーって持ってるの?」

「あ、どうしよう。持ってないよ…あったけどボロボロになったから捨てちゃった」

「おぅ、気づいて良かった~。よし、みんなで買いに行こう。ついでに下に着るシャツとかも白で統一しようかな」

「お姉ちゃん、サリーの下は白じゃなくてもいいと思うよ。だって私の村でも下はオレンジとか赤とか来てたから」

「派手な色でもいいのね。びっくりだよー」

「一応、念の為、普段着でも着れるような青とかのワンポイントの入ったワンピースを買ってそれで行こう。慌てても大変だからね。

 靴はみんな白色持ってるからそれでいいとして…よし、それじゃ行こうか」

「「「はーい」」」


     *     *


【時差情報:-3時間30分】日本:16時30分 ニューデリー:13時30分


 まずはサリーの購入である。首都ニューデリーにやってきた4人は洋服店に向かう。

「ちなみにファティマちゃん、サリーの着方知ってるの?」

「うん、何度も着た事あるから大丈夫だよー」

「それなら私たちにも教えてね」

「はーい」

 おしゃべりしながら歩いてると、程なくしてお店に着く。

「こんにちわー」

「はーい、あら、可愛いらしいお嬢さんがいっぱいね」

「うんっ」

 元気に返事するフランちゃん。

「葬式用のサリーをこの4人分欲しいのですがありますか?」

「葬式用ね。あるわよ。ちょっと待ってて」

 暫くしてお姉さんが4人分のサリーを持ってくる。

「ついでに教えて欲しいんですけど、サリーの下に着る服って白じゃなくてもいいんですか?」

「下に着る服はみんなバラバラね。逆に全身白にしてるのは男の人ぐらいよ?」

「そうなんだー。ちなみにそういう場合の一般的な洋服って見せて貰えませんか?」

「いいわよ。そうねー。これなんてどうかしら」

(わお、金色フリルの付いた赤いワンピース風の洋服を出してきたよ。いや、これは流石に…こんなのでいいの?)

「もう少し大人しい色は無いですか?」

 今度は胸元に可愛らしいポイントのついた薄いベージュ色の上着と、同じベージュだが、花びらがポツポツと刺繍された可愛いスカート。他にも下1/5ほどレース状になった黄色いスカートなどいくつか見せてくれた。

「あ、みんなこのベージュのが落ち着いてていいんじゃない?」

「「「うん、可愛い」」」

「それじゃ、このベージュの上下も4人分下さい。試着できますか?」

「えぇ、それじゃ奥にどうぞ」

 それからキャーキャー言いながら試着し、スカートの丈が長いのはその場で調整して貰えた。

「ここで全部買っちゃったから、夕飯まで首都を散歩しよう」

「「「やったー」」」

 精算を終え通りに出ると、お店や露天などを冷やかしながらてくてく歩いていく。

 

 今私たちがいる場所は、ニューデリーの北、賑やかな市場と小さな店が並ぶ、チャンドニー・チョーック。

「人が多すぎる…」

「お姉ちゃん、それに何だか汚いよ」

「うん、汚い」

「ごめんなさい」

「ファティマちゃんが謝らなくてもいいから。建物も古いし、ポイ捨てが目立つからなんだろうね、きっと」

「「うん」」

「・・・」


 それから夕食の時間近くまでインド門、フマユーン廟、クトゥブ・ミナール、ジャマー・マスジットなどを見て回った。

 ガンジス川にも行って見たかったが、時間的にも厳しかったので、また落ち着いたら来ようねって話になった。

 

 自宅に戻ると買ってきた服やサリーを”柔洗浄(ソフトウォッシュ)”で洗い、”乾燥(ドライ)”で乾かし、最後に(とど)めの”清浄(クリーン)”までかけておいた。何となくそうしたかった。

 それからアイロンで綺麗にシワを伸ばし洋服ダンスに掛けておく。

 

 着ていた服も洗濯して干していく。今日は室内干し決定だな。夕焼けの空を見てそう思った。


     *     *


 着替えたらみんなでステーキハウスに移動。その名もジャッ○ーステーキハウスだ。1953年創業らしい。長いこと繁盛してるようだ。

 着いたのはいいものの、観光スポットらしく、暫く待つ事になった。周りの話を聞くと昔は米兵がよく利用していたらしい。

「人いっぱいだねー」

「美味しいのかな?」

「「楽しみー」」


 ようやく順番が来て席に着く。

「中も混んでるねー。流石観光スポット」

「「そだねー」」

「・・・」

 ファティマちゃんは雰囲気に圧倒されているらしく固まっている。

 

「みんなステーキでいいよね?ただ、肉が厚そうだから食べ切れるサイズのSにしよう。それからお持ち帰りでタコスを人数分買って、足りなければ家に戻って食べればいいよね」

「「「はーい」」」

 ファティマちゃんも復活したようだ。 

 それからサーロインステーキSサイズとタコスを持ち帰りで人数分注文した。

 

 暫くすると料理が運ばれてくる。

 まずはスープから頂く事に。独特のとろみのあるスープで黒胡椒をかけると絶品だった。

「「「「美味しい~」」」」

 ステーキにはお店オリジナルだろうか?おすすめのA1ステーキソースをかけて食べてみる。

「うん、このソースも最高だね。お肉が柔らかくて美味しい~」

「「「うんっ」」」

 ラベルを見るとイギリス製だった。

(米兵御用達なのに、アメリカ製じゃないのかよっ!)

 とんだ言いがかりである。


 帰りは国際通りに立ち寄ってちんすこうとか沖縄のお菓子をいくつか買って、アイスクリームを食べ歩きしながら店を冷やかしつつ、暫く散歩してから帰った。

 ついでにいつか行くであろう水着も買ったよ。あずさちゃんにはビキニをオススメしたけど、断固として断られました。見たかったのにー。


     *     *


 自宅に戻るとソファに並んで座ってまったりする。

 一応タコスも出してみたが、みんなお腹いっぱいとの事で、またアイテムボックス行きとなった。

「ホノルルで買ったデリとか、(さち)ねえちゃんとこでお持ち帰りしたのとか、今回のタコスとか、だんだん溜まってきたからどこかで消費しないと…」

「「「そだねー」」」

「誰だっ、ファティマちゃんに教えたのは!ま、いいけどね。可愛いから」

「うんうん」


「明日は午後から忙しいよー。教育委員会行ったり、いくつかアポもあるし、夕方はカーチャさんにお呼ばれしてるからね」

「あ、カーチャさんとこ忘れてた」

「私もー」

「?」

「あ、妹が増えた事言ってないや。やばい、メールしなきゃ」

 ファティマちゃんのキョトンとした顔を見ながら心の中で愛でていたら思い出した。

「「あ!」」

「?」

「ファティマちゃんには明日紹介してあげるね。ロシアのお姉さんだよ」

「分かったー」


 それから急いでカーチャさんに”妹が増えたので4人で行きます”メールを送ったら、すぐに了承の返事が戻ってきた。


「それじゃ宿題まだでしょ?とっととやっちゃいなさい」

「「はーい」」

「あ、そうだ。ファティマちゃんのスマホ渡しとくね。インドではまだ使えないから持っていかないでね」

「スマホ?ありがとー」

「フランちゃんが勉強終わったら使い方とか教えて貰って。

 …そうだ、学校でどんな宿題が出るのか一緒にやってみるといいよ。フランちゃん、お願いね」

「分かったー。ファティマちゃん、こっち来て」

「うんっ」

 それから仲良く宿題をやりだす。

「フランちゃん、それから1年制の教科書、後でファティマちゃんに渡しといてね。明日から教えていくから」

「はーい」

 

 私はベランダに出てお布団を取り込んで各部屋に敷いていった。

 それから思い出したように家具店に行き、キングサイズのベッドとマット、布団一式、キングサイズに合う長い枕を購入して戻る。

 今あるやつは遠征用にアイテムボックスに入れ、キングサイズのものと入れ替えた。

「これでみんな安心して眠れるね」

 4人で寝るようになってからたまにフランちゃんが落ちるのだ。それでも起きないフランちゃんも凄いけど、毎回音で目が冷めて布団に運ぶ私は気が気でなかった。


     *     *


「あ、そういえばお姉ちゃん」

 宿題を終えたフランちゃんが突然聞いてきた。

「なーに?」

「この指輪、お友達がいけないんだよって教えてくれたの」

「えっ、あずさちゃん、そうなの?」

「うん、学校にはアクセサリーはたぶん禁止されてると思う。私は外して行ってるからいいけど、フランちゃんは外すとみんなとお話すら出来なくなるからねー」

「それはやばいんじゃない?ファティマちゃんもだよ。どうしよー」

「足首とかなら見えないから大丈夫だと思うけど、プールの日がね…うーん」

「とりあえずフランちゃんとファティマちゃんには日本語を早めに覚えて貰う必要があるね」

「それは必須事項だね」

「うむむむ…ぬぬぬ…

 …とりあえずアンクレットから作るか」

 そう言うと銀貨を何枚か取り出し、サイトで良さそうなデザインを探して、2人の足に丁度良い大きさに加工していく。

「ロールチェーンなら簡単だけど、音が鳴りそうだよね。ロープチェーンなら音は大丈夫そうだけどこれどうなってんの?複雑過ぎ…ガクリ」

《マスター、私がやりましょうか?長さとデザインだけ教えて貰えれば何とかなります》

「おぅ、流石えっちゃん。それならこのサイトのデザインで3つ作ってくれる?」

《YESマスター、少々お待ち下さい》

「3つ?」

 あずさちゃんが首を傾げる。

「2人だけじゃ可愛そうだから、みんな一緒に作ってあげるよ」

「ほんと?嬉しい~」

 あずさちゃんが抱きついてくる。ぐふっ…不意打ち禁止…。


「あ、えっちゃん、ごめん、もう1個追加。大人の女性用だから1.5倍ぐらいの長さで。後は向こうで調整しよう。

 金貨も出すだから18金にしよう」

《YESマスター》

「カーチャさんの?」

「そそ。誕生日プレゼント用意しないとね」

「なるほど」

「4人からのプレゼントだから指輪も作っとくか」

 同じく18金でフランちゃんのと同じ絵柄だ。

「よし、これも指の大きさが分からないから向こうで調整だな」

 

 それから暫くして4つのアンクレットが出来上がる。

 うち3つには”言語把握”を付加して足首に嵌めてもらう。

 カーチャさんの分は布に丁寧に包んで小さな箱に入れてラッピングした。

 

「ちょっと動いてみて」

「「「うん」」」

 飛び跳ねたりしたけど、ほとんど聞こえない。

「うん、これで完成。痛くない?」

「「「痛くないよー」」」

「それじゃ、フランちゃんとファティマちゃんは学校行く時は指輪は置いていってね」

「「はーい」」

「さて、問題はプールの時間か…うむむ…」

「あ!」

「お、何々?何か良いアイデア浮かんだの?あずさちゃん」

「うん、水着に付与魔法すれば良いんじゃない?」

「ぬ、おぉぉぉおおおおお。ナイスアイディア。流石あずさちゃん。でも洋服脱ぐ時にアンクレットばれないかな?」

「あ、うぬぬ」

 さすがのあずさちゃんもお手上げかと思った時、フランちゃんが、

「靴下脱ぐ時に一緒に外せば大丈夫だよ」

「ピコーン!!私たちより天才がいたよ、ここに。それなら着脱しやすいようにちょっと加工しよう」

 捨てられていた家具などに付いている磁石を取り出し、アンクレットの留め金部分を錬金術で変形し、内側に磁石が埋まるように両側に作る。その出来た磁石入り留め金同士を近づけるとくっつくと言う寸法だ。

「これでどう?つけてみて」

「うわぁー、お姉ちゃん凄い。つけるのも外すのも簡単だよー」

「本当だ。凄いねー」

「おー、お姉ちゃん、ナイスアイディア。これならこっそりつけ外しできるね」

「えっへん…作ってくれたの、殆どがえっちゃんだけどね」


「さて、問題の日本語の習得だけど、私も教えるとして…休憩中も勉強になるように何か日本語のアニメか何か借りてこようか。ここに何故かDVDプレイヤーあるし」

「お姉ちゃん、日本語の勉強用のDVDって無いのかなぁ?」

「え、そんなのもあるの?」

「よく分からないけど、一応探してみようよ」

「そだねー」


 それから早速仲良く借りに行ったまでは良かったが…結論から言おう。追い出されました。グスン。

「そうだった。私ってば、免許証も保険証も何もないじゃん。冒険者ギルドカードは論外だし」

「身分保証が必要なんだね。はぁー」

「仕方無い。中古で売ってる物があるから適当に買っていこう。明日、市役所で保険証も貰ってくるよー。

 どんな病気でも治せるから無用の長物だとばかり思ってたのに…こんな偉大な力があったとは…」

「お姉ちゃん、お便りのプリントに、修学旅行などでは保険証のコピーを持たせて下さいってあったよ、確か」

「そうなの?それじゃ(いず)れ必要だね、こりゃ」

「そだねー」

「お姉ちゃん、頑張れー」

「頑張れー」

「可愛い声援ありがとうございます。ぎゅー」

「「く、苦しいよー」」


 自宅に戻ってくるとフランちゃんはファティマちゃんとスマホの使い方を教え始める。

 というか一緒に練習してるように見えなくもない。必然的にあずさちゃんも入ってきた。

 私は中々掃除できない居間を掃除するべく、みんなに一旦自分の部屋に行って貰って掃除を開始する。キッチン辺りまで綺麗にしていく。それ以外は昨日したからまた今度。

「掃除終わったからねー」

 上の階に向かって一応完了報告はしておく。

 

 するとぞろぞろ降りて来たので、ソファで紅茶を飲みながら…

「あ、そうだ、ちんすこう食べよう」

 とか、

「買ってきたアニメ見てみよう」

 などと家族団欒をしながらまったりとした時間を過ごした。

 アニメは最初指輪をしたままで見て、その後外してもう一度としてみたけど、これでいいのかよく分からなかった。

 

 やがてちびっ子たちが船を漕ぎ始めたので、みんなでお風呂に入り、歯磨き後、少し早めの就寝となった。

 みんなには新しいベッドに驚かれた。フランちゃんが夜中ベッドから落ちる事を話たら、

「私ベッドから落ちないよ?」

 知らぬは本人ばかりなり…か。

 

(私の天使ちゃんたち、おやすみ)

修正完了したので再投稿します。

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