養子縁組
◆西暦2000年5月2日(火)◆
「よし、今日はあずさちゃんのお迎えに行くよ」
いそいそといつものルーチン作業を行うひなた。
「ちょっと時間あるから布団干そう」
各部屋を回って布団一式を回収していく。シーツやカバーは洗濯機の中へ。
洗濯機を回しながら、2階のベランダに出て布団類を干していく。
「洗濯機がこんなにありがたいなんて、洗濯機さまさまだね、ありがとうー」
洗濯が終わり、シーツ類を干し終わったら、ちょうどいい時間だったので病院へ向かった。
* *
病院入口の前には須賀さんの姿。何だかちょっと落ち着きがない様子。
「やっと来たか。こっちはあまり時間がないんだ」
(な、なんですとー。言うに事かいて、そんな事いいますか?)
「まだお約束の時間にはなってませんが?」
「いいから、急いで終わらせるぞ」
「はいはい」
それから受付へ行き、退院手続きと入院費の支払いを済ませる。
須賀さんと病室に行くと子供たちが一斉に私に抱き着いてきた。
『わーい、お姉ちゃんだー』
『私に会いに来てくれたの?』
『僕もだよね?』
「うおっ、何だ、いきなり何が起こった!」
須賀さんが急な展開に驚いている。
「この子たちに懐かれているだけですよ。お気になさらずに、どうぞー。
みんなも少し落ち着いてね。今日はあずさちゃんとあずさちゃんのお父さんに用事なの。もちろん、みんなの顔も見に来たよー。
透ちゃんも体調は大丈夫?元気になった?」
『そっかー、分かった』
(みんな、納得してくれたようみたい。良い子たちばかりだね)
「うん、もう元気だよ。早くお外に出て遊びたい」
「そうだね。退院したらいっぱい遊んだらいいよ」
「うん♪」
透ちゃんもすっかり元気なようだ。
「お父さん、会いに来てくれたの?嬉しいー。お姉ちゃんもいらっしゃい」
とことこやってきた、あずさちゃんの満面の笑みを前に胸が締め付けられるようだ。
「あずさちゃん、おはようー」
「おはよー♪」
「よし、あずさ、帰るぞ。荷物を片付けろ」
(あんたも手伝えよっ!)
「あずさちゃん、私も手伝うね」
「ありがとー」
一緒に片づけを終わらせたが、思ってた以上に何も無かった。洗面と着替え、コップ類の小物、絵本が数冊のみだった。
(こ、こいつ、ほとんど来てなかったな。むかつくわー)
「お父さん、みんなとお別れしていい」
「だm「いいよ」なっ」
口を挟んでやった。
(こいつ今、駄目って言おうとしやがったな)
「分かった。父さんも仕事があるから急いでな」
「はーい」
慌てるようにみんなの元へ向かうとお別れをして回るあずさちゃん。
「透ちゃん、また会えたらいいね。元気でね」
「うん、あずさちゃんも元気でね」
それから2人がナースセンターで挨拶をした後、病院を後にした。
「お父さん、やっとお家に帰れるね♪」
「あー、あずさ、すまんが、お家には帰れない」
「えっ、どういう事?帰っちゃ駄目なの?」
「父さんな、もう別の女の人と結婚しちゃたんだ。その人の子供も2人家にいるんだ。
それでな、急にはあずさを連れて帰れないんだ。分かってくれ」
「な、もうちょっと言い方があるでしょ!」
「ちょっとあんたは静かにしててくれ」
「なっ」
「お、お父さん、私要らない子なの?私を捨てるの?」
「すまない、何れちゃんとお詫びはするからな。
それから、あずさ、今日からこのお姉ちゃんのとこで暮らしなさい。このお姉さんからも了解貰ってるからな」
「えっ、やだ。私、お父さんと離れたくない」
「我儘言うな、今は無理なんだ。我慢してくれ」
「やだやだやだー、うわーん」
(ぐふっ、やだって言われた。私のライフはもうゼロよ!
と言うかもう見てられない…)
その後も周りにチラチラ見られながらも、泣きじゃくるあずさちゃんに手を焼いてヤキモキする父親。
(もうちょっと優しく出来ないの?あずさちゃんの事、ちょっとは考えてあげろよー)
「あずさ、もう仕事に行かないといかん。すまん、分かってくれ。
それじゃ嬢ちゃん、あずさを頼む」
「頼まれなくてもきちんと育てますので、ご安心を」
「分かった、それじゃ頼む」
そういうと慌てるように逃げて行った。
「お父さーん…」
父親がいなくなり私に縋り付いて泣きじゃくるあずさちゃん。
どれくらいの時間が過ぎただろうか。こんなに長くて辛い時間は無かった。
「あずさちゃん…」
「お、お姉ちゃん、私…」
そして縋り付いたまま、ぐずりながら黙り込むあずさちゃん。
「ぐすっ、お姉ちゃん、私捨てられたんだよね」
「う、うん、ごめんね。何もできなくて」
「ううん、お姉ちゃんは悪くないの。きっと私が悪い子だったんだよ」
「それは違うよ。あずさちゃんは良い子だよ。病室のみんなとも仲良しだったでしょ」
「うん、でも…」
暫く落ち着くまで待ってから、
「よし、退院祝いに美味しいお菓子食べに行こうか」
「…うん」
あずさちゃんの手を取って人目の無い場所からホノルルへ転移した。もちろんあのお店である。
* *
【時差情報:-19時間】日本:10時20分 ホノルル:前日の15時20分
「えっ、お姉ちゃん、ここどこ?何で急に変わったの?」
「あずさちゃん、詳しい話はお家に帰ってからしてあげるね。とりあえず美味しいもの食べに行こう」
「うん」
驚いてはいるが、まだ元気にはなれないようだ。当たり前か。
「ヘレンお姉さん、来たよー」
「ひなたちゃん、いらっしゃい。今日は可愛いお連れさんがいるのね」
「はい、私の妹です。日本語しか話せないので挨拶はできませんが」
「オッケー。大丈夫よ。それじゃゆっくりしていってね」
「はい」
ヘレンさんはあずさちゃんに手を振って仕事に戻っていった。
「お姉ちゃん、外国の人とおしゃべり出来るの?凄―い」
「えっへん」
無い胸を張って偉そうにしてみる。早く元気になれー。
「あずさちゃん、何食べたい?」
受付の前でショーケースを見ながら問いかける。
「えーっと、このイチゴが周りに乗ってるのがいい」
「お、良い選択だねー。私もそれにしようかな。飲み物はどうする?」
「ジュース」
「了解、それじゃちょっと待っててね」
受付で2人分注文すると、料金を支払い、空いている席に移動する。
今回頼んだケーキは、冒険者ギルドでEランクに上がった後にヘレンさんから奢って貰った、新作スイーツ“パヌッキー”のイチゴ版だ。アイスもストロベリーが練り込まれている。
「これはね、“パヌッキー”って言って…」
それから2人でスイーツを食べながら、先日仕入れたこのお菓子の情報を知ったかぶりして教えてあげて、まったりと過ごした。
「美味しい~」
それから私はタピオカミルクティー、あずさちゃんはオレンジジュースを飲みながら、
「あずさちゃん、もう大丈夫?
大丈夫じゃないとは思うけど、これからはお姉ちゃんがあずさちゃんを守って行くからね。
これから暫くは日本の沖縄県って言う一番南にある島で過ごす事になるからね。
暫くって言うのは、たぶん日本だけじゃなくて、何れ外国にも行くと思うからだよ」
「おきなわ?海が綺麗って聞いた事あるよ」
「そっかー。海にも泳ぎに行こうね」
「うん。でも外国にも行くの?」
「そうだよー。私のお仕事は日本だけじゃないの。だから時々外国に行ったりもするよ」
「そうなんだ。凄いねー。外国行ってみたいなぁ」
「ふふ。今いるとこアメリカだよ?」
何だか頭を撫でてあげたくなったので撫でながら教えてあげた。
「ふぇっ!?だから外国の人いっぱいなの?」
「そうだよー」
それからいつものスーパーマーケットに寄って、夕食用のデリの量り売りを2人で選んで購入すると、翌朝用のパンや飲み物、食器や替えの歯ブラシなど足りないものをいくつか購入して帰宅の途についた。
* *
「ただいまー」
「た、ただいま?」
「あずさちゃんはもう家族なんだからただいまでいいよ」
「うん、ただいま」
それから席に座ると、ホットココアを入れてソファに座った。あずさちゃんは私の隣だ。
テレビを見ながら少し休憩した後、あずさちゃんを連れて各部屋を案内した。
「あずさちゃんはこの部屋使ってね。
あ、お布団干したままだった。あとで一緒に取り込もうね」
「私、お姉ちゃんと一緒がいい。一人はやだ」
「分かった。でも一応勉強する時はこの部屋使ってね」
「うん、分かった」
「あ、そうだ。直くんに貰った絵。この部屋に飾ろう。どこがいいかな?」
「うーん、それじゃ、こっち」
窓の側、明るくて見やすい場所にその絵を立て掛けた。
それからお風呂やその使い方、トイレ、洗面台などを回っていく。
ついでに病院から持ってきた洗面セットやスーパーで買って来たものも設置していく。
「お姉ちゃん、手品師なの?」
「えっ?」
「だって何もないところから洗面器とか歯ブラシとか出してるから」
「あぁー。手品師って言うより魔法使いかな」
「魔法!?かっこいいー」
「えっへん」
またまた無い胸…(うっさいわっ)
それから再度ホットココアを入れ直して、
「あずさちゃん、今日からは私の家族になったんだから“春日あずさ”になるからね。覚えといてね」
「かすがあずさ…うん、分かった」
「それから今更なんだけど…私があずさちゃんのお姉さんでいいの?もうなっちゃったんだけどね」
「うん、お姉ちゃんが良い」
「ありがとー」
思わず抱きしめてしまった。
「さて、あずさちゃん。私はさっき言ったように魔法使いみたいなものだよ。
これから話す内容は全て本当の事だから信じてほしいな。それから他の人にはこの事は言っちゃだめだよ?」
「うん」
「では、ちゃんと説明すると、実は私は神様に会った事があるの。嘘みたいだけど本当なの。
人間って悪い人もいっぱいいるでしょ?神様はもう人間なんて要らないって言って捨てようとしてたの。
でも私がお願いして待ってもらったの。
それからいっぱい話をして、神様は代わりに私がこの星を良くしなさいって言って、ここに連れて来られたの。難しい言い方だと、神様の代理人に任命されたの。ここまでは分かった?」
「うん、神様の代理人って凄いね」
「代理人の意味、理解できるんだね。良かったよ」
それから分かりやすく、丁寧に説明をした。
私はこの星を任されて、この星の汚れた海や土、空などを綺麗にしていく事。
悪い事をしている人を懲らしめる事。
そしてそういう人たちのせいで泣いている子供たちを助ける事。
この星以外にも、ここと似たような世界があって、そちらでも子供たちを助けたりしている事。
色々な魔法が使える事など全てを話した。
「今はね、あずさちゃんを魔法で治したように、色々なところへ行って病気を治して回ったり、誰かが自分勝手に捨てたゴミを集めて綺麗にしているんだよ。
あずさちゃんには、もし一緒に行きたいなら一緒にどこにでも連れて行くし、ゴミのお掃除とか嫌だったら、知り合いの子供たちがいっぱいいるところでお留守番してもらったりする予定だからね。
後、学校も行かなくちゃね」
「お仕事大変そうだね。私もお手伝いするよ」
「わーい、ありがとー」
それから専用サイトを見てもらい、感想コーナーや依頼コーナーなどを見せて、最後に活動報告ページを開いた。
「ここには、私がやってきた事が映像として残ってるんだよ。まだ始めたばかりだからあまりないけどね。
この映像がさっき言ってた知り合いの子供たちがいっぱいいるとこで、この子が目が悪かった子で、フランちゃんって言うのよ」
その他にも指名手配犯を捕らえた時の映像なども見せていく。
「だいたい分かった?」
「うん、お姉ちゃん凄いね」
「うふふ、ありがとう」
「最後に、私にはね、目には見えないけど、色々な事を教えてくれる叡智さんがついているのよ。
えっちゃんって呼んでるんだけどね。何でも知ってるから便利なんだよー。これも神様からの贈り物だよ。
これからそのえっちゃんと話すけどびっくりしないでね。頭がおかしいとか思わないでね、泣いちゃうかもしれないから」
「えっちゃんさん?…わ、分かった」
まだ理解が追い付いていないみたいだけど、少しづつ慣れてもらうしかない。
「えっちゃん、須賀さんとこの市役所とこちらの市役所にアクセスして、あずさちゃんが養子縁組で戸籍を移動した事にできる?もちろん、こちらの名前は春日姓で。
あ、それから、もしかして、えっちゃんってあずさちゃんとも念話で会話できる?それなら挨拶して欲しいんだけど」
《YESマスター。念話は可能です》
《あずささん、こんにちは。私はマスターである春日ひなた様の元でお仕えしている叡智と申します。マスター同様えっちゃんと呼んで下さい》
「うわっ、お姉ちゃん、頭の中に声が聞こえたよ」
「うん、それがえっちゃんだよ。これからちょくちょく私が会話するとこ見ると思うから宜しくね」
「うん、えっちゃん、宜しくー」
《はい、宜しくお願いします》
《ではマスター、登記簿謄本のデータベースにアクセスしますので暫くお待ち下さい》
「オッケー」
「あずさちゃんにも紹介できて良かったよ。これで変な目で見られずに済んだ」
「変な目でなんて見ないよー」
《完了しました》
「オッケー。あ、そうだ。えっちゃん、この会話、これからあずさちゃんにも聞こえるようにしてくれる?」
《了解しました》
「あ、また聞こえた」
「私の声しか聞こえなかったら意味分からないでしょ?だからね」
「うん」
「あ、あずさちゃん、いまいくつ?誕生日はいつ?学校には行ってたの?」
「私10歳だよ。誕生日は8月10日。学校には行けなかったけど、院内学級というのがあって勉強はしてたよ」
「院内学級!?何て素晴らしいシステムなの!
って事は、病棟の子供たちみんな集まって勉強してたの?」
「うん、ほとんどの子がいたよ」
「そっかー、それじゃ明日は、市役所の教育委員会に行って学校の手続きしてこようね。
って、あー!こういうのって、もしかして親がいないと駄目じゃない?」
「お姉ちゃん、お父さんとお母さんいないの?」
「あ、そっか。うん、そうだよ。さっき説明した通り、神様にここに連れて来てもらったからね。私一人なの。
でもこのお家は両親の名義になってて、一応は生きてる事になってるみたいなのよ。実際はそんな人いないけどね」
「そうなんだぁ、それなら一緒だね」
「うん、でももうあずさちゃんが家族になってくれたから寂しくないよ」
「私も寂しくない…よ」
(うーん、まだ無理だよね)
「大丈夫だよ。ゆっくり慣れていこうね。いっぱい楽しい事しようね」
「うんっ」
「で、えっちゃん、どうしよ。明日私が行っても大丈夫かな?どう見ても親には見えないよねー」
《YESマスター。見た目を変えたいのでしたら、闇魔法の”隠密偽装”が便利です。一種の幻術みたいなものですが、念じた姿に変身する事が可能です。
この魔法の素晴らしいところは、身体が大きくなっても視線や動きもその大きさに合わされ同期される事です
身体が大きいのに物の出し入れがお腹の辺りからとなると、相手も驚いてしまいますから》
「なるほど。確かにお腹から物が出たら怖いね」
「う、うん」
「あずさちゃん、鏡のあるとこ行こう」
「はーい」
* *
寝室に移動し、鏡の前の全身が見える位置にセッティング完了。
「よし、それじゃ、ちょっと練習してみよう。
えっと、そうだねぇ。私があと20年程たった頃のグラマーな姿を思い描いて、と」
「ぐらまー?」
「ぐふっ、そこは突っ込んだらいけません。
よ、よし、気を取り直して、こんなイメージでいいかな、”隠密偽装”!」
「でぃすがいずっ」
腕をあげてものまねするあずさちゃん。
(恰好までつけて、か、可愛い)
魔法を唱えると、みるみる身体が大きくなり、出るとこも出て、どこから見ても立派なちょっとだけ年期の入ったお姉さんである。
「うわー、凄い凄ーい」
「わお、本当にお姉さんになった。これなら明日市役所行っても大丈夫かな?」
「お姉ちゃん、声が…」
「こ、こんな感じでどう?」
少し声質を落としてみた。
「う、うん、さっきよりはいいかな」
「ま、こんなものでしょ。えっちゃん、戻るにはどうすればいいの?」
《戻れません》
「えっ!」
《嘘です。元に戻りたいと念じて下さい》
「えっちゃんが嘘ついた…」
《すみません。単なる茶目っ気ですから》
「お、おぅ。それじゃ元に戻れー」
《言葉にしなくても大丈夫ですよ》
「うん、何となくね」
「あ、戻った」
あずさちゃんの声に鏡を見ると元の姿に戻っていた。戻れて安心である。
「あずさちゃん、私がさっきの変身している時は、私たちの架空のお母さん、“春日花子”って事にするから、人前ではお母さんって呼んでね」
「かすがはなこ。もうちょっと普通の名前に出来なかったのかな?
でも分かったよー」
(神様、あずさちゃんにも言われてるぞぉ)
* *
居間に戻ってきて今後の予定を立ててみる。
「あずさちゃん、学校はいつからでも大丈夫?」
「うん、学校行った事ないから行ってみたい」
「そっかー。うん、分かったよ。それじゃ明日手続きしに行こうね」
「はーい」
「って、ちょっと待て。それならスマホも契約できるんじゃね?」
突然閃いたひなた。
「これまで未成年者で出来なかったあれこれが…
おぅふ、何て素晴らしい事なんでしょう」
「お姉ちゃんがどっか行った」
「はっ」
あずさちゃんに言われて我に返る。
「後は何があるんだっけー。ランドセルとかは明日決まってからでいいよね。
あ、下着とか洋服。学習机とか筆記用具。学校指定のものは後で買うとして…。
すぐには思いつかないから気づいたら買っていく事にしよう。
あずさちゃんも何か必要なものあったら教えてね」
「うん、お姉ちゃん、お金大丈夫?」
「うん、大丈夫大丈夫。無問題。
それじゃ、そろそろお昼時間だから、ご飯食べてからお買い物に行こうね。スマホも2人分契約してこよう」
「やった。楽しみー」
* *
やってきました、久しぶりのA&VV。
「朝、スイーツ食べたから、お昼は軽めにハンバーガーにしようね」
「ハンバーガー大好きー」
お店に入り、ひなたはJr.モッツァ〇ーガーとルー〇ビア、あずさちゃんはJr.メルティ・シン〇ルとオレンジを注文した。
そしてサイドメニューには2人で食べられるようにチリチーズカーリーフ〇イを頼んだ。
席へ移動し、食べ始める。
チリチー〇カーリーフライはちょっと辛いかなと思ったけど、それほど辛さは無く美味しかった。
もちろん、ハンバーガーと飲み物も美味しく、試しにあずさちゃんが頼んだオレンジを少し飲ませてもらったが、普通のオレンジとは違った独特なテイストで、次はこれを頼もうと誓うひなただった。
お昼をのんびり取ってからお店を出て、さてこれからどこ行こうかと思案するひなた。
「先にスマホ買いに行って、それから家具店で学習机や椅子、デスクライト。最後に洋服店に行こう」
「おー!」
それから携帯電話ショップでスマホを2台契約し、〇トリで机など学習に必要なものを一式購入。しま〇らで洋服から寝間着、下着、帽子、靴下、靴など多めに購入して帰宅した。
「お姉ちゃん、買いすぎだよー」
「いやぁ、着せ替えしたら楽しくなっちゃって、どれが良いとか選べなかったからねー、仕方無いよー」
「でも、私もどんどん大きくなってくよ?」
「はっ、そうだった。忘れてた。でも買っちゃったものは仕方無い」
「うん」
それから自宅に戻り、あずさちゃんの部屋へ行き、買ってきた物をどんどん設置、収納していった。
(後で須賀さんとこ行って、あずさちゃんの荷物取って来よう)
それからお互いの電話番号をスマホに登録したりして、やり方を教えてもらった。あずさちゃんに。
* *
「えっちゃん、これからギルドにも寄らないといけないから、あずさちゃんをフランちゃんたちに紹介しに行きたいけど、お互い言葉通じないよね、どうしたもんかねー」
《YESマスター。それなら付与魔法がおススメです。これは魂魄に刻まれたマスターの能力をアクセサリーなどに付与して、それを身に着けた者はその力を実行する事が可能となる能力です》
「な、な、なんですとー。そんなスーパーチートな魔法があったのかー!」
《いえ、まだ習得はしていません。しかし、マスターには能力創造がございます。この能力を使って新たに創造すればいいのです。
ただ、今回のは大変特殊なので私がマスターに代わって創造しましょう》
「う、うん、分かった。お願いね」
《少々お待ちください》
「はーい。その間にアクセサリー作ろう。指輪でいいかな」
ネットを開いてシルバーアクセサリーを色々と検索する。
「あずさちゃん、どういうのがいい?欲しいデザインがあったら教えて」
「うんとねー…」
それから、あーでもない、こうでもないと色々調べていると、
《マスター、完成しました》
「オッケー、ちょっと待ってね」
「あ、お姉ちゃん、これがいい!」
それは指輪の外周に動物や月をモチーフにしたもので、大変可愛らしいアクセサリーだった。
「わぁ、さすがあずさちゃん。いいねぇ、これ。よし、それじゃ作っちゃお」
「え?作るってお姉ちゃんが?」
「うん、そうだよ。いいから見てて」
まず異世界の銀貨を数枚取り出すと、不純物を取り除いて合金のまま加工していく。
軽くあずさちゃんの左手の中指にちょうど良い大きさを決めると、お気に入りアクセサリーの模様を見ながら錬成していくと、目の前で銀貨が形を変えていく様子を見てあずさちゃんは興奮を隠しきれないでいた。
「キャッキャ、凄い、面白―い」
「うふふ」
(やっぱり誰かが傍にいるのっていいね)
そして見た目ほぼ同じアクセサリーが出来上がると、今度は付与魔法でひなたの“言語把握”を付与した。
それから付与魔法の付属効果で、そのアクセサリーはあずさちゃん専用とし、たとえ奪われても他人にはその力を使えないようにしておいた。
* *
「よし、それじゃ、あずさちゃん、この指輪つけて。朝行ったスイーツのお店にもう一度行って、今度はこれからいくとこへのお土産を買っていくよ。
英語がしゃべれるようになったか確認の為にも、あずさちゃんが買ってみてね。
はい、お金。種類は何でもいいけど、20個ぐらい買ってね」
「う、うん、分かった」
あずさちゃんが指輪を嵌めたのを確認するとジェラートのお店に向かう。
【時差情報:-19時間】日本:15時45分 ホノルル:前日の20時45分
「こんにちわー、ヘレンさん。今度はお土産用にいくつか買いに来たよ。あずさちゃん、頑張れー」
「ひなたちゃん、いらっしゃい。あずさちゃんって言うのね」
「あずさです。こんにちは」
「あら、言葉分からなかったんじゃないの?」
「少しづつ勉強してます」
「まぁ、凄いのね。それじゃ何にする?」
「えっとね…」
ショーケースを見ながら選んでいく。
「これでいい?」
「はい、これでお願いします」
「オッケー、ちょっと待っててね」
(うん、付与魔法も問題ないね)
「それじゃ、ヘレンさん、また来ますね」
「ひなたちゃん、あずさちゃん、来てくれてありがとね」
「うん」
ヘレンさんに挨拶をして店から離れると、
「あずさちゃん、朝見た映像で完全に目が見えなかった子がいたでしょ?これからその子がいるとこに遊びにいくよ。
ただ、これから行くとこは、日本やここアメリカどころか、この星でもないの。
別の世界って言うのかな、多分管理している神様が違うんだと思う。良く分からないけど。
そこはテレビとか車とかここにある便利なものが殆ど無い世界で、一番違うとこは動物とは別に魔物がいる世界なんだよ。だから絶対私から離れちゃ駄目だよ。分かった?」
「う、うん。何か。ちょっと怖い」
「あんまり心配しないでいいよ。今から行くとこの人たちはみんな優しいからね。
ただ耳が尖ってる人がいたり、ちっちゃい筋肉達磨がいたりでこことは人もちょっと違うけどね」
「それじゃ、逸れないように手を繋ごう」
「うん」
そして手を取り合うと異世界に転移した。
* *
「あずさちゃん、あの建物にいる子はみんな親のいない子たちだから、お父さんたちの話はしないようにね」
「うん、分かった」
それから孤児院に向けて歩き出す。
『あ、お姉ちゃんだ』
『今日も美味しいお肉持ってきたのか?』
『わーい、お肉―』
(がっくし。私はお肉かよ。餌で釣りすぎたかな)
『その子はだぁれ?』
「この子は私の妹だよ。院長先生いる?」
『うん、呼んでくる』
『お姉ちゃん、いらっしゃい』
「こんにちは。良い子にしてた?」
『うん』
「ひなたお姉ちゃん、髪の毛の色が黒じゃないよ?」
「不思議だよねー。ここの世界の人の髪って色々あるみたいよ」
「そうなんだー」
「ひなたさん、いらっしゃい。どうぞ上がって下さい」
「はい、あ、この子私の妹であずさって言います」
「春日あずさです。宜しくお願いします」
「あずさちゃんね。こちらこそ宜しくね。みんなとも仲良くしてね」
「うんっ」
食堂へ移動するとみんなもついてくる。
(ギルドの小鴨共はうざくて、むさ苦しいけど、こっちの小鴨は可愛いねー)
「院長先生、お土産です。子供たちに分けて下さい。院長先生もどうぞ」
「いつもありがとうございます」
院長先生はみんなの席へ配っていく。
「どうぞ、召し上がれ」
『『『『『いただきまーす』』』』』
こうして楽しいおやつの時間が始まった。
「院長先生、実はこの子の紹介もそうですが、お願いがあってきました」
「はい、何でしょう。何でもおっしゃって下さい」
「ありがとうございます。大げさなお願いとかでは無いのですが、私が危険な仕事をする時にたまにでいいので、この子を1刻~2刻ほど預かって欲しいんです。もちろんお礼はしますので」
「えぇ、そう言う事でしたら、もちろん構いませんよ。いつでも連れてらっしゃい。歓迎しますわ」
「良かった。それじゃ子供たちにも自己紹介も兼ねてお願いしておこうかな」
みんながケーキを食べ終わって、まったりする頃を見計らって立ち上がる。
「みんなにお願いがあるんだけどいいかな?」
『なーに?』
『いいよ』
『いつも美味しいもの持ってきてくれるからな、いいぜ』
「まずみんなに紹介するね。この子私の妹で“あずさ”って言うの宜しくね。ほら、あずさちゃん」
「は、初めまして。春日あずさです。宜しくお願いします」
『おぅ』
『こちらこそ宜しくね』
『そんなに固くなるなよな。お姉ちゃんの妹なら俺たちの友達だからな』
『そうだよー』
「ありがとう」
あずさちゃんは肩の力を抜いて笑顔になった。
「それから、私が危険な魔物を狩りに行く時とか、たまにここにあずさをお留守番させるつもりだから、その時はみんな仲良く遊んであげてね」
『うんっ』
『りょうか~い』
『俺に任せとけっ』
『やったー、お友達増えたー』
(うんうん、みんな良い子ばかりで嬉しいよ)
「あ、そう言えば、院長先生、この子にも冒険者ギルドカードみたいなものを持たせたいのですが、冒険者は確か13歳からだとか。
この子10歳なんですけど、何か代わりになる市民カードみたいなものってありますか?」
「うーん、確か、10歳なら冒険者の見習いになれたはずです。街のお仕事専用で、外に行く場合は冒険者と一緒じゃないといけないとかルールが確かあったはずですが、登録だけならできるはずですよ」
「なるほど。ありがとうございます。ちょうどこの後ギルドに用事があるので聞いてみますね」
「はい、そうして下さい」
そんなこんなで院長先生や子供たちと話をしていると、フランちゃんが寂しそうな表情で近づいてきた。
「お姉ちゃん、ケーキありがとう。とても美味しかった」
「喜んでくれてうれしいよ」
「あずさちゃんだったよね」
「うん、宜しくね」
「いいなぁ、いつもお姉ちゃんと一緒に入れて。私もお姉ちゃんの妹になりたいなぁ」
「これ、フラン、我儘を言うんじゃありません」
「だって…」
「いつもは我儘を言ったりしないんですが、最近一人になるとお姉ちゃん、お姉ちゃんて泣いている時があって…」
「えっ」
(キタキター。これは行けるんじゃない?おぅイェイ!!
ってかそこまで思っててくれたなんてめちゃ嬉しい)
「ごめんなさいね。後で言って聞かせておきますから」
「あ、いえいえ大丈夫です」
すぐさまあずさちゃんに耳打ちする。
「あずさちゃん、実はここに来たもう一つの目的があって。
これからあずさちゃん、私と2人きりになるでしょう?
だから出来たらこの子をうちの子にしようかと思ってたの。どう思う?反対?」
「お姉ちゃんがいいなら、私もいいです。私も妹欲しかったから…」
照れたように俯きながら返事をしてくれた。
(うはっ、これはいい塩梅じゃない?…よし)
「院長先生、ちょっといいでしょうか」
そう言って子供たちから離れた場所に2人だけで移動し話を始めた。
「実は以前から言おうかどうかずっと悩んでた事があるんですが、思い切って言っちゃいますね。
実は妹と紹介したあずさちゃんも、本当は私の妹ではなく養子なんです。あの子も目が悪くてずっと治療を続けていたんだけど治らないって言われてたみたいで。
それで私が治した時には、その子の家にはもう別の家庭があって、父親が退院を拒否したんです。家に連れて帰るわけにはいかないって」
「そうなのね」
悲しそうな顔をする院長先生。
「それで、引き取ったのはいいのですが、私にも両親がいなくて、今はあの子と2人きりなんです。
そこでお願いなのですが、あの子の為にもフランちゃんをうちの子に迎えたいのですがどうでしょうか?」
「えっ」
口を開いたまま私の顔を凝視する。
「フランちゃんだけというのもどうかとは思ったのですが、先程のフランちゃんの気持ちを考えたら、その方がいいんじゃないかと思って。もちろん大切にしますし、勉強もさせて、将来は私のお仕事をお手伝いして貰おうかとも思っています。もちろん、危険な事はさせません」
「そうね。あの子の目を治してもらってから、明るくはなりましたけれど。あれからずっと何かにつけあなたの話ばかりしてるんですよ」
「それは嬉しいですね。あ、もちろんこれからも時々お邪魔させていただきますし、先程のお願いもまだ有効ですから。その時はフランちゃんと2人お留守番となりますけどね」
「それは構いませんよ。分かりました。それでは本人に聞いてみましょう。本人が望むなら許可しましょう。
ひなたさんのお陰であの子も助かったようなものですから」
「はい」
(ここは謙遜してる場合じゃない。今は素直に頷いておこう)
* *
ひなたたちがフランちゃんとあずさちゃんの元へ戻ると、
「院長先生、私もお姉ちゃんの妹になりたい」
「あらあら、今、それを尋ねようとしてたところなんですよ。あなたの気持ちが聞けてよかったわ」
「えっ?」
「それじゃ、フランちゃん。私のお家に来る?」
「いいの?」
「もちろん、大歓迎だよ」
「院長先生、いいの?」
「はい、いいですよ。先程ひなたさんからあなたもうちの子にしたいと言われたとこなんですよ」
「ほんと?」
「そうだよー、これからも宜しくね」
「うん、やったー」
『いいなぁ、フラン』
『いいなぁ』
『院長先生~』
『じーっ』
(う、やばい。この視線は辛い…)
「これ、我儘を言わないの。こんなにたくさん無理に決まってるでしょ。
それにみんないなくなったら、私はどうすればいいのです?」
『僕は院長先生と一緒にいるよー』
『私もいなくならないよ?』
『うちもー』
「ふふふ、ありがとう。嬉しいですよ」
そう言って院長先生は子供たちを抱き締める。
「ごめんね。流石にこれだけは無理だよー。これからも遊びに来るから、ね」
『うん、分かった』
『我儘言ってごめんなさい』
『ごめんなさい』
「うちのあずさと一緒にフランちゃんも連れて来るから、これからも仲良くしてね」
『分かったー』
『フラン、元気でな』
『フランちゃん、また来てね』
『あずさちゃんもまた来てね』
「「うんっ」」
それからみんなで暫く遊んで孤児院を後にした。
日本と違って特に必要な書類などは無かった。いいのかこれで!?
それから2人を連れてギルドに向かう。
昨日狩った魔物の肉と卸した金額を受け取る為だ。
* *
「こんちわー」
『『『『『お、おぅ…なっ』』』』』
「ひなたちゃん、その子たちは?」
挨拶する前にカレンさんから質問が飛んできた。
「私の娘たちです」
「えーーーーっ」『『『『『何だと~っ』』』』』
『嘘だろ。こんなちっこい子にも先を越された』
『いやいや、あれは流石にあり得ないだろ』
『ひなたちゃんっていったいいくつなんだ?』
(カレンさんあんたも一緒になって真に受けないの)
「嘘ですよ。私まだ14歳ですよ?」
『『『『『だよなー、びっくりさせんなよ』』』』』
2人は驚いて私の後ろに隠れている。
「ごめんね、2人とも。驚かせちゃった?」
「大丈夫です」
「うん」
「カレンさん、カザドさんとこに行く前に聞きたい事があるんですが、この子たちに身分証みたいなのを持たせたいのですが。孤児院の院長先生に聞いたら、冒険者見習いのカードがあるとか…」
「えぇ、ありますよ。お二人はいくつなんでしょう?」
「この子、あずさちゃんが10歳で…あれ?フランちゃん、いくつ?」
「私8歳だよ」
「あずさちゃんは大丈夫ですが、フランちゃんは年齢が足りていませんね。見習いは10歳からなんですよ。
でもその子孤児院の子よね?市民カード持ってるんじゃないの?」
「えっ、そうなの?フランちゃん、市民カード持ってるの?」
「うん」
そう言うと洋服の胸元を開いて首から下げられたカードを見せてくれる。
「ほっ、良かったー。おっ、誕生日は5月5日かー。子供の日じゃないか、フランにぴったりだね」
「こどものひ?」
「ひなたちゃん、その子引き取ったの?」
「うん、この子だけじゃ寂しいと思ったし、元々引き取る気でいたからね」
「そうなの。小さいのに偉いわね」
「小さい言うなっ」
「あら、ごめんなさい。ふふふ」
「それじゃこれにお名前とか書いてくれる?」
「はい」
カレンさんから手渡された紙に記入を始めるあずさちゃん。フランちゃんは周りをキョロキョロしてる。
「はい、お待ちどうさま」
受け取ったカードはHランクだった。見習いはGではなく、Hランク固定だそうだ。
それから冒険者ギルドの説明を聞き、初心者冒険者と同じく、1年間依頼を受けないと除籍になるとの事。
話を聞いた後、今日は登録だけで依頼を受けるつもりもないので、カザドさんのいる裏手に回った。
「こんにちわー」
「おぅ、来たか。ちょっと待っとれ」
するとデカい肉を持ったカザドさんが戻ってくる。
「ほれ、肉と、それから魔物の報酬、合計で金貨120枚じゃ。少しおまけしておいたからのぅ」
「ありがとうございます」
「お姉ちゃん、私もお金みたい」
「いいよー。あずさちゃんも見てごらん。これがこの星のお金だよー」
「この星って何じゃ?」
「あー、気にしない気にしない」
「そうか、それじゃ渡したからな。ここにサインしてくれ」
「はーい」
「うわぁ、金ぴかだねー」
「ぴかぴかしてるー、きれー」
「そうだ。あずさちゃん用にこの世界の洋服も何点か買っておこう。流石にその服だと怪しいし、変なのに目を付けられたら堪らないからね。
あとフランちゃんのも買おうね。フランちゃんは向こうのも必要だなぁ。それは明日でいっか」
「「うん」」
3人仲良く手を繋いで洋服を買って、自宅に帰還した。
* *
「「ただいまー」」
「ただま?」
「ただいまー、だよ。お家に帰って来たら帰って来たよーって意味でそう言うんだよ。あと出かける時は“行ってきます”ね」
「分かった。お姉ちゃん、ここどこ?」
「ここは私とあずさちゃんのお家で、これからフランちゃんのお家になるとこだよー」
「私のおうち?」
「そうだよー、その椅子に座って待ってて。飲み物入れてくるね。
あ、その前にお布団取り込まなきゃ」
「うん」
「あ、私も手伝います」
先に布団類を各部屋に戻し、キッチンへ。
あずさちゃんが早速テレビをつけると、フランちゃんはびっくりして転んでしまった。
「あ、ごめんね、フランちゃん」
「あずさお姉ちゃん、これ何?中に人がいるよ?」
「これはテレビと言ってね、遠いとこの出来事や様子を見せてくれたり、お芝居とかを見せてくれるんだよ?」
「そうなんだ。でも何言ってるか分からないよ?」
「ここはね、地球って言う星で、フランちゃんがいたとことは別の星なんだよ」
「ほし?」
「あうぅ、ひなたお姉ちゃ~ん」
ホットココアを持ってきたひなたに縋り付くあずさちゃん。
「ふふふ、フランちゃん、これから少しづつ勉強して覚えていこうね。
と、その前にフランちゃんにもここの言葉が分かるように指輪を作ろう」
銀貨を何枚か取り出した後、フランちゃんを呼んで指の大きさに合わせて指輪を作り、付与魔法で“言語把握”を付与した後、中指につけてあげた。
「わーい、きれー」
「フランちゃん、これでテレビの中の人が言ってる事わかるんじゃない?」
「ほんとだ。でも難しくてやっぱ分からない」
「それは仕方無いね。すこしづつ勉強だ」
「うん」
「熱いから気を付けて飲むのよ?」
「はーい」
「あ、あちっ」
「だから言ったのに。ふぅふぅしてから飲みなさい」
「うん、ふぅふぅー」
「あずさちゃん、これから前のお家に行って洋服とか取りに行こうと思うんだけど、他に取ってきてほしいものある?」
「うーん、お母さんから貰ったウサギのお人形をお願いします」
「オッケー。それじゃちょっと行ってくるけど、2人とも待っててね。冷蔵庫にある飲み物とか飲んでいいからね」
「「はーい」」
* *
それから須賀家へ転移し、あずさちゃんの父親の書斎にノックして入っていく。
「何だ。また何か用か?」
「あずさちゃんの洋服とか荷物を受け取りに来ました」
「あー、そうだったな。そんなのがあったな」
(そんなのって…ぐぐぐ…)
「邪魔だから物置に入れてある。持ってくるからここで待っててくれ。家の中動き回られちゃかなわん」
「了解。あ、母親から貰ったウサギのぬいぐるみもお願いします」
「あぁ、そういうのも全部確かあったはずだ」
そう言うと部屋から出て行き、暫くすると何度か往復して全て持って来てくれた。
(やるべき事はきちんと理解しているようね)
「確かに。ぬいぐるみもこれで間違いなさそうですね。では失礼します」
「あぁ」
終わったらこういう所には長いは無用とばかりにとっとと自宅へと戻った。
* *
「ただいまー」
「おかえりー」
「おかり?」
「誰かが帰ってきたら労いを込めてそう言うのよ。お疲れ様でもいいわよ」
「おつかれさまー」
「わぁ、ありがとう」
ギュっと抱きしめてあげた。物欲しそうにして見てたあずさちゃんもまとめて改めて抱き締める。
それからあずさちゃんの部屋に行き、荷物を出すとみんなで仲良く片付けて行く。
「あ、うさちゃん。お姉ちゃん、ありがとう」
「どう致しましてー」
それから夕食(スーパーで買ったお弁当とオレンジジュース)をアイテムボックスから取り出し食べた後、みんなで仲良くお風呂に入り、歯を磨いた後、今度は紅茶でまったりとテレビを見て眠りについた。もちろん3人一緒だ。何故か私が真ん中だが。
(養子にするのも大変なんだね…)
今回はちょっと長めです。




