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活動開始(環境問題編)

◆西暦2000年4月30日(日)◆


「知っている天井だ」

 そう言ってむくりを起き上がると、朝の行事を行う。洗面、朝の鍛錬、身支度、朝食を粛々と(こな)す。もう既にルーチン化されつつある。


「これだけは言っておこう。

 今日は孤児院には行かないぞっ(フランちゃん除くっ)」

 もちろん“括弧…括弧閉じ”も口に出して言う。


(あんなの毎日やってたら死ぬっつぅの。主に精神が

 昨日なんて期待してた(まちちゃん)成分補充できなかったし。できなかったしぃ)

 重要な事なので2回言いました。


「あ、一応昨日の件も活動報告に載せとくか。

 えっちゃん、昨日のもダイジェストで映像化してくれる?」

≪YESマスター。少々お待ちください≫

「オッケー」


 専用サイトを立ち上げ、えっちゃんが作ってくれた映像を活動報告ページに追加する。

「感想もちらほら入り始めてるね」

 そう言いながら一つ一つ見ていく。


 “何か危ないサイト出来てるんだが”

 “活動報告のこれって新聞に載ってたやつじゃね?指名手配犯が逮捕されたとか”

 “ちょ、何なのこれ。魔法?魔法なの?なわけないか。しかしよく出来てるなぁ”

 “子供にコテンパンにやられる犯罪者とか草なんですけどぉ(笑”

 “神様、キタコレ m9(^Д^)プギャー”

 “おいっ、みんな落ち着け。オロオロ。こ、この奇跡の子のしゃべってる言葉、聞いた事ないぞ?もしかして異世界じゃね?”

 “えっ、この子まじで目が見えるようになってない?まじ泣きなんだけど。これが演技なら主演女優賞ものだよね?”

 “うぅっ、ちょっと感動して泣いてしまった。というかこの子めちゃ可愛い。会ってみたい…”


(何かむかつくのが混じってるんですけど。

 感の鋭いやつもいるなぁ。音声ミスったかなぁ~。

というかやっぱ信じないよね、はぁー。

 おっ。フランちゃんに目を付けるとは、お主やるな!)

 最後のコメント以外、期待には程遠い結果に、そっと“戻る”ボタンをクリックした。


「おっ、何件か依頼来てるね」

 その他のページを順に見てみると、疾病相談コーナーにもいくつか依頼が入っていた。


 “彼女に振られました。新しい彼女下さい”

 “神様、オレに透視能力下さい。切実に”

 “テレビでアホな事ほざいてる、自称コメンテーター〇〇をどうにかして”

 “活動報告の目が治った子下さい”


「・・・・・」

 どんどん読み進めていくひなた。だんだん力強く握った手が震えだす。


     *     *


「よし、天罰行使の時間じゃ。

 えっちゃん、この透視くれとか言ってるやつ、逆探知して居場所特定できる?」


≪プロバイダーサーバーに蓄積されたIP情報などを元にサーチします。

 IPを割り振られたMACアドレスを特定しました。

 MACアドレスを元にパソコンメーカーを特定、出荷先をサーチします。

 パソコンショップを特定、該当するパソコンを販売した顧客情報を取得しました。

 所在地を特定しました。転移可能です≫


「おぅ、良く分からないけど、よくやった」

 急いで変装用衣装に着替える。

(あ、そうだ。天使っぽく背中に羽を生やそう)

 そういうと氷魔法で凍らせた空気中の水分を羽の形に結晶化し、背中から生えているように見せる。

 空間操作で背中から落ちないように重力操作を行う。

 次に聖魔法で羽を含めて身体全体を淡く光らせる。完璧だ。

(えっちゃん、行くよ。音付きでね)


 ブォン


「な、何だ!?」

 と叫ぶと同時にひなたが男の前に現れる。

「初めまして、〇〇さん。ソルと名乗れば分かって貰えるかしら?」

「なっ、嘘だろっ。何でここが分かった!」

「ネットのモンスタークレイマーごときが私を(はばか)る事ができるとでも?

 ネット上のデータにはMACアドレスがついて廻る事をご存じないのかしら?」

「だからってどうやって…」

「私のサイトのトップページ、ちゃんと読みました?あなたの行為は神への冒涜ですよ?

 私に出来ない事など無いのです。何せ私は神の使徒ですからね。

 という事で、神聖な私のサイトで悪戯(おいた)をしたあなたには、ご褒美に天罰でも差し上げようかと思いまして、わざわざ来てあげたのですよ」

「ちょ、ちょっと待っ…ぎゃーーーーーっ」

 とっさにイメージした静電気を意識が飛ぶ威力にまで上げて流して差し上げた。


《雷魔法Lv1を習得しました》


 近くにあったパソコンにも被害が及んだ事は想定外だったけどね…パソコンから煙たい匂いがしてるし。

(発火しないよね?水魔法ぶちまけとく?)

 部屋の外から階段を駆け上がってくる音が聞こえる。

(誰か来るなら大丈夫だよね。よし、えっちゃん、退散だ!)

≪YESマスター≫


     *     *


「ただいまー」

(えっちゃん、同じ事をするような輩が出ないように、さっきのやつをサイトに晒すよ。

 トップページの趣旨説明の下辺りに追加しよう。

 それじゃ、さっきの映像化してくれる?あ、目の部分はマスクしておいてね。)

≪YESマスター≫


 サイト編集画面を起動する。

(えっと…)

【≪!!警告!!≫

 当サイトは神聖な場所です。それにも拘わらず神を冒涜するような書き込みが見られるようになりました。

 緊急を要する依頼が来る以上、悪質な書き込みについては敵対行為と見做して天罰を下す事とします。

 手始めに軽く天罰を差し上げてきましたので、こちらにその時の映像を公開します。

 以降随時こういう書き込みについては対処していく事をここに宣言します。

 今回は軽い天罰でしたが、以降、容赦はしませんので、書き込みなさる場合は覚悟を持ってするように】


(っと、後は映像を填め込んで完了だね)

 その効果は覿面(てきめん)で、翌日には、悪質な依頼やコメントは消え去っていた。


(まともな依頼はないようね)

 “疾病相談窓口”を確認した後、“環境問題相談窓口“、”不法投棄連絡所“も順に確認していく。


(あ、“不法投棄連絡所“の方はいくつか書き込みがある)

 このページは画像も添付できるようにしているので、画像がないのは悪戯の可能性が高いので後回し。

 そういうのはさっきの警告文見て削除するでしょ、きっと。

 朽ち果てた自動車の画像もあった。

(うーん、海外の不法投棄はちょっと酷そうね)

 海外のSNSにも書き込んでいた為か、少ないが海外からの書き込みもある。

(確実に浸透して行ってはいるね)


「あ、さっき雷魔法覚えたけど、どんな魔法があるの?」

 そう聞くと終えてくれたのは次の通り。

【雷魔法:Lv1 雷撃(サンダー) , 静電気(スタティックエレクトロ) Lv2 雷矢(サンダーアロー) Lv3 雷槍(サンダーランス) Lv4 雷爆弾(サンダーボム) Lv5 雷柱(サンダーピラー) Lv6 雷矢雨(サンダーレイン) Lv7雷撃嵐(サンダーストーム) Lv8 雷爆発(サンダーエクスプロード) Lv9 雷竜巻(サンダートルネード) Lv10 暴風雷(サンダーハリケーン)

(雷の竜巻とか暴風ってあまり想像したくないね。うん。覚えても出来るだけ使わないようにしよう)


《Lv1の静電気(スタティックエレクトロ)は、先程マスターが能力創造で作った新魔法です》

「私が意図して作った能力創造の第一弾が静電気とは…。

 あ、そういえば風魔法と氷魔法の複合魔法、トルネードが第一弾か。良かった」


「よし、今日は、治療活動を止めて、環境問題関連の活動が良いみたいね。

 本当はこれも収益に結びつけたいんだけど、いきなりはたぶん無理だよね。

 悪いけど大規模な問題は自治体と折衝に使いたいから、細々(こまごま)とした依頼を(こな)していこうかな」


 そんな事を考えていた時それは来た。


ピコピコピコーーーーンッ

「ひ、閃いたーーーーーっ。私ってばやっぱやれば出来る子なんだよ!」

 ガッツポーズで暫く地団駄を踏むひなた。この場合の地団駄は嬉しすぎの地団駄である。


「ある程度実績を積んで世界規模で私の存在が知られるようになったら、各国の要人に直接交渉に行こう!」


 ひなたの閃いたアイデアの詳細はこうだ。

 どこの政府も手を(こまね)いているマフィアやらテロ組織、反政府勢力などいるだろう。麻薬組織とかもそうだ。

 今でも反社会勢力がのさばっているのは、きっと壊滅を直接指示しようにも、報復を恐れて手を(こまね)いているか、出しても壊滅の見込みが無いからだろう。

 あるいは身近に敵に寝返った者がどこにいるかも分からず何も出来ないでいるかもしれない。

 そこでひなたは閃いた、直接的に出来なければ、間接的にすればいいじゃないと。

 つまり、政府首脳陣の内、鑑定で犯罪歴の無い者を特定し、その人にこう話を持ち掛けようと。


【あなた方政府が手を(こまね)いている目の上のたんこぶをこちらで処理しましょう。

 反社会勢力でも何でも構いませんが、その者たちが善良な者や排除足りえないと判断した場合は途中でも中止させて頂きます。排除対象者の中にいる、その条件に該当する少数者はその限りではありませんが。

 端的に言うと殺人などを犯している集団については、その中の少数については情状酌量の余地は無いと言う事です。

 そこで私からの提案ですが、私には表向きには環境問題の解決としての依頼を出して下さい。

 もちろん、その問題も真摯に対応しますので解決したい環境問題を優先で依頼して下さい。

 と同時に裏の依頼も遂行致します。確実に壊滅させる事をここに約束しましょう。

 但し、対価の折り合いがつかない場合はお断り致します。

 そしてその勢力の保持する武器・弾薬・違法薬物についてはこちらで没収、分解破棄します。

 資産については成功報酬として、こちらにて没収する予定ですが、財政などに鑑み若干は譲歩する事も(やぶさ)かでは無いと申し伝えておきましょう。

 その場合はこの国に置ける永住権、及びそれ相応の土地と建物、貴賓的扱いと税などの義務の免除を要求します。対価としては十分でしょう?】

 

 と。若干妄想が膨らみ過ぎた感は否めないが…。

 これでひなたの懸念していた悪人排除と環境問題を一挙解決できる。

 まさに会心の一撃、周りから心配されるんじゃないかと思われるほどの天才的閃きであった(おつむが弱い故に)。

(うるさいわっ!)


「何だか、一気に先行きに光が差して来たぞぉー。

 ま、その前に実績作りだけどね…」

 そうと決まれば話は早い。数を(こな)すのみである。


「よし、えっちゃん、行くよ」

《YESマスター》


     *     *


 まずやって来たのは山梨県の森の中。

「まじかー。こんな山奥まで捨てに来るって、その努力にはある意味脱帽するわー。やってる事は許さないけどね」

 その努力をもっと違う方向に活用しようよ、と思いながら、早速作業に取り掛かる。

「えっちゃん、まずこの現状をあらゆる方向から撮影して行って」

《YESマスター》


「では、回収!」

 まず、”空間探査(サーチ)”で視界内のゴミを選択しアイテムボックスに収納。それから錬金術でそれらを金属、プラスチック、ゴム、皮革、草木、衣料、土砂、灰、石類、びん、乾電池など有害類、生ごみなどの厨芥類に分けていく。

 先に、ゴミ成分のかなりを占める水分を抽出。

 そしてゴミ特有の臭気も元となるトリメチルアミン、メチルメルカプタン、硫化水素、エマモニア、二硫化メチルなどを抽出。液体化した上収納。同時にその原因となるバクテリアやカビを除去。

 ついで金属は塗装などの不純物を取り除き元素に分類抽出。

 プラスチックも同じく不純物を取り除きペレットに。ゴムもゴムチップへ。

 びんなどのガラスも不純物を取り除き怪我しないよう球形にして収納。

 皮革、衣料も不純物を取り除いて、ウエスや反毛綿などリサイクルにするべく残しておく。

 それ以外の利益にならないゴミについては元素単位まで分解回収した。

 厨芥類などは水分を抜いて除菌すれば畑の肥料として使えるかと思ったが、これからも手に入るからと分解した。


「えっちゃん、終わったよー。それじゃ、結果も映像として残してもらえるかな?」

《YESマスター》


「よし、次行こう。どうせなら海外からの依頼先に行ってみよう」


     *     *


 やってきたのは、中国江蘇省農村部の川沿いの村。

「なっ………」

 絶句とはまさにこういう時のセリフなのだろう。

 あり得ない光景に我を忘れて、ただただ現実を凝視していた。

「な、何だ、これ?え?」

 あまりにも想定の範囲外すぎて言葉が出てこない。


「これを見れば神様が愛想を尽かすのも納得だわー」


 目の前には川らしきものがあるのだが、その表面はゴミで覆われており、これが川だと言われないと気付かないほどであった。

 プラスチックごみや衛生用品、家具など以外にも動物の死骸などが浮かんでいる。

「えっ、これはちょっと…えっ」

 どこから手を付ければいいのか、どうすればいいのかすら分からない。

(神様に見捨てられた原因ってほとんどこの国が原因じゃ…)

 この現実を目の当たりにすると、そんな事を思っても仕方の無い事であった。それほどに酷かった。

「これは無理だ。というかやっても意味ないっしょ。綺麗にしたとしてもこの様子じゃ、たぶん元の木阿弥だ。

 政府はもちろん、国民総出でこの問題に立ち向かわないと無理だわ、これ。

 というか対政府折衝案件だわ、これ。というか、全国規模でこうなの?中国政府大丈夫か?

 そういえば将来のパンデミックもこの国が原因だったね、確か。

 うん、やってられん。この国は駄目だ。戻ろう」


 中国に見切りをつけたひなたは、その後は日本国内を何件か回っていった。


(環境問題も半端無かった。問題山積みだわ)

 自宅に戻ってきて早々、テーブルに突っ伏した。

「これ一人じゃ無理じゃない?まじで」


「とりあえず依頼くれた中国の方には連絡しておくか」

 サイトを開き、該当依頼に対して返答する。

 想定外の現状に何もせずに戻ってきた事。これは対政府折衝案件な事。例え一時でも綺麗になったとしても長期的には意味を為さない事。それらを丁寧に説明していった。

 ただこの問題は放置するべきではなく、(いず)れは対処する事も申し伝えておいた。


「うん、一つ分かった事があるよ。

 …もう、一人じゃきついです。誰か…助けて…」

(14歳の乙女のやる事じゃないよね。泣いていいよね)

 夕食と風呂に入った後は、早々に就寝した。枕を濡らしながら。

《マスター…》

 今回にて書き溜めていた分を投稿し終わりました。

 当初申し上げました通り、現時点で今後の展開に於いて行き詰まっており、これから先、投稿間隔が広がるかと思います。

 今はどうやって世界規模でひなたの存在を周知させるかと悩んでいます。


 というような状況です。それでは、これからも宜しくお願いします。


 あと、前々話の後書きにも記載しましたが、代理人の名前を”サニー”から”ソル”に変えました。


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