Eランク
◆西暦2000年4月20日(木)◆
翌朝、身支度をした後、昨日お持ち帰りしたCランチの残りを食べながら本日の予定を考えていた。
(まずはいい加減ベッドを使えるようにして…
それからギルドに行ってゴブリン退治の報告でしょ。その後どうしよ。
やっぱボード見て何か良さそうなものを探してレベルアップ目指そうかな、うんそうしよう)
まず1階から各部屋を覗きながら“清浄”をかけていく。もうレベルアップでMPもかなり増えたからMP切れで倒れる心配もない。
クローゼットなどは全てオープンにして“清浄”をかけるのがコツだ。
(うん、1階はこれで綺麗になったね)
それから2階に上がると、寝室にする部屋を決め、そこは念入りに“清浄”をかけ、シーツは後で洗濯するため、一旦アイテムボックスへ。
布団類は意外と綺麗でそのままでも使えそうだったが、ベランダに干す為これも収納。
さらに持ち運び用のベッドを確保する為別の部屋へ。同じくシーツと布団類を全て収納した。
一通り部屋全てに“清浄”をかけ終わると、ベランダに出て床と壁、手すりなども綺麗にした後布団を干していった。まくらもブルーシートを敷いてその上に置いていく。
念のため布団やまくらをはたいて埃を飛ばす。“清浄”のおかげでほとんど埃とかは出なかった。
(よし、これで夕方まで放置だね)
その後、日課になった剣や弓などの訓練を熟した後、ギルドへ向かう。
* *
「カレンさん、おはようございます。戻りました」
「ひなたちゃんおかえり。無事で良かったわ。どこか怪我してない」
「はい、大丈夫です」
そういうと、安心したようでとても優しそうな笑顔を返してくれる。
「ゴブリンはどうなったの?やっぱ無理だった?」
「いえ、倒してきましたよ」
『『『『『何だとーっ!』』』』』
ビクッ…
(久しぶりだったのでびっくりした~)
「不甲斐ないヘタレ共は黙ってなさい」
『『『『『・・・・・』』』』』
「ちょっと良いかしら?ひなたちゃんが来たら呼ぶようにギルマスから言われているのでちょっと一緒に来てくれる?」
「えっ、あ、はい。大丈夫です」
カレンさんの後を追ってギルドの2階に上がって行く。
* *
豪華な扉の前まで来るとカレンさんはドアをノックする。
「ギルマス、ひなたさんをお連れしました」
『通せ』
扉の向こうからくぐもった声が聞こえた。
扉を開けると頬に傷のある筋肉達磨がソファーからはみ出して座っていた。
(そのソファー小さくない?ずり落ちそうでハラハラするよ)
「こんなに小さい子に行かせたのか…」
(小さい子ってうるさいわっ!)
「・・・・・」
「あ、いや、すまん。さぁ、そこに座ってくれ。カレンお茶を頼む」
「かしこまりました」
カレンさんが退室していった。
「さて、わしはクレベアの街の冒険者ギルドのギルドマスターをしておる、ラグロスという。ひなただったか、わざわざ呼び出してすまんな」
「いえ、それでどのようなご用件でしょうか」
「カレンが来るまで少し待っててくれ」
「はい」
カレンさんがお茶の乗ったトレイを持って部屋に入ってくると、それぞれの前にお茶を置きギルマスの隣に腰掛ける。
「まずはゴブリンの報告を聴こうか」
「はい、依頼は完了しました。これが討伐部位と依頼完了書です」
討伐部位の入った袋を取り出すと広げて中が見えるようにする。
「結構入っておるな。一体何匹いたんだ?」
そういいながら袋をカレンさんに渡すと、すぐに見分し始めた。
「全部で67匹です。でも特殊体とかはいなかったので比較的楽でした。
あと人が囚われているような事もありませんでした」
「ギルマス、たしかに67匹分あります。状態も比較的新しいので間違いないかと」
「うむ、分かった。ひなた、ご苦労だった。報酬は帰る際にでも下のカウンターで受け取ってくれ」
「はい、分かりました」
「それで要件なのだが、2件ある。
まずは今回の依頼は本来Dランクのボードに貼るべきものを、受付のものが誤ってFランクに貼ってしまったものだった。すまん、こちらの手違いだ。
ここにいるカレンにも依頼の手続きをした件を厳しく注意したから、もう二度と同じミスはないと思う」
「あ、それは私が無理にお願いしたので…」
「それでもランクの違う案件を認めたのはこちらの失態だ」
「なるほど」
「ひなたちゃん、ごめんなさい」
「いえ、私は大丈夫ですからお気になさらずに」
相当怒られたっぽい。カレンさんの顔に悲壮感が漂ってる。
(うぅ、ちょっと罪悪感が…)
「それからもう一つの件だが、さすがにゴブリンの集団を倒した者をいつまでもGランクにしておく訳にはいかぬ。本来ならDランクの案件だからDランクにしようかと思うたが、いかんせん経験が乏しすぎてさすがにそこまでは時期尚早と判断した結果、Eランクとする事に決定したが、どうだ?それでいいか?」
「Eランク…はい、ありがとうございます。嬉しいです」
「よし、ではこれも下でカードの更新をしてくれ。以上だ」
そういうとギルマスは立ち上がると職務に戻るべく机へと移動し始めた。
私もカレンさんについていき下階へと降りて行く。
* *
「ひなたちゃん、処理しますのでカードを出してくれる?」
「はい」
ギルドカードをカレンさんに手渡す。
「しばらくお待ちくださいね」
「はい、今回は本当にすみませんでした」
「いえ、ひなたちゃんのせいじゃないわ。私も気を付けるようにするわね」
そういうと奥に消えて行く。
しばらく待ってるとお金の乗ったトレイを持ってカレンさんが戻ってきた。カードも一緒に乗っている。
「お待たせ。まずカードを返すわね。それからこちらが今回の報酬ね、確認してくれる?」
カードを確認するとEランクに変わっている。
鞄にカードを仕舞う(振りをしてアイテムボックスへ)。そしてお金も確認。
(うん、ちゃんと金貨3枚あるね)
「はい、確かに」
お金を鞄に入れ(同上)、それから依頼の詳細を説明した後席を立った。
それから今度はDランクのボードを見に行く。
EランクになったのでDランクまで受注する事が可能になったのだ。
(さすがDランク。強そうな魔物や護衛依頼とかもある。ま、ぼっちなので護衛は無理だけどね)
・オーガ討伐 1匹につき金貨2枚
・商隊の護衛 1日1人銀貨8枚 往復11日間 水・食事は各自持参の事
・ワイバーンの素材求む 1匹につき金貨2枚と銀貨5枚
・etc...
(うーん、金額的には美味しいんだけど、ちょっと遠いとこが多いなぁ)
しばらくむむむと唸りながらボードとにらめっこをしてると、比較的良さそうな依頼を発見した。
・村の近くにハーピーが居着いたので討伐してほしい 1匹あたり金貨1枚と銀貨5枚 (エイパ村村長)
(これなら比較的近いし、狩れば狩るほど儲かるよね。よし、君に決めた!)
依頼票を剥ぎ取りカレンさんのところに向かおうとすると、ジッとこちらを睨みつけたまま苦虫を嚙み潰したような顔をしたカレンさんが見える。
「え、えっと。これお願いします」
「はぁ~。やっぱり取っちゃったかぁ。もう何を言っても無駄なんでしょうねぇ」
「す、すみません」
「まぁいいわ。危なくなったら無理せず帰って来るのよ?」
「はい、分かりました」
そういうとカレンさんは受注処理をしてくれた。
(そういえば、えっちゃん、村まで1日かかるから途中魔物を狩りながら行きたいんだけど、初めての魔物の討伐部位や売れる素材って分かる?)
≪YESマスター。鑑定をする事でそれらの情報も確認できます≫
(わお。そうだったのかぁ。考えたら私、鑑定ってほとんど使った事ないや。結構便利なんだね。
えっちゃんに頼りきりにならず自分でも使ってみないと駄目だね。聞いて良かったよ)
≪マスター、素材を得るためには解体しなければなりませんが、これから習得なさるおつもりですか?≫
「あ」
思わず声に出してしまい、おバカ丸出しのまま固まるひなた。
(そうだった。今までは討伐部位以外売れなかったから、耳とか剥ぎ取るだけで良かったけど、これからは魔物によっては肉も切り分けないといけなくなるのか…うぅ)
≪何も解体せずともそのままギルドにお持ちになったらどうでしょう≫
(うん、そうだね。解体するにも時間かかるしね。暫くはそうするよ。
ただ野営の時に魔物を料理するかもしれないから、少しづつでも解体を練習しようかな。
それと決まれば解体用のナイフも買っていくか。ゴブリンから奪ったナイフで解体したくないしね。
こっちはゴブリンやコボルト剥ぎ取り専用にしようっと)
(後は…ハーピーって空を飛ぶんだよね。氷でもいいけど、空から突撃された時に土魔法で壁作ったり、風の刃なら目視できないから簡単に落とせそうだから、行く前にその辺も練習しながら行くか)
「カレンさん、解体用のナイフが欲しいのですが、どこかおすすめのお店紹介して貰えませんか?
できればショートソードの手入れもお願いしたいので、そちらもお願いできる方をお願いします」
「そうですね、それなら鍛冶職人のドルムルさんとこがいいでしょう。ギルドで扱っている武器も大部分はドルムルさんから納品して貰ったものです。ひなたちゃんのショートソードもそうですよ。では地図を書きますね」
「はい」
カレンさんは紙を取り出し簡単な地図を書いてくれる。
ちょっと歩くけど街の端の方みたい。
* *
地図を受け取ったひなたはお店に向かって歩き出す。
30分ほど歩いたところに目的の店を発見した。
「なるほど。至るところから何かを叩く音が聞こえてくるから。住宅街から離れた場所にあるのね」
≪火を扱うので火事にでもなった場合、燃え移らないようにとの意味合いもありますね≫
「ほほぅ、納得、納得」
さっそくお店の中へ。
「すみませ~ん」
「何じゃ」
ずんぐりむっくりな筋肉達磨がやってくる。
「ドランさん?」
「わしをあやつと一緒にするな。わしはドルムルじゃ」
(ちょっと怒らせちゃった。てへぺろっ。だって見分けがつかないんだもん)
「ギルドに紹介してもらって解体用ナイフを買いにきました」
「おぅ、そうか。ちょっと待っとれ」
立ち上がると店の奥に消ていき、すぐに戻ってきた。
「嬢ちゃんだとこっちかの。柄が持ちやすいようになっておる。材質は鋼じゃ」
「これから解体の練習を始めるのですが、良く分からないので、そのおススメのでお願いします。おいくらでしょう?」
「ギルドからの紹介じゃらからの、銀貨4枚でいい」
「はい、あとこのショートソードのお手入れって頼めますか?」
アイテムボックスからショートソードを取り出して机の上に置く。
「ん?これはギルドに先日卸したやつじゃな。銅貨5枚かかるがいいか?」
「はい、お願いします」
ドルムルはショートソードを持つとすぐに店の奥へと消えて行く。
すぐにコンコンと叩く音やシュシュと擦る音が聞こえ始める。
暇なので店内の商品を見ていると、やがてドルムルさんが戻って来た。
「特に問題なしじゃ。一応メンテナンスしておいたぞ。手間もかからなかったから、これは銅貨3枚でいい」
「ありがとうございます」
銀貨4枚と銅貨3枚をテーブルに出して解体用ナイフを受け取り店を後にした。
(解体用ナイフも買ったし、後は…道中の食事どうしよう?
作ってもいいけど、疲れている時とかの為に弁当いくつか買っておこうかな。
でも、こっちにも弁当ってあるのかな?
…あまり時間無いし、無難に地球で買い物しよう。
それじゃ行きますか。レッツラゴー)
意気揚々と門に向かって歩き出し、門に到着すると3~4日ほど遠征する旨を伝えると、心配されたが無事送り出してくれた。
* *
(この辺でいいかな。弁当買いたいからこの間のホノルルのスーパーへお願い)
《YESマスター》
【時差情報:-19時間】日本:9時50分 ホノルル:前日の14時50分
大通りへ出て、スーパーに入る。
(いつ来ても凄いね。って2回目だけど。)
お上りさんよろしくキョロキョロと周りを見回していると、ふと見知った顔を見つけた。
(あっ、お姉さん発見!)
てててーと小走りで女性の元に近づき声をかける。
「お姉さん、こんにちは。お久しぶりです」
「あら、あなたはあの時の。先日はありがとうね。
しかし偶然ね。今日はお買い物?」
「はい、あ、私ひなたって言います」
「ひなたちゃんね。そういえばまだ名乗ってなかったわね。私はヘレンよ、宜しくね。
あ、そうだ。今日は時間あるかしら?近くに私のお店があるんだけど寄ってかない?奢るわよ」
(うーん、あまり時間ないけどまた断ったら可哀想だよね)
「はい大丈夫です。買い物もしたいのでお店の前に30分後ぐらいでどうですか?」
「いいわ。30分後ね、それじゃまた後でね、ひなたちゃん」
「はい、また後でです」
ヘレンさんと別れたひなたは弁当売り場で数日分の弁当を購入後、重い荷物を持ったままヘレンさんのお店に行くのが嫌だったので、アイテムボックスへ仕舞う時間を稼ぐ為、先日買わなかった果物やパンを急いでカゴへ入れるとレジへ。
清算後、一旦お店の外に出て人目に付かないところで弁当やパンなどをアイテムボックスへ収納すると、果物数個だけを持って入口の前へ急いだ。
「ひなたちゃん、お待たせ」
それからしばらくするとヘレンさんが出てきた。
「いえ、私も先ほど出てきたところです」
「あれ?私がレジに並んでた時は辺りに見当たらなかったんだけど。まぁいっか。
それじゃ私のお店に案内するわね」
「は、はい、宜しくお願いします」
(ふぅー、危ない。嘘がばれるとこだった。考えてみたら当たり前だよね。このセリフは使いどころが難しいな)
ヘレンさんの後について数分後、お店に到着した。
(えっちゃん、この店って…)
《YESマスター。先日ブックマークしたジェラートのお店です》
(おぅ、何という偶然。ついて来て良かった~)
「わぁ、このお店なんですか。前から一度来たいと思ってたんです」
「そうなの?なら嬉しいわ。ささ、入って頂戴」
「だからあの時チンピラたちからジェラートのお店に誘われても行かなかったんですね」
「いやいやいや、そういう問題じゃないかと」
おおぼけひなたちゃん発令中です。
「こちらがメニューよ。決まったら呼んでね」
「あ、ヘレンお姉さん、初めてで良く分からないのでオススメでお願いします」
「了解~。ちょっと待っててね」
お水をちびちび飲みながら楽しみに待ってると、ヘレンさんがお客さんに悪戦苦闘している様子が伺える。
身体強化で耳を澄まして聞いてみるとどうやら言葉が通じなくて困ってるみたい。
(うん、私の出番だね)
とことことヘレンさんの元へ急ぐ。
「ひなたちゃん?」
「困ってるみたいだったので」
そう言って客の方を向くと、
「需要幫助嗎(何かお困りですか)?」
「哦很好(あぁ、良かった)…」
「ヘレンお姉さん、タピオカの入った飲み物がないか聞いているみたいです」
聞いた話をヘレンさんに伝える。
「ひなたちゃん、あなた凄いわね。中国語も話せるの?」
「えぇ、まぁ、中国というより台湾の方みたいですが」
「そうなのね。ありがとう。タピオカね、もちろんあるわよ」
それからヘレンさんと客との通訳で注文を済ませると席に戻った。
「いやぁ、ほんとびっくりしたわよ。その年で外国語もしゃべれるし、喧嘩も強いし。
どう?将来うちの店で働かない?」
(フライパン?ジェラートじゃないの?
…というか、あれは断じて喧嘩ではない。格闘術だ)
持ってきたジェラートを見て疑問符を浮かべるひなた。お誘いはスルーであった。
「外国語は両親の仕事で海外を転々としてきたので」
嘘つきひなたちゃん発令中です。
ヘレンさんが持ってきてくれたジェラートをよだれを我慢しながら“待て”の状態をキープするひなた。
「あ、食べていいわよ。ごめんね」
「やった。それじゃ頂きます」
「う~~~~ん、ほっぺが落っこちちゃう。美味しい~」
余りの美味しさに思わず唸ってしまった。
「ありがとう。喜んでくれて嬉しいわ。これこの店で今一番人気の商品なの」
スプーンが止まらない。
(やはりアメリカ、サイズが半端ない。てか何でフライパンに乗ってるの?)
「これはね“パヌッキー”という新作スイーツなの。
下の生地がパンケーキなんだけど、クッキーが混ぜ込んでるのよ。
上に乗ってるアイスもうち独自の製法で、食べると滑らかでスッと解ける触感がパンケーキと合うって評判なの」
(心の声が届いたのかな?
なるほど、フライパンはパンケーキを焼くためなのね。納得。しかしこれは癖になる味だわ~)
「ヘレンお姉さん、あれからあのチンピラみたいなのとかは大丈夫でした?」
しばらく黙々とスプーンを動かしていると、ふと気になったので聞いてみた。
「うん、お陰様でね。
というかあれ、私も悪いのよ。携帯で友達の話に夢中になってたら、いつの間にかあんなとこまで入り込んでしまって。
次から気を付けるから。あの時は痛い思いさせちゃってごめんね」
「いえ、前も言ったけど身体だけは丈夫なので」
胸をドンと叩いたら出ちゃいけないものが出てきそうになってちょっと焦った。食いすぎである。
それから他愛無いお喋りをしてお店を後にする。
「とても美味しかったのでまた来ますね。今度はお客さんで」
「分かったわ。また来てね。楽しみに待ってるわ」
(うふふ、ここに来てからみんな優しくて素敵な人ばかりで幸せだなぁ)
コロニーの頃も幸せだったが、いかんせんギリギリの生活は少女にとって幸せを感じる暇など無かった。
* *
ちょっと感傷に浸りながら異世界の森へと転移した。
「さて、それじゃ行きますか。街道じゃなく、あえて森の中を通って行くわよ。
えっちゃん、周辺の敵情報を教えて…いや、自分でやってみるよ。
周辺の魔物を“空間探査”!」
魔物の情報が表示されるが近辺には見当たらない。
「うん、少し離れたとこにいるけど、あまり寄り道してられないので通り道付近にいる魔物だけ狩る事にするよ」
それから目的地に向かう事、数時間。
途中、ゴブリンが多かったが、それ以外にもコボルトやウルフ、オーク、たまにオーガ、トレントなどと遭遇し片っ端から倒しながら進んだ。
(オーガあれ何なの?剣が通らなかったんだけど。どんだけ頑丈なのよ。
仕方ないので氷魔法で凍らせて窒息死させたけど)
大分日が傾いてきたので野営の為、街道に近くて、比較的安全そうな開けた場所に向かう。
(ま、襲われる時は襲われるんだし、あまり意味ないけどね)
(ホノルルで買ったテントを出してもいいけどその前に…。
えっちゃん、ここで土魔法と風魔法練習しようと思うんだけど)
《YESマスター。やり方は火魔法や水魔法と同様です》
「うん、ちょっとやってみるね」
しばらく土のつぶてを作ってとばしたり、カマイタチをイメージして風の刃を飛ばしたりして練習した。
《風魔法Lv1を習得しました》《土魔法Lv1を習得しました》
その後もLv2まで上がようとしたが、”土壁“はLv3だと気付いてそこまでは頑張って上げた。
ちなみに風魔法と土魔法で習得できる魔法は次のとおり。
【風魔法:Lv1 風球 Lv2 風矢, 風弾 Lv3 風壁, 風槍, Lv4 風刃 Lv5 竜巻 Lv6 風矢雨 Lv7風嵐 Lv8 風圧爆撃 Lv9 大竜巻 Lv10 大暴風】
【土魔法:Lv1 土球 土穴 Lv2 土矢, 土弾 Lv3 土壁, 土槍 Lv4 土爆弾 Lv5 土人形生成 Lv6 土矢雨 Lv7土嵐 Lv8土爆発 Lv9 波状地震 Lv10 流星雨】
「まずは” 土壁”で回りを囲むね」
土を圧縮してコンクリート以上の強度になるようにイメージして四方を囲むように3mほどの高さの壁を構築した。
コンコンッ…
(うん、これならオークとか来てもすぐには襲われる心配ないね)
壁を叩くと頑丈そうな音が聞こえたので、次に大きめのテントを取り出した。
それからテントの中にベッドを取り出し、テントの傍にバスタブを置いた。
(えへへ、持ち運び用に買ってきちゃった)
ハワイで色々買い物した時についでに買っておいたのだ。
と同時に重要な事を思い出す。
「あ、お布団忘れてた。ベッド出した時に気づけよ、私」
急遽、地球のお家に戻るとまだ夕方で、ギリギリセーフの時間帯だったのでほっと一安心。
それから急いで布団や枕などを取り入れると一式はアイテムボックスへ、その他は各部屋のベッドへ運んだ。
「ふぅー、間に合って良かった」
異世界に戻ると、次にテーブルと椅子を取り出し、テーブルの上にランタンと弁当、オレンジジュースを出す。
(お腹空いたのでまずはご飯食べよう。あ、そりゃ空いてるはずだわ。お昼食べるの忘れてた。てへっ)
食事を終えた後、お風呂に入り、まったりした後、テントの中に入っていった。
(えっちゃん、もし魔物が来たら教えてね。おやすみ~)
《YESマスター、おやすみなさい》
野営当番はえっちゃんがしてくれるので大変便利である。
ベッドに干したてのふかふか布団一式をセッティングして潜り込むと、あっという間に夢の中に落ちて行った。




