283話:ワープパネルから声が始まりそうです(改稿予定有り)
天使達の招集から天界の時間で2日が過ぎ、ペネムエはようやく翔矢と合流する事が出来た。
現在は翔矢の宿泊施設にいるのだがペネムエは頬を限界まで膨らませ不機嫌そうにしている。
しかし翔矢には理由が分からず正座で体を丸めるばかりだ。
「えぇっとペネちゃん……さん?」
「なんでしょう?」
「何か問題でもありましたでしょうか?」
「天の頂での出来事は、お教えする事はできません」
「……ならせめて機嫌を直して頂けると」
この一言でペネムエの眉間にシワがグッと寄る。
自分がしたことに心当たりは無いとはいえ体は勝手に距離を取ってしまった。
ここでペネムエはハッと我に返り気持ちを落ち着かせた。
「あっいえ……申し訳ございません」
「怒ってない!?」
「はい、怒ってはいません」
「じゃあ何か嫌な事でもあった? その……天界にはあまり来たくなかったんだよね?」
「そっその点につきましても思ったよりは大丈夫だったと言いますか何とも無かったと言いますか……
ごっご心配頂きありがとうございます」
丁寧に頭を下げるペネムエ。
彼女は元々礼儀正しい性格だが、話し方や仕草がぎこちなく違和感があった。
天の頂で、何か深刻な話しでもあったのかと翔矢は思ったが、何となく違う気がしている。 というか原因は自分にある気がしていた。
だが、いくら考えても理由までは思いつかなかった。
そんな中、机の椅子に座りクルクルと回っていたアルネブが立ち上がりペネムエに耳打ちをする。
「我はマスターに何もしておりませんぞ?
求められれば恐ろしくて断れはしませんが、マスターがそんな方でないのはペネムエの方が分かっているであろう?」
この会話は翔矢の耳には届いていなかったようで、急にペネムエの顔が赤くなったのを不思議に思っている様子だ。
何はともあれ、ペネムエの機嫌が直った所で、外からドーンという音が響いてきた。
翔矢の耳には花火だとすぐに分かったが、アルネブには馴染みがなかったのか、机の下に潜り震えてしまっている。
「おーいアルネブ、どうした?」
「どうしたって敵襲ですよ? 身を潜めませんと、いえマスターであれば問題ないでしょうが」
「天界に敵襲なんて……ないよな?」
「翔矢様……なんで自身なさげなんですか?
敵襲なんて……ありませんよ?」
「ペネちゃんも変な間があったよ? 自信ないんじゃん」
翔矢の言葉でペネムエの脳裏には、天界に来ているという七大魔王の存在が過ったが、忘れようとするように首をブンブン横に振る。
「いずれにせよ今のは大天界祭開始の合図ですね、様々な世界の出し物が出そろったようです」
「おっ!! いよいよか!!」
「勢いで来てしまいましたが、全ての世界の代表が集まる祭りとは楽しみですな!!」
机の下からようやく立ち上がったアルネブ。
ペネムエは出来れば翔矢と2人が良かったと思いつつも、長い期間でチャンスはあると信じ2人を案内する事にした。
程なくして宿泊施設を出ると外には多くの異世界人が行列を作っていた。
「思ったより混んでるなぁ」
「宿泊施設の時とは違い、皆様同じ方向を目指しておりますからね」
「パビリオンと言ったか? 見学する施設とは複数あるのではないのか?」
「そうなのですが、パビリオンのあるエリアへ向かうワープパネルは決まっておりますからね。
大天界祭に向けてかなり増設したと聞いておりますが、全ての異世界から招くとなると限度はありますね」
「どんな世界でもイベントって混雑するんだな」
そうは言いつつも列の流れ事態は悪く歩みが止まることはない。
先が長い事に変わりはないが、何となく列の先がどうなっているのかは見えてきた。
四角い絨毯のようなものに異世界人が立ち止まることなく踏んでいき次々に姿を消していく。
異世界人たちは慣れた様子だが、この光景を翔矢の目にだけは新鮮に写っていた。
「すっげぇ……ゲームみたいだな」
「翔矢様は魔法の文化にも相当慣れたかと思いましたが並んで正解だったようですね」
「あっそっかペネちゃんなら瞬間移動の魔法使えたんだっけ」
「混雑する場で使用したことはないので正直自信はないのですが」
この回答にアルネブは一瞬バカにするような笑みを見せた。
それをペネムエは見逃していない。
「アルネブ様、何か言いたげですね」
「ん? 我はただペネムエが得意技と言っていた瞬間移動の制度が、その程度なのかと思ってのぉ。
これだけの混雑を毎回発生させているのも天界の管理能力の底が知れるというもの」
「わたくしの1番の得意技は氷魔法です、お互いに魔法が解禁された環境ですし手合わせしてみますか?」
「我は構わんが……まさか氷タイプは草タイプに一致抜群を取れるので勝てるとか思っておらんじゃろうなぁ?」
「アルネブ様こそ、負けてもタイプ相性のせいにしないで下さいね」
2人は静かに火花を散らす。
さすがの翔矢も、このまま戦わせては不味いと感じたが、止める手立てが思いつかない。
だが、それ以上に彼には気になった事がありウズウズとして聞かずにはいられなくなった。
「魔法の戦いって、そんなどこぞのモンスターみたいなシステムだったの!?」
翔矢の言葉を聞くと2人からバチバチとしたモノが消え戦い前の緊張感が消えた。
「スケジュールを見たが大天界祭では武闘会があるのだったな」
「えぇ決着はそこで付けるとしましょう、ワープパネルの順番も間近ですからね」
元々列の流れが良かったのもあり、気がつけば残りは10人くらい。
改めて見てもやはりゲームのステージギミックのようにヒュンヒュンとワープパネルを踏んだ人間が姿を消していく。
「間近で見ると光景がエグいな、正直怖いかも」
「ノーマジカル以外では一般的なギミックなのですけどね。
移動できる距離などは魔法技術で差がありますが」
「我の住む魔王城にもあるぞ、王座の間に出入口へと一瞬で移動できるのだ」
「え? それだと敵に攻められた時とか楽に玉座まで来られない?」
翔矢の問いにアルネブは得意気に胸を張る。
「心配には及びませぬ、外から来たモノには使えませぬ。
我に認められるか倒すかすれば、それ以降は自由に使えますがな」
「ゲームのクリア後のエリアじゃねぇかよ……なんで倒される前提のギミックが自分の城に付いてるんだよ?」
「言われて見れば妙な話ですが気にしたことはありませんでした。
魔王とはそういうモノだと思っていたといいますか。
攻められるような事態もありませんでした故」
ペネムエも、この話に興味が湧いたのか何か言いたそうだったが口を開く前にワープパネルの順番が来てしまった。
今まで、その様子を眺めていても、いざ自分の順番となると翔矢は緊張した様子だ。
「こっこれを踏めば良いんだよね?」
「はい、それだけで様々なパビリオンのあるエリアの入口に到着します。
注意事項としましては危険ですので立ち止まらず歩き続けて下さい」
「エスカレーターとは逆の注意だね了解」
「マスター不安であれば我と手を繋いで一緒に行きますか?」
冗談なのか本気なのか分からないアルネブの提案にペネムエは眉間にシワを寄せる。
「はいはい、申し訳ありませんがワープパネルは1人用ですからなぇ」
「ちょっまっ流石に押すのは危なっ」
抵抗も虚しく彼女の足の先端がワープパネルに触れそのまま姿を消した。
ペネムエも笑顔で一礼をしてワープパネルを踏み後を追う。
2人の姿を見て翔矢も覚悟が決まったようで、ワープパネルにゆっくりと足を付ける。
『宮本翔矢君、やっと会えそうで嬉しいよぉ〜』
「え?」
おっとりとした優しい声が翔矢の頭に響く。
昔……いや最近聞いた気がする声だが、いつ聞いたのか誰の声なのか思い出せない。
それに気を取られ、先程の止まってはならないという警告が抜けてしまった。
気がつくと後からワープパネルを踏んだ誰かとぶつかってしまう。
「いたっ!!」
「あっすいません……ボーッとしてて」
すぐに謝罪はしたのだが、人混みの中では、そのまま歩みを進めるしかなく、前に見えるペネムエとアルネブを追うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
ストーリは一生懸命練っているので少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると幸いです。
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