275話:騒動から助太刀が始まりそうです(改稿予定有り)
巨大な扉の中へ雪崩のように入って行く、人々や天使たち。
扉の全容の見えない巨大さゆえ、数十万という人々が流れ込んでも、全く混乱はしていない。
その中には、目を輝かせながらキョロキョロと見渡す翔矢の姿もあった。
「スッゲェ、アニメでしか見たことないような種族の方々って本当にいらっしゃるんだっぺなぁ」
「翔矢様……言葉使いがスッゲェ事になっておられます」
「体が女性に変わった時といい、こいつ定期的に日本語おかしくなるわね」
そんな事を話しながら扉を抜けると、雲の地面に白い建物がズラリと並んでいるのが目に入って来た。
「これが……天界!! イメージ通り真っ白!!」
「気に入って頂けたようで幸いです」
「気に入ってるのか!? この感想は!?」
ペネムエとリールが微笑ましく見守っている間も、翔矢は止まる事無くウロチョロと辺りを観察している。
「でも、家っぽいのだけで何も無いね?」
「ここはコテージと言いますか、大天界祭にいらした方々の宿泊施設です」
「ねぇ、あのでけぇ建物何!?」
「聞いちゃいないわね、人の話……」
呆れるリールに対しペネムエは翔矢の直近の質問に嫌な顔1つせず答えるつもりだ。
翔矢が指さす先には、天を突き抜けるような巨大な塔がそびえ立っている。
「あれは神の頂、天使達は基本的に人間の住む世界で仕事をしていますので、天界には少数しかいないのです。
そのため、居住区や商業施設、学校まで、あらゆるモノが集中しております」
「へぇ、ぺネちゃんの部屋もあるの?」
「もちろんです、ほとんど使っていないのいで、面白いモノなどありませんが……
しょっ翔矢様さえ、よろしければ、わたくしの部屋に泊まっても!!」
ペネムエが勇気を振り絞り声を出したのを邪魔するかのように「キュイーン」という音と眩い光が、そこらじゅうに広がっていた。
その音と光の内1つは、翔矢のポケットからも漏れている。
「これって、来る前にリールから貰った招待状?
天界に入る以外にも使うの? これ?」
招待状を開けという意味だと解釈した翔矢が中を確認すると『BZ-0224』座標のようなモノが書かれていた。
「なにこれぇ?」
「えっと、あっなるほど、宿泊施設の場所の座標ですね。
上をご覧ください」
見上げると、プカプカと浮かぶ雲に座標のようなモノが書かれている。
この宿泊施設の様なエリアは、碁盤の目のようになっており、何となく向かう方向と場所は分かった。
「結構距離がある場所を引きましたね」
「まぁ異世界の人も、いっぱいいるし全員の部屋でしょ?
仕方ないよ」
「アレでしたら、わたくしが瞬間移動で送りましょうか?」
「瞬間移動!? ぺネちゃん瞬間移動なんて出来るの!?」
翔矢は目を輝かせペネムエに攻め寄る、そして何故だか眉間に人差し指と中指を当てている。
「氷魔法の次の、わたくしの得意技でございます!!」
「あぁ、でも来たばっかだし自分の脚で歩きたいかなぁ。
大天界祭って、かなり長いんだよね?
また機会があったらお願いしするよ!!」
「そう……ですかぁ」
ペネムエは残念そうに肩を落とした。
「せっかく来たって言っても、真っ白で似たような建物が並んでるだけで、面白いモノとかないわよ?」
「分からないぜ? 全く文化の違う所に来たんだ、今はいるだけで楽しいさ」
「まぁ雲トランポリンで数時間遊んでたくらいだもんね」
「あれ結構楽しかったぞ? 簡単に10メートル以上もジャンプできたし」
「本当は4、5歳とかの子が遊ぶんだけどね」
「今なんて?」
翔矢の聞き逃しは解決しないまま、今度はペネムエとリールの水晶玉が輝き始めた。
「リール、天使は全員、神の頂に召集のようですね」
「私も段取り分かってないのよねぇ。
普通の天界祭は何度か経験してるけど、大天界祭は初めてだし」
「気が進まないですね」
今まで明るかったペネムエが、急に肩を落しシュンとする。
その理由を2人は、すぐに察する事が出来た。
「ぺネちゃん……もしかして俺が天界に来たいんだと思って無理したんじゃ?」
「大丈夫よ、私が付いてるし、変な事言う奴がいたらドカーンしちゃうから!!」
「2人とも、ありがとうございます。
って魔法使える状況でのリールのドカーンは洒落になりませんよ」
ペネムエからクスクスと笑みが毀れる。
「翔矢様、そういう訳で、わたくしとリールは神の頂に向かわなければなりません。
1人で大丈夫ですか? とりあえず寄り道せずに、まっすぐ宿泊施設に向かって下さいね。
何かあれば通信用の魔法石で~」
「ぺネちゃん、保護者じゃないんだから……
異世界の人も、みんな天使が招待された人で悪い人じゃないでしょ?
さっきの2人の喧嘩もショーみたいだったし、危険はないでしょ」
翔矢は自信満々の様子だが、なぜだか2人の不安は一層強くなった。
「ペネムエ、やっぱり瞬間移動で送っていきなさいよ」
「それはちょっと……」
「何よ、さっきまでやる気満々だったのに、久々で自信なくしちゃった?」
「いえ、既に手遅れという意味でございます」
ペネムエが指差す方向では、翔矢が小さく見えなくなる程、遠くにいた。
「え? なんで!? 瞬間移動!? アクセル!?」
「少し目を離したすきに……まぁ翔矢様のおっしゃった通り、治安が悪いという事も無いので大丈夫でしょう……たぶん」
天使召集のタイムリミットは、刻一刻と迫っていた。
2人に選択肢は、潔く諦めて神の頂に向かうしかない。
「リール、わたくしの腕を掴んで下さい」
「ペネムエの瞬間移動に頼るのも久しぶりね。
じゃあ、いっちょシュンとお願いするわ」
「こちらこそ……お願いいたしますね。
神の頂では……しばらく天使としか会わないでしょうし……」
不安そうなペネムエの表情を見ると、彼女の腕を掴むリールの力が自然と強くなる。
2人は瞬間移動、その場から姿を消すのだった。
***
その頃、翔矢は2人の言いつけを護り、まっすぐ自分の宿泊施設の書かれた座標に向かっていた。
「Bはすぐだったけど、そっからZまで行ってぇの0224……
トラベラーズハイになって、自分の足でとか行っちゃったけど遠いな……」
歩けども歩けども、代わり映えのしない町並み。
注意されてはいたが、翔矢にとっては、面白みの感じるモノではなかった。
時間が経つほどに後悔の気持ちは強くなっていく
「瞬間移動……お願いするのが正解だったかな」
まだまだ宿泊施設までは距離がありそうで、気を紛らわそうと、異世界の人々に目を向け得る。
「本当にライトノベルの世界に迷い込んだみたいだな……」
服装からして、日本どころか地球で見かけないであろう格好の人々が多い。
特に、女性のスタイルの良さと露出の多い服装に目がいってしまう。
「そういやリールも、会ったばっかの時は、エッグい露出の服着てたっけ。
あれ、異世界でも何らかの法に触れてないのかな?」
など冷静な感想が口から漏れている、翔矢の顔は真っ赤に染まっている。
そんな時だった、後ろの方から、とてつもない声量の怒号が聞こえた。
「誠にゴメンなさい!!」
如何わしい事を考えていた翔矢は、反射的に謝罪し頭を深々と下げる。
だが怒号は翔矢に対するモノで無く、人々の注目は他に集まっていた。
それに気がつきペネムエとリールからの「まっすぐ宿泊施設に向かうように」という警告が頭を過ったのも無視し、騒ぎの元へ向かう。
そこでは、せいぜい中学生くらいに見える子供に、先ほど戦いを見せてくれたクロムウェル侯爵が地に頭を着け謝罪していた。
「王子、お許しください!!」
「許せるか、この大馬鹿者!! 先ほどの戦いは何じゃ!?
あんな見かけ倒しの、金ピカキザやろうに負けよって!!
メタリカ帝国の大恥じゃ!!」
クロムウェル侯爵は、頭を下げ続けているが、子供は容赦なくその頭を蹴飛ばし、その体は転がっていく。
彼の部下の兵士達は、駆け寄ろうとするが、子供の1睨みでその足を止めてしまった。
「おっお言葉ですが王子、あれはパフォーマンス。
それに異なる世界といえ、ワシは侯爵で、向こうは王。
相手の顔は立てねばなりませぬ!!」
「顔を立てる!? 僕ちんの顔は丸つぶれじゃ!!」
王子はクロムウェルに向け手を向けると青い炎が出現した。
野次馬達は、今回はショーでないと感づいている。
だが、どういう思惑か積極的に王子を止めようというモノはいない。
天使達は全員招集されているので、この場に居合わせているのは、各世界の人間だけだ。
「なんで、あんなワガママどら息子みたいなの正体されてるんだよ!!」
思わず大きな声が出てしまうと、王子の視線は、翔矢の方へ移る。
「お前……魔力がないな? ノーマジカルとかいう世界の人間だな?
なんで、そんな世界の奴が正体されてるのかは分からんが……
僕ちんに対する無礼は万死に値するのじゃ!!」
青い炎は、狙いを翔矢に変え放たれる。
「いけませぬ王子!! ノーマジカルの人間は、他の世界に行かぬ限り力を持ちませぬ!! 本当に死んでしまいますぞ!!」
クロムウェル侯爵は止めようとするが、既に遅かった。
だが翔矢は臆する事無く、右ポケットに入れていた赤メリを構えようとする。
「ワガママどら息子にしちゃ強そうだが行けるか!?」
あと数瞬で、ファイターが発動しようかというタイミングで、青い炎は何者かに切り刻まれた。
そこには、剣を構えた翔矢と同じくらいの年齢の男が立っていた。
「お前……何者じゃ!?」
「俺は須藤タケル、今は異世界で冒険者やってるけど、久々に同じ日本人を見たら放っておけなくてね」
翔矢は彼と面識はなかったが、その言葉で彼が異世界転生した日本人だと理解した。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
ストーリは一生懸命練っているので少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると幸いです。
下の星から評価も、入れてくださるとモチベが最高潮になるとか。




