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追放冒険者の限界生活日誌  作者: forefore
フロンティエール、出会いと別れが集う街
16/21

真実、道が分かたれても目指す先は同じ

かつて、天上から()()()と称される人間がやってきた。


彼らは一様に()()()から来たと語る異様な者達だった。


彼らは不思議な力を扱い、その力は"魔力"と呼ばれるようになった。


しだいに神の子は人々に受け入れられ、各地に根付いていった。


しかし、神の子もまた人。人なりに欲望を抱いていた。


その有り余る奇跡の力を我欲のために使うのにそう時間はかからなかった。


ある者は王となり、力を震わせて富を貪る傲慢な王となった。


ある者は神を名乗り、その力を以て信徒を従えて宗教を立ち上げた。


並みいる神や王が、他の神の子達を従えて互いの威信をかけて争った。


神の子同士の衝突。元々いた民たちは良くも悪くも影響して"魔力"に目覚めた。


姿を変え形を変え、戦争が絶えることはなかった。


戦いは熾烈を極め、巻き込まれた民たちはどの国、どの種族の者であっても終わりを願っていた。


ある時、その戦争は終焉を迎えた。


それは神を嫌い愚王を嫌う()()()によるものだった。


彼は人々に問うた


「人は何ゆえに神を信じる、王は何ゆえに我欲を捨てぬ」


彼の怒りは憎悪は大地を震わせた。


彼の漆黒の"魔力"は次々と神の子を襲った。


やがて戦争の当事者はかの神の子に殺され、彼の問いに答えられる者もいないまま戦争は終わった。


元居た各地の民はかの神の子を崇め称えた。


彼が残した惨状に目をつむり、彼が下した裁きだけを見た。


――――見せかけの力より民たちは残酷な粛清を選んだ。


そして、かの神の子に民たちは新たな呼び名を与えた。


――――魔力を統べる王――――()()


魔王が戦争を終わらせてから数日。彼は再び現れた。


彼はその力で大地に息吹をもたらした。


瘦せた土地に草木が実り、生きとし生けるものに豊かな恵みを与えた。


彼はその知で学園を設立した。


偶然にも目覚めた魔力を制御し活かすために魔術学院を立ち上げた。


彼はその財で都市を作り上げた。


差別を偏見をなくすための多種族が交流する交易都市を築いた。


彼はその愛で子を成した。


彼の子供たちは各地に赴き神の子が人々に、大地にもたらした亀裂を埋めていった。


やがて彼は魔王とだけでなくこう呼ばれるようになった


――――豊穣の神――――シエル・フォレスタ――――と。


しばらくして、彼は自らの住まう古城の地下で眠りについた。


彼の眠る地は――――フィコンディートとして語り継がれる。


_____________________________________

「今のところただの神話では?」

「まぁ待て、お前さん。アマルが言っていたのはこの()()()()()()()()()が残したものについてだ」

「残したもの?先ほど話したもの以外にも何かあるんです?」

「…………魔王は自分が天外からやってきた――――そう子供達に伝えたらしいんだ」

「天外?何かの比喩ですか?」

「文字通りの話らしい」

「…………?それは月や遍く星のいずれかからやってきた…………ということなのですか?」

「正確な場所は分からん。それに今回話したい内容はそこではない」

「というと?」

「――――魔王は自身をこの地に落とした張本人からこの地を守るために…………兵器と防衛機構を作ったそうだ」

「――――まさか、アヴァール王の狙いって」

「その兵器の存在が分かった。だからその兵器を手に入れようとしている。アマルはそう推測しているらしい」

「…………理解が追い付かないんですが」

「だろうな。俺だって実感がわかん。アマルに何度も説明されてやっとだったからな」

「――――アマルは俺に何で話してくれなかったんですかね」

「…………相手の力が未知数だからだろうな。それにあいつもまだ事を起こす気はないらしい」

「クーデターの件は関係ないんですか?」

「うーん………その件はどちらかというとアヴァール王の計画を遅らせるための計画なんじゃないかな」

「そう…………ですか」


シエル教が崇める神の正体、アマルの狙い……………一日にして得られる情報量を優に超えていた


「…………それで俺にこれを話す理由って何なのですか?」

「――――お前の力を借りたいから、だとさ」

「それってどういう――――」

「あいつもなお前と同じくお前との価値観のすれ違いに苦しんでいたのさ」

「――――俺の独りよがりな想いじゃなかったんですね」

「あぁ、それで俺に再三相談してきた。アコールの言い分が分かるのに自分の意見を曲げられない…………そういう自分が苦しいって」

「――――同じだ、過去の俺と」

「そんな時にあいつはさっき話してた事実――――魔王の遺産の存在を知ってしまった」

「…………それがアマルの話していた理想の話とつながるってことですよね」

「あぁ…………兵器を巡って戦争が起こる。それはあいつの理想を妨げることだからな」

「知っています――――俺が良く知ってる――――あいつの理想は」


"人々をできる限り多く救いたい"


彼が語った理想はアヴァール王国の聖都奪還戦争の影で苦しむ人々を見てきたから抱いたものだった。


魔王領から飛び出したドラゴンが無辜の民を焼き払う姿


戦地にほど近い地域の村で起きた身勝手な惨劇を知っていたから。


「――――彼の時間は稼ぎます。()()()として」


アマルが自分の理想のために動くなら


俺はそれを叶える時間を稼ぐために人々の脅かす魔物たちを狩り続ける


そう心に誓ったのだった――――

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