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追放冒険者の限界生活日誌  作者: forefore
フロンティエール、出会いと別れが集う街
15/18

波動、迫りくる決壊の知らせ

「――――ふーん。アコール、趣味で薬草採取するようになったんだ」


翌朝。チェイス・オックスが餌場としていた薬草の群生地から薬草を採取しているとノルンが声をかけてくる。


「趣味ってか節約のためというか…………」

「調合できるの?まさかそのままかじりつくとか?」

「…………そういやあの時以来試したことないな。…………おーいルルパ」


あの時、アシッドヴァルチャーの強酸を直接使っていた時にギリギリ失敗作を生み出してからは調合の類をしていなかった。


しかし、まともな調合器具がないとはいえ、ほとんどの抽出作業はルルパが行える。というか本来はそのための疑似スライムだったが今は()()()


呼ばれたルルパは俺の手の平に乗り、渡された薬草を取り込む。


「…………ってなんか体組織が複雑になってないか?ルルパ」

「だね。昨日よりもなんか複雑に見えるし…………牛君のマナも少し感じるかも?」


体内に取り込まれた薬草はルルパの体内で何度も揉まれて水分が出ていく。


それと同時に"溶解"ではなく"咀嚼"しているかのようにどんどんと細切れになっていく。


薬草がどんどんと抽出されているなか、ルルパの弾むように身体を上下させている姿を見て…………


「「――――可愛い」」


口を揃えざるを得えなかった。


しばらくすると有効成分、不純物、水分に分かれ抽出が完了したようだ。


不純物はどんどんとルルパの体内を巡り栄養にされ吸収される。


俺がポーションの空き瓶を差し出すと抽出したエキスと水分が混ぜられ、濃密なポーションが瓶に注がれる。


「――――すご。()なんて言葉が安っぽく感じるくらい職人技じゃん。アコール、どうやって教えたの?」


ルルパが褒めてほしそうに身体を膨らませてアピールする


ノルンは可愛さのあまり、思わずルルパを抱きかかえながら俺の反応を伺っている。


ペリカの話を踏まえるなら()()()()()()の時点で抽出にある程度の性能は保障されているのだろう


…………となると、俺の意図を汲み取ってくれたのか、知らないうちに試行錯誤していた?


――――そういえば、療養しているときにルルパ用の餌として薬草を食べさせていたような


「俺のマナから情報を読み取ったのかな?…………療養してた時にルルパの餌がなかったから余ってた薬草とか食べさせたり、俺自身の勉強のために薬学・錬金術関連の本は読んでたけど…………」

「…………それにしたってうまくできてる。水でもう少し薄めるだけですぐに使えるし」

「――――よく見たらルルパの体内でチェイス・オックスの内臓が真似られているのか、道理で」

「どういうこと?アコール」

「牛の消化プロセスを真似してるってことさ。内臓を食べてるうちに構造を学んだってことだと思うけど」

「確かにそれなら草を難なく消化できるけど…………それだけじゃないでしょ?わざわざ言うってことは」

「俺が前に自己流の調合法を失敗したことだあってさ、その時は抽出の過程をアシッドヴァルチャーの強酸で全部スキップしてたんだ」

「…………無茶なことするね、アコール」

「まぁな。あれは俺の中でもやらかしたって思ってる。…………でも今回のルルパはチェイス・オックスの内臓を真似て段階的に消化しながら、振動魔術による不純物の整理とアシッドヴァルチャーの強酸による抽出精度向上でここまで仕上げてるってことさ」


――――おっと、思わず興奮気味に語ってしまった。


「……………………?」

「まぁ要するにあんまり強酸に頼らなくても高品質な抽出ができるってわけさノルン」

「ん。その方が分かりやすくて助かる」


――――俺に強化魔術の説明をするペリカもこんな気持ちだったのかなと思ってしまった


_____________________________________


昼過ぎ、フロンティエールの冒険者ギルドに帰ってくる。


受付にてコモラに頼んでノルンの冒険者登録手続きを任せているうちに、俺はギルドマスターに今回の件を報告しに行く。


「…………アコールか、ムーン・サーペント討伐の件、聞いているぞ。」

「お褒めにあずかり光栄です。レオンさん、今回俺が受けた依頼で少し口頭でも伝えたいことがありまして――――報告書に目を通していただいてもよろしいですか?」

「なんだ?改まって…………」


レオンは俺が書いた報告書に目を通す。


読み進めていくうちにだんだんと険しい顔になっていき…………読み終わると同時に口を開いた。


「チェイス・オックス…………それにバロバオもだが、こいつらはここ十数年であの荒野に根付いたのは知っているか?」

「そうなのですか?」

「あぁ…………まさか荒野の境界付近の薬草地帯にまで生息地を拡大しているとはな…………報告感謝する」

「いえ、冒険者として当然のことをしたまでです」

「俺の姪もこれから世話になるらしいな?」

「相変わらず耳が早いですね」

「当然だ。そうでなければギルドマスターは務まらん」

「――――一人ではできないことも多いのですので。それにレオンさん。彼女や俺が所属していた傭兵団が解散したということは知っていますか?」

「――――初耳だ」


レオンはふとどこか遠くを見つめていた。


ノルンもしていた。何かを予感させているその視線。


「…………何か知っているんですか?」

「君の元パーティリーダー―――アマルからも聞いた話だ。お前さんにもいい加減話しておこう」


昨晩から残されたしこりがレオンの手によって解かれていく予感がして俺は覚悟を決めて話を聞くことになる――――

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