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追放冒険者の限界生活日誌  作者: forefore
フロンティエール、出会いと別れが集う街
14/18

加入、"風読み"が運ぶ不穏な暗雲

気の抜けた音。


目の前にいるノルンの腹からこだまする旋律。


「――――よかったら食べるか?ノルン?」

「…………ん」


躊躇いもなくもなく広がる口蓋。傭兵時代から何かと懐いてきたが…………どうやら変わらないようだ。


「はい、どうぞ……………………おいしい?ノルン」

「――――おいひい」

「よかった。というか何でこんなところにいたんだ?」

「…………狩り?――――アコールに先越された」

「狩りって…………傭兵団はどうしたんだ?」


途端にノルンは気まずそうな顔をする。何かまずい事情でもあるのだろうか?


肉を噛み締めながらも周囲をじろじろと見まわしているノルン。


スープの器を握る手に力がこもり肌が白んだかと思えば…………口を開いた。


「――――解散したの。傭兵団」

「なん…………で?」

「傭兵でできる仕事。全部冒険者か国に取られちゃったの…………だから」

「――――団長は最後まで国のお偉いさんと交渉したけど…………ダメだった」

「…………それで、食い扶持が無くなったからここにいたのか」

「そ、アコールはまだ冒険者してるんでしょ?報告書っぽいの書いてたし」

「見てたのか」

「美味しそうなにおいが漂ってたから…………近づいたらたまたま見ちゃって」

「まさかとは思うがあんまり食べれてないってことはないよな?」

「…………そういうこともないけど。節食に睡眠不足。控えめに言って不調かな」

「――――大問題だろ。ちゃんと食べな?ノルン」


軽くお腹が膨れるくらい食べたノルンをよそに、残りの肉を燻製する準備を整える。


「ん…………お腹いっぱい。こんなに食べたの久しぶり」

「心配だな…………次の仕事の当てはあるのか?」

「――――ない。」

「おい、もう少しは危機感をだな…………」

「アコールに養ってもらうから。それで十分」

「おま…………プロポーズにしても段取りってもんが――――」

「冗談。本気にした?」

「んっ――――」


こいつは昔からこういうやつだった。澄ました顔で冗談を飛ばす挙句にやたらと距離が近い


「――――ふぅ。ほんとに当てが無いんだよな?ノルン」

「そこはほんと。仕事の斡旋してくれるの?」

「いや、ノルンさえよければ俺とパーティ組まないか?」

「――――やっぱ本気にしてる?さっきのこと」

「あのなぁ…………」

「アコールの言いたいことくらいわかるよ。さっきのペット君、まだできること少ないよね?」

「気づいてたか」

「マナの量からしてまだまだ発展途上って感じするもん。それに、一人と()()じゃ戦闘の余裕に大きく差が生まれる」

「――――そうだな。何より俺の力にも限度がある。顕著なのは射程差なんだよな…………」

「ん…………そういうことならノルンが適任。"風読み"の異名は伊達じゃない」

「助かるよノルン」


"風読み"――――傭兵団時代のノルンの異名。


ギルドマスター――――レオン・ヴァーミリオンの姪である彼女は傭兵団の時期団長候補に上がるほどの素質を持っていた。


それは卓越した射撃技能・身体能力…………それらに風魔法による加速をつける戦法。


弓兵でありながら獣人族の身体能力を持ち合わせるおかげで射撃ポイントの迅速な移動、近接戦、物理も魔法もこなせる優秀さ、索敵能力、すべてに磨きがかかっていた。


「ところで…………このペット君。名前付いてるの?」

「ルルパって名前だけど」

「――――普通」

「しょうがないだろ、変にセンスを働かせたらろくなことにならないのはノルンも知ってるだろ?」

「…………愛用の砥石に”トギトギさん”ってつけたのはさすがにノルンでも驚いたけど」

「言うな…………今でも使ってるんだから」

「ふふっ…………変わんないね?道具を大事にするところ」


話の最中にルルパが眠たくなったのか俺の肩に寝そべるようにしがみつく


「可愛い。懐いてるじゃん、テイムでもしたの?」

「いや?…………元パーティメンバーの知見を借りた道具を使ってたら…………誤って息を吹き返してな」

「元?なんだ、一回パーティ組んでたの?」

「――――リーダーと価値観がずれてな…………それで抜けることになった」

「リーダー…………あの子?…………アムルだかアマラだかって子」

「アマルな…………ってか何でノルンが知ってるんだ?」

「ノルンが傭兵団をやめる直前に一回だけ彼と一緒に戦場に出たことあるもん」

「戦場に?」

「ん。何だか兵士にしては珍しく苦しそうな顔して戦ってたから気になって声をかけたんだよね」

「…………身内からは第二騎士団で修行しているって聞いてたんだけどな」

「確かに部隊は第二騎士団のとこだったかな…………王都でクーデター紛いのこと起きてからは見てないけど」


――――クーデター?


「…………それってどういう――――」

「この話はおしまい。――――少なくとも君一人でどうこうできる話じゃないから」


ノルンは意味深に無理やり話を切り上げて食器を片付けて寝る準備に入っている。



傭兵団、アマル、アヴァール王国…………気になることが山積みのまま寝ることとなった――――

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