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追放冒険者の限界生活日誌  作者: forefore
フロンティエール、出会いと別れが集う街
11/18

荒野、冒険者としてのもしもの結末

一週間近くぶりの冒険者ギルド。


あの時と比べれば格段に強くなっている。


――――それにルルパという仲間もいる。


確かな自信と共に受付へと向かっていく。


「コモラ、久しぶり。」

「お久しぶりです!怪我も治って依頼を受けに来た感じですかね?」

「そういうことだ。大分療養が長引いたから遅れを取り戻さないとと思ってな」

「アコールさん!!聞きましたよ!!ムーン・サーペントの件。ギルド内で噂になってます!」

「そうなのか?…………結構ギリギリな戦いだったんだが」

「だからこそですよ!ギルドマスターも感心してましたよ?」

「レオンさんが?」

「そうですそうです!」

「…………やっとこれでスタートラインって感じかな。あの人の期待に添えられて何より」

「――――あの英雄に認められたなら…………ね」



「――――それで今日の依頼は何にしますか?」

「掲示板を見たんだが厄介な討伐依頼が多くないか?この間のムーン・サーペントの件と似たような感じのが多いのだが…………」

「そうですね…………ほとんど同時期にまばらとはいえそういう依頼が増えてきたのは事実です」


やはりムーン・サーペントの件といい何か関連性があるのだろうか?


冒険者として、そういった各地に点在する危険な魔物に対処するのも立派な役目だ、ソロでもできるものを探して受けることにした。


「――――この南東の荒野の依頼で頼むよ」

「かしこまりました!!」


_____________________________________


「――――もう大丈夫かな。ルルパ?顔出していいよ?」


ひょこっと鎧の隙間からルルパが顔を出す。


ここに来るまでに寝ていたのか伸びをするようにしきりに身体を目一杯伸ばしたかと思えば俺の肩まで移動してくる。


「…………さて、例のパーティの痕跡を探すか」


南東の荒野での依頼内容。

それは別の依頼で出かけているとあるパーティの生存確認。

ただでさえ魔王領土――――フィコンディートに近いこの荒野はただの生存確認でさえ危ない地域だ。

――――噂では近くの砂漠には隕石まで降ると言い伝えられているという始末。

おおよそ例のパーティがムーン・サーペントのような強力な魔物と相対したとしたらその被害は俺の場合と同等かそれ以上になるだろう


「――――彼らがどこかで生き残っているといいけど」


痕跡。基本的に冒険者というものは極力野営時には痕跡を残さないようにする。

特に食べ物や排泄物などは顕著な例だ。残せば残すほどに魔物を誘いやすくなる。

そのため、それらの痕跡は期待できない。

――――考えられるとしたら()()の痕跡

意図的につけられたマナの痕跡ならそれを辿ることができればまだ追跡の可能性がある。


「この同じような景色が広がる荒野なら…………マーキングの魔法をつけているはずだが」


森林地帯などの迷いやすい場所においては、斥候などが手ごろに使える魔法の一種としてマーキング魔法を習得していることが多いとペリカに聞かされていた。

マーキングの魔法は刻印魔術由来のものと付与魔術由来のものなどがあるが…………


「…………あれだな。物理的な目印としても最適だ」


上を見上げれば天に向かって手のひらを広げているように広がる枝


巨人の腕を彷彿とさせる極太の幹


荒野にあるにしては大きめな広葉樹――――バロバオ


地脈由来の豊富なマナを吸っているため荒野でも大きくそびえたつ樹として知られる。


俺はバロバオに近づく。


予想通り木の根元にマーキングが施されていた。

今回のは難易度や条件が厳しい代わりにマナ消費が少ないことで知られる刻印魔術由来のものだった。


「――――となると、性質上地脈を辿って行ったということになるかな…………ん?」


バロバオの樹が小刻みに揺れる。


俺はマーキングの解析に集中していたせいでその強大なマナの気配に反応するのが遅れてしまった。


樹の後ろにいるであろう強大なマナの主の姿を密かに確認する。


「…………牛?」


オーガの腕程の大きさの一対の角を生やした牛の魔物――――チェイス・オックス


俺の方をちらりと見やるが、どうでもよいと言わんばかりに角をバロバオに擦り付けている。


角が当たる個所の樹皮が剥がれ、中から紫紺の樹液が角に絡まっていく。


牛は丁寧に角に樹液を広げ、踵を返していった。


「…………温厚なほうなのか?」



俺は気を取り直してパーティの追跡を再開する。


例のパーティはその後川に沿って移動し、最終的な目的地――――薬草の群生地に来たようだ。


「――――これ…………は…………」


死体。胴体に風穴の開いた冒険者の死体だった。


もしかしたら…………という希望は打ち砕かれた


冒険者というものは死と隣り合わせ…………俺がかつてアマルに苦言を呈したもしもの形がそこにあった


まるでオーガの腕で風穴でも開けられたかのような太さ…………


突如として背後から勢いよく迫るマナの気配。


「――――餌場。そういうことか」


そのマナの主――――チェイス・オックスがこちらに向かって突進してきている。



俺は戦闘態勢を取り、復帰後の初めての戦闘が始まろうとしていた――――

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