水の子守謳 ‐‐八‐‐
貴方に魅せられ 貴方に支配され
殺したい程 イトオシイ
その姿をもう一度此の眼に映せるのならば
此の首が捥がれようとも 手足を千切られようとも
此の世を真っ赤な深紅に染めて見せよう。
只 アナタノ為二
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「しばらく見ない間に醜い姿になったもんだな。」
刀に手を掛けたまま 視線の先にはガシャガシャと手足の鎖を鳴らしもがく少年に
皮肉とも言える言葉を投げかける蓮仙。
その背後に隠れ、耳と尾をへナリと下げながらプルプル体を震わせる命。
「れ…蓮仙様…あ、あの少年はなんでありんすか…?」
「人間で初めて母殺しの実を食べた海鬼埜蛇子の力はとてつもなく膨大で不死の体を持つとも言われていた。その邪使の中でもたけた力は邪使を生み出す事も可能にした。」
言葉を紡ぎながら蓮仙は静かに大紅天乱桜を抜き
切っ先を少年のいる方へと向けた。
「そうして生まれたのが コイツだ。なあ?空残獄。」
蓮仙の言葉に ピクリと動きを止めた空残獄。
そして
「おおおおおおお!!蓮仙ーーーーー!!」
痛々しい程の叫び声を上げ、鎖を引き千切り蓮仙に向かい飛び掛かり
蓮仙と空残獄の距離は一瞬にしてゼロ距離となる。
ひび割れ、折れた刀を蓮仙へと振り下ろす。
「きゃああああ!蓮仙さまああああ!!」
命の叫び声が早かったか、否か
バチィィィィィィィィ
破裂音の様な弾音がし、途端、空残獄の体は勢いよく後ろに飛ばされる。
腐りかけた体からは 黒い血液が舞う。
「ぐッ…ハッ!!」
ドシャンッ 鈍い音を立て空残獄の体は 屍の山へと落下した。
「…まさか、そんな体で俺を殺れると思ったのか?」
冷たく見下ろす蓮仙の周りには大紅天乱桜から放たれた無数の赤い光が
人魂の様に動き回っている。
その光に感じるは 恐怖と見とれるような美しさ。
「人を捨て 海鬼埜蛇子に巨大な力を与えられたその体も腐り果て
お前に残されているのは…そのまま朽ちる事だろうに。」
屍の上でズタズタになった体を起こし 蓮仙を見上げる。
もはやその姿は 原型など留めていない。
「は…ははッ…ボクが何故この池の底で今まで生きていれたと思う…?」
空残獄は震えた手で 蓮仙を指さす
「この池に沈められた人間を喰らい続けたからだ!そしてボクに掛けられていた封は切られた…!
あのお方の力で…!もうすぐだ…お前は気付いていないだろう…?もうすぐ…!」
ドシュッ
言葉を遮るように赤い光が放たれた。
鈍い音と共に 空残獄の首は 黒い血液を飛散させながら宙を舞った。
「もう、手遅レ、、ダヨ、、、」
首だけになっても 蓮仙を見つめる眼は逸らされる事はなく
そのまま 蓮仙の炎によって消え去っていった。
シャラン…千切れた鎖だけが屍の上に残されていた。
「蓮仙様…。」
黙って 刀を鞘に戻す蓮仙に命は心配げに声を掛ける。
『…死んだわけではないようだな。』
「ああ…そうだな…。屋敷へ戻る。」




