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-鬼仙歌(おうせんか)-  作者: 神楽 桜
16/21

水の子守謳  ‐‐碧‐‐


パチ…ッパチッ…


先ほどまで天まで届きそうな程舞い上がっていた炎は

静かに枯れようとしていた。


陣を象っていた光は消え 中心には黒い砂がサラサラと舞っていた。

いつの間にか明けていた夜。薄い光が照らすのは

いつまでも立ち尽くしたままの幸の姿。


少し離れた場所で 蓮仙たちはその姿を見ていた。


「幸様、大丈夫でありんすかね…?」

ピコピコ耳を動かしながら心配げに命が呟く。


「…大丈夫じゃあないだろうな。二度も大切なものを失ったんだ。」

そう言うと蓮仙は一人屋敷の中へと入っていった。


「…蓮仙様…。」

その後ろ姿を見て また 命は眉尻を下げた。


「仕方あるまい。あの馬鹿も責任を感じておるのだろう。だがな、

そんな事ばかり考えていてはいかんのだ。救えなかった命を想うのも大事だが

まだ守らなければならんもんがある、あやつには。そして、儂らにものお。」

花仙はニシシッと笑い命の頭を撫でた。


やはり蓮仙は花仙の子なんだと 命は思った。


「そっくりでありんすう♫」


「?なにがだ?……そういえば命。あのバカ犬はどこへ行っ……」


ドゴッガゴンッガッドオオオオオオオオオンッ!!!!

花仙が命にそう問うた瞬間。

屋敷の奥から物凄い騒音がし、青い顔をして花仙は一目散に走って行った。


「待ってくださいでありんす~!」

その後を命も追いかけて行った。


「騒がしいのお…全く。のう?幸。」

いつの間にか現れた麟仙は幸に声を掛ける。

その微笑む姿を見て 幸も小さく笑い


「ホントに。さあ、婆さま、朝食にしましょう。すぐに支度します。」

と屋敷の方へと駆けて行った。



「わしゃは 酒がほしいのう。」


気付けば黒い砂はすべて風にさらわれ 空を舞っていた。

碧く 広がる 空に。



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