水の子守謳 ‐‐十二‐‐
きゅっと掴まれた命の手をゆっくりと解き
蓮仙は再び構える。
天乱桜の光がパチパチと閃光し始める。
そして
ドンッ
放たれた光と同時に蓮仙の刃が空残獄の腕を弾き切った。
「ぐっ!!」
紅い血をまき散らしながら宙を舞う“想の腕”。
「…くッ…ボクの腕…蓮仙…!!」
切られた腕を抑え 苦しみに顔を歪める。
「お前のじゃない。その体は想のモノだ。」
「!?」
いつの間にか 背後から聞こえた蓮仙の声に
振り返るときにはもう蓮仙の刃は 喉元を捕えていた。
「グッ!」
咄嗟に体を逸らせ 刃を交わしたものの
その喉元にはうっすら赤い線が引かれていた。
再び蓮仙から距離を取る空残獄の様子に蓮仙は攻撃を止める。
“なんだ…?今…”
かすかに感じた違和感。
其れは勘違いではなかった。
「…か…あ…さん…。」
「!!!」
顔を覆う手の指の隙間から覗いた瞳は空残獄の赤いモノではなく
綺麗な透き通る碧だった。
「想…か。」
蓮仙は強く天乱桜を握りしめる。
『どうした?まさかあの餓鬼に揺らされてるわけではないだろうな?
餓鬼の魂が残っていようが、あの体はもう空残獄のもの。時期に餓鬼の意識は完全に消えるだろう。』
「…わかってるさ。」
「蓮仙様!どうにかならないでありんすか!?…だって想くんはまだ…ああやってお母さんを読んでるのに……。」
命の必死の訴えに蓮仙も天悟丸も言葉を失う。
視線の先には顔を手で覆い 苦しげにしながらも幸を呼ぶ想の姿。
「殺してくださいませ。蓮仙様。」
重い空気を切るように 目を覚ましていた幸が呟いた。




