水の子守謳 ‐‐十一‐‐
幸を盾にして嘲笑う空残獄の声が 高らかに空気を震わせる。
「手も足も出ないかい?夜神家の当主さ……ッ」
ザアッ…
「ッ!?」
強い風が吹いたかと思うと
「蒼炎!!紅突!!」
命と共に青い炎を纏う管狐と紅い炎を纏う管狐が空残獄の背後を捕える。
ボウッ
二つの炎が空残獄を包まんと舞い上がる。
「ちッ…!」
その炎を交わすのに幸が邪魔になったのか 空残獄はあっけなく幸を放り出した。
「天悟丸!幸を!」
蓮仙の合図と共に 天悟丸は 宙を舞う幸を傷つけないように優しく咥え
受け止めると 静かに 地面へと横たわらせた。
幸を解放したのを確認し、命は蒼炎と紅突を下がらせる。
思うように体が動かないためか 空残獄は別の岩の上へとしゃがみ込んだ。
蓮仙も刀を構えたまま その様子を伺う。
「どうして…ボクの邪魔ばかりするんだ…蓮仙…。」
顔を手で覆い その指の隙間から 赤い瞳が蓮仙を捕える。
「その体は居心地悪いだろう?想に返してもらおうか。」
「返す?この体を?馬鹿を言わないでくれよ。あの池に沈められてから何百とゆう魂を喰らって
そしてやっとこの餓鬼の体を見つけた。夜神家の血を引く者の体を…。未完成だとはいえ
こんな代物を逃す手はないだろう?まあ…体を完全に貰うまで苦労したけど。ボクに体を渡したくないが為に
あの池から逃げるんだから、参ったよ。」
ククク…と怪しげな笑みを浮かべ立ち上がる。
「…あの草履はやはり想のものか…。」
蓮仙は眉間に深い皺を刻む。其れに反応するかのように
大紅天乱桜の光は増大する。
「れ、蓮仙さまッ!待ってほしいでありんす!…このままアイツを倒してしまえば
想くんの体はどうなるでありんすか…?」
蓮仙の袖をぎゅっと掴み 蓮仙を制止する。
「…想の体は…消滅する。」
「う…。」
「…でも、それでもこのままアイツに想の体を渡すわけには行かない。」




