第27話 隔別 ー声ー
シーンの区切り的に、だいぶ短めになってしまいました。
(ヴァルト視点)
工事が完了した日、作業員たちが打ち上げだと言って酒場に向かっていった。
一ヶ月付き合ってもらった。最初くらいは顔を出しておこうと後に続いた。
酒場に入ると、果実水をもらった。全員が揃ったところで、挨拶をした。
「誰も怪我をしなかった。それが一番だ。倉庫のことはこれで終わりじゃなく始まりだから、あとも頼む。今日くらいは楽しんでくれ」
「乾杯」と言い、果実水を口に含んだ。
作業員たちはすごい勢いで飲み始め、たわいのない話が始まった。しばらくそこにいてから、席を立った。金貨を酒場の主人に預けて、「もし足りなかったらガレス殿に請求するように」と伝えて外に出た。これを見越してガレス殿は事前に金貨を渡してくれていた。領民のことをよく考えている人だと思った。
館に戻る道を歩いた。
十二月の冷たい空気が頬を撫でた。息が白くなった。胸の奥には達成感と満足感があって、寒さは不思議と感じなかった。土の道の上を歩きながら、帰る前にやっておくべきことを考えていた。手紙を書かなければいけない。ガレス殿への礼と、伝えておきたいことがいくつかある。リュートには口で伝えればいい。ただ、タイミングはどうするか——
雑音混じりに、声が聞こえた。
「……ヴァル……ヴァルト」
足が止まった。思わず周囲を見渡したが、誰もいない。石畳が続いているだけだった。
「ガルディス兄上か」と思わず呟いた。
返すことはできない。一方通行だ。わかっていたが、それでも口が動いた。
「ヴァルト、もうすぐ完成するからあと少しだけ頑張ってくれ」
静かな夜にはっきりと届いた。ヴェルザリア姉上が何かをしたのだろうと思った。あの二人のことだから、おそらくそうだ。
空を見上げた。星が輝いていた。
ガルディス兄上らしいな、と思った。頑張れではなく、もうすぐだから、と言う。
……もうすぐか。
一度、土の道を見た。足元は冷えていた。
手紙は明日書こう。夜のうちに、何を書くかを整理しておく。それから、リュートにはいつ伝えるかを考えなければいけない。
それからまた歩き始めた。
歩きながら、ここに来てから何が変わったのかを考えようとして、やめた。うまく言葉にならなかった。それに、言葉にしてしまえば、それで終わる気がした。
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