第五十二話 強さの本質②
今日でまた1週間が始まりますね。頑張っていきましょう!
さっきまでの自己紹介なんて、半分コントだったからな。
王族がいて、全属性防御魔法使いがいて、俺が問題児扱いされて。
おまけにアーシャと口論して、ミスカが泣いて、レイが笑って。
あれ……?まともなクラスとは?
「強さと言う言葉には色々な意味を含みます。例えば……。レイ。分かりますか?」
「魔力量とかですかね」
即答できるあたり、流石は魔導八家と言ったところか。
そのレイの意見を、レイナ先生は『強さ』と書かれたすぐ横に書く。
「確かに、間違いではありません。ではアーシャ」
「強さには、必ず結果がついて来るので勝敗だと思います」
「成程……」
いかにもアーシャらしい回答だ。だが、まだそれでもレイナ先生は黒板に書きはするが正解とは言わない。
そして、その後もレイナ先生はカインとミスカ。そしてリナにも聞いていく。
「今の所出た意見は、『魔力量』『結果』『技術』『相性属性』。そして『知識』。この五つが出ました。そして最後にエイド。言ってみてください」
急に振られて答えられないーー。
そんな事、ある訳が無い。俺が当てられない時点で既に考えてある。この問いの答えに最も近い回答を!
「俺は、笑う事だと思います」
一瞬、教室の空気が止まった。
「……笑う事?」
レイナ先生が、黒板にチョークを当てたままこちらを見る。
レイは肩をすくめて小さく笑い、アーシャは「は?」という顔でこっちを見ている。ミスカはきょとんとしたまま固まり、リナは目を瞬かせた。
「エイド、それどういう意味だい?」
カインが珍しく真面目な声で聞いてくる。俺はカインを見ながら話す。
「いや、さっきまでの話全部見て思ったんだよな」
黒板に並んだ単語を指差しながら続ける。
「魔力量やら技術。お前らが出したワードは結局、勝つ為の方法。つまり、本質的な強さではないんだ」
カインが納得した様に俺の答えに頷く。
だが一方に、アーシャが小さく眉をひそめる。
「それの何が違うの?」
「違うだろ。例えばさ。魔力量が多くてもビビって動けなきゃ意味ないし、技術があっても使えなきゃただの理論だ」
そこで一度、教室を見渡す。
誰も口を挟まない。珍しいくらい静かだ。
「意志が強い奴ってのはさ、常に笑ってるんだよ。どんな時でもな。その余裕があるから冷静に対応できるんだ」
最たる例としては、ミカエルかな。いつも笑ってるし。
「貴方にしては珍しくまともな意見ね……」
「珍しいって何だ!珍しいって!」
そう考えると、俺も笑う様に心がけてるよな……。キッカケは、何だったか……。
まあいいか。どうせろくでもないことだし。今はこっちに集中しよう。
「エイドの意見は、理にかなっています」
レイナ先生は、黒板に先程と同様に書き連ねる。
「明日までの宿題ですが、この強さについて、自分なりに考えてみておいてください」
「宿題!?」
レイが立ち上がり、目を見開いてレイナ先生に質問する。
「初日で宿題とかあるんですか!?」
「ここはSクラスですよ?当然です」
正論のあまり、レイは黙って座ってしまう。
その光景を見たアーシャは冷笑し、アーシャの態度にレイは額に青筋を浮かべる。
「アーシャ……。後で訓練施設で一緒にトレーニングしようぜ……」
「貴方が私に?いいわ。行ってあげる」
二人の間で火花が散り、そんな二人に挟まれた俺はついつい思ってしまう。
仲がいいんだなーと。
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