五十一話 強さの本質
頭痛いです。がんばります。
俺が壇上で縮こまっている中、教室に"パン!"と大きな音が鳴る。
「はい!自己紹介は終わりです!」
見ると窓側付近にいたレイナ先生が手を叩き終えていた。そして壇上に近づいて来る。俺は入れ替わる様に自身の席に着く。
「……誇るべきなのか……。今年は本当に濃いですね……」
しみじみと呟きながら、先生は教卓に手を置く。
「王族に、魔導八家。全属性防御魔法使い。そして……」
そこで一度言葉を切り、ゆっくり俺を見る。
「過去にも例がない問題児」
「誰がだよ」
「貴方です」
酷くない?俺だって目立ちたくて目立ったわけじゃないんだ!
教室のあちこちから笑い声が漏れる。
カインなんて肩震わせてるし、レイは机に突っ伏して笑ってる。アーシャに至っては口を手で覆いながら意外そうに言う。
「自覚無かったんだ……」
「今日一傷ついたかも……」
「まぁ、それはさておき」
「それで済ませるんですか!?」
レイナ先生は咳払いを一つ。
「Sクラスは基本的に実力主義です。貴族だろうが王族だろうが関係ありません。強い者、優れた者。そして結果を出した者が優先して評価されます」
先程までの騒ぎが嘘の様に静まり返る。そして、皆の瞳には闘争の色が浮かび上がる。
「そしてここにいるクラスメイトは、支え合う仲間であり、競い合うライバルです……。決して、裏切らない事を肝に銘じておいてください」
教室の空気が、さっきまでの騒がしさから一気に引き締まる。誰もふざけない。
さっきまで笑っていたレイですら、表情を整えていた。
それほどまでに、レイナ先生の言葉は軽くない。
「支え合う仲間であり、競い合うライバル……か」
カインが小さく呟く。
ミスカは珍しく真剣な顔で前を見ている。
リナも、さっきまでのテンションが消えていた。
アーシャは腕を組みながら静かに目を伏せる。
(裏切らない事を肝に銘じておいてください……ね……)
その言葉だけが、妙に重く残る。俺は少しだけ息を吐いた。
「つまり、強くなれって事だろ?」
俺の言葉にレイが共感する。
「確かに。強くなればいいもんな」
レイナはため息をついて、黒板にチョークで『強さ』と言う言葉を書く。
「先程のエイドの言葉で、"強さ"と言うワードが挙がりました。さて、ではここで皆さんに問います」
俺を含めたSクラスの面々は思ったであろう。「ようやくまともな授業が始まったな」と。
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