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第四十九話 自己紹介②

昨日は頭が痛く、更新できませんでした。すみません。

俺とカイン君以外の全ての生徒が黙っている中、ミスカだけがおろおろした様にアーシャとリナ、そしてレンを見る。


「いやいや!この跪く流れじゃないでしょ!」


うん。良いツッコミだ。


「いえ。我々の役割は殿下達の守護。跪くのは当然です」

「君さっき『立場とかは関係ない!』って言ってたよね!?」

「それはそれ。これはこれです!」

「どう言うことだよ!同じでしょ!」


ミスカ……。俺はこいつにとても親近感を覚えてしまった。ツッコミ役に慕われてしまう立場。共通点が多すぎる。ミカエルがミスカの従者としていたんなら、俺と同じ様な事になっていたに違いない。


「君も言ってくれよ!カイン!」


必死そうな眼差しで訴えてくるミスカに、苦笑をしつつだが、少し嬉しそうに言う。


「僕に言われてもなぁ。王族は王族って感じだし?」


ミスカが再び「カイン!」と半ば助けを求めるように言い、カインは軽く肩をすくめた。


「はいはい、落ち着けって」


その一言だけで、空気が少しだけ緩む。ミスカはまだ納得いっていない顔だ。


「いや、だってさ。普通こんな感じになる?」

「なるよ。王族だし」

「雑いって!」


カインは苦笑しながら、椅子の背にもたれた。それがなんとも女子ウケする様な光景だった。


「君達もさ、ミスカの事を本当に思ってんのなら、敬語やめた方がいいんじゃない?」

「そうそう!」


この二人の会話を聞くに、二人とも旧知の知り合いなのかな?とても仲が良さそうだし。

ま、ここはいっちょ、助け舟を出してやるか。


「お前ら。このクラスは助け合っていくんだぞ?つまり、友達になるって事だ。友達に敬語を使う奴がいるか?いないよな。そう言う事だ」


俺が自信満々に締めくくると、アーシャがジト目で俺のことを訝しみながら見てくる。そして、ため息をついて同意する。


「エイドに言われるのは癪だけど、確かにそうだわ。では殿……。ミスカ。これからよろしくね」


少し照れくさそうにアーシャがそう言う。その発言で泣きそうな表情をしてカインの元まで駆け寄って、カインを抱け締めながら泣き出す。


「カイーーンッ!友達が二人目になったよぉぉぉ!!」


ミスカがカインにしがみついて泣いている間、教室の空気は妙に落ち着いていた。というより、全員が困った様な顔をしている。

この時の心情を表すのなら、「何この可愛い小動物!」っと言う感じか。


「てか……。ミスカって男だよね……!」


リナが口から垂れるよだれを拭いながらカインに問う。


「あれ?言ってなかったっけ。女だよ?」

「「「………ん?」」」


待って……。状況の整理が必要だな。つまり、ミスカは女で、ミスカはカイン(男)に抱きついているって事?うん……。おかしいね。

そう考えている俺も、納得はしたものの納得できていない。

それに、リナを見たら、先程まで目をキラキラしていたのに、今度は信じられない物を見る目つきになっている。

アーシャの場合は諦めた様にカイン達を見守って、レンは一瞬だけ遠い目をしたあと、何も言わず天井を見た。

そんな俺たちの反応を他所に、ミスカ本人はまだカインにしがみついて泣いている。


「友達二人目ぇぇぇ……!」


カインは完全に慣れた顔と手つきでミスカの頭を軽く叩く。


「はいはい、二人目だねー」


リナが震える声で言う。


「ちょっと待って……今まで私たち……」

「気づかなかったのが悪いわね」

「今回ばっかは仕方ねーな。俺だって気づかないのに」

「アンタだからよ」

「ひどくない!?」


アーシャよ。過去の遺恨はそろそろ忘れるんだ。

まぁ、ミスカって中性的な見た目をしているから、外見だけじゃ判断できないんだよな。


「ゴホンッ!」


アーシャが咳払いすると、未だにカインへ抱きついていたミスカが、ハッとした様に離れる。

顔が真っ赤だ。


「ご、ごめんカイン!つい嬉しくて!」

「別にいいよ。慣れるからね」


慣れてるんだ……。それに、慣れれるんだ……。

いやまぁ、幼馴染って言ってたし、昔からこんな感じなんだろうな。

ミスカは恥ずかしそうに咳払いすると、改めて皆の方へ向き直った。


「自己紹介が途中だったね!僕の名前はさっき言ったから……。趣味は釣りで、憧れはお父様!得意魔法は、光魔法と闇魔法!よろしくね!」


そう言って自分の席まで戻り、ちょこんと座るミスカ。

そんな可愛らしい反応の他所に、皆の反応はかなり真剣な顔となっている。多分だけど、相反する属性を持っているからかな。普通、反対の属性を副次的魔法属性としては生まれ持たないし。


「あ、えっとね。闇魔法は生まれた後に身につけたんだ。ほら、なんかかっこいいからね」

「「「かっこいいからで習得できるか!!」」」


アーシャとレイ、リナがこれまた口を揃えて否定する。

ミスカ。こんな雰囲気であれだが、しっかり天才なんだな……。


「てことは、次は僕かな?」


次に立ち上がったのはカインだ。

それで、先程まで和んでいた空気がまた少し和んでくる。


「えーと。名前はカイン=ウォールです。趣味はミスカの人間観察で、憧れはみんなを守れる心が強い人、かな?得意魔法は基本全属性の防御魔法を使用可能です。これからもよろしくお願いします」


紹介が終わり、拍手をしたのは俺だけだった。素晴らしくまとも。それに憧れもちゃんとしている。

だあらこそなんでこの完璧な自己紹介を拍手しないんだ?発表を聞くに何もおかしな所はなかったぞ?


「おかしい所ありありよ!」


アーシャがまるで俺の心を読んだが如く反応する。そして、「何処から言えばいいの……」と呟いている。


「でも、発表も真面目だったし、ミスカみたいにおかしい所は無かったろ」

「エイド……。常識をもう少し身につけたら如何ですか?」

「……泣きますよ?」


ずっと黙って見ていたレイナ先生にも反論されてしまった。反論というより皮肉に近いが……。


「じゃあ、おかしい所言ってみろよ」

「……エイド。一つずつ言っていくぞ。一つはな、カインの家名なんだけど、別名が“王族最後の砦”と言われているんだ。そしてウォール家は王族の近衛。これの意味が分かるか?」

「……確かに、平然と言える内容ではなさそうだな」


レイが説明してくれた内容は、一つがその異名。最後の砦って事は、家名の通り防御魔法に適しているんだろうな。


「で、もう一つ。全属性魔法は理論上しかあり得ない、机上の空論だ」

「……?俺も全属性の魔法使えーー」


ここに来てようやくわかった。全属性使える奴っておかしいんだ!いや、それを言ったら神界の奴らみんなそうなんだけど……。


「これはマジなんだけど、互いの魔力適正が干渉し合って互いの魔力属性を打ち消しちゃうんだよな」

「あ、僕も一つ言わせてもらうと、僕が使えるのは防御魔法だけだよ。属性で言ったら……、攻撃魔法は風かな?」

「「「それでもおかしい!!」」」


また綺麗に声が揃った。カインは「えぇ……」っと少し困った様に笑っている。

いや、本人は本気で不思議そうなんだよな。自分の異常性を理解してないタイプ。つまりはミカエルだ。


「いや、防御魔法だけだったら難易度はそこまでーー」

「難しいに決まってるでしょう!炎属性を持っている人は、水属性を使っても、魔法効果が薄くなるのよ!それなのに全属性?おかしすぎるでしょ!」


アーシャは早口でこの場に必要な情報を出してくれる。マジ感謝。


「毎年、Sクラスには問題児が沢山集まりますが、今年は特に酷いですね」

「そこまでなんですか?」

「問題児の最たる例として貴方が真っ先に挙げられるレベルで」


俺を問題児と呼んだ教師が目の前にいたら、右アッパーで顔面クリティカルヒットだったな。てか、待って。この流れってつまり……。


「話を戻しますが、エイド。自己紹介お願いしますね」

「……。拒否というのは?」

「「「あるわけ無いだろ!」」」


はぁ……。少し誤魔化して発表するか……。

俺はそう心に決意して立ち上がったのだった。

お読みいただきありがとうございました!

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