第四十七話 突き刺さる
お読みいただきありがとうございます!
今後も頑張ります!
「ーーそれ、どうするのよ……?」
「こちらで処分しておきます」
物騒な会話が聞こえ再び眼を開けるが、未だ先程の騒動のせいで視界がボヤけている。さて、如何したものか……。
「ーーッ!エイド様!お目覚めになられましたか!」
「あぁ、何とかな……」
ゆっくりと起きあがろうとするが、壁にめり込んでいる為、動く事も出来ない。
「ミカエル……。俺が気絶して何分だ?」
「おおよそ4分です」
そうか……。って、こいつ。何当たり前の様にしているんだ?
「何でここにいんの?」
「エイド様の危機を!この私が!私が感知しましたので!」
俺の体が動いていたのなら確実にここで拳骨だろう。
まぁ、俺が悪いだけなんだけど。
「ミカエル……。引っ張れ……」
「……御意」
ミカエルが俺の腕を掴む。そして、軽く引っ張った。
すると、木が根元ごと折られるような音がクラスに鳴り響く。
「痛ぁぁぁぁぁっ!!?」
マジで痛い!こいつ……。壁ごと俺を剥がしやがった!
俺はキッとミカエルを睨むが、一瞬だけ申し訳無さそうな顔をして、その後はどこ吹く風だ。
「帰ったら殴ってやるからな……」
「御戯れを……」
俺は恐る恐るアーシャを見る。その顔は先程までと違い、少しだけ落ち着いていた。
「ほら、エイド様。謝罪を」
「言われなくてもわかってる」
俺は痛む体に鞭を打ち、アーシャの前まで歩いて行く。そして、フリザエルに教えてもらった謝罪方法を実行する。
「本当に、申し訳ない!」
俺は一気に頭を角度75度まで下げて、今言えるだけの言葉をアーシャに言う。
「事故だとかは、俺の失敗から逃げる言い訳だった。ごめん!」
フリザエルが言っていた事は、自身が本当に悪いと思うなら、精一杯自身の失敗を言う事、そして謝罪する事だ。
これが、フリザエルに教えてもらった最初の教えでもある。
「え、えぇ……」
この俺の真摯な態度を見てアーシャは戸惑った様に返事をする。
「……別に良いわよ……。私も少し悪かったし……」
顔を少し赤くしながら言う。その態度を見たクラスメイトは冷やかす様にアーシャに向かって言う。
「照れてんぞー」
「もう付き合えばー?」
(バッカ野郎共!そんな事したらアーシャが……)
だが、俺の思考とは違い、アーシャの顔がさらに真っ赤になって行く。
そんなアーシャを苦笑いしつつ見て俺はミカエルに視点を戻す。
「で、騒ぎの元凶は?何処にいんの?」
「……」
ミカエルは何も言わず視線を逸らした。俺は思った。
こいつ……。またやらかしやがったとね。
「レイナ先生!何か知りませんか?」
「…………はぁ。窓の外を見て下さい……」
言われるがままに窓の外を見ると、眼下に何か、地面に突き刺さった物体が目に入る。まさか……。
俺はじっと、ミカエルを見る。ミカエルはしばらく視線を逸らしていたが、やがて観念した様に口を開いた
「私は悪くありません。エイド様!誤解です!」
「まだ何も言ってねーだろ……」
この有様は十中八九、こいつが原因だ。
と言うか、あれってーー
「聞くけどあれって……。学園長?」
「その通りですよ……」
胃の付近を抑えながらレイナ先生は言う。そして、ミカエルに変わって状況を説明し始める。
「貴方が気絶している少しの間、ミカエルさんが窓を突き破ってこの教室に来まして、その場にいた学園長に至近距離で大量の魔法を連射しまして……」
ここで一拍切り、その光景を思い出している様に話す。
「ボロボロになった学園長を、ミカエルさんは足を掴み、窓から地面に向けて叩きつけたのです」
成程……。それは確かにミカエルが言いたくない事だな。
とりあえずは、ミカエル。反省しとけ。
「痛っ!」
俺はミカエルの頭に今日何度目かわからない拳骨を叩き込む。
そして痛がるミカエルの頭を掴み窓の近くまで持って行き、学園長のすぐ横に目掛けて放り投げる。
ドゴッ!!っと言う音が鳴り、土煙が舞う。それが晴れた時、ミカエルが学園長と同じ格好で突き刺さっている。
それを見届けた俺は、クラスのみんなの方に向き直り、にっこり笑って言う。
「……よし!授業始めよっか!」
「「「よしじゃない!!」」」
クラス総出で反論された。解せぬ……。
*
突き刺さっている二人組。
「ミカエル様……」
「……何でしょう……」
「悲しいですな……。色々な意味で」
「悔しいですが、同意します」
この会話でミカエルと学園長との間で、少しだけ同じ思いを共有した瞬間だった。
明日はおそらく更新できます!




