第三十八話 決闘①
ゴールデンウィークももうすぐ終盤です。休みを満喫しましょう!!
ミカエルとコイルを囲う様に円を描く。円の中にいるのは二人。
七天使長の長ーーミカエル。
魔法八家の一家ーーコイル。
ミカエルの正体はエイドと学園長を除きだれも知らない。だが一つだけ、分かることがある。
「やはり……。出来ますね」
独り言の様にコイルが呟いた言葉は、皆の言葉を代弁する言葉だった。
だが、ミカエルはそれを軽く聞き流す。
「そうですか……」
だが、対処できない相手ではないーー。コイルはそう思い、この決闘に集中する事にした。
(しかし、本当に隙がない)
先ほどの軽口の間にも、コイルはミカエルの力量を測ろうとしていた。
「では、条件を整えるぞ」
そう言って学園長は二人の間に降り立ってきた。そして、自身の心配をミカエルに言う。
『ミカエル様。くれぐれも、殺さないでください』
『心得ております。心配しなくても良いですよ』
その言葉が信頼できないんですよーー。
この言葉をミカエルに告げる程、学園長は馬鹿ではない。
(言ったら確実にサリエル様に粛清されるじゃろうな)
思わずため息をついてしまったが、そのため息がエイドを含めて誰にも気づかれなかったのは僥倖だった。
「では、詳細を振り返るぞい。コイルが勝った場合、ミカエルはSクラスに編入。ミカエルが勝った場合は無所属のまま。両者、異議は?」
「「ありません」」
ミカエルに対する心配を抱えた状態で、学園長は空高くへと飛び立つ。そして、号令を発する。
「それではーー。始め!」
「ーー系統外魔法:幾多之雷槍!」
開始の合図と共に、手を真上に上げ、コイルは雷を纏った大量の槍を召喚し10本を自身の背後に構え、それ以外の数十本の槍を前面に構える。
対するミカエルは、試合前と変わらぬ表情をしている。
「構えないのですか?」
少し心配になったコイルは親切心からミカエルに問う。だが、ミカエルから帰ってきたら答えはコイルを余計に苛立たせた。
「構えるまでもありません」
「……そうですかっ!」
手をミカエルに振り下ろし、前面に出していた雷槍を発射させる。
(ーー勝った!)
その考えは、まだ早すぎた。否、考えてはならなかった。
ミカエルに到達する直前、ミカエルは囁く様に魔法を発動する。
「系統外魔法:低圧重力」
ミカエルに届く直前、雷槍が足元に押し潰される。
その現象を見て、コイルは冷静に分析する。
(押し潰す……?そうか!重力だ!)
流石と言うべきか。コイルは直ぐにこの重力魔法に対応した。
「系統外魔法:地雷獄!」
瞬間、ミカエルの周りに雷の格子が発生し、格子ごとに連結して、完全にミカエルを囲う。
「貴方の系統外魔法は、確かに特殊です。ですが、完全に全方位を囲って仕舞えば、幾ら重力の圧が強くても対応できないはずです」
勝ちを確信したからか、ミカエルの敗因を勝ち誇ったかの様に語る。
だが、ミカエルは檻の中で不気味に笑う。
その異様な光景に、コイルの本能が警報の音を鳴らす。
「な、何を笑っているのです?」
「貴方達に聞きます。系統外魔法は、この世界では一つしか使えない様になっているのですか?」
瞬間、ミカエルの周りの雷格子が弾ける様に爆散する。当然、中にいたミカエルも無傷だ。
その光景に、コイルは唖然となるも、直ぐに冷静さを取り戻し、震える声を隠しながら言う。
「……何をしたんです?」
その言葉に、ミカエルの口が三日月型に歪む。そして、自らの右手の掌を上に向け、炎球を発生させる。
「この魔法。燃えていますよね?」
「当たり前だ」
「では、見ていてください」
今度は左手を炎に突っ込む。炎の中に手が入ろうとした瞬間、炎がまるで最初からなかったかの様に消え去る。
「……まさか!?」
察しが良いコイルは気が付いてしまった。だが、それを知っても絶望の強さが増えるだけであった。
「お考えの通りです。これは系統外魔法の一つの反魔法です」
(やられたっ!)
コイルは苦々しい気分になってしまった。
先程の重力魔法でも厳しかったのに、もう一つの系統外魔法の反魔法とやらだ。
魔法障壁も無効化すると見て考えて良いだろう。つまり、これが意味するのは……。
(防御は無意味……。)
「ならば、範囲で圧し潰すのみ!」
地面を踏み込み、強引に魔力を引き上げる。
「系統外魔法:雷玉!」
空が一瞬で暗転し、学園を覆い尽くす程の黒雲には、黄金の雷が光っていた。
その光景に皆が唖然となる中、冷静に分析する者が二人。
一人はミカエルだ。
(これは、少々不味いかも知れません)
表情は能面の如く冷静だが、内心は思っている以上に荒れている。
(エイド様より頂いたこの服が燃えるかもしれませんね)
それだけは断じて認められないーー。
だからこそ、ミカエルは分析している残りの一人へと問う。
『エイド様。スキルの使用許可を』
『承認する。が、バレんなよ!」
その言葉に、ミカエルは歓喜する。スキルの使用を許可すると言う事は、この試合に決着をつけろと言う事だ。
ミカエルは全力でその期待に応える為、スキルを魔法に見せかけて発動させる。
「反魔法ーー」
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