第三十七話 無所属
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「Sクラス……。あれか!」
Sクラスとデカデカと書かれた横にA、B、C、D、Eと全6クラスに渡って名前が書かれている。
「おっしゃ!Aクラスだ!!」
「よかった!Bクラスだわ!」
「Eなんだけど……。終わった……」
多種多様な感情が入り乱れているが、そんなの俺には関係ない!
さて、Sクラスにはどんな奴がいるのかなー。
Sクラスの下に書かれてある名前を見ようとしたその時だった。
「……ん?」
少し焦った様にミカエルが声を上げる。
「どうした?ミカエル」
「大したことでは……。いえ、大した事ですね」
「だからどうしたんだって」
石板を指差しながらミカエルは言う。心なしかその声は震えている。
「名前が……。我々の名前がありません……」
「いやいや、そんな事あるわけねーだ…………。マジかよ」
Sクラスの下には、六人の名前が書かれてあるだけで俺たちの名前が無い。
AクラスからEクラスまで全部の名前を確認してみたが、やはり無い。
「どういう事だ……?」
直後、空から学園長の声が俺の耳に届く。
「皆の者、静粛に……」
その一言で、ざわついていた空間が嘘みたいに静まり返る。
さっきまで騒いでいた新入生たちも、一斉に空を見上げた。
「これより、クラス分けについての最終説明を行う」
石板の前に立っている数人の教師陣も、一歩下がり頭を垂れる。
どうやら、直接声を飛ばしてるらしいな。魔法って便利だなほんと。
「既に記載されておる通り、本年度のクラスはSからEまでの六段階に分かれておる。振り分けは総合的な適性を元に独断と偏見により判断した」
まぁ、よくあるやつだな。
強さ、才能、将来性……そんなとこだろう。ミカエルの言葉を借りて言うのであれば、実に合理的だ。
「だが。例外もまた存在する」
その言葉に、周囲が再びざわつく。
「例外……?」
「なんだそれ……?」
俺は腕を組みながら、静かに続きを待つ。
ミカエルも、珍しく真剣な顔で空を見上げていた。
「本年度において、“無所属”という枠を設けた」
「「無所属……?」」
当然のように、困惑の声が広がる。
そりゃそうだ。クラスに所属しないって意味分からんしな。俺だってわかんないし。
「無所属は、いかなるクラスにも属さぬ特例枠である。このクラスは、わし自身が独断で決定した、新入生の枠組みでは収まらないもの達の名称である」
成程ね。一般的なクラスに俺達を入れたらそこが崩壊してしまうからな。ある意味じゃ、正しい判断だろうな。だけど……。
「少しばかり、目立ちすぎてないか?」
「そうですか?」
ミカエルの感性は当てにならないから論外として。
まじで周りの視線が痛い。嫉妬、とまではいかないが、羨ましいぐらいの気持ちはあるのかもな。
「そして、無所属の者には三つの特権を与える」
その言葉で、周りの空気が激しく揺れ動く。
だが、学園長はそんな空気を気にせず話し始める。
「一つ目。いつ何時も、全クラスへの出入り許可」
「……!」
教師陣と在校生達の反応から分かる通り、とんでもない特待待遇だな。
しかもこれが一つ目。まだ後二つもある。
「二つ目。授業の参加を任意とする。無論、単位も満点とする」
これは、やばいな。待遇が良いと言う言葉で片付けてはいけないほどにな。
横でミカエルが喜んでいる気配を感じたが、見たら負けだ。
「卑怯すぎんだろ!!」
「単位が満点!?おかしいだろ!?」
この学園長の独断を聞き、新入生が学園長に叫ぶ。
まあ、ここまで比較をされれば反発するのが人の性。
だが、その反発を良しとしないのが学園長だ。
「……黙れぃっ!!!」
その一言で、周りの空気が一気に静まる。
だが、まだ周りは納得していない模様。ならばどうするか。
『良いじゃねーか。異議ある奴は言わせときゃ良いんだよ』
『じゃが、エイドよ……。分かったわい』
念話で学園長は直ぐに俺の考えている事を読み取った。
「異議は認めよう。じゃが、エイドらに勝てると思うておるものだけじゃ」
「……」
俺の戦いを見ていたら異議立てなんてできるわけねーよな。
そう皆が諦めかけた。その時だった。
「異議あり」
冷静な声で告げられた言葉に、周りの空気が一斉にざわつき、その者の周りを円形として離れていく。
そこに居たのは、眼鏡をかけ、いかにも真面目って感じの雰囲気を出した男だった。だが、その男に秘められた魔力量は、アーシャに匹敵するほどである。
「お主は……」
「コイル=ドレインです」
「ドレインと言うと……。魔導名家のドレイン家か?」
「はい。その認識で間違いありません」
その言葉で、周囲に希望の光が戻る。やっぱり、魔導名家は有名なんだろうな。
「して、異議とは?」
「はい。エイドくんに勝つ事は出来ません。それは認めます。ですが、エイドくんの横にいる従者には勝てます」
「……は?」
思わず声が漏れてしまった。いや、確かにミカエルは俺より弱いよ?だけどさ……。
「ミカエルさ……。ミカエルよ。どうするのじゃ?」
「私は構いませんが……」
そこで言葉を区切り、俺の方を見てくる。俺としては、返事はひとつだ。
「別に良いぜ。お前のしたい様にしろよ」
パァッとミカエルの顔が明るくなる。
まぁ、殺しさえしなけりゃ良いからな。
「では、特例として、この闘いを認めよう」
堂々と決闘して良いと言ったものの、学園長の内心は荒れているだろうな。
「では、行ってきます」
「おう。やりすぎんなよ」
そう言って、俺はミカエルから離れて観戦者へと加わる。
さて、吉と出るか凶と出るか。どっちに転んでも面白かったらそれでいい。
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