第三十四話 サリエル
すみません!別の下書きを出していました!本当に申し訳ございません。
地に伏して倒れている体には、未だ光る闇色の槍が突き刺さっている。
直後、倒れていたはずの体が起き上がり、純白の炎が俺の周りを覆う。
そう、【スキル:白死鳥】だ。
「な、なんじゃ!これは!」
学園長が戸惑った様に叫ぶが、もう手遅れだ。
「ふぅ。まぁ、頑張ったねー」
スキルと守りを全て解いた無防備な状況とはいえ、よくもまぁ俺を殺せたもんだ。
俺はゆっくりと椅子に深く座り直す。
「さて、答え合わせの時間だ」
学園長を指差しながら俺は言う。
学園長は暫く唖然としていたがようやく状況を把握したのか、唖然とした声で俺に言う。
「……殺したはずじゃ……」
「うんうん」
「……手応えもあった……。何故生きておる!!」
俺、このセリフを一度言ってみたかったんだよな。
「殺した程度で、俺が死ぬとでも?」
愕然とした顔で学園長は再びゆっくりと座り直す。
その顔は、後悔というより諦めに近いだろう。
「わしを……どうするつもりじゃ」
「あんたには何もしないな。うーん……。とりあえず、ここの生徒を殺そうかなーって」
その言葉で、学園長は再び立ち上がり戦闘態勢に入る。
周りには、様々な属性を持つ魔法だ。それがいつでも俺に向かって発射できる様にセットされている。
「……やめろ」
震える声で俺に向かって言う。
魔法陣でさえ、俺と言う情報量から逃れようとして今にも崩れんとしている。
「一つ聞こうか。学園長。あんたは何が大事なんだ?」
「生徒達。そして、この街じゃ……」
俺の言葉に学生長がそう即答する。
「わしは、俺は、この学園の長として、生徒を守らねばならない。それが、例え絶対に勝てぬ相手としてもじゃ!」
「……へぇ」
何処の世界でも、腐ってる教育者は性根から腐ってる。だが、この世界の学園長を俺は目の当たりにして少なからず、心が動いた。
「……分かったぜ。俺はこの世界を破壊しない。俺らはこの世界の"命"には手を出さない」
俺はそう、学園長に対して言う。
直後、ここにいてはならない存在の声が部屋に響く。
「御心のままに」
「うぉッ!!」
びっくりして思わず後ろを振り返ると、そこには真っ白の制服を纏っているミカエルの姿があった。
「エイド様の忠実なる下僕、ミカエル。呼ばれて参戦致しました」
当たり前の様に俺の言葉を妄想しているが、本当にどうしたものか。
「呼んでねーし。あと似た様な言葉すら言ってねーし!それに、お前、いつの間に着替えたんだよ!」
だって、俺がミカエルと話していた時はめっちゃダサいTシャツの姿だった筈だ。
いつ着替えたんだよ……。と言いそうになったが、そこは"ミカエルだから"で済ますとしよう。
それより問題なのは……。
「その制服なんだけどさ……」
「はい!」
褒められると思っているのか、期待した声色で返事をするが、褒める訳ねーだろ。
「制服に着替えたのは褒めてやるが……。色がな。他の奴らみたいに黒にしとけ」
「かしこまりました」
ミカエルが指をパチンッと鳴らすと、制服の色が、純白から漆黒の色へと瞬時に変わる。
その光景を見ていた学園長は、恐る恐るといった感じでミカエルに問う。
「ミカエル……。お主も、何者じゃ……?」
「ただの新入生ですよ」
「いや、お前。それ俺がさっき言った言葉」
「光栄です!エイド様のご思考と同じ考えをこの私がーー」
「はぁ……さっさと答えろよ」
このまま話してたら日が暮れそうだったからな。途中で切らせてもらった。
すると少し考えてからミカエルは一言。
「監視者ですね」
「監視者………まさかっ!!」
学園長は凄まじい速度でミカエルの前に跪く。
ミカエルはそれを鬱陶しいと言いたげな目線を俺に向けてきているが、俺も同じ感覚なんだということは感じ取ってくれよ……。
「ふむ……そちらの世界で言うと……サリエルですかね」
「やはりっ!同じ天使様であられましたかっ!!」
冷や汗をかきながら学園長は恭しく申し上げる。
(このお方は、触れてはダメだ!サリエル様と同じ……!)
学園長は、この世界では頂点に君臨できるほどの実力がある。だが、この二人の前では相手が悪すぎる。
その時、この三人以外の声が部屋に響く。
「私の系譜をいじめないでくださいよ。ミカエル殿」
直後、空間にヒビが入る。
それは少しずつ広がっていき、最終的に人一人が通れるほどの大きさとなる。
「お久しぶりですね。」
その声の後、現れたのは真っ白の着物をゆったりと羽織い、右肩を露出している顔の整った男だ。
顔立ちは整っているが、赤く濁った瞳は初対面の者に少しの恐怖を印象付ける。
そして、最もな特徴は、背中から生えた3対の白い羽だ。
その者は、周りを一瞥し、俺に視点を合わせた後、驚いた様に声を発する。
「エイド様……?」
直後、そこにサリエルの姿はなかった。
俺の足元に気配を感じ、見てみるとサリエルが跪いている。
「至高の御方にお会いでき、恐悦至極にございます!」
サリエルの発した言葉が床に落ちた瞬間、部屋の空気が止まった。
「……は?」
学園長の喉から、理解の追いつかない音が漏れる。
目の前で跪く存在。
それは学園長がまだ若かりし頃、魔法の加護を与えてくれ、今でも助けになってくれる存在。その存在が、目の前の少年に頭を垂れている。
「……おい」
俺は軽く眉をひそめる。
「いちいち大げさなんだよ。学園長もだけどよ、立て。」
その言葉で、跪いていたサリエルが立ちあがる。学園長も言葉の圧に逆らえず立ってしまう。
「はっ。初代神からの癖でして。出過ぎた真似を申し訳ございません。ですが、これは許していただきたいです」
深々と礼をしているが、これはまあ許容範囲かな。
ミカエルはというと、それで良いと言いたそうに満足げに頷いている。
こいつは、いやこいつらか。本当にダメだな。
「はぁ……後で説教な」
そしたらこいつらは目をキラキラしながら頭おかしい事を吐かしやがった。
「「はい!喜んで!」」
俺はどうやったこいつらの世話をすればいいんだろう。




