第二十一話 七代目神。参戦
忘れてました!すみません!出しました!
「……頼むから、もうお前、問題行動起こすな……」
俺がそう言って、ため息をついた。その時だった。
「いやー、それはちときついな」
「……あ?」
あまりにも、軽い声。
もう、この声だけで、誰かがわかっちゃったわ。
ゆっくりと振り向くと空中に、タピオカを飲みながら立っている水着姿のおっさんがいた。
だが、そのおっさんからは俺に匹敵するほどの神威が漏れ出している。
「よう。俊、いや、エイドよ。元気しとるか?」
思考が一瞬フリーズしたが、思考上昇で、状況を把握する。
「……帰れ」
そいつは、忘れたくても、忘れられなかった奴だ。
アンナとロッドは完全に固まってる。
「だれ……ですか……?」
アンナが恐る恐る聞く。
ミカエルが、いつも通りの外受けの笑顔で答えた。
「……元・第七代神。セブノックですよ」
「元って言うな元って。まだ現役みたいなもんじゃろ?」
「いいえ。エイド様が神の座に着いた時点で貴方様は過去の存在です」
ピキッ、とミカエルのこめかみに血管浮いてる。
忠犬の様子を見て、セブノックはゲラゲラと笑う。
「やっぱり。相変わらずじゃのぉお前」
ミカエルは、セブノックのことに関しては、俺が聞いても答えてくれなかったが、やっぱり苦手なんだな。
とりあえず、セブノックに聞いてみるか。
「で?何しに来た」
その言葉と同時にセブノックに正拳突きを打ち込むが、セブノックは、くるっと空中で一回転して避けやがった。
「なんで避けんの?……痛くしねぇからよ。一発殴らせろや」
「え?絶対痛いやつじゃん」
「痛くないから。で?あれはお前が造ったのか?」
スライムがいた所を指を指しながらセブノックに聞いてみた。すると、思っている以上にあっさりと教えてくれた。
「そうじゃぞ。さっきのアレ、ワシが作った」
ロッドが固まり、アンナが目を見開く。
「……は?」
「いやー、ちょっとした試練じゃよ試練」
軽すぎる。マジで態度が軽すぎる。「こいつ……本当に先代神か?」ってくらいにな。
「お主の居た世界でいうところのチュートリアル?みたいなもんじゃな」
俺はおもわず額押さえた。
「あんたさぁ……」
「だって其方、は……ゴホン。初代神様が創った制限壊したじゃろ?」
「ぐっ!」
図星だ。憎たらしいほどに綺麗にな。
「だから気になってな〜。“どこまで壊れとるか”」
ニヤニヤしてる。もう、この先の話はわかる。
「で、どうだったと思う?」
予想通りだな。勿論、答えるさ。
「クソつまらんかった」
空気が止まる。
セブノックでさえ、数秒間フリーズする。
「……まじか?」
「弱すぎる。遊びにすらなってねぇ」
はっきり言い切る。
ロッドとアンナが「え?」って顔してるが知らん。
「もっとマシなの用意しろよ。まじで時間の無駄だったわ」
完全に上から言ってやった。
すると、思考が再開したのかセブノックが爆笑し出した。
「ガッハッハッハッハ!!やっぱ其方はおかしいぞ!!」
腹抱えて笑ってる。クソが。なんで俺が煽られねーといけねぇんだよ。
「いや〜安心したわ。全然余裕そうじゃな」
「当たり前すぎるぞ。誰に仕掛けてると思ってんだ」
その一言で、空気が一瞬だけ“重く”なる。
セブノックの笑みが、少しだけ深くなった。
「……ほんと、バケモンになったんじゃのぉ」
「……昔の話だ」
だが次の瞬間には、また軽い顔に戻る。
「ま、別にええわ」
ひらひら手を振る。その態度が昔から気に食わねぇんだよ
「今回のは“様子見”じゃし」
アンナが息を呑む。
「……今回、は……?」
「次はもうちょい強いのを創るぞい」
軽い口調で、とんでもないこと言う。
ロッドが顔を引きつらせる。
ミカエルはというとめちゃくちゃ笑顔だ。そう、怖いぐらいに笑顔。
「セブノック様……昔から言っておりますがお戯れがすぎますね」
「知らんしー。ワシ」
その言葉にニッコニコの笑顔で拳を握りしめるミカエル。
だが、セブノックは飄々とした顔でどこから取り出したか白旗を振りながら言う。手品かな?
「降参じゃ。降参。お前と闘う分にも、エイドと闘う分にも、確実にワシが負けるし」
セブノックの発言に、ミカエルの笑みが深まる。
「ほほう?エイド様。今、ここでこのお方を殺すというのも……」
「「馬鹿か!お前ッ!」」
お互いに顔を見合わせて頷く。屈辱だが、変なとこで気があってしまったな。
「ま、とりあえずワシは帰るわ」
「さっさと帰れ。い・ま・す・ぐ・な!」
「えー。そんなつれないことを言わんでも良いじゃろ!」
うるうるした瞳で見てくるセブノック。言っちゃってわるいが、ジジイ顔のピエンは気持ち悪すぎるな。
「冗談はさておき……」
お前がいうと冗談に聞こえないんだげど。
「じゃ、帰るぞい」
その言葉通りにゲートを創るセブノック。色は……青いな。
「既存の世界か?」
「そう。其方のいた世界じゃよ?」
「……は?」
ミカエルと馬が合わない理由が少しわかったわ。こいつ、ミカエルと同じ属性だわ。
「なーに頭を抱えておるんじゃ?」
「もう良いよ。帰れ!」
セブノックの背を押してゲートに押し込む。
「其方の親は元気にしておるからな!」
「はいはい!報告ありがとよ!じゃあな!」
セブノックを押し込み、ゲートが閉まっていく。
心配そうにミカエルが俺に言う。
「エイド様……。セブノック様が去ってしまい、後の祭りなのですが、エイド様の肉親に挨拶はいいのですか?」
「……あ、ミスったわ」
俺の親に挨拶なんて、いくらでもいけると思うじゃん。いけないんだよな。あの世界の座標が判らないし、俺という存在の情報量に耐え切れるかも判らないからな。
だが、先代神セブノックが持っている固有スキル:偽装之情報があれば、同伴者一名の情報そのものを偽れる。つまり、俺の強さをそのままに、その世界が耐え切れる様になるってわけ。
「ま、また今度の機会に行くさ」
「承知いたしました。では、今後の行動についてですが……」
ふと、横に目をやるミカエル。俺もつられて見ると、
「ロッド様、アンナ様。どうしました?」
「い、いえ!色々なレベルが余りにも高すぎるので、ついていけなくなり……」
「成程……」
そして、アンナの腰を見ると目を細める。
俺はアンナを心配し、ミカエルの頭をスパンッと叩く。
「お前、アンナをそんな目で見るなよ……」
「ち、違いますよ!私はただ……」
アンナの剣に視線を当てる。
「あの剣を見てたん?何故?」
「エイド様が、アンナ様にあの剣を与えても良かったのかと……」
なんだ。そんなことか。
「あぁ、俺が決めたんだ。間違いないさ」
「存じております。エイド様に間違いはないと」
「……恥ずいな……」
おもわず目を逸らした俺に、ミカエルは一言で即答する。
「事実かと」
マジで、黙ってくんないかなぁ。
この思いは叶うことなく空に消え去ってく。
次の更新は4月17日の20時です!
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