第十五話 最悪な目覚め
「全く、無茶をなさる方ですねぇ」
目を開けると、俺の横に美しい羽が生えた面の良いイケメンな人?が立っている。
俺はこいつを嫌というほど見てきた。
「はぁ……ミカエルか……」
次の瞬間、目に見えない速度で完璧な体勢で俺の横に跪く。
「お迎えに上がりました。エイド様」
「くるのはわかってたさ」
俺は周りを見渡す。当たり一面、真っ白な世界だ。
さしずめ、精神世界といった所だろう。
そんなことを考えながら立ち上がる。
だが、ミカエルは一向に立ち上がらない。
「ミカエル……言わないとダメか?」
「はい……」
「汝、立ち上がる事を許す」
「感謝を」
全く、茶番かよ。あー、恥ずい恥ずい。
「で?最初から見ていただろ?」
俺の言葉にわざとらしく首を傾げるミカエル。
「はて?なんのことでしょうか?」
「あくまで、しらを切るつもりか……まあいいさ、神界に帰った時はじっくり聞かせてもらうぞ」
「ご存分に……」
さて、俺も言いたいことを言わせてもらおう。
「今回の件、どこまで絡んでいる?」
「絡んでいる……とおっしゃいますと?」
ニッコニコの笑顔で聞いてくる。隠す気が全くねーな。
「ロッドの幻覚、魔王もどき、アンナの覚醒ってとこだな」
「勿論、私が全て、用意させていただきました。エイド様の為ならば、世界の一つや二つの価値なんぞ、天秤にもかかりません」
はぁ、こいつは……。
俺は何もない所に向かって歩き出す。
ミカエルも、俺の右斜め後ろから歩いている。
「お前という奴は……」
「光栄です!エイド様!」
「いや、褒めてねーぞ!」
満更でもないような顔をするミカエル。
本当に、頭が痛いな。
「全部終わったら、教えてもらうからな!」
「わかっております。全て、聞かせて差し上げます」
言質は取った。あとは帰って魔王もどきを殺すだけだ。
「そろそろお戻りになられては?アンナ様も悲しんでいるかもしれません」
「わかってる。俺も同じことを考えてた」
認めたくはないが、こいつは俺の本音を話せる数少ない人物のうちの1人だ。
そしたら急にミカエルが泣き始めた。
「うぅぅ!」
「え?何故泣いて……お前まさか!読心術か!クッソ!」
「ですが、エイド様のそのお考え……とても素晴らしいものでしたよ」
「やめろやめろ!!い、ま、す、ぐ!やめろ!」
そんなこんなで時間が過ぎていった。
俺はミカエルに問う。
「そんな事よりお前、仕事大丈夫か?」
すると、ミカエルが急に跪いた。
「申し訳ありません。ご心労をおかけしました」
「いや、かけてねーから。そんな事より続きよろ」
「かしこまりました。実はですねえ、あの世界の戦の後処理をしなければならなかったのです。
しかし!早くエイド様に会いたい一心で!今、あの世界の時間を止めております」
「……は?」
待って。聞き間違いか?
「時間を……停めた?」
「はい!」
いや、そんなニッコニコな笑顔で言われても……。
思わず俺は頭を抱える。時間を停めるのはいい。だけどなあ……。
「お前どうすんの?あの世界の時間軸を元に戻すために、ラグエルの方に仕事が大量に行っちまうじゃん!あいつが、そのせいで辞めちまったら……」
あいつは、神界のシステムを一手に引き受けている。つまり、あいつが辞めれば、神界の業務が成り立たなくなる。
ただでさえ、問題児が多い神界だ。常識人が1人抜けるだけでやばいんだけど……。
「心配には及びません。あの者も私めと同く、エイド様に心身を尽くしたいはずです!」
そんな気持ち、あってたまるか。
こいつといたら、俺の中の常識がなくなりそうだ。*いや、お前元々ないだろ。
すると、俺の周りを純白い炎が覆い始める。時間切れだな。
「んじゃ。俺は帰るよ」
するとミカエルは恭しく一礼する。
「承知いたしました。白王宮の時間を解除します」
その声で、この空間が歪み始め、ミカエルの姿が薄まる。
「またの機会に。お姿を拝見できる栄誉を楽しみにしています」
その言葉で俺の意識は、またも闇に沈んだ……。
次の更新は、4月4日の21時です!
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