第9話 仕返し
大和が取り出したガイガーカウンターは反応を見せなかった。
あれだけの装置を稼働させるのに原子力を必要としないとは、異世界の技術は恐ろしい物だと感じてしまう。
「だが使い方を誤れば大事故に繋がるのはどこでも一緒みたいだな」
「誤ってはいないと思いますよ。私達は連中を殺すためにあの装置を利用したんですから」
「あ…誰…か…」
声がした方へ向かうと、倒れたコンクリート壁の下敷きになった男がいた。
「た、助けてくれ…」
「ではお尋ねしますが、あなたを助けて我々に一体何の得があるのですか?」
「あ…そ…それは…」
「答えられるわけないだろう。胡座かくしか脳のない連中の子孫だぞ。助け合って生きるなんてできるわけがない」
「私は…私は…」
「何ができるんですか?ハッキリ答えてくださいよ。人並み以上の教育を受けてきたんでしょう?」
今にも泣き出しそうな男の頭に足を乗せる。生まれて初めての快感だった。
「いい歳した大人が泣かないでくださいよ。ねえ、何ができるんですか?」
「大人なのは身体だけ。温床育ちがいつまで経っても精神的に成長できないって本当だったんだな」
「うぅ…うわぁぁぁあん!」
「泣きてえのは俺達だ!お前らのクソッタレご先祖様のせいで今の世の中が出来上がったんだ!助けてだぁ?そう言ったやつをお前達は見捨ててきたんだよなぁ?!」
「責任取ってくださいよ!ねえ!政治家なんでしょ!?」
私達は気が済むまで男に罵声などを浴びせた。声を出すのに疲れた頃には、男は物言わぬ死体になっていた。
「文句は地獄のご先祖様達に言うんだな」
「待ってるのがご先祖様達だけだといいですけどね…ん?」
大和も近付いて来る足音が聴こえたようでライフルを向けた。指は引き金に触れている。現れるのが誰であろうと、構わず撃ち抜くつもりだ。
「どおして…どおしてこんなことに…」
大和は撃つのを躊躇った。現れたのが子どもだったからだ。
今の声には聞き覚えがある。私がここへ来た日に演説をしていた若者の声だ。あんなに若い子どもだったのか。
「これじゃあ…変わらない…人類が終わってしまう…」
「たかが大事故だ。これぐらいで人類が終わってたまるか」
そう吐き捨てると、今度こそ弾を放つ大和。ライフルから走り出した弾丸は子どもの額に命中した。苦しまなければ走馬灯を見ることもなく、一瞬で死ぬことが出来ただろう。
「なんだったんでしょうね、あの子」
「まだ使えそうな物は残ってそうだな…これを持って運べる人員はどうだろうか」
そう言うと大和は生き残りを捜し始めた。




