表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末の地球を渡る僧侶  作者: 仲居雅人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

第5話 同じ目的を持った者達

 世界規模の戦争を起こしておきながら自分達は安全な場所に逃げる?それが元凶となった政治家達の血縁者、いわば加害者家族であっても許せないと私は思った。


 彼らは産まれた環境のおかげで、地上で暮らしている人達と違って何の苦もなく生きてきた。それなのに自国民を引っ張っていくという役目を放棄して逃げ出すなど言語道断。許される事ではない。


 相手は政治家だ。一般人が何を言ったところで獣の鳴き声だと相手にされないだろう。

 ならせめて報いを。彼らが別の世界に行けないように罰を与えなければならない。




 しかしどうすればいいものか。別の世界に逃亡するまで準備する時間もない。そこら辺に落ちているガラス片を拾って走ったところで、兵士達の持つ銃で撃たれて近付く事すら叶わないだろう。


「おい、そこのあんた」

「…どうかしました?」


 今にも崩れてしまいそうな建物から男が現れた。銃を携行しているが、その他の装備がない。辺りにいる兵士ではないようだ。


「日本人じゃないな」

「今時差別は流行りませんよ」

「そんなんじゃない。あんた、さっきの演説聴いたよな。この国で何が起こるか分かっただろ」

「えぇ。耳を疑いました。まさか戦争を始めた方々の血縁者が誰一人として責任を取ろうとせず、ましてや自分達だけ新天地へ逃げ出そうとは」

「…捉え方はどうでもいいか。あいつらの移住計画阻止を考えてる連中がいる。その気があるなら俺達に協力してくれないか?」

「招いてくださるのなら私も喜んでお力添えしますが…それで?あなた達はどうしてやつらの逃亡を阻止しようと?」

「集まったやつは十人十色だ。終わりのない絶望の中で憂さ晴らしがしたい、死ぬ前にデカイ事をやりたいってやつが多い。計画を立案したリーダーはあいつらの死を時代の終わりとして世界中に伝えて、これから地球をやり直すつもりだが…まあ無理だろ」


 リーダーという人物に賛同して集まったというよりは、時代に馴染めない腫れ物の人間が集まったような組織か。しかしそれでいい。変に高い志を持つ者よりも、死ぬ前提で集まった者の方が逃げずに戦ってくれる。


「私は僧侶として地球を回ってきました。そして思うのです。この地球を汚した人間はその罪を背負って死ぬべきだと。だからその罪を残る者達に押し付けて、逃げ去ろうとする政治家は許せない」

「ああそうか。なら案内してやる。ついて来い」


 そうして私は男の後ろを歩き、別の世界へ向かうための装置から一度離れた。




 装置から離れていくと、街並みも戦後であることを思い出させる物へ戻っていった。


「ここが俺達の拠点だ」

「これはずいぶんと…」


 大きく汚い建物だった。おそらく戦時中に建てられたか、戦前から奇跡的に残っている物だろう。

 あの装置からそう遠くない場所にこんな建物が残っているのは運命としか言いようがない。




「また新しいやつを連れて来たのか」

「あぁ。お前の野望に使えそうなやつだ」


 これまで見た者達とは違った雰囲気を放つ男が現れた。きっとこの男がリーダーだろう。


「クト・ジフ。今の世を渡る僧侶です」

「胡散臭い職業だな。俺は千観(せんかん)大和(やまと)。今の世を変える革命家だ」


 胡散臭いのはそちらも同じだろう。革命家なんて見方を変えればテロリストと変わりはない。


「そいつから話は聞いてるな?俺達の目的は政治家連中の移住を阻止する事だ。別世界への転移装置がちゃんと作動するのは確認済みだ。普通に破壊したところでまた造り出すだろう。だから俺達はあいつらが転移直前、油断しているところで突撃する。そして装置の破壊と連中を殲滅するんだ。異論はあるか?」

「特にありません。私としては彼らが別世界へ逃げるのを阻止できればどうでもいいですから」




 こうして私は革命家の千観大和率いる突撃団体に参加する事になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ