26位目
いつも読んでくださってありがとうございます。
「何がおかしいんだよ」
あまりに穏やかなその顔に、思わずそんな言葉が口をついて出た。
「……」
答えは無い。そんなの当たり前だ。彼女は熱を出して寝込んでいるんだから。
きっとこの微笑みだって意思あっての……現実に対して意識を持って接した結果じゃ無い。単にいい夢を見てるとか、それか生理的な反応とかだろう……こう、考えてはいけないというか、考えたく無いというか微妙なところだけれども、もしかしたら担架の中が洪水になっているのかもしれない。まさかこの匂いが食欲をそそるわけも無いし。
……うん、ダメだな。なんだか考えることに悪意があるというか、気持ちがささくれ立ってる。もっとこう……微笑んでる理由がわかれば楽をさせてやれるだろうとか、今考えるのはそういうことであるべきじゃ無いのか。相手は病人で、しかも女の子なんだぞ?
……女の子じゃないな。成人女性。もしくは同僚。まあ、ことさら辛く当たる理由が無いことには変わり無い。
というか、大事にすべきだ。すべきなんだけどな。
なんか気分悪い。
なんだろうこれ。すごい気持ち悪い。
なんでだろう。
「うっ」
うえぇえええ……
気がついたら膝をついてしゃがみこんでいる。っていうか吐いてる。どうした僕。
なんかそんな吐くようなことあったか。
目が回る。
頭が重い。
体が熱い。
芯が寒い。
なんか、なんだ、すごく、気持ち悪い。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ちわるい気持ちわるい気持ちわるい気持ちわるいきもち悪いきもち悪いきもち悪いきもち悪いきもち悪いきもち悪いきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいいきもちあwるいきもちあwるいmきもたううぃtmっきもちわるいきもちわるいもきみtぬわるいもきもちわりいきもちわるいきもちわるいきもちわりう……
うわぁ、口の中酸っぱい。
そういえば朝、ほとんど何も食べてないんだ。お腹の中から引っ張られてるみたいできもち悪い。痛い。なんだろう、まるで変なもの食べて食中毒になったみたいな……いや、もしかして普通にそうだったのかな? いやでも、彼女とは同じものしか食べてないのに症状が違うような。
あ。
頭が傾いている。地面が徐々に近づいてきてるみたいな……もしかして僕、倒れようとしてる?
いやだ。
だめだめだめ。
このまま倒れたら吐いたものに頭から突っ込んじゃうって、それは嫌だよ。
うう、膝から力が……せめて横に……行った!
「がっ!?」
い、痛い。なんか頭に硬いものが当たったぞ。偶然岩かなにかがあたったのかな?
目がちかちかする。
こういうの天罰っていうのかな。
痛い。
きもち悪い。
やっぱり痛い。
あ、ちょっと頭がぬるっとした。これ少し血が出てるかもな。
「……ああ、そうか」
そうかそうか。それは考えてなかったな。別に僕は格好をつけるためにあんな厚ぼったい外套 を羽織ってたわけじゃ無い。寒いからだ。
なのに今日は朝から、ずっとそんなこと考えないで過ごしてた。寒いとも思わなければ外套が恋しくなったりもしなかった。それはずっと、腰に下げてる角灯 のおかげだと思って深く考えてなかったけど、こうしてみるとわかる。アルファートは今朝からそれほど熱を発して無い。
もしアルファートが熱を出していれば、さっき倒れた時にもっと早く気づけただろう。
僕は……いや、僕も熱を出しているんだ。
なんだそれは。情けない。
面倒みるって言ったじゃ無いか。
アステラが今、あいつのあとを追っかけてる。そのあとをついていくことさえできれば、村に、ガロンガルに辿りつける。別に、それで何もかもうまくいくなんて思ってるわけじゃ無い。だけどそうしなきゃ何も始まらないのに。
立ち上がる力が湧かない。
どうしよう。
右手はまだ大鎌から離れてない。地精霊 とは繋がっている。
腰には角灯 があり、そこには火精霊 の気配がある。
あとは、なんだ。
何がある。
何があればいい。
何を思い出せばいい。
誰に助けを求めれば……
「えりくしる?」
目の前に真っ青な人影が現れた。
ほんともう、なんだかなぁ。
年末は何かと忙しいです。ちょっと文章量が足りない……




