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不老不死で異世界リスタート~人は「ひとり」だと信じていたはずなのに、異世界で居場所ができました~  作者: 時雨あくあ


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07話 異世界で初めて人を助けました

アイシスは箱庭の外には基本出ないため、そのまま管理をお願いして箱庭から出ることにした。


箱庭で3時間も過ごしていたようで、今日は国の外を探索することにした。


昨夜、フォルさんに入れてもらった最低限の常識によると、各国には冒険者ギルドがあり、世界にはダンジョンも存在するらしい。


ただ、今のところ登録するつもりはない。

お金はありがたいことにたくさんあるし、冒険者ギルドは厳しくはないが、最低限の活動ノルマがあるようだ。


それに追われて過ごすのは、今の自分には好ましくない。


宿屋近くの人通りの少ない路地を転移魔法に登録してから、入国するときにお世話になった城門から外に出る。


城門近くの人がいない場所を転移ポイントとして登録してから、森に向かって歩いていく。


国の近くの森は、国が管理している結界の影響で、魔物がいることは少ない。


魔物に遭遇したければ、国から一定距離離れた場所に行かなければならないらしい。

魔法もフォルさんと一緒に使ってから使っていないので、その練習も兼ねていろいろ試してみることにした。


まずはアイテムボックス。


触れていれば、大きさを問わずに収納可能。

出すときも明確な位置を決めていれば、しっかりその通りの位置に出てきてくれる。


実際に森に生えている木を一度収納し、元通りに戻すこともできた。


一度触れたものなら、触れていなくても一定の距離なら出し入れが可能らしい。

これは大体3メートルの範囲内なら可能みたいで、それより離れるとできなかった。


回復魔法は人や動物以外にも適用可能で、一度魔法で切った木に回復魔法をかけるとくっついた。

ただ、燃やした場合は回復魔法が効かなかったので、その差は分からない。


回復魔法以外に飛行魔法も試してみたが、あっさりとできてしまった。


ただ、他のものを一緒に浮かせて運ぶことはできなかったので、浮遊させる対象は1つなのかもしれない。


飛行魔法でしばらく進んだ先で、ウルフ系の魔物に出くわし、一通りの魔法を試してみた。


全部で5体いて、それぞれ水、土、氷、雷、重力で倒してみる。


重力魔法のつもりで使ってみたが、実際には重力というより、魔力の圧で圧迫しているだけだった。

雷魔法も的を絞った攻撃には向かなそうなので、範囲攻撃として使う以外はあまり用途がないかもしれない。


魔物の素材は、解体できれば買い取ってくれるそうだが、今は必要ないので燃やして処理した。


身分証カードは、入国時と宿などの街中で確認される項目が違うことも分かった。


入国時は、登録板に記載されていた内容がすべて確認される。

一方で、宿屋など国内の一般店舗で確認される内容は、名前、年齢、ステータスのみとなっているようだ。


ただ、今の身分証カードに表示されている内容を見ると、魔法の項目がかなり変わってしまっていた。


このままだと、余計な注目を集めそうだ。


どうにか誤魔化せないかと思い、スマホのチャットアプリで確認してみる。

すると、フォルさんの加護を受けている自分の場合、管轄している女神よりも上位の権限が働くため、表示内容の調整は可能らしい。


本来、身分証カードは女神の力で登録されているものなので、他者による修正や偽造はできない。

ただ、自分の場合は例外的に、適性魔法の表示を調整できるようだった。


悪用するつもりはないし、目立たないための処置だ。

そう自分に言い聞かせて、適性魔法の項目は火・回復のみに修正しておいた。


魔物も、ダンジョン内とダンジョン外で性質が変わる。


ダンジョン内の魔物は、倒すと消えて魔石になる。

ダンジョン外の魔物は普通の生物同様で、消えることはないので素材の採取が可能になる。


特にレベルの概念などは、この世界にはないらしい。

ダンジョンに入れる基準はダンジョンごとに異なるが、最低でも下級冒険者となっていることが多い。


冒険者のランクは、ギルド管轄では駆け出し、下級、中級、上級、最上級の5つに区分される。

ただ、冒険者の間では、上級と最上級の間に異名持ちという、1つのステータス的な地位があるらしい。


冒険者登録をするつもりは今のところないので、森などの魔物がいそうな場所を探索して、魔法の練習をする予定だ。


特にやることもないので、今後について考える。


箱庭があるので宿に泊まる必要はないと考えていたが、国籍のない者が宿に泊まっていないと、罰金の対象になることがあるらしい。

そのため、しばらくは同じ宿に泊まることになりそうだ。


他の国に行くにも、アルヴェリアもまだまだ見ていないところがありそうだ。

1カ月をめどに国を変えてみるのもいいかもしれない。


森の中でそんなことを考えていると、森の奥で鳥が一斉に飛び立っていった。


何かあったのか確認しに向かおうかと思ったが、まだ試していない探知魔法を試してみることにした。


魔力を広範囲に広げて、引っかかったものを解析する。

調整が上手くできていないせいで虫なども解析対象になり、情報過多になりそうだが、鳥が飛び立った原因が分かった。


急いで、その現場に向かうことにした。


現場に到着すると、鉄のような生暖かい匂いがして、気分が悪くなる。


馬車は倒され、馬は腹を割かれている。

馬車の護衛をしていたであろう冒険者は4人いた。


そのうち1人は息がありそうだが、他3人は見るに堪えない状況だった。


腰から真っ二つに折られ、中身を吸われていたり、手足がありえない方向に曲がっている者や、ぞうきんを絞ったようにねじられて性別が分からないものまである。


この状況を作った魔物は、3メートルほどの緑色の肌をしたオーク2体だった。


自分が着いたときには、1体は折った冒険者を、もう1体は腹を割かれた馬を食べるのに夢中で、こちらには気が付いていないようだった。


こんな悲惨な現場を見るのは初めてのはずなのに、加護のおかげなのかは分からないが、落ち着けている。


探知魔法で確認すると、生存者は倒れた馬車の中に3人と、冒険者が1人。

冒険者3人は先ほどの通りで、御者らしき人は馬の近くで頭が潰されていた。


馬車の中にいる3人は、まだオークに気付かれていないようだった。

息のある冒険者も重傷ではあるが、すぐに命が消える状態ではない。


なら、最優先は馬車の中の3人に被害を出さず、確実にオークを倒すことだ。


ただ、ここで規格外の魔法を撃ち込めば、馬車ごと巻き込む危険がある。

仮に無事だったとしても、生存者に必要以上の力を見られれば、後々面倒なことになるかもしれない。


まずは、最低限の威力でどこまで通用するか確認する。

もちろん、危険だと判断したら即座に仕留める。試すのは、救助に支障が出ない範囲だけだ。


馬車の近くで馬を食べているオークに、土魔法で石の鏃を作り、放った。


先ほどのウルフ系の魔物は眉間に穴が開き即死だった。

しかし、オークの肌は厚いのか傷もできずに石が砕けた。


さすがに気が付いたのか、そのオークがこちらに向かってきた。


先ほど作った鏃と同じ大きさのものを作り、込める魔力を5倍にしてみる。

もう1つ、最初の鏃よりも5倍ほど大きいものを作る。


どちらの鏃も使った魔力は同じで、違うのは密度だけだ。

結果がどうなるか、それぞれ膝を目標に放ってみる。


大きい鏃は膝をえぐるくらいの大きな傷を作ったが、小さな鏃は貫通した。


密度が高いほうが貫通率が上がることが分かったので、氷魔法で同じように小さい鏃を作る。

そこへ魔力を込めてから放った。


オークの眉間から後頭部にかけて穴が開き、前のめりにオークが倒れた。


倒れた音で、もう1体のオークがこちらに向かって走ってきている。


今度は水魔法で水を刃のような形状にして、オークの腕に向かって放つ。

すると、きれいに切断された。


同じように火魔法で刃を作り、逆の腕に放つ。

しかし、切断されず焦げ跡が付いただけだった。


ダメージは受けているようだったので、同じ火の刃で温度を高くして放つ。

温度を上げるのにも魔力を使うので、消費魔力は同じでも、先ほどより小さめの刃となっている。


着弾すると貫通し、着弾箇所が炭化してぽとりと腕が落ちた。


バランスを崩し、前のめりに倒れるオーク。

立ち上がろうとするも両腕がなく、もがくだけで立ち上がれない様子だった。


なんちゃって重力魔法で上から圧力をかける。

重力をかける場所を絞り、人間の心臓がある場所に、サッカーボールほどの範囲で徐々に負荷を大きくしていく。


ミシミシときしむ音の後にゴキッと音が鳴り、苦しんでもがいていたオークがピクリと反応し、動かなくなった。


一番魔力消費が大きいのは、なんちゃって重力魔法だ。

魔力で無理やり圧をかけるだけなので、力への変換率も悪い。


一応、今回の戦闘で分かったことがある。


魔力密度が高いほうが、貫通率は上がる。

同じ魔法でも、種類によって威力や相手への影響が変わる。

魔力で直接相手に干渉する場合は魔力消費が大きく、コスパが悪い。


息がある冒険者のもとへ行き、回復魔法を使おうと思ったが、傷が多すぎてどこから回復すればいいか分からない。


とりあえず手を握り、相手の身体の魔力の流れを確認する。

すると、ところどころ途切れていたり、届かなかったりなど、不自然な流れを見つけた。


不自然なところを補修するように魔力の流れを整えていくと、傷も消えていった。


魔力の流れに不自然なところはなくなったので、たぶん大丈夫だと思う。


横転した馬車に上がり、上からドアを開ける。

中には家族だろうか。30代半ばくらいの夫婦と思われる男女と、10代後半の女性が身をかがめていた。


「大丈夫ですか? オークは撃退しましたが、馬車は馬が死んでしまって使えないと思います。目的地はどこですか?」


声をかけてみると、男性が状況を確認したいとのことだったので、手を貸して馬車の上に引き上げた。


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