↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不老不死で異世界リスタート~人は「ひとり」だと信じていたはずなのに、異世界で居場所ができました~  作者: 時雨あくあ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/33

32話 兄妹とウルとのピクニック

アルヴェリアの生活にも慣れたある日。


今日はライとルイと一緒に、国の外で過ごしていた。

ルイからウルと遊びたいという要望があり、街道から少し外れた開けた場所へピックニックに来たのだ。


一応ギルドマスターに確認したが、国の外であれば基本的に自由にそういったことをするのは問題ないとのことだった。

最初は椅子とテーブルを出して、アイシスが作ってくれた料理を食べていたが、やはり子供はご飯を食べてゆっくり過ごすというよりは、走り回ったりしたいものみたいで、30分もしないうちに椅子から降りてウルと追いかけっこを始めていた。

そのあとは、ルイがウルに乗ってみたいということで一緒に乗り、ウルにぐるぐると走ってもらった。


ウルに乗って空気抵抗がないのはルイも同じだったので、もしかしたらウルが風魔法で調整してくれているのかもしれない。


そのあとライも乗りたそうにしていたので一緒に乗って、子供だけで乗せても大丈夫そうだったので、2人と1匹で遊ばせていた。


ルイはテイマーギルドでの出来事をウルに一生懸命話していて、それをウルはしっかり目を見て聞いている。

そして、ライはウルのお腹のあたりをモフモフしている。


比較的ルイは、遊ぶ以外ではウルに話しかけることが多い気がする。


ウルも理解できているので、簡単に返事をする。

それを嬉しそうに受け取ったルイが、さらに話しかけるということが多い。


逆にライは人の目があると、特にルイの前だとウルを触るのも遠慮することが多い。

ただ、ルイが寝たり、別のことをしていると積極的にウルと遊ぼうとするので、兄として妹を優先させたいけれど、自分も遊びたいというせめぎ合いをしている感じが年相応に見えてほほえましくなる。


特にやることもないので、タブレットを出して電子書籍を読むことにした。

外でこうやって本を読むこともしていなかった。

というより、小説を読む余裕もなかった気がする。

時間はあるのだが、小説を読む気力すらない時期があって、そのまま読まなくなった気がする。


しばらくすると、遊び疲れたのかみんな戻ってきた。


アイシスが作ってくれたぶどうジュースをそれぞれに渡す。

そのあとまた遊びに出ていたが、気がつくとウルが横向きに伏せており、そのお腹のあたりに寄りかかるようにして2人が寝ていた。


2人が起きたら帰ろうと考え、出していたものをアイテムボックスにしまった。


歩いていくと、ウルが気がついて顔を向けてきた。

尻尾は寝ている2人に気を遣ってか、控えめに振っている。


かわいらしかったのでそのまま撫でていると、ちょうど馬車が通りかかり、しばらく進んでから止まった。


中から執事服を着た男が、こちらに向かって歩いてくる。


「そのグレーウルフを言い値で買うから金額を教えなさい」


開口一番、挨拶もなしにウルを買い取るとか言い出したぞコイツ。

いや、正確にはこの場にグレーウルフはいないから冷静になろう。


「おっしゃっている意味が分かりません」


サービス業で培った営業スマイルで答えてやった。


「聞こえなかったのか。そのグレーウルフを言い値で買うから教えろと言っている」


「おっしゃっている意味が分かりません」


男がイラついているのが、感応感知魔法を使わなくても伝わってくる。


「なっ……馬鹿にしているのか、貴様!!!

私がキンベル伯爵の代理であるラドルクと知っての態度か! 許せん!!!」


「ほぉ、キンベル伯爵の代理のラドルク殿とおっしゃるのですね。

名乗りもせずに交渉のまねごとをするなんて、お貴族様は時間に余裕があるのですね」


ラドルクと知ってのその態度って、この人そんなに有名人なのか?

名乗ってもいないのに知るわけないだろうに、頭が空っぽなんじゃないだろうか。


まともに話が通じる相手ではなさそうだし、適当にいなして帰ろう。


「……っち。

平民風情が調子に乗りおって。

こちらも忙しいのだ。さっさと言い値を言え」


「言葉遣いには気を付けたほうがいいですよ、ラドルク殿。

代理でいるあなたの行動が、そのままキンベル伯爵の評価につながることをお忘れなく。

今の私の評価ですと、初対面で名乗りもせずに交渉を始める世間知らずに映っていますので、そんな相手とお話を続けるのも時間の無駄。

忙しいラドルク殿と、お話を続けるのが無駄と感じている私。

どちらも話をやめたいという意思は共通のようですので、ここで失礼しますね」


そう言って振り返ると、やり取りの間に目を覚ましたライとルイが心配そうにこちらを見ていた。


「待たせてごめんね。

それじゃ帰ろうか」


2人に何かがあるといけないので、ウルに2人を乗せて男に背を向ける。


「待て貴様!!」


そう言って肩を掴んでくる男。


自分に敵意を向けたことに、ウルが唸る。


「ウル、大丈夫。

ウルは手を出したらダメだよ。

2人を守っててくれるかな?」


そう言うと、ウルは唸るのをやめる。


「それで何の御用ですか。

話の通じない伯爵代理様に割く時間は、私にもないんですが」


先ほどの営業スマイルをやめ、冷ややかな目を向けて告げる。


「おい!! ラドルク!!

どれだけ時間をかけているのだ!!

さっさとそのグレーウルフを買い取れ!!」


そう言うと、アクセサリーをたくさんつけた品のない中年が、両脇に私兵を連れて怒鳴りながらこちらへ向かってくる。

騎士団は騎士団のエンブレムが入った装備を身に着けていたが、私兵と思われる2人の装備には、馬車に描かれた家紋と同じものが入っている。


「おい! そこの獣人の奴隷を連れた平民!!

そのグレーウルフを私によこせ。

キンベル伯爵が直々に言っているんだ、意味が分かるよな?」


ここで営業スマイルに切り替え、貴族の男に伝える。


「キンベル伯爵とあろうお方が、こんな礼儀も知らない代理を使っていると、家名に泥を塗ることになってしまいますよ。

名乗りもせずに交渉を始め、一方的な言い分ばかり伝えるのはキンベル伯爵のご意向なんでしょうか」


「ん? 私の代理であれば、名乗らずとも知っているのがアルヴェリア平民の常識であろうが」


そう貴族の男が言うと、代理の男がその通りと言わんばかりにしたり顔をしている。


「そうでしたか。

だとしたら聡明なキンベル伯爵であれば、私がアルヴェリアの平民でないことはご存じですよね?」


そう言って、自分はフォルさんの加護を見せる。


「ぬ? 女神様の加護か。

そんなもの貴族であれば誰しもいただいておるぞ」


加護をそんなもの扱いするなら、こいつも話が通じないタイプか。


「そうですか。

交渉するつもりはありませんので、私は失礼します」


そう言ってその場を去ろうとすると、私兵が抜刀した。


「私が優しく言っているうちに、そのグレーウルフを渡したほうが身のためだぞ!」


金でダメなら実力行使か。

分かりやすいな。


「おっしゃっている意味が分かりません。

私はグレーウルフを従魔にしておりませんので、キンベル伯爵の願いをかなえることはできません」


「言い訳をしおって!!!やれ!!!」


私兵2人がこちらに向かおうとしてきたので、足元に火魔法で炎の線を走らせた。

それに驚き、私兵の動きが止まる。

私兵と自分の間に、焦げた跡が1本できている。


「剣を抜くことの意味が分かっていらっしゃいますよね?

剣を抜いたからには、死ぬ覚悟があるのでしょう。

なので最終警告です。

その線を越えて攻撃をするのであれば、こちらも容赦はしません」


先ほどまでの営業スマイルをやめ、殺意を込めて伝える。


「貴様、覚えておけよ。

絶対にそのグレーウルフを手に入れてやるからな!

貴様の名前は何という?」


「貴族様に名乗れるほどの名前はございません。

それでは失礼いたします」


そう伝え、自分もウルに乗りその場を去った。


城門付近まで、ウルには走ってもらった。


3人一気に乗ったのは初めてだったので、ウルに問題なかったか聞いたら問題ないと吠えてくれた。


ウルには箱庭に戻ってもらってから国に入る。


そのまま念のため、冒険者ギルドとテイマーギルドへ先ほどあったことを報告してこの日は終わった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。