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不老不死で異世界リスタート~人は「ひとり」だと信じていたはずなのに、異世界で居場所ができました~  作者: 時雨あくあ


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28話 違法奴隷商の摘発作戦

――翌日。


今後の方針について話し合うため、ギルドマスターの部屋に3人で集まっていた。

同席しているのは、ギルドマスター、副ギルドマスター、そして自分だ。


「直近の取引は2日後に予定されている。

その日に関係者の身柄を押さえられるよう、現在準備を進めているところだ。

行方不明者の捜索は冒険者ギルドの管轄だけれど、違法奴隷事件となれば国も動く必要がある。

そのため、今回は騎士団と合同で対応することになった」


ギルドマスターは机に広げられた資料を確認しながら、説明を続ける。


「ゼオン君には情報提供者として現場へ居合わせてもらう予定だ。

ただし、特級冒険者についてはギルド内の機密情報になる。

騎士団にも伏せたままにするので、そのつもりでいてほしい」


「分かりました」


「そして証拠品についてだけれど、すでに騎士団とも情報を共有している。

書類に記載されていた国内貴族については、騎士団が記録との照合を進めて確認しているところだ。

2日後の主な作戦は、オストリッチ伯爵邸にいる者を一時的に全員確保し、事件への関与を調べること。

取引への関与が確認された国内貴族本人の身柄を、同時に押さえることになる」


かなり大きな事件になっているため、多くの人手が必要になる。

だが、騎士団の協力を得られることになり、人員についての心配はなくなったようだ。


「あの、国外へ売られた奴隷については、どうなるんでしょうか?」


「そこは、アルヴェリアの騎士団と対象国の騎士団が連携して進めることになった。

国外とはいえ、違法奴隷については各国で共通する法が定められているからね。

まずは各国へ照会し、取引記録や現在の所在を確認したうえで、救出を進めることになる」


すぐに全員を救出できるわけではない。

それでも、売られた先まで追跡し、助け出すための動きは始まっているようだ。


こうして、2日後の摘発へ向けた話し合いが進んでいった。


「そういえば、貴族の確保については話が進んでいますが、大男はどうしますか?」


「下っ端は複数いる可能性もあるが、確保する必要はあるね」


「これから確保しますか?」


「いや、連絡が取れないことで怪しまれる可能性がある。

確保するなら、取引前日の夜が望ましいだろう。

今は滞在場所の把握に留めておくべきだ」


1日くらいで状況が変わるものなのかとも思ったが、定期報告などがある可能性もある。

リスクは低いほうがいいのは間違いない。


そんなわけで、翌日の夜に大男を捕まえる方針になった。

その夜、大男の所在を確認するために貧民区へ向かうと、ありがたいことに以前と同じ建物に滞在していた。

そのまま翌日の夜まで大男に大きな動きはなく、ギルドマスターと共に大男の確保に動くことになった。


暴れるかと思ったが、大男はあっさりと捕まった。

ギルドで尋問を行ったが、大男はのらりくらりと余裕の表情で、適当な回答を繰り返していた。

大男が使っていた建物内にも、契約書などの証拠はほとんど残っていなかった。

唯一残されていたのは、男の子と女の子の名前が書かれた契約書だったらしい。


おそらく兄妹のものだろう。


大男は、契約相手がいないため証拠にはならないと考えていたのかもしれない。

しかし、兄妹がギルド職員に付き添われる形で尋問室へ入り、証言を行ったことで、その契約書も証拠として扱われることになった。


余罪などを確認したうえで最終的な刑が決まるとのことだったが、ギルドマスターは最低でも100年は出てこられないだろうと話していた。


その100年がこの世界の刑期としてどれほど長いものなのかは分からない。

だが、最低と言っている以上、それ以上になる可能性も高いのだろう。


契約が切れたことで、2人がこの世にいないと思っていたのだろうか。

兄妹が現れた瞬間、大男は唖然としていた。


その後、直前まで余裕を持って否認していた者とは思えないほど取り乱し、「自分の奴隷を奪われた! 証拠はこの書類だ!」と叫び始めた。


自ら自白していく姿に、ギルドマスターが笑いをこらえていたのが印象的だった。


――取引当日。


付近に同じ人物が長時間いると怪しまれるため、ローテーションで訪問がないか見張ることになっている。


14時頃に動きがあった。


国内貴族の馬車が、対象の屋敷へ入っていったのだ。

貴族の馬車には基本的に家紋が描かれているため、今日違法奴隷を引き取りに来る予定の貴族だと特定できた。


透視魔法が使える騎士が屋敷内の取引部屋を監視し、受け渡しの瞬間を合図に騎士団と冒険者が突入する手筈となっている。


通信魔道具で合図が入り、正面口と裏口から一斉に屋敷へ突入した。

不意を突けたこともあり、犯人たちはあっさりと確保された。


貴族たちは「証拠はない」と高を括っていたこともあり、抵抗らしい抵抗もなかった。

しかし、確保後に次々と証拠が見つかるにつれ、その顔は青ざめるどころか真っ白になり、手足は尋常ではないほど震えていた。


引き取りに来ていた貴族は、「私は違法奴隷だとは知らなかった」「保有している奴隷を譲ってもらう予定だった」と言い訳をしていた。


だが、正式な奴隷商を通さない取引である以上、その主張は認められず、そのまま連行された。


この日、国内では54家もの貴族が一斉に捕らえられた。

地下にいた子供たちは、騎士団が持参した奴隷契約を解除する魔道具によって、その場で契約から解放された。


泣き崩れる子。

状況が理解できず、呆然とする子。

反応は様々だった。


そんな中、潜入したときに話しかけてきた子が、自分のもとへ歩いてきた。


「お兄さん、ありがとう」


不安でいっぱいだったはずなのに、解放されて真っ先にお礼を言いに来てくれたことに驚きながら、その子の頭を優しく撫でる。


「待たせてごめんね。助けられてよかったよ」


出会ってから助け出すまで待たせてしまったことを、素直に謝った。

解放された子供たちは、同行していた回復魔法を使える騎士や冒険者によって、怪我や健康状態の確認を受ける。

その子も騎士に連れられ、診察を受けに向かった。


行方不明者の一覧には、約40人の子供が載っていた。

この場にいた10人ほどは、その一覧に記載されていた子供たちだった。

それ以外の子供は、兄妹のように孤児や身寄りのない子たちが連れてこられていたようだ。

ただ、一覧に載っている残りの子供たちについても、取引履歴から所在の手掛かりが確認されている。

これで救出は大きく前進するだろう。


「よく、こんな場所を見つけられたものだ」


そう言って、1人の騎士が隣に並んだ。


「たまたまですよ。

子供に暴力を振るっていた大男が、夜に子供を連れて歩いていたので後をつけたら、隠し扉を見つけられただけです」


「それでも、何があるか分からない場所へ踏み込めるということは、それなりに実力へ自信があるか、特殊な魔法でも持っているのかな?」


品定めするような視線を向けられ、不快感を覚える。


「火魔法は多少使える程度です。

自信があるとすれば、逃げることくらいですよ。

だからこそ冒険者ギルドへ相談して、この作戦になったわけですし」


騎士は納得していない様子だった。

だが、これ以上話すつもりはなかったため、その場を後にした。


屋敷にいた関係者を確保し、騎士団が連行していくのを見送る。


地下牢に囚われていた子供たちの救出は、無事に完了した。


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