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17話 王都①

いつも読んで頂きありがとうございます♪

ストレス発散目的で緩く書いてますので拙い文章力ですが最期までお付き合い下さい。

 賑わう市場通りに華やかな音楽が鳴り響くのも王都ならではの光景だ。


 道行く民も冒険者も商人も色鮮やかな装いに目を引く。


 昨夜、さっさとガルフ領へ帰ろうとした矢先、フォーグルとヤンヌから言われた言葉が切っ掛けとなり、俺は数日間王都に留まる事にして骨休みとした。


 ヤンヌは代行していた団長の仕事が溜まっていると連絡を受けたらしく早々に昨夜の内に王都を離れたが、フォーグルはというと、溜まりに溜まっていた私情を処理する為に夜の街へと繰り出すと言っていた。


 俺達は事実上、パーティの解散。


 やけに呆気なくというか、あっさりというか何というか、1人で久々にのんびりとした休暇を過ごせるかと思うと胸が躍る……そうロックさえいなければなッ。


 「何でそんな嫌そうな顔してるんスか!」


 別にロックが嫌いなわけじゃないが、俺は1人の生活が長かった所以もあり、気ままに余暇を過ごしたい癖が未だどうにも抜けない。


 ましてや、先日の緑生迷宮での指導(まが)いの形振(なりふ)りに気疲れし、昔も今も性に合っていないと改めて痛感した。


 他人に教えを乞うのも誰かに指導するのも、正直言って苦手で、団長として【奇想天外】を引っ張っていた頃は、ことさら無理をしていたんだと感慨深くなる。


 それについてはジェノやロゼリアからは何度も反発されていた。


 『団長としての威厳を保つ為にも、しっかりと個々の特性や特徴を把握し、的確な助言をする事』


 そもそもそういう面については俺の柄じゃないんだが……それなりには努力していた。


 だからこの20年、そういった類いの真似事は極力、避けてきた。


 いや……今思えばちゃんと避けてなかったからここまで繋がってきたのか。


 セリーヌから謂れのない話をされては聞き流していた日々もギルド強化計画の一抹にしっかりと混じっていた。


 まぁ、その計画は阻まれて今や俺には、何の目的も無い一日が既に始まっているわけだが。


 「やることないなら、行ってみません?ギランさんの工房。」


 ロックにそう言われて、ただ惰眠を貪り飯食って糞をするだけの一日で終わらせるには勿体ないと思えた。


 それに、ジルゴの一番弟子であるギラン。


 王宮筆頭鍛冶師として地位を確立して、今やこの国を支えている鍛冶師の中の最高峰鍛冶師【スミス・オブ・スミス】と聞いていた話を思い出し、呆ける俺の心は次第に興味で染まりだした。


 「その前に、魔核、売りましょうよコウさん。」


 あの死闘の最中に、ロックは事もあろうか倒した変異体の分け身や羽虫の魔核を拾い上げていたのだ。


 昔から視野が広く、犬猫並みに興味惹かれる玩具には素早い反応を見せていたとは思っていたが、その非凡な才能は尋常ならぬ成長速度を促してきた一味の調味料なのだろう。


 その才は益々磨きがかっていて呆れる。


 「まさか、あんな状況でちゃっかり魔核拾ってるとかお前は相変わらず餌に釣られる犬みたいだな。」


 「へへっ。魔核は冒険者の生活の肝っス。たとえ銅貨一枚の価値しか無くとも俺は拾うっスよ。……金の大切さは身に染みてますから。金はマジで大事っスよ。そもそも……。」


 俺は横目で少しだけ雄弁なロックを眺めたが、なるほど是迄の人生において彼なりにしっかり考えて生きてきたのだと確信させられる。


 「馬鹿野郎。それだけの魔核が銅貨一枚な訳ないし、それに王都の冒険者宿舎がそれ見て騒がないか心配なだけだ。」


 魔核の色質や大きさで値は決まる。


 今回の件は箝口令(かんこうれい)が敷かれていないとは言え、いの一番に変異魔核なんて持ち込んだらギルドは対応に苦慮する事だろう。


 ただでさえ下層の魔物の魔核や採取した素材ってのは単価が跳ね上がるもので、幾ら王都のお膝下のギルドとはいえ、財源には限界はある。


 「ちわーっス!カペラさん!」


 威風堂々というよりは意気軒昂。


 ロックの風格ある歩様に居合わせる冒険者達は振り向きながら各々漏らす声色は、これまたロックの描いてきた道筋を示すかのようにその場を彩る。


 「あら、ロックさん。聞いたわよぉ〜何でも王宮で幽閉されてたって?」


 受付嬢の中でも一際目立つ高身長のカペラは肉付きからして精霊種(エルフ)族か、どこかリースに似ていて俺は勝手に親近感が湧いている。


 「そうなんっスよ〜。三日間、変異体についての詳細を書き記して拘束とか冗談も大概にしろって話っスよ。」


 受付台を挟み会話する2人の姿はこの場が冒険者宿舎で無ければ、さながら恋仲とも言えるくらい華やかに感じてしまう。


 可愛いい子供の大人らしい成長に時代の移り変わりをまざまざと認識させられる。


 フォーグルまでとは言わないが、その感覚にほんの少しだけ嬉しくなった。


 「そちらの方はロックさんのお知り合いですか?」


 「そうっス。俺の剣の師匠であり、憧れでもあり、俺が所属する冒険団の頭でコウさんっス。」


 寝耳に水だ。何澄ました顔してさらっと変な事言ってやがる。


 カペラも居合わせる冒険者も驚いてるじゃねぇか。


 「初耳だぞ、ロック。冗談でも聞き捨てならねぇ。」


 「へ?ちゃんと昨日話したじゃないっスか〜王様や王宮の連中と。まぁ、その場にコウさんは居なかったんスけどね。」


 俺が反論する間にしっかりカペラが口を挟むとギルド内はどよめく。


 「待て待て。色々可笑しいだろ。ロック、お前は上位冒険者で下位の冒険者に付くのがまず、可笑しい。それから俺は誰とも組まないし、組む気もない。それに、お前だって『誰とも組まない』って豪語してたじゃねぇか。何血迷ってんだよ……てか、いつそんな話したんだっつうの。」


 「あ〜、龍神様とコウさんが言い合ってた時に話してたんですけど……王様もコウさんの旗揚げに大層喜んでらっしゃいましたよ。それと貴族院の連中はあんな状況でしたから下手に蔑んだり、茶々いれるなんて事もうしてこないですし、そもそも元とはいえコウさんも上位冒険者なんですから、降格したとしても今回の団結成には何ら支障はないですよ。ね、カペラさん。」


 飄々と饒舌に語りつつロックはカペラに視線を送ると、カペラの態度は呆然を掻き消すように悠然として、自身の担当で構わないのかと確認するとロックは快活に二つ返事をする。


 「良いではないか、コウよ。お主、心の内の片隅とはいえ嬉々としておろう。」


 (此奴……。)


 突然の龍神の一声に周囲の反応は最早言う事はない。


 カペラも物言う宝玉に驚くどころか拝礼する始末。


 「はぁ……解ったよ。団の登録すりゃいいんだろ。」


 ロックは隣で大袈裟に両拳を握りしめ飛び跳ねるように叫ぶ。


 そんなロックを見つつも一つだけ条件を出した。


 団長はロック。


 時代の変化の重みを感じる以上、俺はある決意が芽生えていたからだ。


 龍神もその想いに触れないでくれたのも龍神なりの気遣いか。


 どよめく場に構うことなく俺とロックは新たな冒険団の象徴である団旗の紋章と命名を考える事となった。


 「もう、昨日の夜に考えてたんスよねぇ〜。旗紋は、鍵と龍!これは譲れねぇっスよ!しかも、金色の!」


 なるほど、夜も明けない内から人の宿場の前で待ち構えていた理由はこれかと思うと同時にその執着ぶりに頭が下がる気さえした。


 「だって、この絶好の機会逃しちゃったらコウさん何処か飛んでいきそうな気がしてならなかったんスよ。ほら、野鳥が飛び立つ時って凄い静かじゃないスか?こっちとしちゃ気が気じゃなかったんス!冒険者として苦節12年、やっと念願成就なんスから〜。」


 気付けば離れて座っていた一団も立ち尽くしていた冒険者達も自然と近くに集まってロックの口八丁ぶりに耳を傾ける。


 周囲を取り囲まれる異様さに俺は落胆を溢しながらもその集団から発せられる言葉一つ一つに俺は真摯に向き合った。


 ロックの異常なまでの勧誘拒否や俺に対する拘りも全てこの瞬間の為に、今迄存在していたと改めて耳にしたが、それより増して興味があるのか次第に場の空気は俺に対する質疑に変わっていた。


 王都のギルドは実に20年ぶり以上。


 当時、若くして職員でいた数名の顔見知りも奥から顔を覗かせ聞き入る。


 「待て待て……あのなぁ、俺は今ロックから聞かされて驚いてるんだ。確かに再び冒険者として旅に出ると決めたが……。」


 狼狽えとはこの事を言うし、自覚もしている。


 それでも引っ切り無しに投げつけられる言葉の数の暴力に頭が軽く痛くなる。


 俺が項垂れる形で疲れているのを察知してかカペラは一掃するかの様に諭す。


 それは俺からしてみれば、実に献身的で好意のある立ち振る舞いである。


 「色々とお話を伺いたいですがロックさんの慌ただしさを観ると次の機会にした方が良さそうですね。それに、コウさんもだいぶお疲れなようですし。」


 彼女の笑顔が妙に()みる。


 なんて、理解のある娘なのだと感激したが、その笑顔はロックの図太さによって直ぐ様崩壊する事となる。


 変異体の魔核。


 受付台に乗せられたそれを観て、冒険者達は昨日今日の噂が真実と判り、ギルド職員は怪訝に見つめる。


 古参の職員に限っては急ぎ誰かへと連絡を取っていた。


 それからというもの、緑生迷宮での一件はロックの語り部具合が憎たらしいほどに合いまって半刻近く聴衆をその場に縫いとめるのだが、時折俺を持ち上げたりするもんで場は和む一方。


 聞き入る者達を他所に俺は呆れがすぎて受付台に身を預けていたら古参職員の声が耳元近くで聞こえた。


 「噂では万年中位は水蛇との闘いで命を落としたと聞き及んでいましたが、なるほどなるほど。そういう意味でしたか。」


 歳を重ねても重厚かつ上品な声は変わらずだなと口に出し顔を向けると古参職員マグワートがそこに居た。


 かつて【魔封戦斧】の担当職員でゼルファークの従兄弟にあたる男。


 身体を鍛えていなくともその骨格筋の盛り上がり具合は、流石同血だ。非常に体格が良い。


 そんな彼も一時は冒険者として名を馳せたらしいが出逢った当時は既にギルド職員として居たため、俺はあまり詳しくは彼の事は知らない。


 だが、一度だけ目にした光景は今でも思い出せる。


 王都の冒険者宿舎訓練場にて、王都騎士団長を始めとする一団を容易くねじ伏せた光景。


 当時、騎士団と冒険団は(すこぶ)る仲が悪くて事ある毎に巡回兵は冒険者を地下牢に連れていく行為が目立っていた。


 それには長い歴史が根本を支配していたのだが、ある日、街の一部を巻き込むほどの騎士と冒険者による武力衝突が巻き起こり王都に混乱が走るのだが、騒ぎを聞きつけて遠征帰りの俺はゼルファークらと共にそれを目の当たりにした。


 マグワートの足下に当時の王都第一騎士団の騎士団長が伏せていて、その周囲に白色の鎧姿と幾つもの見慣れた格好の冒険者達が跋扈するが如く寝転がり、1人彼だけが清閑な佇まいでその場に君臨していた。


 その光景はギルドの鉄の掟の一つ。


 ―喧嘩両成敗―


 本来ならばギルドマスターのみが行使できる権利であるが、その当時、マグワートの方が得意分野だからと移譲された上での蛮行。


 当然王宮も黙っちゃいなかったが、事の顛末を知ったゼルファークら【魔封戦斧】も黙っていられず暴動の一歩手前まで発展しかけた一件。


 互いにそんな昔話を懐かしみつつも時代の移り変わり加減にしんみりとした雰囲気を醸し出していた。


 「それはそうと、コウ様。一つ、この老骨の願いを聞き入れて貰えますか?ギルドマスターが噂を聞いてからここ何日か昂ぶってらっしゃいますので。先日も王宮に出向いた際に近況をマウベル様から耳にしたらしく手に負えんのです。」


 「へぇ、今王都のギルドマスターって誰が就いているんだ?」


 マグワートが口に出そうとした瞬間、ギルドの入り口扉が激しい音を立て勢い良く開くと、その刹那、目で追うのもやっとなくらいの影が俺に体当たりをかます。


 床に転げ落ちそうになるが、首元に懐かしい感触のふわふわとした毛並みが密着する。


 「当ギルドマスターのベッキーです……。」


 マグワートの呆れ果てる様を見れば解る。


 犬人族のベッキー。

 

 かつて【魔封戦斧】の斥候長であり、ゼルファークの従者でもあった彼女は時の経過を微塵も感じさせないほど機敏で逞しい。


 他人の胸元でまごつく彼女の首根っこを掴み上げながら聞こえた声も懐かしい。


 「よう、アポロ。久しいな。」


 【魔封戦斧】時代、賢才と呼ばれた犬人族アポロは礼儀を重んじながら挨拶するも、直ぐ様ベッキーを叱りつける。


 だが、ベッキーはというと、賢才とは真逆の性格で理性が弾け飛んでいるのが特徴。


 アポロはつくづく頭を痛めるも、中々俺から離れようとしないベッキーの尾を握りしめる。


 一間ついて、ようやく俺達は話ができた。


 王都のギルド長と副長。


 異例の出世だ。


 【卯月の騒乱】においての活躍で一気に名声を受けたらしく、以来ここ王都の冒険者達を束ねて久しいようだ。


 アポロの明瞭さとベッキーの規格外の機動力は当時の戦況を知る者からすれば英雄同然とたらしめる。


 「なんでベッキーが長なんだ?」


 純粋な疑問が先立った。


 「此奴、ギルド職員として放置してたいたら所構わず暴れ回って帰ってくるんです。職務なんてまるで理解していないので、長に据えて僕とマグワートが常に監視してるってところですね。」


 「そんな事ないってば、ただちょこっと暇だから暇つぶしに迷宮荒らしに行って何が悪い。」


 「お前、ギルドの職責舐めとんのか。」


 「コウ様、普段からこの有様です……。」


 アポロもマグワートも苦労してんだなと心底思う。


 「それより、コウ!遊ぼ!」


 なるほど、マグワートの言葉は如何に切実だったか……傍らに居るアポロが溜息がてらに宿舎長の立場を説いているのだがその様子は往年よりも幾分厚みを増している。


 〝2匹の犬〟のギャン泣きは賑わしいというより寧ろやかましい。


 「御二人、御二人!」


 ロックが口を挟むと魔核の査定を促す。


 「そうそう、旧友に会う悦びも良いですが、本来の目的は此方でしたね。」


 そう言うとアポロはベッキーの首根っこを握ったまま引きずり連れ魔核を覗き込む。


 その異様な魔素を感知してかベッキーも見入るように立ち尽くす。


 「急ぎ鑑定を。」


 マグワートにそう促したのはベッキーであったがその真剣な表情はかつて見たお転婆娘のそれではなく、なんだかんだ言って、しっかりと職責を全うしてきた片鱗を垣間見た気がする。


 というか、起伏の激しさは相変わらずだが……。


 それにしても、この一連の最中にロックはまた、しれっと手際良く肝心な事をやってのけてくれる。


 それに気付いたのは、カペラが鑑定を終え報酬を運んできた際だったが、団長を譲った側としては文句を付けようがなかった。


 「はい。【黄金旅団】の報酬は此方です。」


 嬉々として燥ぐロックとカペラを尻目にアポロは冷静に俺へと視線を向けると改めて礼儀を尽くす。


 その立ち振舞いぶりはなんら昔と変わらず、諸々の謝意も込められていた。


 丁寧な姿勢に俺も丁重に扱うが、隙をみてはベッキーが身体に張り付くように懐く。


 昔のように片脚を上げ下げして振り払おうとするが、これが荒くれ冒険者を束ねる長の姿で良いのかとアポロに問うと、歳を考えるようにとだけベッキーに促しつつも一連の騒ぎは次第に治まってゆく。


 「時に、コウさん。事の経緯は聞いております。上位冒険者の依頼は勿論受けてくれますよね?」


 俺はロックを見たが、ロックは当然と言い切った。


 「ならば、お手数ですが幾つかの依頼を受けて貰いたいのです。」


 徐に差し出してきた依頼書の内容に俺は途方にくれたが、ロックは事もあろうか感嘆し、何故かベッキーも釣られるように吠えた。


 「期日はそうですね……調査団との兼ね合いもありましょうからいつでも構いませんよ。」


 「俺にいうなよ。団長はあっちだ。」


 ロックを指さしたがアポロはあくまで俺の実力を確かめたい一心とだけ伝えた。


 ならばと俺もその粋に応えるが、何故にベッキーまでもが俄然やる気になっているのかこの時はまだ知る由もなかった。

ここまで読んで頂きありがとうございました♪

一身上の都合により不定期更新ですが、また次話読んで下されば嬉しいです♪


書き溜め… …_φ(・_・

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